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住宅用防災警報器を基準どおりに付けられないときはどうするか|資格の要否から特例までの五つの疑問を解説

住宅用の警報器が基準どおりに付かないときどうするかを表すアイキャッチ画像

住宅用防災警報器は、寝室や階段の天井・壁に付ければそれで終わり、というわけではありません。
壁際に家具があって基準どおりの位置が取れなかったり、階段が吹き抜けで天井に手が届かなかったりする住宅は珍しくないからです。
工事に資格が要るのかという素朴な疑問から、換気口や家具をどう避けるかという実務の悩みまで、
今回は5つの疑問から、基準どおりに付けられないときの考え方を解説します。

自分で住宅用防災警報器を取り付けようと思うんですが、工事に資格は要るんでしょうか。

資格は要りません。
ただし取り付け位置には細かい基準があります。

うちは壁際に家具があったり、階段が吹き抜けだったりで、基準どおりに付けられるか心配で。

そういう場合の考え方も含めて、5つの疑問を順番に見ていきましょう。

この記事の結論
  • 住宅用防災機器の設置工事は、消防設備士でなくても行うことができる
  • 壁際の家具などで基準どおりの離隔距離が確保できないときは、消防長の特例で設置できることがある
  • 階段が吹き抜けで天井に設置できないときも、煙を有効に感知できる位置であれば特例が認められる
  • 換気口等の空気吹出し口からは、感知部までの距離が1.5メートル以上離れた位置に設置する
  • 行き来できない二世帯住宅は、それぞれ別の住宅として世帯ごとに設置する

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住宅用防災警報器は資格不要で取り付けられ、家具や階段や換気口や二世帯住宅といった基準どおりに付けられない場面ごとに考え方が異なることを示した図解

住宅用防災機器の設置工事に消防設備士の資格は必要か

住宅の天井の隅に取り付けられた住宅用防災警報器と、その下に置かれたドライバーと小さな脚立を示したイメージ
住宅用防災警報器を自分で取り付けてよいものか、迷う方は少なくありません。
平成17年3月、消防庁防火安全室がまとめた執務資料にこんな質疑があります。
問 法第9条の2第1項に規定する住宅用防災機器である住宅用防災報知設備の設置に係る工事は、消防設備士でなければ工事を行ってはならない消防用設備等を規定する法第17条の5の適用を受けるか。
答 住宅用防災報知設備は、法第17条の5に規定する消防用設備等又は特殊消防用設備等に該当しないため、消防設備士による工事を要しないものである。
消防設備士が独占する工事には、住宅用防災機器は含まれていません。
消防法施行令第36条の2は、消防設備士でなければ工事できない設備として屋内消火栓設備・スプリンクラー設備・自動火災報知設備・金属製避難はしごなど13種類を列挙していますが、このリストに住宅用防災機器(住宅用防災警報器・住宅用防災報知設備)は入っていません。
そのため住宅の関係者自身や、工務店・電気店など消防設備士の資格を持たない業者でも、設置工事そのものを行うことができます。
ただし誰が工事してもよいからこそ、取り付け位置の基準は自分でも理解しておく必要があります。

資格がないとダメだと思い込んでいました。

資格は不要でも、位置の基準は要確認です。

壁際に家具があって離隔距離を確保できないときはどうするか

背の高いタンスが壁に近づき住宅用防災警報器の周りの点線で示した必要なすき間にかかっている様子を示したイメージ
寝室に背の高い家具を置くと、基準どおりの位置に警報器を付けられないことがあります。
執務資料にはこんな質疑があります。
問 既存住宅に設置されている、住警器等規格省令に適合する住宅用防災警報器又は住宅用防災報知設備の感知器が、設置維持省令第7条第2号に基づき条例に定める壁等からの離隔距離が確保されていない場合、消防長(消防署長)の特例を適用して差し支えないか。
答 当該住宅用防災警報器又は住宅用防災報知設備の感知器が、容易に移設出来ない等当該場所に設置することがやむを得ないと認められる場合であって、かつ、火災の発生を有効に感知し及び報知できる位置に設置されている場合は、(略)消防長(消防署長)の特例に係る規定を適用して差し支えない。
家具があるから設置できない、で終わりにはなりません。
設置維持省令(住宅用防災機器の設置及び維持に関する条例の制定に関する基準を定める省令)第7条第2号は、警報器を天井なら壁やはりから0.6メートル以上、壁なら天井から下方0.15メートル以上0.5メートル以内に設置するよう定めていますが、
消防法施行令第5条の8に基づき、条例で定める消防長(消防署長)の特例によって、基準どおりの位置に動かせない事情があり、かつ火災を有効に感知できる位置であれば、そのまま設置を認めてもらえる余地があります。
家具の配置をあきらめる前に、所轄の消防署に相談してみる価値があります。

家具を動かせないと、もう設置できないと思っていました。

有効に感知できる位置かどうかがポイントです。

階段が吹き抜けで天井に設置できないときはどうするか

二階分吹き抜けた階段の一番高い天井に住宅用防災警報器が取り付けられている様子を示したイメージ
階段が吹き抜けだと、基準どおりの天井の高さまで手が届かないことがあります。
執務資料にはこんな質疑があります。
問 令第5条の7第1項第1号ロの規定により住警器等を設置する場合、当該階段が吹き抜け等の階段で、設置基準に従い設置できない場合、又は階段の踊り場等の天井等に設置が困難な場合、設置基準を緩和して差し支えないか。
答 住宅の形態等により、設置基準に従い設置できない場合又は設置が困難な場合は、令第5条の8に基づき条例に定める消防長(消防署長)の特例に係る規定を適用し、当該階段に流入した火災の煙を有効に感知できる位置に設置して差し支えない。
届かない高さだからと諦める必要はありません。
設置維持省令第7条第1号は、階段の上端に住宅用防災警報器を設置することを基本の基準として定めていますが、吹き抜けの階段や踊り場の天井のように構造上どうしても設置が難しい住宅では、同じく施行令第5条の8の特例により、階段に流れ込んだ煙を有効に感知できる位置であれば、基準の高さにこだわらず設置することが認められます。
家具の場合と同じく、機能を果たせる位置かどうかが判断の軸になっているということです。

吹き抜けのある家だと、取り付け自体が無理かと思っていました。

煙を感知できる位置なら設置できます。

換気口の近くではどこを基準に距離を測ればよいか

壁の換気口と住宅用防災警報器のあいだを点線でつないで距離を測っている様子を示したイメージ
エアコンの吹出し口の近くに警報器を付けると、気流で火災の感知が遅れることがあります。
執務資料にはこんな質疑があります。
問 設置維持省令第7条第3号に規定する「換気口等の空気吹出し口から1.5メートル以上離れた位置」とは、どのように測定すればよいか。
答 換気口等の空気吹出し口から、おおむね住宅用防災警報器の感知部までの距離が1.5メートル以上であることとする。
測るのは器具の外側ではなく、感知部そのものです。
同じ執務資料には、天井や壁への取り付け位置についても「天井から下方0.15メートル以上0.5メートル以内とは、住宅用防災警報器のどの位置で測定すればよいか」という質疑があり、こちらもおおむね感知部の中心までの位置とすると回答されています。
壁からの距離も、換気口からの距離も、器具のケースの端ではなく感知部を基準に測るという考え方は共通しています。
取り付け場所を決めるときは、メジャーをケースの縁ではなく感知部に当てる、という細かな違いが基準を満たすかどうかを左右します。

器具の端で測ればいいと思っていました。

感知部の中心で測ってください。

行き来できない二世帯住宅ではどう設置すればよいか

二階建ての住宅が壁で完全に二つに分かれ、それぞれの側に専用の住宅用防災警報器が付いている様子を示したイメージ
玄関も階段も別々で、内部で行き来できない二世帯住宅は珍しくありません。
執務資料にはこんな質疑があります。
問 それぞれが行き来できない2世帯住宅の場合、住宅用防災警報器の設置場所はどのような考え方で設置すればよいのか。
答 それぞれが行き来できない2世帯住宅は、それぞれ別の住宅として法第9条の2の適用をするものとする。
一つの建物でも、世帯ごとに別の住宅として考えます。
消防法第9条の2第1項は「住宅の用途に供される防火対象物の関係者」に設置義務を課す条文で、行き来できない二世帯住宅では、親世帯・子世帯それぞれが独立した「住宅」として扱われます。
そのため、寝室や階段の上端といった設置基準も世帯ごとに満たす必要があり、片方の世帯に設置してあれば足りる、という考え方にはなりません。
二世帯住宅を計画・リフォームするときは、玄関や階段が世帯ごとに独立しているかを確認したうえで、それぞれの世帯分の設置を忘れないようにする必要があります。

一軒の家だから、まとめて1セットでいいと思っていました。

世帯ごとに必要だと考えてください。

よくある質問

Q工務店や電気店に頼んで取り付けてもらっても問題ないですか?
A問題ありません。住宅用防災機器の設置工事は消防設備士の独占業務ではないため、資格を持たない業者や住宅の関係者自身が取り付けても構いません。
Q消防長の特例は、誰がどこに申し出れば適用されますか?
A条例に定める消防長又は消防署長が、住宅の位置・構造・設備の状況から判断して認めるものです。基準どおりに設置できない事情がある場合は、まず所轄の消防署に相談することになります。
Q天井に付ける場合の0.6メートルという距離も、感知部で測るのですか?
Aはい。設置維持省令第7条第2号イ・ロのいずれも、壁やはり、天井からの距離は感知部を基準に測定します。器具のケースの端ではない点に注意してください。
Q内部で行き来できる二世帯住宅の場合も、世帯ごとに考えますか?
A質疑応答が示しているのは行き来できない二世帯住宅の考え方です。内部で行き来できる場合の扱いは住宅の構造によって変わるため、所轄の消防署にご確認ください。

まとめ

✔住宅用防災機器の設置工事は消防設備士でなくても行うことができる
✔家具で基準どおりの離隔距離が取れないときも、消防長の特例で設置できることがある
✔吹き抜けの階段でも煙を有効に感知できる位置なら特例が認められる
✔壁や換気口からの距離は感知部の中心を基準に測定する
✔換気口等の空気吹出し口からは1.5メートル以上離れた位置に設置する
✔行き来できない二世帯住宅はそれぞれ別の住宅として世帯ごとに設置する
✔基準どおりに付けられないときは、自己判断で済ませず所轄の消防署に相談するのが近道

うちの寝室や階段も、一度測ってみます!

難しいときは所轄の消防署や専門家にご相談ください。
㈱防災屋でもご相談を承っております。

防火管理はプロにお任せ下さい

まずはWebで無料お見積りを!

お問い合わせ

監修・編集者
青木 俊輔
青木 俊輔

㈱防災屋 代表取締役/消防設備士

平成元年生まれ、三重県鈴鹿市出身。祖父が創業した消防設備業者で10年間勤務した後、独立・起業。現在は青木マーケ㈱、㈱防災屋、(一社)予防団の運営に携わる。Amazonベストセラー1位『改訂版 消防設備士0類』著者。月刊誌「電気と工事(オーム社)」でコラム連載中!

本記事の消防法令、消防用設備等の技術情報および記述内容を監修・編集しています。

詳しい経歴・保有資格を見る
学歴
  • 鈴鹿工業高等専門学校 材料工学科 卒
  • 静岡大学工学部物質工学科 材料科学コース 卒
  • 静岡大学大学院工学研究科物質工学専攻 修了
保有資格
  • 消防設備士:甲種特類、甲種1~5類、乙種6・7類
  • 危険物取扱者:甲種、乙種1~6類、丙種
  • 防火対象物点検資格者/防災管理点検資格者/甲種防火管理者
  • 第二種電気工事士/工事担任者(総合通信)/第三種電気主任技術者
  • 自家用発電設備専門技術者/特種電気工事資格者/職長・安全衛生責任者
  • eco検定/民泊適正管理主任者/フォークリフト運転技能講習 修了

趣味:ギター、バスケットボール(全国高専大会優勝・キャプテン)

主な活動

参考・出典

  • 消防法第9条の2、第17条の5
  • 消防法施行令第5条の6、第5条の7、第5条の8、第36条の2
  • 住宅用防災機器の設置及び維持に関する条例の制定に関する基準を定める省令(平成16年総務省令第138号)第7条
  • 住宅用防災警報器及び住宅用防災報知設備に係る技術上の規格を定める省令(平成17年総務省令第11号)
  • 住警器等の設置及び維持に関する執務資料について(平成17年3月31日付け消防安第65号 消防庁防火安全室長から各都道府県消防防災主管部長・東京消防庁・各指定都市消防長あて)
  • 消防実務六法 質疑応答編

※本記事は公表されている法令および通達に基づく一般的な解説です。掲載した質疑応答は平成17年の執務資料によるもので、条文の番号等は現行条文と照らして編集部で確認しています。個別の事案についての適用は、所轄の消防署にご確認ください。

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