危険物取扱者免状や消防設備士免状は、試験に合格すれば一生安心して使えるものではありません。
法令違反があったと都道府県知事が認めれば、免状そのものの返納を命じられることがあります。
しかもこの命令は危険物取扱者だけでなく、消防設備士にも同じ条文が準用されています。
この記事では命令に従わなかった場合の罰則と、会社が罰せられるかどうかを条文で確認します。
うちで点検を頼んでいる消防設備士が、免状を返納するよう命じられたと聞いて驚きました。
返納命令は法令違反が確認された場合に出されます。
順番に確認しましょう。
命令が出ても、そのまま免状を使い続けたらどうなるのでしょうか。
そこには別の罰則が用意されています。
条文から見ていきましょう。
- 危険物取扱者が法令に違反していると都道府県知事が認めたとき、免状の返納を命ずることができます(消防法第13条の2第5項)
- この返納命令に違反した者は、消防法第44条第9号により30万円以下の罰金又は拘留の対象になります
- 同じ命令と罰則は、消防設備士免状にも第17条の7第2項の準用でそのまま及びます
- 届出懈怠や紛らわしい表示の禁止とは異なり、両罰規定(第45条第3号)の対象には入っていません
- 返納を命じられてから1年を経過しないと新しい免状の交付も受けられません(第13条の2第4項)
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目次
免状の返納を命じられるのはどんな場合か

法令違反があれば、交付した都道府県知事が動くことがあります。
命令の要件は「この法律又はこの法律に基づく命令の規定に違反している」という一点だけで、具体的な違反行為の種類は限定されていません。
対象になるのは危険物取扱者本人で、交付を受けた免状の返納そのものを命じられます。
他県で交付された免状を持つ危険物取扱者が管轄区域内で違反していると認められた場合は、交付した都道府県知事へ通知する仕組みも第13条の2第6項に置かれています。
まずは「違反があれば返納を命じられる」という土台を押さえておきます。
免状をもらったら、もう安心なんだと思っていました。
違反が無ければその認識で大丈夫です。
次は命令に従わなかった場合を見ていきましょう。
命令に従わなかったらどうなるか

命令そのものに従わなかった場合の扱いを条文で確認します。
罰則は30万円以下の罰金又は拘留で、届出懈怠や紛らわしい表示の禁止違反と同じ金額です。
命令を受けた日から数えて猶予期間が条文上に定められているわけではなく、命令に従わない状態そのものが処罰の対象になります。
免状を返納せずに使用を続けた場合、資格そのものの有効性とは別に、この命令違反の罪が重ねて成立する点に注意が必要です。
次は、この罰則が危険物取扱者だけのものなのかを確認します。
命令が出た後も使い続けたら、資格が無いのに使った扱いになるのでしょうか。
命令に違反したこと自体が罰則の対象です。
資格の有無とは別の話として扱われます。
消防設備士免状にも同じ命令と罰則が及ぶ

実は同じ命令と罰則は、消防設備士免状にもそのまま及びます。
点検や整備の現場に出入りする消防設備士が法令に違反していると都道府県知事が認めれば、同じ返納命令が出されます。
この命令に違反した場合の罰則も第44条第9号が「第十七条の七第二項において準用する場合を含む」とかっこ書きで明示しており、危険物取扱者と全く同じ30万円以下の罰金又は拘留です。
点検を依頼している消防設備士がどちらの免状を持っているかにかかわらず、返納命令の扱いは変わりません。
会社として気にしておくべきなのは、依頼先の免状の状態が普段から分かる関係を作っておくことです。
消防設備士にも同じ命令が出るとは知りませんでした。
第17条の7第2項の準用でそのまま及びます。
依頼先の資格もあわせて確認しておきましょう。
会社は罰せられるのか

命令違反で会社まで罰せられるのかどうかも確認しておきます。
第45条第3号が名指ししているのは第1号・第3号・第11号・第12号・第22号で、届出懈怠の第8号と同じく第9号もこの一覧から外れています。
つまり返納命令に違反した危険物取扱者や消防設備士本人は罰せられても、会社に罰金刑が科されることはありません。
ただし処罰の対象外というだけで、免状を持たない状態で業務を続けさせた会社側の管理責任が問われないという意味ではありません。
個人の罪と会社の管理体制の問題は、別の話として分けて考える必要があります。
会社にまで罰金が来るわけではないんですね。
両罰規定の対象外です。
とはいえ資格の管理は会社の責任として続けてください。
返納後すぐに免状を取り直せるわけではない

次の免状をいつ受け直せるのかも条文で確認します。
さらに命令違反などで罰金以上の刑に処せられた場合は、執行が終わってから2年を経過しないと交付を受けられない可能性があります。
いずれも「交付を行わないことができる」という裁量の規定で、自動的に二度と取れなくなるわけではありません。
この第13条の2第4項から第7項までの規定は、第17条の7第2項により消防設備士免状にも同じように準用されます。
免状を返納した後の再受験や再交付の計画は、この期間を踏まえて立てる必要があります。
返納したら、その場でまた試験を受け直せばいいと思っていました。
1年・2年という期間が関わってくることがあります。
再交付の予定はこの期間を踏まえて立ててください。
よくある質問
まとめ
免状の命令にも、こんな重い罰則があるとわかりました。
免状の管理は会社の責任でもあります。
㈱防災屋でもご相談を承っております。
㈱防災屋 代表取締役/消防設備士
平成元年生まれ、三重県鈴鹿市出身。祖父が創業した消防設備業者で10年間勤務した後、独立・起業。現在は青木マーケ㈱、㈱防災屋、(一社)予防団の運営に携わる。Amazonベストセラー1位『改訂版 消防設備士0類』著者。月刊誌「電気と工事(オーム社)」でコラム連載中!
本記事の消防法令、消防用設備等の技術情報および記述内容を監修・編集しています。
詳しい経歴・保有資格を見る
- 鈴鹿工業高等専門学校 材料工学科 卒
- 静岡大学工学部物質工学科 材料科学コース 卒
- 静岡大学大学院工学研究科物質工学専攻 修了
- 消防設備士:甲種特類、甲種1~5類、乙種6・7類
- 危険物取扱者:甲種、乙種1~6類、丙種
- 防火対象物点検資格者/防災管理点検資格者/甲種防火管理者
- 第二種電気工事士/工事担任者(総合通信)/第三種電気主任技術者
- 自家用発電設備専門技術者/特種電気工事資格者/職長・安全衛生責任者
- eco検定/民泊適正管理主任者/フォークリフト運転技能講習 修了
趣味:ギター、バスケットボール(全国高専大会優勝・キャプテン)
参考・出典
- 消防法第13条の2第4項・第5項・第6項
- 消防法第17条の7
- 消防法第44条第9号
- 消防法第45条第3号
- e-Gov 法令検索
※本記事は公表されている法令に基づく一般的な解説です。条例や運用は都道府県ごとに異なる場合があります。個別の判断は所轄消防署または都道府県にご確認ください。





