消防用設備等の点検が終わると、業者が丸い点検済票というラベルを設備に貼っていくことがあります。
実はこの票、どこにでも貼ってよいわけではありません。
消防庁の要綱は、消火器なら本体、受信機なら前面というように、設備の種類ごとに貼る場所まで細かく定めています。
点検済票がどこに貼られる決まりなのかを、消防用設備等点検済表示制度推進要綱にそって解説します。
うちのビル、消火器には票が貼ってあるのに受信機には無い気がします。
これって大丈夫なんでしょうか。
受信機は前面に貼る決まりなので、無いなら確認したほうがいいですね。
設備ごとに貼る場所が決まっているなんて知りませんでした。
はい、要綱の別紙にすべて書かれています。
順番に確認していきましょう。
- 点検済票は推進要綱の別紙2で設備の種類ごとに貼る位置が決められています
- 消火器は本体容器、自動火災報知設備は受信機の前面というように、操作・確認する箇所に合わせて位置が変わります
- 同一のボックスなどに複数の設備がまとまっている場合は、代表できる部分に1カ所貼るだけで足ります
- 点検の結果に不良内容があった場合は、改善されるまでの間は票を貼りません
- 票を貼るのは点検実施者の役目で、建物側が位置を自由に決められるわけではありません
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目次
点検済票の表示位置はなぜ細かく決められているのか

誰が見ても一目で分かるようにするための、全国共通のルールがあります。
消防法第17条の3の3は点検と報告を義務づけていますが、紙の報告書だけでは、建物を利用する人がその場で設備の状態を確認できません。
そこで消防庁は消防用設備等点検済表示制度推進要綱を定め、点検済票という共通のラベルと、その貼り方のルールを全国統一にしました。
位置がバラバラだと、票があるかないかの確認そのものが難しくなるため、別紙2という表で設備の種類ごとに貼付対象の設備と表示位置をあらかじめ決めています。
報告書を出しているだけじゃ駄目なんですか。
報告書は行政向けの書類なので、現場でひと目確認できる票が別に要るんです。
点検済票は設備のどこに貼られているのか

代表的なところを見てみましょう。
消火器は本体容器そのものに貼りますが、屋内消火栓設備は加圧送水装置の制御盤の前面と消火栓箱の前面の両方、スプリンクラー設備や水噴霧消火設備は制御盤の前面と制御弁の本体の両方に貼る扱いです。
自動火災報知設備は受信機の前面、避難器具は格納箱又は本体、誘導灯は開閉器の直近というように、利用者や点検員が実際に目にする操作部・確認部に合わせて位置が決められています。
このほかにも泡消火設備や連結送水管など、別紙2には消防用設備等のほとんどの種類について表示位置が書かれています。
設備の数だけ場所があるんですね。
全部は覚えられなさそうです。
覚えなくても大丈夫です。
点検業者が別紙2のとおりに貼ってくれます。
なぜ設備によって表示位置がこんなに違うのか

操作する場所と確認する場所に合わせているのです。
泡消火設備のように加圧送水装置の制御盤と手動起動装置の操作部が離れている設備は、両方の操作部に票を貼ることになっています。利用者が操作する場所と、点検員が確認する場所の両方で分かるようにするためです。
また点検済票には消火器用と消火器以外用の2種類のデザインがあり、必要に応じて補助ラベルも使えます。
同じ格納箱に複数の設備がまとまっている場合は、すべてに貼らず代表できる部分に1カ所でよいという備考もあり、見た目をすっきりさせる工夫もされています。
1カ所でいい場合があるのは意外でした。
はい、代表できる部分であればそれで足ります。
点検済票を見て誤解しやすいのはどこか

あえて貼らない場合もあるからです。
点検した結果に不良内容があった場合、要綱は改善されるまでの間は点検済票を貼らないと定めています。つまり票が無い設備は、点検していないのではなく、不良のまま改善されていない可能性があるということです。
もう1つの見落としが、票を貼るのは点検実施者の役目だという点です。建物の管理者が位置を自由に決めたり、自分で貼り直したりするものではありません。
票が無い設備を見つけたら、まず点検業者に理由を確認することが大切です。
票が無いと、てっきり業者が貼り忘れたのかと思っていました。
不良で貼っていないだけのこともあります。
見つけたら業者に聞いてみてください。
明日から何を確認すればよいのか

建物側にも配慮すべきことが決められています。
自動火災報知設備の受信機、屋内消火栓設備の制御盤、避難器具の格納箱など、建物に設置されている設備を確認し、決められた位置に点検済票があるかを見てください。
要綱は建物側の関係者にも役割を定めており、点検済票を識別が容易な場所に貼らせること、点検実施者が点検する際には原則として立ち会うことが求められています。
位置が分かりにくい、あるいは票そのものが見当たらないときは、次の点検の際に点検業者に別紙2の該当箇所を確認してもらうとよいでしょう。
立ち会うことまで役割に入っているとは知りませんでした。
次の点検のときに、立ち会う時間を調整してみてください。
よくある質問
まとめ
別紙2と見比べるところから始めればいいんですね。
スッキリしました!
位置の確認と立会いを押さえておけば大きく外しません。
㈱防災屋でもご相談を承っております。
㈱防災屋 代表取締役/消防設備士
平成元年生まれ、三重県鈴鹿市出身。祖父が創業した消防設備業者で10年間勤務した後、独立・起業。現在は青木マーケ㈱、㈱防災屋、(一社)予防団の運営に携わる。Amazonベストセラー1位『改訂版 消防設備士0類』著者。月刊誌「電気と工事(オーム社)」でコラム連載中!
本記事の消防法令、消防用設備等の技術情報および記述内容を監修・編集しています。
詳しい経歴・保有資格を見る
- 鈴鹿工業高等専門学校 材料工学科 卒
- 静岡大学工学部物質工学科 材料科学コース 卒
- 静岡大学大学院工学研究科物質工学専攻 修了
- 消防設備士:甲種特類、甲種1~5類、乙種6・7類
- 危険物取扱者:甲種、乙種1~6類、丙種
- 防火対象物点検資格者/防災管理点検資格者/甲種防火管理者
- 第二種電気工事士/工事担任者(総合通信)/第三種電気主任技術者
- 自家用発電設備専門技術者/特種電気工事資格者/職長・安全衛生責任者
- eco検定/民泊適正管理主任者/フォークリフト運転技能講習 修了
趣味:ギター、バスケットボール(全国高専大会優勝・キャプテン)
参考・出典
- 消防用設備等点検済表示制度について(平成8年4月5日付け消防予第61号通知)
- 消防用設備等点検済表示制度推進要綱(同通知別添)
- 消防法第17条の3の3(消防用設備等の点検及び報告)
※本記事は公表されている法令および消防庁の通知に基づく一般的な解説です。条例や運用は市町村ごとに異なる場合があります。個別の判断は所轄消防署にご確認ください。





