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住戸用自動火災報知設備の送り配線試験はなぜ抽出でよいのか|試験住戸等数の決め方から代替確認の仕組みまで解説

住戸用自動火災報知設備の送り配線試験は抽出でよいと示すアイキャッチ画像

住戸用自動火災報知設備は、共同住宅などの各住戸に小さな受信機を置く設備です。
設置に係る工事が完了すると、試験基準に沿って機能試験を行い、消防長又は消防署長の検査を受けます。
試験基準の表には、配線・感知器・中継器・受信機それぞれに固有の試験項目が並び、確かめ方も項目ごとに違います。
この記事では、試験基準をもとに、住戸用自動火災報知設備の機能試験で何をどう確かめるのかを整理します。

住戸用自動火災報知設備の配線の試験って、全戸の感知器を作動させるのですか。

送り配線試験は全戸ではなく抽出で確かめます。
まず試験基準の並びから見ていきましょう。

抽出というのは、何戸ぶんを調べればよいのですか。

住戸等の数に応じて試験住戸等数が決まっています。
回路導通や予備電源の試験まであわせて見ていきましょう。

この記事の結論
  • 住戸用自動火災報知設備の機能試験は、試験基準の表にそって配線・感知器・中継器・受信機の項目ごとに確かめます。
  • 送り配線試験は、住戸等数に応じた試験住戸等数だけを抽出して確かめます。
  • 回路導通試験は、試験用計器の指示値と断線警報の両方を確かめます。
  • 設定表示温度試験は、アナログ式感知器の設定が表示温度等設定一覧図と同じかどうかを見ます。
  • 共用部分の受信機の予備電源試験は、自動切替機能と所定の電圧値の両方を確かめます。

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住戸用自動火災報知設備の機能試験は、送り配線の抽出確認、回路導通の断線検知、設定表示温度の照合、予備電源の自動切替、記録紙による代替確認の5項目を確かめると整理した図解

送り配線試験はなぜ全戸ではなく抽出で確かめるのか

住戸用の小さな受信機を左に、天井の感知器から配線を一本外した様子を右に並べたイラスト
住戸用自動火災報知設備は、各住戸の感知器が送り配線でつながっています。
試験基準の文は、次のとおりです。
消防用設備等の試験基準の全部改正について(平成14年9月30日消防予第282号) 第11の3 住戸用自動火災報知設備 イ 機能試験 配線 送り配線試験
試験方法 次表で定める住戸等の数に応じた任意の試験住戸等数について、当該試験回線の感知器が送り配線になっていることを確認した後に感知器の一線を外し当該回線末端の感知器配線を短絡させる。
合否の判定基準 当該P型3級受信機又はGP型3級受信機が作動しないこと。
(住戸等数と試験住戸等数の対照:10以下は1、11以上50以下は2、51以上は3)
送り配線試験は、住戸等数に応じて決まる試験住戸等数だけを抽出して確かめます。
住戸等数が10以下なら1、11以上50以下なら2、51以上なら3という試験住戸等数が決まっています。
選んだ回線の感知器が送り配線になっていることを確認したうえで、感知器の一線を外し、回線末端の感知器配線を短絡させます。
判定は、P型3級受信機又はGP型3級受信機が作動しないことです。
だから試験の前に、その建物の住戸等数を数えて、何戸ぶん抽出すればよいかを決めておきましょう。

短絡させて、受信機が作動したら不合格ということですか。

作動しないことが合格の条件です。
一線を外しただけなので、作動すれば配線が送り配線になっていない疑いがあります。

回路導通試験は断線をどうやって見つけるのか

回路選択スイッチの並ぶ試験用パネルを左に、アナログメーターのついた試験器を右に置いたイラスト
回路導通試験は、回線が断線していないかを確かめる試験です。
試験基準の文は、次のとおりです。
消防用設備等の試験基準の全部改正について(平成14年9月30日消防予第282号) 第11の3 住戸用自動火災報知設備 イ 機能試験 中継器 ※回路導通試験
試験方法 導通試験スイッチ、回路選択スイッチ等を操作し回線ごとに行う。ただし、回路の導通状況を自動監視しているものにあっては任意の感知器回路を外す等断線状態とする。
合否の判定基準 a 試験用計器等の指示値が適正であること。b 断線警報を発すること。
回路導通試験は、試験用計器の指示値と断線警報の両方がそろって初めて合格です。
導通試験スイッチや回路選択スイッチ等を操作して、回線ごとに確かめます。
回路の導通状況を自動監視しているものは、任意の感知器回路を外すなどして断線状態をつくって確かめます。
判定は、試験用計器等の指示値が適正であることに加えて、断線警報を発することです。
だから試験の前に、その受信機が導通状況を自動監視するタイプかどうかを、仕様で確かめておきましょう。

指示値さえ適正なら、警報は鳴らなくてもよいのですか。

いいえ、判定基準は指示値と断線警報の両方です。
どちらか片方だけでは合格になりません。

設定表示温度試験はアナログ式中継器の何を確かめるのか

アナログ式中継器の小箱を左に、設定の一覧表を記したクリップボードを右に並べたイラスト
アナログ式の中継器には、感知器ごとの設定表示温度があります。
試験基準の文は、次のとおりです。
消防用設備等の試験基準の全部改正について(平成14年9月30日消防予第282号) 第11の3 住戸用自動火災報知設備 イ 機能試験 中継器 設定表示温度試験(アナログ式中継器、アナログ式感知器の設定表示温度等)
試験方法 感度設定装置を操作して行う。
合否の判定基準 a アナログ式感知器の表示温度等が表示温度等設定一覧図に示されたものと同じものであること。b 表示温度等設定一覧図の内容が適正であること。
設定表示温度試験は、中継器側の設定と一覧図そのものの内容を、両方そろえて確かめます。
試験は、中継器の感度設定装置を操作して行います。
判定は、アナログ式感知器の表示温度等が表示温度等設定一覧図に示されたものと同じであることです。
もう一つ、表示温度等設定一覧図の内容そのものが適正であることも判定に入っています。
だから試験の前に、その現場の表示温度等設定一覧図を手元に用意しておきましょう。

中継器の設定さえ合っていれば、一覧図の中身までは見なくてよいのですか。

いいえ、一覧図の内容が適正かどうかも判定基準に入っています。
設定と一覧図の両方を突き合わせます。

共用部分の受信機の予備電源試験は何を確かめるのか

バックアップ用の電池マークとスイッチの付いた受信機パネルを左に、小さな電圧計を右に置いたイラスト
共用部分の受信機には、予備電源を持つものがあります。
試験基準の文は、次のとおりです。
消防用設備等の試験基準の全部改正について(平成14年9月30日消防予第282号) 第11の3 住戸用自動火災報知設備 イ 機能試験 共用部分の受信機 ※予備電源試験(予備電源を有するものに限る。)
電源の自動切替機能 試験方法 主電源の遮断及び復旧操作を行う。合否の判定基準 電源の自動切替機能が正常であること。
電圧 試験方法 予備電源試験スイッチ等の操作を行う。合否の判定基準 所定の電圧値を有していること。
予備電源試験は、自動切替機能と電圧の両方を、別々の操作で確かめます。
電源の自動切替機能は、主電源の遮断及び復旧操作を行い、切替が正常であることを確認します。
電圧は、予備電源試験スイッチ等を操作して、所定の電圧値を有していることを確認します。
対象は、予備電源を持つ共用部分の受信機に限られます。
だから試験の前に、その受信機が予備電源を持つ機種かどうかを仕様で確かめておきましょう。

主電源を遮断するだけで、切替が正常かどうか分かるのですか。

遮断と復旧の両方を行って確かめます。
切り替わって、また戻ることまで見ます。

記録紙や外部試験器でどこまで確認を代えられるのか

紙テープを出す小型プリンターを左に、ケーブルのついた外部試験器を右に並べたイラスト
試験基準の表には、※印と☆印が付く項目があります。
試験基準の備考は、次のとおりです。
消防用設備等の試験基準の全部改正について(平成14年9月30日消防予第282号) 第11の3 住戸用自動火災報知設備 備考
1 ※印の試験は、自動試験機能を有する自動火災報知設備において、自動的又は簡単な操作による試験によって記録紙等に「異常の旨」表示が行われないことを確認することにより替えることができる。
2 ☆印の試験は、遠隔試験機能を有する自動火災報知設備にあっては、外部試験器による試験によって記録紙等に「異常」表示が行われていないことを確認することにより替えることができる。
※印と☆印の項目は、現場での個別操作を記録紙等の確認に代えてよい項目です。
自動試験機能を有する設備は、記録紙等に「異常の旨」表示が行われていないことを確認すれば、※印の試験に代えられます。
遠隔試験機能を有する設備は、外部試験器による試験で記録紙等に「異常」表示が行われていないことを確認すれば、☆印の試験に代えられます。
回路導通試験や予備電源試験に※印が付くのは、この代替が使える項目だからです。
だから試験の前に、その受信機が自動試験機能や遠隔試験機能を持つかどうかを確かめ、使える代替を選びましょう。

※印と☆印は、どちらも同じ代替方法なのですか。

いいえ、※印は自動試験機能、☆印は遠隔試験機能が前提です。
持っている機能に応じて使い分けます。

よくある質問

Q送り配線試験の試験住戸等数は、どうやって決まりますか?
A住戸等数が10以下なら1、11以上50以下なら2、51以上なら3という試験住戸等数が決まっています。
Q回路導通試験は、どちらの合否基準も満たす必要がありますか?
A試験用計器等の指示値が適正であることと、断線警報を発することの両方が判定基準です。
Q設定表示温度試験では、一覧図の内容そのものも確認しますか?
Aはい。アナログ式感知器の設定との一致に加え、表示温度等設定一覧図の内容が適正であることも判定に入ります。
Q※印の試験は、どんな設備でも記録紙の確認に代えられますか?
Aいいえ、自動試験機能を有する設備に限って、記録紙等の「異常の旨」表示の確認に代えられます。

まとめ

✔住戸用自動火災報知設備の機能試験は配線・感知器・中継器・受信機の項目ごとに確かめる
✔送り配線試験は、住戸等数に応じた試験住戸等数だけを抽出して確かめる
✔回路導通試験は、指示値の適正さと断線警報の両方がそろって合格
✔設定表示温度試験は、中継器の設定と表示温度等設定一覧図の内容を両方確かめる
✔共用部分の受信機の予備電源試験は、自動切替機能と所定の電圧値の両方を確かめる
✔※印は自動試験機能、☆印は遠隔試験機能を持つ設備で記録紙等の確認に代えられる
✔どの代替が使えるかは、受信機が持つ機能に応じて見きわめる

まず住戸等数を数えて、試験住戸等数を決めるところから始めます!

住戸用自動火災報知設備の機能試験は、配線から予備電源まで確かめて、初めて消防検査につながります。
㈱防災屋でもご相談を承っております。

防火管理はプロにお任せ下さい

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お問い合わせ

監修・編集者
青木 俊輔
青木 俊輔

㈱防災屋 代表取締役/消防設備士

平成元年生まれ、三重県鈴鹿市出身。祖父が創業した消防設備業者で10年間勤務した後、独立・起業。現在は青木マーケ㈱、㈱防災屋、(一社)予防団の運営に携わる。Amazonベストセラー1位『改訂版 消防設備士0類』著者。月刊誌「電気と工事(オーム社)」でコラム連載中!

本記事の消防法令、消防用設備等の技術情報および記述内容を監修・編集しています。

詳しい経歴・保有資格を見る
学歴
  • 鈴鹿工業高等専門学校 材料工学科 卒
  • 静岡大学工学部物質工学科 材料科学コース 卒
  • 静岡大学大学院工学研究科物質工学専攻 修了
保有資格
  • 消防設備士:甲種特類、甲種1~5類、乙種6・7類
  • 危険物取扱者:甲種、乙種1~6類、丙種
  • 防火対象物点検資格者/防災管理点検資格者/甲種防火管理者
  • 第二種電気工事士/工事担任者(総合通信)/第三種電気主任技術者
  • 自家用発電設備専門技術者/特種電気工事資格者/職長・安全衛生責任者
  • eco検定/民泊適正管理主任者/フォークリフト運転技能講習 修了

趣味:ギター、バスケットボール(全国高専大会優勝・キャプテン)

主な活動

参考・出典

  • 消防法第17条の3の2(消防用設備等又は特殊消防用設備等の検査)
  • 消防法施行規則第31条の3第1項・第5項(消防用設備等又は特殊消防用設備等の届出及び検査、消防用設備等試験結果報告書の様式)
  • 消防用設備等の試験基準の全部改正について(平成14年9月30日消防予第282号)第11の3 住戸用自動火災報知設備
  • 住戸用自動火災報知設備及び共同住宅用非常警報設備の設置及び維持に関する技術上の基準(平成18年5月30日消防庁告示第19号)

※本記事は公表されている法令、告示および消防庁の通知に基づく一般的な解説です。試験基準は改正されることがあります。個別の判断は、消防設備士や所轄消防署にご確認ください。

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