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斜線制限や日影規制に違反して建てると誰が罰金になるのか|建築基準法第101条第3号と第54条から第56条の2を解説

戸建て住宅の奥に中層の集合住宅が見える住宅街の通りの写真

建物の高さや日影は、道路や隣の敷地、低層の住宅地への影響を抑えるために、建築基準法が細かく制限しています。
その制限に違反したときの罰則が、第101条の第3号にあります。
今回は第3号と第54条・第55条・第56条・第56条の2を対応させて、誰が罰せられるのかを解説します。

高さの制限や日影の規制に違反して建てると、罰金になることはありますか。

第101条の第3号に、100万円以下の罰金の定めがあります。
この記事で、罰せられる人の範囲を確認します。

制限を超えた建物の持ち主が、罰せられるのですか。

第3号が挙げるのは、原則として設計者です。
順番に見ていきましょう。

この記事の結論
  • 第101条は、各号のいずれかに該当する者を、100万円以下の罰金に処すると定めています。
  • 第3号は、第54条第1項の外壁の後退距離、第55条第1項の高さの限度、第56条第1項の斜線制限、第56条の2第1項の日影の制限に違反した場合の、当該建築物又は建築設備の設計者を罰する規定です。
  • 設計図書に従わないで工事を施工した場合は、罰せられる者が工事施工者に変わります。
  • 設計図書に記載された認定建築材料等と異なる建築材料を引き渡した場合は、その引き渡した者が罰せられます。
  • 第101条第2項は、その違反が建築主の故意によるものであるときは、建築主にも同じ刑を科すと定めています。

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高さの制限や日影の規制に違反した場合に、設計者、工事施工者、故意の建築主が罰金の対象になる範囲を示す図解

第101条第3号は高さや日影の違反で誰を罰するのか

中層の建物模型と床板と図面のイラスト
まず、第101条の前文と第3号の該当部分を確認しましょう。
(建築基準法第百一条(前文))次の各号のいずれかに該当する者は、百万円以下の罰金に処する。
(建築基準法第百一条第三号(抜粋))三 …第五十四条第一項、第五十五条第一項、第五十六条第一項、第五十六条の二第一項…の規定に違反した場合における当該建築物又は建築設備の設計者(…)
第3号は、第19条から第68条までの多数の規定を並べたうえで、それらに違反した場合を100万円以下の罰金に処すると規定しています
この記事で取り上げるのは、その中の第54条第1項、第55条第1項、第56条第1項、第56条の2第1項です。
罰せられる者は、原則として、当該建築物又は建築設備の設計者です。
容積率や建蔽率に関する第52条・第53条も、同じ第3号に並んでいます。

第3号は、第54条から第56条の2までのどの項を対象にしているのですか。

第54条・第55条・第56条・第56条の2の、いずれも第1項です。
第2項以降の規定は、この列挙に入っていません。

第54条と第55条は低層住居専用地域で何を定めているのか

敷地の区画と低層の住宅模型のイラスト
続けて、第3号が挙げる第54条第1項と第55条第1項の中身を確認しましょう。
(建築基準法第五十四条第一項)第一種低層住居専用地域、第二種低層住居専用地域又は田園住居地域内においては、建築物の外壁又はこれに代わる柱の面から敷地境界線までの距離(以下この条及び第八十六条の六第一項において「外壁の後退距離」という。)は、当該地域に関する都市計画において外壁の後退距離の限度が定められた場合においては、政令で定める場合を除き、当該限度以上でなければならない。
(建築基準法第五十四条第二項)前項の都市計画において外壁の後退距離の限度を定める場合においては、その限度は、一・五メートル又は一メートルとする。
(建築基準法第五十五条第一項)第一種低層住居専用地域、第二種低層住居専用地域又は田園住居地域内においては、建築物の高さは、十メートル又は十二メートルのうち当該地域に関する都市計画において定められた建築物の高さの限度を超えてはならない。
第54条第1項は、都市計画で外壁の後退距離の限度が定められた場合に、外壁から敷地境界線までの距離を、その限度以上にしなければならないと定めています。
第2項は、その限度を1.5メートル又は1メートルとすると定めています。
第55条第1項は、建築物の高さを、10メートル又は12メートルのうち都市計画で定められた限度を超えてはならないと定めています。
どちらも、第一種低層住居専用地域、第二種低層住居専用地域、田園住居地域の規定です。

外壁の後退距離は、どの地域でも1.5メートルなのですか。

いいえ。
都市計画で限度が定められた地域だけの規定で、限度は1.5メートル又は1メートルです。

第56条第1項の斜線制限は何を定めているのか

建物模型と斜めの平面と測量ポールのイラスト
続けて、第56条第1項の中身を確認しましょう。
(建築基準法第五十六条第一項(前文))建築物の各部分の高さは、次に掲げるもの以下としなければならない。
(建築基準法第五十六条第一項第一号(抜粋))一 別表第三(い)欄及び(ろ)欄に掲げる地域、地区又は区域及び容積率の限度の区分に応じ、前面道路の反対側の境界線からの水平距離が同表(は)欄に掲げる距離以下の範囲内においては、当該部分から前面道路の反対側の境界線までの水平距離に、同表(に)欄に掲げる数値を乗じて得たもの
(建築基準法第五十六条第一項第二号(抜粋))二 当該部分から隣地境界線までの水平距離に、次に掲げる区分に従い、…
(建築基準法第五十六条第一項第三号(抜粋))三 第一種低層住居専用地域、第二種低層住居専用地域若しくは田園住居地域内又は第一種中高層住居専用地域若しくは第二種中高層住居専用地域…内においては、当該部分から前面道路の反対側の境界線又は隣地境界線までの真北方向の水平距離に一・二五を乗じて得たもの…
第56条第1項は、建築物の各部分の高さを、次に掲げるもの以下にしなければならないと定めています。
第1号は、前面道路の反対側の境界線までの水平距離を基準にする制限です。
第2号は、隣地境界線までの水平距離を基準にする制限です。
第3号は、低層住居専用地域や中高層住居専用地域などで、真北方向の水平距離を基準にする制限です。
つまり第56条第1項は、道路側と隣地側と北側の三方向から、建物の高さを抑える規定です。

第56条第1項の三つの制限は、どれも第3号の対象になるのですか。

はい、第56条の第1項として、まとめて第3号に挙げられています。
第2項以降は、この列挙に入っていません。

第56条の2第1項の日影規制は何を定めているのか

建物模型と長く伸びる影の板のイラスト
続けて、第56条の2第1項の中身を確認しましょう。
(建築基準法第五十六条の二第一項(抜粋))別表第四(い)欄の各項に掲げる地域又は区域の全部又は一部で地方公共団体の条例で指定する区域(以下この条において「対象区域」という。)内にある同表(ろ)欄の当該各項…に掲げる建築物は、冬至日の真太陽時による午前八時から午後四時まで(道の区域内にあつては、午前九時から午後三時まで)の間において、…敷地境界線からの水平距離が五メートルを超える範囲において、…地方公共団体がその地方の気候及び風土、土地利用の状況等を勘案して条例で指定する号に掲げる時間以上日影となる部分を生じさせることのないものとしなければならない。
(建築基準法第五十六条の二第一項(ただし書き))ただし、特定行政庁が土地の状況等により周囲の居住環境を害するおそれがないと認めて建築審査会の同意を得て許可した場合…においては、この限りでない。
第56条の2第1項は、条例で指定された対象区域内の建築物について、冬至日の午前8時から午後4時までの間に、敷地境界線から5メートルを超える範囲で、条例で指定された時間以上の日影を生じさせてはならないと定めています。
道の区域内では、時間帯が午前9時から午後3時までです。
ただし書きは、特定行政庁が建築審査会の同意を得て許可した場合には、この制限を適用しないと定めています。
日影の時間の数値は、この条文ではなく、地方公共団体の条例で決まります。

日影が何時間まで許されるかは、この条文に書かれているのですか。

書かれていません。
地方公共団体が条例で指定した号の時間が基準なので、その地域の条例を見ます。

設計図書に従わない場合や材料が違う場合は誰が罰せられるのか

製図台と作業用ヘルメットと天秤のイラスト
最後に、第3号の括弧書きと第2項が、罰せられる者をどう切り替えているかを確認します。
(建築基準法第百一条第三号(括弧書きの抜粋))…設計者(設計図書に記載された認定建築材料等の全部又は一部として当該認定建築材料等の全部又は一部と異なる建築材料又は建築物の部分を引き渡した場合においては当該建築材料又は建築物の部分を引き渡した者、設計図書を用いないで工事を施工し、又は設計図書に従わないで工事を施工した場合(設計図書に記載された認定建築材料等と異なる建築材料又は建築物の部分を引き渡された場合において、当該建築材料又は建築物の部分を使用して工事を施工した場合を除く。)においては当該建築物又は建築設備の工事施工者)
(建築基準法第百一条第二項)前項第三号、第四号又は第六号に規定する違反があつた場合において、その違反が建築主又は建築設備の設置者の故意によるものであるときは、当該設計者又は工事施工者を罰するほか、当該建築主又は建築設備の設置者に対して同項の刑を科する。
括弧書きには、罰せられる者が入れ替わる場面が、二つ書かれています。
一つ目は、設計図書に記載された認定建築材料等と異なる建築材料などを引き渡した場合で、罰せられるのは引き渡した者です。
二つ目は、設計図書を用いないで、又は設計図書に従わないで工事を施工した場合で、罰せられるのは工事施工者です。
第2項は、第3号の違反が建築主又は建築設備の設置者の故意によるものであるときに、建築主などにも同じ刑を科すと定めています。
ここで科される刑は、前項の刑、つまり100万円以下の罰金です。

設計図書に従わなかった工事でも、設計者が罰せられますか。

その場合は、括弧書きにより、原則として工事施工者が対象です。
ただし、材料の引渡しが原因のときは、別の扱いになります。

整理すると、次のとおりです。
場面根拠罰せられる者
第54条第1項・第55条第1項に違反した第101条第3号当該建築物又は建築設備の設計者
第56条第1項に違反した第101条第3号当該建築物又は建築設備の設計者
第56条の2第1項に違反した第101条第3号当該建築物又は建築設備の設計者
設計図書に従わずに工事を施工した第3号の括弧書き当該建築物又は建築設備の工事施工者
設計図書と異なる認定建築材料等を引き渡した第3号の括弧書きその建築材料などを引き渡した者
その違反が建築主の故意によるものである第101条第2項設計者又は工事施工者に加えて建築主
科される刑第101条の前文100万円以下の罰金
第3号は、高さや日影などの制限に違反したときの罰則を、100万円以下の罰金と定めています
これは建築基準法の罰則であり、消防法令の義務とは別の規定です。
また、個別の建物が高さや日影の制限に適合するかどうかは、第101条には書かれていません。
建物を増築するときや、使い方を変えるときは、事前に確かめておくと安心です。
明日から、次の点を確認してください。
  • 建物のある場所の用途地域と、都市計画で定められた高さの限度や外壁の後退距離を、市区町村の窓口で確かめる。
  • 日影規制の対象区域かどうかと、指定された日影の時間を、地方公共団体の条例で確かめる。
  • 増築や改修をするときは、事前に特定行政庁や建築の窓口へ相談する。
  • 設計や工事を頼むときは、設計図書のとおりに施工されているかを確かめる。
  • 建物の防火管理などの義務は別の規定なので、所轄消防署へ確かめる。
建築基準法の罰則については特定行政庁や建築の窓口に、消防法令の義務については所轄消防署に、それぞれ確かめておきましょう。

よくある質問

Q第3号は何を罰しますか?
A第54条第1項、第55条第1項、第56条第1項、第56条の2第1項などに違反した場合の、当該建築物又は建築設備の設計者を、100万円以下の罰金に処すと定めています。
Q設計図書に従わなかった場合は誰が罰せられますか?
A設計図書を用いないで、又は設計図書に従わないで工事を施工した場合は、当該建築物又は建築設備の工事施工者が罰せられます。
Q建築主が罰せられるのはどんな場合ですか?
A第3号の違反が建築主又は建築設備の設置者の故意によるものであるときに、第2項により、同じ刑が科されます。
Q日影が何時間まで許されるかは第56条の2に書かれていますか?
A書かれていません。地方公共団体が条例で指定した号に掲げる時間が基準になります。

まとめ

✔第101条第3号は、第54条第1項・第55条第1項・第56条第1項・第56条の2第1項に違反した場合を、100万円以下の罰金で罰すると定めています。
✔罰せられる者は、原則として、当該建築物又は建築設備の設計者です。
✔設計図書を用いず、又は設計図書に従わずに工事を施工した場合は、工事施工者が罰せられます。
✔設計図書に記載された認定建築材料等と異なる建築材料などを引き渡した場合は、その引き渡した者が罰せられます。
✔第2項は、その違反が建築主又は建築設備の設置者の故意によるものであるときに、建築主などにも同じ刑を科すと定めています。
✔高さの限度や外壁の後退距離は都市計画で、日影の時間は条例で、それぞれ決まります。
✔これは建築基準法の罰則で、消防法令の義務とは別なので、防火管理者は建築の窓口と所轄消防署の両方に確認します。

高さや日影の違反にも、罰則があることがよく分かりました。
まず、都市計画と条例の限度を確認します!

建築の罰則と消防の罰則は別なので、両方を確かめておくと安心です。
㈱防災屋でもご相談を承っております。

防火管理はプロにお任せ下さい

まずはWebで無料お見積りを!

お問い合わせ

監修・編集者
青木 俊輔
青木 俊輔

㈱防災屋 代表取締役/消防設備士

平成元年生まれ、三重県鈴鹿市出身。祖父が創業した消防設備業者で10年間勤務した後、独立・起業。現在は青木マーケ㈱、㈱防災屋、(一社)予防団の運営に携わる。Amazonベストセラー1位『改訂版 消防設備士0類』著者。月刊誌「電気と工事(オーム社)」でコラム連載中!

本記事の消防法令、消防用設備等の技術情報および記述内容を監修・編集しています。

詳しい経歴・保有資格を見る
学歴
  • 鈴鹿工業高等専門学校 材料工学科 卒
  • 静岡大学工学部物質工学科 材料科学コース 卒
  • 静岡大学大学院工学研究科物質工学専攻 修了
保有資格
  • 消防設備士:甲種特類、甲種1~5類、乙種6・7類
  • 危険物取扱者:甲種、乙種1~6類、丙種
  • 防火対象物点検資格者/防災管理点検資格者/甲種防火管理者
  • 第二種電気工事士/工事担任者(総合通信)/第三種電気主任技術者
  • 自家用発電設備専門技術者/特種電気工事資格者/職長・安全衛生責任者
  • eco検定/民泊適正管理主任者/フォークリフト運転技能講習 修了

趣味:ギター、バスケットボール(全国高専大会優勝・キャプテン)

主な活動

参考・出典

  • 建築基準法第五十四条・第五十五条・第五十六条・第五十六条の二・第九十八条・第百一条(e-Gov法令検索)

※本記事は公表されている法令および消防庁等の資料に基づく一般的な解説です。罰則の適用は事案ごとに確認が必要な場合があります。個別の判断は所轄消防署にご確認ください。

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