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消防の救助隊はなぜ特別救助隊と高度救助隊に分かれるのか|人口と地域特性で変わる配置基準を解説

救助隊の段階を解説する記事のアイキャッチ画像

火災や事故の現場に駆けつける救助隊は、全国どこでも同じ姿というわけではありません。
配置する数や装備には、消防法令にもとづく基準があります。
人口の多い市町村と少ない市町村では、置かれる救助隊のランクも変わってきます。
消防法は、救助隊を特別救助隊・高度救助隊・特別高度救助隊という段階に分けて配置する仕組みを定めています。

うちの町の救助隊、よその市と同じ装備なのかなって気になってました。

実は救助隊にも段階があって、市町村ごとに基準が違うんです。

段階があるのは初めて知りました。
どう決まるんですか。

人口や地域特性、それに市町村の種類で決まる仕組みなんです。

この記事の結論
  • 救助隊の配置は市町村の裁量ではなく消防法第三十六条の二に基づく義務です
  • 消防常備市町村の救助隊の数は、消防署の数を基準に地域特性で増減します
  • 人口十万以上や中高層建築物等がある市町村には、特別救助隊が置かれます
  • 指定都市・中核市等には高度救助隊、特別区連合消防・指定都市には特別高度救助隊という上位区分があります
  • 消防本部のない市町村では、救助隊は消防団員が編成し装備は努力義務にとどまります

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救助隊の段階を示す図解

救助隊はなぜ市町村に配置する義務があるのか

消防署に配置される救助隊のイラスト
火災や事故の現場に駆けつける救助隊も、実は配置の基準が消防法で定められています。
どんな市町村にも同じ数・同じ装備があるわけではありません。
(消防法第三十六条の二)市町村は、人口その他の条件を考慮して総務省令で定める基準に従い、この法律の規定による人命の救助を行うため必要な特別の救助器具を装備した消防隊を配置するものとする。
救助隊を置くかどうかは市町村の裁量ではなく、消防法上の義務です。
配置の基準を具体的に定めているのは、総務省令「救助隊の編成、装備及び配置の基準を定める規則」です。
消防本部・消防署を置く市町村(消防常備市町村)が配置する救助隊の数は、その市町村における消防署の数が基準になります。
消防常備市町村の長は、人命救助を要する事案の発生状況や人口・面積・地形といった地域特性を考慮して、この基準数を増減できます。
隊員は人命救助の専門教育を受けた5人以上で編成し、救助器具と救助工作車等を備えるものとされています。

うちの消防署にも救助隊があるのか気になります。

配置の基準は消防署の数が目安になっています。

どの市町村に特別救助隊が置かれるのか

特別救助隊のイラスト
すべての救助隊が同じ装備というわけではありません。
人口や地域の事情によって、一段上の救助隊が置かれます。
(救助隊の編成、装備及び配置の基準を定める規則第四条第一項・抜粋)救助隊の配置基準数のうち、人口十万以上の消防常備市町村にあつては次の各号に定める数の合計数に一を加算した数、人口十万未満の消防常備市町村で中高層建築物、幹線道路、鉄道、空港、危険な作業を伴う事業場等に係る人命の救助が特に必要となると認められるものにあつては一の救助隊は、特別救助隊とする。
人口十万以上の市町村や、特に人命救助が必要とされる地域には特別救助隊が置かれます。
対象になるのは人口十万以上の消防常備市町村、または人口十万未満でも中高層建築物・幹線道路・鉄道・空港・危険な作業を伴う事業場等があり人命救助が特に必要と認められる市町村です。
特別救助隊は、人命救助の専門教育を受けた隊員5人以上で編成され、通常の救助隊より種類の多い救助器具と救助工作車を備えます。
人口十万を超える市町村では、人口の規模に応じた算定式で特別救助隊の数が決まり、消防常備市町村の長は地域特性に応じてこの数を増減できます。
自分の町に特別救助隊があるかどうかは、人口規模だけでなく地域特性でも変わる点を知っておくとよいでしょう。

うちは人口十万未満なんですが、特別救助隊は無理なんですかね。

中高層建築物などの事情があれば置かれることもありますよ。

高度救助隊はどの消防に置かれるのか

高度救助隊のイラスト
特別救助隊の中には、さらに専門性の高い高度救助隊という区分があります。
どの消防に置かれるかは、組織の規模で決まります。
(救助隊の編成、装備及び配置の基準を定める規則第五条・抜粋)特別救助隊の数のうち、特別区が連合して維持する消防、指定都市、中核市及び消防庁長官が指定する消防常備市町村にあつては、一以上の特別救助隊は、高度救助隊とする。
高度救助隊は、指定都市や中核市など大規模な消防本部に置かれます。
対象は特別区が連合して維持する消防、地方自治法上の指定都市・中核市、そして消防庁長官が指定する消防常備市町村です。
高度救助隊の隊員は、人命救助に関する専門的かつ高度な教育を受けた5人以上で編成されます。
装備も一段増え、通常の救助器具に加えてより高度な救助器具と救助工作車を備えるものとされています。
中核市や指定都市規模の消防本部では、特別救助隊のうち少なくとも一隊が高度救助隊として機能している計算になります。

指定都市って、うちの近くの大きい市のことですよね。

はい。
指定都市や中核市クラスの消防に置かれます。

特別高度救助隊だけが持つ装備は何か

特別高度救助隊のイラスト
救助隊の中でも最上位にあるのが特別高度救助隊です。
特別区と指定都市に限って置かれ、装備もさらに増えます。
(救助隊の編成、装備及び配置の基準を定める規則第六条・抜粋)高度救助隊の数のうち、特別区が連合して維持する消防及び指定都市にあつては、一以上の高度救助隊は、特別高度救助隊とし、救助器具、救助工作車一台及び特殊災害対応自動車一台を備え、地域の実情に応じてウォーターカッター及び大型ブロアーを備えるものとする。
特別高度救助隊は、特別区と指定都市だけに置かれる最上位の救助隊です。
高度救助隊のうち少なくとも一隊が、専門的かつ高度な教育を受けた隊員5人以上で編成される特別高度救助隊に位置づけられます。
装備は救助工作車一台に加えて特殊災害対応自動車一台を備え、地域の実情に応じてウォーターカッターや大型ブロアーも備えるとされています。
これらは大規模な事故や特殊な災害に対応するための装備で、通常の救助隊・特別救助隊・高度救助隊とは一段違う位置づけです。
自分の住む地域にどの段階の救助隊があるかは、所轄の消防本部に確認すると分かります。

特殊災害対応自動車って、普通の救助工作車と違うんですか。

はい。
大規模な事故向けの一段上の装備です。

消防本部のない市町村では救助隊はどうなるのか

消防団員が編成する救助隊のイラスト
ここまでは消防本部・消防署がある市町村の話でした。
消防本部を置かない市町村にも、救助隊を編成する基準があります。
(救助隊の編成、装備及び配置の基準を定める規則第七条)消防本部及び消防署を置かない市町村の配置する救助隊は、消防団員により編成し、別表第一に掲げる救助器具のうち必要な救助器具を備えるよう努めるものとする。
消防本部のない市町村では、救助隊は消防団員によって編成されます。
消防常備市町村のような専門教育を受けた職員による編成ではなく、消防団員が救助隊の役割を担う建て付けです。
装備についても「備えるよう努める」という努力義務にとどまり、消防常備市町村のような義務的な基準ではありません。
特別救助隊・高度救助隊・特別高度救助隊という段階は、いずれも消防常備市町村を前提にした仕組みで、非常備市町村には及びません。
自分の住む市町村がどちらの体制なのかを知っておくと、災害時に駆けつける救助隊の姿も想像しやすくなります。

うちの町、消防署が無いんですけど救助隊は来るんですよね。

消防団員による救助隊が編成されていますよ。

よくある質問

Q救助隊の数は、どの市町村でも同じなのですか?
Aいいえ。消防常備市町村の救助隊の配置基準数は、その市町村における消防署の数が基準になり、人口や地域特性によって増減します。
Q特別救助隊と高度救助隊は、同時に置かれることもあるのですか?
Aはい。高度救助隊は特別救助隊の中から一以上が指定される仕組みなので、特別救助隊と高度救助隊は同じ消防本部に併存します。
Q特別高度救助隊は、どんな市町村にも置かれる可能性がありますか?
Aいいえ。対象は特別区が連合して維持する消防と指定都市に限られ、中核市や消防庁長官が指定する市町村には置かれません。
Q消防団員が編成する救助隊にも、救助工作車は必要ですか?
A消防本部・消防署を置かない市町村の救助隊は、別表第一の救助器具のうち必要なものを備えるよう努める基準で、救助工作車までは義務づけられていません。

まとめ

✔救助隊は、消防法第三十六条の二に基づき市町村が配置する義務のある消防隊です。
✔配置の基準数は消防署の数が目安で、地域特性によって増減されます。
✔人口十万以上、または中高層建築物等がある市町村には特別救助隊が置かれます。
✔特別区連合消防・指定都市・中核市・消防庁長官指定の市町村には高度救助隊が置かれます。
✔特別区連合消防と指定都市だけには、さらに上位の特別高度救助隊が置かれます。
✔特別高度救助隊は特殊災害対応自動車やウォーターカッター等の装備を備えます。
✔消防本部のない市町村では、救助隊は消防団員によって編成され装備は努力義務です。

救助隊の段階がわかって安心しました!

気になる場合は、所轄の消防本部に確認できます。
㈱防災屋でもご相談を承っております。

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お問い合わせ

監修・編集者
青木 俊輔
青木 俊輔

㈱防災屋 代表取締役/消防設備士

平成元年生まれ、三重県鈴鹿市出身。祖父が創業した消防設備業者で10年間勤務した後、独立・起業。現在は青木マーケ㈱、㈱防災屋、(一社)予防団の運営に携わる。Amazonベストセラー1位『改訂版 消防設備士0類』著者。月刊誌「電気と工事(オーム社)」でコラム連載中!

本記事の消防法令、消防用設備等の技術情報および記述内容を監修・編集しています。

詳しい経歴・保有資格を見る
学歴
  • 鈴鹿工業高等専門学校 材料工学科 卒
  • 静岡大学工学部物質工学科 材料科学コース 卒
  • 静岡大学大学院工学研究科物質工学専攻 修了
保有資格
  • 消防設備士:甲種特類、甲種1~5類、乙種6・7類
  • 危険物取扱者:甲種、乙種1~6類、丙種
  • 防火対象物点検資格者/防災管理点検資格者/甲種防火管理者
  • 第二種電気工事士/工事担任者(総合通信)/第三種電気主任技術者
  • 自家用発電設備専門技術者/特種電気工事資格者/職長・安全衛生責任者
  • eco検定/民泊適正管理主任者/フォークリフト運転技能講習 修了

趣味:ギター、バスケットボール(全国高専大会優勝・キャプテン)

主な活動

参考・出典

  • 消防法第三十六条の二(e-Gov法令検索)
  • 救助隊の編成、装備及び配置の基準を定める規則(昭和六十一年自治省令第二十二号。e-Gov法令検索)

※本記事は公表されている法令および消防庁等の資料に基づく一般的な解説です。条例や運用は市町村ごとに異なる場合があります。個別の判断は所轄消防署にご確認ください。

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