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共同住宅用自動火災報知設備はなぜ福祉施設併設時だけ関係者への報知装置が要るのか|住戸用自動火災報知設備との違いも解説

福祉施設にはなぜ報知装置が増えるのかのアイキャッチ画像

共同住宅の自動火災報知設備は、火災が起きたときに住戸や共用部分の関係者へ知らせる仕組みです。
ところが老人ホームなど福祉施設が共同住宅の中に入っていると、住んでいる人への通知だけでは足りません。
入居者が自力で避難や通報をしにくい場合に備えて、職員へ別に知らせる装置が義務づけられているからです。
この「関係者等への報知装置」がなぜ必要で、点検でどう確認するのかを解説します。

うちのマンションには有料老人ホームが入ってるんですが、火災が起きたとき職員にはどう知らせたらいいんでしょう。

共同住宅用自動火災報知設備には、住戸や共用部分向けの報知のほかに関係者等への報知装置という仕組みが別にあります。

入居者への放送だけじゃなくて、職員に直接届く仕組みがあるんですね。

はい、省令で義務づけられていて、点検でも必ず作動確認する項目です。

この記事の結論
  • 共同住宅用自動火災報知設備・住戸用自動火災報知設備は、住戸利用施設のうち老人福祉施設等の部分に、通常の報知に加えて関係者等への報知装置を設ける義務がある
  • 住戸利用施設とは、令別表第一(5)項イ及び(6)項ロ・ハの用途に供される部分を指す
  • 関係者等への報知装置は、火災を当該施設の関係者又は雇用されている者に自動的かつ有効に報知できることが設置の条件
  • 点検ではこの装置を所定の操作で実際に作動させて確認し、他の項目のような★・☆の代替規定は適用されない
  • 根拠は特定共同住宅等における必要とされる防火安全性能を有する消防の用に供する設備等に関する省令第3条第3項第3号ヘ・第4号ニ

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福祉施設部分で火災が発生してから関係者等へ自動通知が届くまでの4ステップ

共同住宅用自動火災報知設備はだれに火災を知らせる設備か

共同住宅の建物と住棟受信機・共同住宅用受信機の間で火災信号が伝わる様子
共同住宅用自動火災報知設備には、役割が異なる2種類の受信機があります。
まず基本の報知先を確認します。
問1 共同住宅用自動火災報知設備の共同住宅用受信機と住棟受信機は、それぞれだれに火災の発生を報知するものか。
答1 共同住宅用受信機は住戸、共用室及び管理人室の関係者に、住棟受信機は特定共同住宅等の関係者に火災の発生を報知するものである。
受信機は2段構えで関係者に火災を伝えます。
共同住宅用受信機は住戸・共用室・管理人室に設けた感知器からの信号を受け、その住戸等の関係者に報知します。
住棟受信機はそれ以外の部分の感知器や共同住宅用受信機からの信号を受け、建物全体(特定共同住宅等)の関係者に報知します。
ここでいう「関係者」は、基本的には住んでいる本人や管理人室の担当者です。
では、入居者自身が気づきにくい建物では、この仕組みだけで足りるのでしょうか。

受信機が2種類あるのは知りませんでした。

はい、まずはこの基本の仕組みを押さえてから、福祉施設が入る場合の違いを見ていきましょう。

住戸利用施設とはどの部分を指すのか

共同住宅の断面のうち一部の階が老人福祉施設の部分として破線で囲まれている様子
特別な報知装置が要るかどうかは、建物のどの部分かで決まります。
省令が定める用語を確認します。
問2 特定共同住宅等における必要とされる防火安全性能を有する消防の用に供する設備等に関する省令が定める住戸利用施設とは、特定共同住宅等のどの部分を指すか。
答2 令別表第一(5)項イ並びに(6)項ロ及びハに掲げる防火対象物の用途に供される部分をいう。
住戸利用施設は2種類の用途をまとめた名前です。
令別表第一(5)項イは旅館・ホテル・宿泊所等、(6)項ロ及びハは有料老人ホームや認知症対応型老人共同生活援助事業を行う施設などの社会福祉施設等です。
共同住宅の中にこれらの用途部分が入っていれば、そこは住戸利用施設として扱われます。
ただし、次に説明する関係者等への報知装置の義務は、このうち(6)項ロ及びハの部分だけに限られます。
自分の建物のどの部分が当たるかは、用途でまず切り分けて考えます。

うちはホテル部分ではなく老人ホーム部分なので、(6)項ロかハに当たるということですね。

そのとおりです。
有料老人ホームか福祉ホームか、具体的な施設の種類まで確認しておきましょう。

なぜ住戸利用施設の中でも福祉施設部分だけ報知装置が増えるのか

制御盤から作業着の職員が持つ受信端末へ火災信号が自動的に伝わる様子
福祉施設部分だけに追加の義務がある理由は、入居者の避難能力に関わります。
条文で確認します。
問3 共同住宅用自動火災報知設備及び住戸用自動火災報知設備は、住戸利用施設(令別表第一(6)項ロ及びハに掲げる防火対象物の用途に供される部分に限る)に設ける場合、通常の報知のほかにどのような装置を設けなければならないか。
答3 当該部分で発生した火災を、当該部分の関係者(所有者又は管理者)又は当該関係者に雇用されている者(当該部分で勤務している者に限る)に、自動的に、かつ、有効に報知できる装置を設けなければならない。
入居者本人への報知だけでは足りない場面があるからです。
老人福祉施設等では、入居者が自力で火災に気づいて避難や通報をすることが難しい場合があります。
そこで、入居者への報知に加えて当該施設の関係者又は雇用されている者へ自動的に知らせる装置を別に設けることが義務づけられています。
根拠は特定共同住宅等における必要とされる防火安全性能を有する消防の用に供する設備等に関する省令第3条第3項第3号ヘ(共同住宅用自動火災報知設備)及び第4号ニ(住戸用自動火災報知設備)です。
職員の勤務体制だけに頼らず、設備側からも自動で知らせる仕組みを持たせる考え方です。

夜間は職員が少ないので、自動で知らせてくれるのは助かります。

そうですね。
自動的に届く設計になっているので、人の判断に頼らなくて済みます。

点検では関係者等への報知装置をどう確認するのか

作業着の点検員が受信機のボタンを操作し点検票を手にしている様子
義務があるだけでは安心できません。点検で実際に働くかを確かめます。
点検要領の記載を確認します。
問4 共同住宅用自動火災報知設備及び住戸用自動火災報知設備の機器点検で、関係者等への報知装置はどのように確認するか。
答4 所定の操作により作動させ、福祉施設等で発生した火災を、当該福祉施設等の関係者又は雇用されている者に、自動的に、かつ、有効に報知できることを確認する。
この項目は毎回必ず実際に作動させて確認します。
点検要領の別表第31(共同住宅用自動火災報知設備)・第32(住戸用自動火災報知設備)には、他の項目に付く★印・☆印の代替規定(自動試験機能や遠隔試験機能による記録確認への振替え)が、関係者等への報知装置には付いていません。
つまり、自動試験機能付きの設備であっても、この項目だけは所定の操作で実際に作動させて確認する必要があります。
点検票にも独立した項目として記載されるので、他の機能試験と混ぜずに個別に結果を残します。
記録を残すときは、作動させた日時と結果を明確に書いておくと後の確認がしやすくなります。

自動試験機能があっても、この項目だけは省略できないんですね。

はい、点検のたびに業者と一緒に実際の作動を確認しておくと安心です。

音声警報装置や戸外表示器とは何が違うのか

音声警報装置が建物全体に音を広げるのに対し関係者等への報知装置は1人の職員だけに届く様子
同じ共同住宅用自動火災報知設備の中にも、似たようで役割が違う機器があります。
対象者の違いで整理します。
問5 音声警報装置や戸外表示器と、関係者等への報知装置とでは何が違うか。
答5 音声警報装置や戸外表示器は住戸等及び共用部分にいる人全員への一般的な報知を目的とするのに対し、関係者等への報知装置は福祉施設等の関係者又は雇用されている者だけに自動的に届く個別の報知を目的とする。
届け先の範囲がそもそも違う機器です。
音声警報装置は住戸等や共用部分にいる人全員に向けて音で知らせる、いわば一斉放送の機器です。
戸外表示器も住戸の外にいる人へ広く作動を知らせる役割を持ちます。
これに対して関係者等への報知装置は、福祉施設等の関係者や雇用されている者という特定の相手だけに届けば足りる個別通知の機器です。
点検票でもこの3つは別々の項目として扱われるので、作動させる対象を間違えないようにします。

つまり、全員向けの放送と、職員だけに届く通知は別物ということですね。

そのとおりです。
点検のときはどの機器を試しているのか、点検票と照らし合わせて確認してください。

よくある質問

Q住戸利用施設と特定住戸利用施設は同じ範囲を指すのか?
Aいいえ、特定住戸利用施設は住戸利用施設のうち、消防法施行規則が定める防火区画等の構造を持たない部分に限られる、より狭い概念です。本記事では住戸利用施設全体に共通する報知装置の義務を扱っています。
Q関係者等への報知装置は共同住宅用自動火災報知設備だけの決まりか?
Aいいえ、住戸用自動火災報知設備にも同じ趣旨の規定があり、住戸利用施設に設ける場合は同様に関係者等への報知装置を設けなければなりません。
Q関係者等への報知装置は住戸利用施設のどの部分にも必要になるのか?
Aいいえ、設置義務が及ぶのは住戸利用施設のうち令別表第一(6)項ロ及びハに掲げる老人福祉施設等の用途に供される部分に限られ、同じ住戸利用施設でも(5)項イの旅館・ホテル等の部分は対象外です。
Q関係者等への報知装置の点検は、他の項目と同じように代替できるのか?
Aいいえ、蓄積機能や自動試験機能のように★・☆の代替規定が用意されている項目とは異なり、関係者等への報知装置は点検のたびに所定の操作で実際に作動させて確認します。

まとめ

✔共同住宅用自動火災報知設備は共同住宅用受信機と住棟受信機の2段構成で、住戸等と特定共同住宅等全体それぞれの関係者に火災を知らせる
✔住戸用自動火災報知設備も同じしくみで、住戸利用施設には共通のルールが及ぶ
✔住戸利用施設は令別表第一(5)項イ(旅館・ホテル等)と(6)項ロ・ハ(老人福祉施設等)の用途部分を指す
✔このうち(6)項ロ・ハの福祉施設部分だけに関係者等への報知装置の設置義務が追加される
✔入居者本人への報知に加え、当該施設の関係者又は雇用されている者へ自動的かつ有効に報知できることが条件
✔点検では所定の操作で実際に作動させて確認し、代替規定(★・☆)の対象にならない
✔音声警報装置や戸外表示器は住戸全体への一般的な報知、関係者等への報知装置は職員だけに届く個別の報知という役割の違いがある

うちの建物のどの部分が住戸利用施設に当たるのか、点検のときに一緒に確認してもらいます。

ぜひそうしてください。
関係者等への報知装置が確実に作動するか、㈱防災屋でもご相談を承っております。

防火管理はプロにお任せ下さい

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お問い合わせ

監修・編集者
青木 俊輔
青木 俊輔

㈱防災屋 代表取締役/消防設備士

平成元年生まれ、三重県鈴鹿市出身。祖父が創業した消防設備業者で10年間勤務した後、独立・起業。現在は青木マーケ㈱、㈱防災屋、(一社)予防団の運営に携わる。Amazonベストセラー1位『改訂版 消防設備士0類』著者。月刊誌「電気と工事(オーム社)」でコラム連載中!

本記事の消防法令、消防用設備等の技術情報および記述内容を監修・編集しています。

詳しい経歴・保有資格を見る
学歴
  • 鈴鹿工業高等専門学校 材料工学科 卒
  • 静岡大学工学部物質工学科 材料科学コース 卒
  • 静岡大学大学院工学研究科物質工学専攻 修了
保有資格
  • 消防設備士:甲種特類、甲種1~5類、乙種6・7類
  • 危険物取扱者:甲種、乙種1~6類、丙種
  • 防火対象物点検資格者/防災管理点検資格者/甲種防火管理者
  • 第二種電気工事士/工事担任者(総合通信)/第三種電気主任技術者
  • 自家用発電設備専門技術者/特種電気工事資格者/職長・安全衛生責任者
  • eco検定/民泊適正管理主任者/フォークリフト運転技能講習 修了

趣味:ギター、バスケットボール(全国高専大会優勝・キャプテン)

主な活動

参考・出典

  • 特定共同住宅等における必要とされる防火安全性能を有する消防の用に供する設備等に関する省令(平成17年総務省令第40号)第3条第3項第3号ヘ・第4号ニ
  • 共同住宅用自動火災報知設備の設置及び維持に関する技術上の基準(平成18年消防庁告示第18号)第2
  • 住戸用自動火災報知設備及び共同住宅用非常警報設備の設置及び維持に関する技術上の基準(平成18年消防庁告示第19号)第3
  • 消防用設備等の点検の基準及び消防用設備等点検結果報告書に添付する点検票の様式を定める件(昭和50年消防庁告示第14号)別表第31・第32
  • 消防用設備等の点検要領の全部改正について(平成14年6月11日消防予第172号)別添 第31・第32

※本記事は公表されている法令に基づく一般的な解説です。個別の建物・設備の判断は所轄消防署や専門業者にご確認ください。

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