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容積率や建蔽率の限度を超えて建てると誰が罰金になるのか|建築基準法第101条第3号と第52条・第53条を解説

都市の住宅地に中層の建物が隣り合って並ぶ街並みを高い位置から写した写真

建物の大きさは、敷地に対する延べ面積の割合や、建築面積の割合で決まります。
その容積率と建蔽率の限度に違反したときの罰則が、第101条の第3号にあります。
今回は第3号と第52条・第53条を対応させて、誰が罰せられるのかを解説します。

容積率や建蔽率の限度を超えて建てると、罰金になることはありますか。

第101条の第3号に、100万円以下の罰金の定めがあります。
この記事で、罰せられる人の範囲を確認します。

限度を超えた建物の持ち主が、罰せられるのですか。

第3号が挙げるのは、原則として設計者です。
順番に見ていきましょう。

この記事の結論
  • 第101条は、各号のいずれかに該当する者を、100万円以下の罰金に処すると定めています。
  • 第3号は、第52条第1項・第2項・第7項の容積率、第53条第1項・第2項の建蔽率、第53条の2第1項の敷地面積の最低限度に違反した場合の、当該建築物又は建築設備の設計者を罰する規定です。
  • 設計図書に従わないで工事を施工した場合は、罰せられる者が工事施工者に変わります。
  • 設計図書に記載された認定建築材料等と異なる建築材料を引き渡した場合は、その引き渡した者が罰せられます。
  • 第101条第2項は、その違反が建築主の故意によるものであるときは、建築主にも同じ刑を科すと定めています。

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容積率や建蔽率の限度に違反した場合に、設計者、工事施工者、故意の建築主が罰金の対象になる範囲を示す図解

第101条第3号は容積率や建蔽率の違反で誰を罰するのか

中層の建物模型と床板と図面のイラスト
まず、第101条の前文と第3号の該当部分を確認しましょう。
(建築基準法第百一条(前文))次の各号のいずれかに該当する者は、百万円以下の罰金に処する。
(建築基準法第百一条第三号(抜粋))三 …第五十二条第一項、第二項若しくは第七項、第五十三条第一項若しくは第二項、第五十三条の二第一項(第五十七条の五第三項において準用する場合を含む。)…の規定に違反した場合における当該建築物又は建築設備の設計者(…)
第3号は、第19条から第68条までの多数の規定を並べたうえで、それらに違反した場合を100万円以下の罰金に処すると規定しています
この記事で取り上げるのは、その中の第52条第1項・第2項・第7項、第53条第1項・第2項、第53条の2第1項です。
罰せられる者は、原則として、当該建築物又は建築設備の設計者です。
第6号が「当該建築物の設計者」と書くのに対し、第3号は建築設備の設計者も含めて書いています。

第3号は、第52条や第53条のどこまでを対象にしているのですか。

第52条の第1項・第2項・第7項と、第53条の第1項・第2項です。
第53条の2も、第1項が対象です。

第52条が定める容積率の限度とはどんな内容か

敷地の区画と建物の模型のイラスト
続けて、第3号が挙げる第52条の三つの項の中身を確認しましょう。
(建築基準法第五十二条第一項)建築物の延べ面積の敷地面積に対する割合(以下「容積率」という。)は、次の各号に掲げる区分に従い、当該各号に定める数値以下でなければならない。
(建築基準法第五十二条第二項)前項に定めるもののほか、前面道路(前面道路が二以上あるときは、その幅員の最大のもの。以下この項及び第十二項において同じ。)の幅員が十二メートル未満である建築物の容積率は、当該前面道路の幅員のメートルの数値に、次の各号に掲げる区分に従い、当該各号に定める数値を乗じたもの以下でなければならない。
(建築基準法第五十二条第七項)建築物の敷地が第一項及び第二項の規定による建築物の容積率に関する制限を受ける地域、地区又は区域の二以上にわたる場合においては、当該建築物の容積率は、第一項及び第二項の規定による当該各地域、地区又は区域内の建築物の容積率の限度にその敷地の当該地域、地区又は区域内にある各部分の面積の敷地面積に対する割合を乗じて得たものの合計以下でなければならない。
第1項は、容積率を、地域ごとに定められた数値以下にしなければならないと定めています。
第2項は、前面道路の幅員が12メートル未満の建築物について、幅員に一定の数値を乗じたもの以下という、別の上限を定めています。
第7項は、敷地が二以上の地域や区域にわたる場合に、それぞれの限度を面積の割合で合計して求める仕組みです。
つまり、一つの敷地でも、道路の幅や地域の区分によって限度が変わり得ます。

容積率の数値は、第52条に書かれているのですか。

数値の選択肢は書かれていますが、どれになるかは、その地域に関する都市計画で決まります。
確かめるときは、都市計画の内容を見ます。

第53条の建蔽率と第53条の2の敷地面積の最低限度は何を定めているのか

四隅に杭を立てた敷地のイラスト
続けて、第53条と第53条の2の中身を確認しましょう。
(建築基準法第五十三条第一項(前段))建築物の建築面積(同一敷地内に二以上の建築物がある場合においては、その建築面積の合計)の敷地面積に対する割合(以下「建蔽率」という。)は、次の各号に掲げる区分に従い、当該各号に定める数値を超えてはならない。
(建築基準法第五十三条第二項)建築物の敷地が前項の規定による建築物の建蔽率に関する制限を受ける地域又は区域の二以上にわたる場合においては、当該建築物の建蔽率は、同項の規定による当該各地域又は区域内の建築物の建蔽率の限度にその敷地の当該地域又は区域内にある各部分の面積の敷地面積に対する割合を乗じて得たものの合計以下でなければならない。
(建築基準法第五十三条の二第一項(前段))建築物の敷地面積は、用途地域に関する都市計画において建築物の敷地面積の最低限度が定められたときは、当該最低限度以上でなければならない。
第53条第1項は、建蔽率を、区分ごとに定める数値を超えてはならないと定めています。
建蔽率の分子は建築面積で、同じ敷地に建物が二つ以上あるときは、その合計です。
第2項は、敷地が二以上の地域や区域にわたる場合の、面積の割合による計算方法を定めています。
第53条の2第1項は、用途地域に関する都市計画で敷地面積の最低限度が定められたときは、その最低限度以上にしなければならないと定めています。
なお、第53条の2第2項(最低限度は200平方メートルを超えてはならない)は、第3号の列挙には含まれていません。

敷地が小さすぎる場合も、罰金の対象になるのですか。

都市計画で最低限度が定められている地域で、第53条の2第1項に違反した場合は、第3号の対象です。
ただし、条文には例外の規定もあります。

設計図書に従わない場合や材料が違う場合は誰が罰せられるのか

製図台と作業用ヘルメットのイラスト
続けて、第3号の括弧書きが、罰せられる者をどう切り替えているかを確認しましょう。
(建築基準法第百一条第三号(括弧書きの抜粋))…設計者(設計図書に記載された認定建築材料等の全部又は一部として当該認定建築材料等の全部又は一部と異なる建築材料又は建築物の部分を引き渡した場合においては当該建築材料又は建築物の部分を引き渡した者、設計図書を用いないで工事を施工し、又は設計図書に従わないで工事を施工した場合(設計図書に記載された認定建築材料等と異なる建築材料又は建築物の部分を引き渡された場合において、当該建築材料又は建築物の部分を使用して工事を施工した場合を除く。)においては当該建築物又は建築設備の工事施工者)
(建築基準法第九十八条第一項第一号(定義部分の抜粋))認定建築材料等(型式適合認定に係る型式の建築材料若しくは建築物の部分、構造方法等の認定に係る構造方法を用いる建築物の部分若しくは建築材料又は特殊構造方法等認定に係る特殊の構造方法を用いる建築物の部分若しくは特殊の建築材料をいう。以下同じ。)
括弧書きには、罰せられる者が入れ替わる場面が、二つ書かれています。
一つ目は、設計図書に記載された認定建築材料等と異なる建築材料などを引き渡した場合で、罰せられるのは引き渡した者です。
二つ目は、設計図書を用いないで、又は設計図書に従わないで工事を施工した場合で、罰せられるのは工事施工者です。
ただし、設計図書と異なる材料を引き渡され、その材料を使って施工した場合は、二つ目に当たらないと括弧書きは定めています。
設計図書のとおりなら設計者、材料が違えば引渡者、工事が設計図書と違えば工事施工者、という区別です。

設計図書に従わなかった工事でも、設計者が罰せられますか。

その場合は、括弧書きにより、原則として工事施工者が対象です。
ただし、材料の引渡しが原因のときは、別の扱いになります。

第2項の故意の規定と第3号の内容を整理すると何が分かるのか

住宅の模型と鍵と天秤のイラスト
最後に、第2項の内容と、ここまでの内容を整理します。
(建築基準法第百一条第二項)前項第三号、第四号又は第六号に規定する違反があつた場合において、その違反が建築主又は建築設備の設置者の故意によるものであるときは、当該設計者又は工事施工者を罰するほか、当該建築主又は建築設備の設置者に対して同項の刑を科する。
第2項は、第3号の違反が建築主又は建築設備の設置者の故意によるものであるときに、建築主などにも同じ刑を科すと定めています。
ここで科される刑は、前項の刑、つまり100万円以下の罰金です。
第2項は、故意でない場合に建築主を罰するとは書いていません。
場面根拠罰せられる者
第52条第1項・第2項・第7項に違反した第101条第3号当該建築物又は建築設備の設計者
第53条第1項・第2項に違反した第101条第3号当該建築物又は建築設備の設計者
第53条の2第1項に違反した第101条第3号当該建築物又は建築設備の設計者
設計図書に従わずに工事を施工した第3号の括弧書き当該建築物又は建築設備の工事施工者
設計図書と異なる認定建築材料等を引き渡した第3号の括弧書きその建築材料などを引き渡した者
その違反が建築主の故意によるものである第101条第2項設計者又は工事施工者に加えて建築主
科される刑第101条の前文100万円以下の罰金
第3号は、容積率、建蔽率、敷地面積の最低限度に違反したときの罰則を、100万円以下の罰金と定めています
これは建築基準法の罰則であり、消防法令の義務とは別の規定です。
また、個別の建物の容積率や建蔽率が限度に適合するかどうかは、第101条には書かれていません。
建物を増築するときや、使い方を変えるときは、事前に確かめておくと安心です。
明日から、次の点を確認してください。
  • 建物のある場所の用途地域と、都市計画で定められた容積率と建蔽率を、市区町村の窓口で確かめる。
  • 敷地面積の最低限度が定められている地域かどうかを、都市計画の窓口で確かめる。
  • 増築や改修をするときは、事前に特定行政庁や建築の窓口へ相談する。
  • 設計や工事を頼むときは、設計図書のとおりに施工されているかを確かめる。
  • 建物の防火管理などの義務は別の規定なので、所轄消防署へ確かめる。
建築基準法の罰則については特定行政庁や建築の窓口に、消防法令の義務については所轄消防署に、それぞれ確かめておきましょう。

整理はできました。
実務では、何から確かめればよいですか。

まず、その場所の都市計画で、容積率と建蔽率の限度を確認しましょう。
消防法令の義務は、所轄消防署に別に確かめます。

よくある質問

Q第3号は何を罰しますか?
A第52条第1項・第2項・第7項、第53条第1項・第2項、第53条の2第1項などに違反した場合の、当該建築物又は建築設備の設計者を、100万円以下の罰金に処すと定めています。
Q設計図書に従わなかった場合は誰が罰せられますか?
A設計図書を用いないで、又は設計図書に従わないで工事を施工した場合は、当該建築物又は建築設備の工事施工者が罰せられます。
Q建築主が罰せられるのはどんな場合ですか?
A第3号の違反が建築主又は建築設備の設置者の故意によるものであるときに、第2項により、同じ刑が科されます。
Q容積率や建蔽率の数値は第52条や第53条に書かれていますか?
A数値の選択肢は書かれていますが、どれになるかは、都市計画で地域ごとに定められます。

まとめ

✔第101条第3号は、第52条・第53条・第53条の2第1項の限度に違反した場合を、100万円以下の罰金で罰すると定めています。
✔罰せられる者は、原則として、当該建築物又は建築設備の設計者です。
✔設計図書を用いず、又は設計図書に従わずに工事を施工した場合は、工事施工者が罰せられます。
✔設計図書に記載された認定建築材料等と異なる建築材料などを引き渡した場合は、その引き渡した者が罰せられます。
✔第2項は、その違反が建築主又は建築設備の設置者の故意によるものであるときに、建築主などにも同じ刑を科すと定めています。
✔容積率と建蔽率の数値は、条文の選択肢のうち、都市計画で地域ごとに決まります。
✔これは建築基準法の罰則で、消防法令の義務とは別なので、防火管理者は建築の窓口と所轄消防署の両方に確認します。

容積率や建蔽率の違反にも、罰則があることがよく分かりました。
まず、都市計画の限度を確認します!

建築の罰則と消防の罰則は別なので、両方を確かめておくと安心です。
㈱防災屋でもご相談を承っております。

防火管理はプロにお任せ下さい

まずはWebで無料お見積りを!

お問い合わせ

監修・編集者
青木 俊輔
青木 俊輔

㈱防災屋 代表取締役/消防設備士

平成元年生まれ、三重県鈴鹿市出身。祖父が創業した消防設備業者で10年間勤務した後、独立・起業。現在は青木マーケ㈱、㈱防災屋、(一社)予防団の運営に携わる。Amazonベストセラー1位『改訂版 消防設備士0類』著者。月刊誌「電気と工事(オーム社)」でコラム連載中!

本記事の消防法令、消防用設備等の技術情報および記述内容を監修・編集しています。

詳しい経歴・保有資格を見る
学歴
  • 鈴鹿工業高等専門学校 材料工学科 卒
  • 静岡大学工学部物質工学科 材料科学コース 卒
  • 静岡大学大学院工学研究科物質工学専攻 修了
保有資格
  • 消防設備士:甲種特類、甲種1~5類、乙種6・7類
  • 危険物取扱者:甲種、乙種1~6類、丙種
  • 防火対象物点検資格者/防災管理点検資格者/甲種防火管理者
  • 第二種電気工事士/工事担任者(総合通信)/第三種電気主任技術者
  • 自家用発電設備専門技術者/特種電気工事資格者/職長・安全衛生責任者
  • eco検定/民泊適正管理主任者/フォークリフト運転技能講習 修了

趣味:ギター、バスケットボール(全国高専大会優勝・キャプテン)

主な活動

参考・出典

  • 建築基準法第二条・第五十二条・第五十三条・第五十三条の二・第九十八条・第百一条(e-Gov法令検索)

※本記事は公表されている法令および消防庁等の資料に基づく一般的な解説です。罰則の適用は事案ごとに確認が必要な場合があります。個別の判断は所轄消防署にご確認ください。

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