大容量の蓄電池を屋外に置く施設が増えています。
燃料電池や発電機とは違い、蓄電池そのものが危険物を内蔵しているため、屋外貯蔵所としての基準が別に定められています。
令和8年に政令・省令・告示が改正され、現場の判断に迷いやすい点を消防庁が通知で補足しました。
散水設備を既存の屋外消火栓設備で代用できる条件を知っておくと、新たな設備投資を避けられます。
自分の施設も蓄電池を屋外に置いているんですが、最近基準が変わったと聞いて不安です。
令和8年に政令や省令が改正されて、蓄電池の屋外貯蔵所の運用がいくつか補足されましたよ。
散水設備を新しく付けないといけないのか心配です。
条件を満たせば、既にある屋外消火栓設備で代用できる場合がありますよ。
- 蓄電池だけを貯蔵する屋外貯蔵所は、位置と空地の基準が通常の屋外貯蔵所とは別に定められています。
- 対象になるのはリチウムイオン蓄電池で貯蔵する第二類又は第四類の危険物だけです。
- 指定数量の百倍以上を貯蔵・取扱う場合は、冷却するための散水設備が必要になります。
- 散水設備は同じ敷地内の屋外消火栓設備が放射範囲を包含していれば代用できます。
- 保安距離や空地の評価には、第三者機関の評価を活用してもかまいません。
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目次
蓄電池の屋外貯蔵所の基準はなぜ新たに補足されたのか

蓄電池が内蔵する危険物の量が増えるほど、屋外貯蔵所としての基準が問題になります。
令和8年の政令・省令・告示の改正で、この基準の運用に関する細かい疑問点が消防庁から整理されました。
もともと屋外貯蔵所は、灯油やガソリンなど容器に入った危険物を想定した基準が中心でした。
しかしリチウムイオン蓄電池のように、危険物が設備の内部に組み込まれている形は想定が異なります。
そこで位置や空地、設備の基準を別に定め、現場で判断に迷う部分を今回の通知で補足したわけです。
うちの蓄電池は普通の危険物とは違う扱いなんですね。
はい、蓄電池専用の特例基準が別に用意されています。
どの屋外貯蔵所にこの基準が関係するのか

対象を取り違えると、せっかくの特例が使えません。
鉛蓄電池など他の蓄電池方式は、この特例の対象に含まれません。
屋外貯蔵所の特例は危険物の規制に関する規則第24条の12の2・第24条の12の3に、屋内貯蔵所の特例は第16条の2の7・第16条の2の8に、それぞれ分けて定められています。
今回の消防危第63号は、このうち屋外貯蔵所の運用を中心に留意事項を示したものです。
自分の施設がどちらの方式にあたるのか、まず確認しておきましょう。
鉛蓄電池を置いている場合は対象にならないんですか。
そうです、リチウムイオン蓄電池に限られた特例ですよ。
散水設備は屋外消火栓設備で代用できるのか

新しく専用の設備を増設しなければならないのか、という質問です。
条文が求めているのは「冷却するための散水設備」であって、専用の散水ヘッドの新設までは求めていません。
今回の通知で、屋外消火栓設備の放水をこの目的に充ててよいことが明確になりました。
ただし条件は一つだけで、同じ敷地内の屋外消火栓設備の放射能力範囲が、蓄電池設備をすっぽり覆っていることです。
範囲が一部しか届かない場合は、代用とは認められません。
うちの屋外消火栓が届く範囲なら、それで済むということですね。
はい、放射範囲が蓄電池設備を包含していれば、新設は不要です。
保安距離や空地の判断で見落としやすいのはどこか

距離や空地の計算で判断を誤りやすい点をまとめました。
壁そのものだけを見て、開口部を除外した位置で測ってしまうと距離が足りなくなります。
「保安に関する設備」には、安全装置だけでなく消火設備も含まれると明確にされました。
基準を満たしているかどうかの確認は、自社だけで判断せず第三者機関の評価を使ってもかまいません。
すでに空地の幅を減らす特例(政令第23条)を使っている施設は、改正後もそのまま使い続けられます。
窓や扉がある壁は、距離の測り方が変わるんですか。
そうです、開口部も壁の一部として距離に含めます。
明日から何を確認すればよいのか

自社の設備に当てはめて、順番にチェックしていきましょう。
次に貯蔵量が指定数量の百倍以上かどうかを確認し、散水設備の要否を判断します。
百倍以上であれば、既存の屋外消火栓設備の放射範囲が蓄電池設備を覆っているかを図面で確かめましょう。
範囲が届かない場合は、新たな散水設備の設置か配置の見直しが必要になります。
距離や空地の判断に迷ったら、所轄消防署か第三者機関への相談も検討してください。
まずは自社の設備がどちらに当たるか確認してみます。
はい、貯蔵量と放射範囲の2点から始めるとスムーズですよ。
よくある質問
まとめ
蓄電池の設備も、きちんと確認すれば安心して運用できそうです!
蓄電池設備のことでお困りなら、㈱防災屋でもご相談を承っております。
㈱防災屋 代表取締役/消防設備士
平成元年生まれ、三重県鈴鹿市出身。祖父が創業した消防設備業者で10年間勤務した後、独立・起業。現在は青木マーケ㈱、㈱防災屋、(一社)予防団の運営に携わる。Amazonベストセラー1位『改訂版 消防設備士0類』著者。月刊誌「電気と工事(オーム社)」でコラム連載中!
本記事の消防法令、消防用設備等の技術情報および記述内容を監修・編集しています。
詳しい経歴・保有資格を見る
- 鈴鹿工業高等専門学校 材料工学科 卒
- 静岡大学工学部物質工学科 材料科学コース 卒
- 静岡大学大学院工学研究科物質工学専攻 修了
- 消防設備士:甲種特類、甲種1~5類、乙種6・7類
- 危険物取扱者:甲種、乙種1~6類、丙種
- 防火対象物点検資格者/防災管理点検資格者/甲種防火管理者
- 第二種電気工事士/工事担任者(総合通信)/第三種電気主任技術者
- 自家用発電設備専門技術者/特種電気工事資格者/職長・安全衛生責任者
- eco検定/民泊適正管理主任者/フォークリフト運転技能講習 修了
趣味:ギター、バスケットボール(全国高専大会優勝・キャプテン)
参考・出典
- 消防危第63号「危険物の規制に関する政令の一部を改正する政令等の運用について」(通知)(令和8年4月3日・消防庁危険物保安室長)
- 危険物の規制に関する政令(昭和34年政令第306号)第16条第4項
- 危険物の規制に関する規則(昭和34年総理府令第55号)第16条の2の7・第24条の12の2・第24条の12の3
※本記事は公表されている法令および消防庁の通知に基づく一般的な解説です。条例や運用は市町村ごとに異なる場合があります。個別の判断は所轄消防署にご確認ください。





