救助袋の点検報告書に「結合部 良」「可動部 良」と書かれていても、実際にどこを確認したのか分からない防火管理者の方は多いのではないでしょうか。
斜降式・垂直式いずれの救助袋も、入口金具と袋本体をつなぐ部分と、入口金具が動く部分には、点検要領で具体的な確認項目が決められています。
展張部材と入口金具の結び目、取手、下部出口と保護マットの結合という結合部の3項目、そして回転部・折りたたみ部・伸縮部の作動という可動部の項目を、それぞれ見ていきます。
点検結果報告書の「結合部」「可動部」の一言の裏にある具体的な確認内容が分かります。
救助袋の点検票に「結合部 良」とだけ書かれていて
実際どこを見たのか分からないんです。
結合部には3つの確認項目が決まっています。
可動部にも外形と機能の2つがあります。
結び目とか取手とか、具体的に教えてほしいです。
点検要領の順番どおり、ひとつずつ説明します。
- 結合部のアは展張部材と入口金具の結び目で、緩み・損傷の有無を見ます
- 結合部のイは取手で、損傷及び著しい摩耗の有無を見ます
- 結合部のウは下部出口と保護マットの結合で、縫い糸切れの有無を見ます
- 可動部の外形は、変形・損傷・腐食の有無を見ます
- 可動部の機能は、回転部・折りたたみ部・伸縮部の作動が円滑かを見ます
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目次
結合部の「展張部材と入口金具の結び目」はどこを見ればよいのか

入口金具に結んだこの結び目がゆるんでいないかを確認します。
展張部材は、袋を展張したときに袋の幅を保ち、降下者が安定して滑り降りられるようにする帯状の部材です。
この部材が入口金具にしっかり結ばれていないと、展張した袋の形が崩れ、降下の安全性が落ちます。
結び目そのものがほどけかかっていないか、結び目の摩耗で部材が傷んでいないかの両方を手で引いて確認します。
結び目が複数ある場合は、1か所だけでなく全部を確認することが大切です。
結び目なんて、ほどけてたら見ればすぐ分かりますよね。
完全にほどけていなくても、少しの緩みから傷みは始まります。
手で引いて張りを確かめることが肝心です。
結合部の「取手」は何を確認するのか

展張部材とは別の項目として、取手そのものの状態を確認します。
取手は、降下者が袋の入口に体を入れるときや、収納・展張の作業で人がつかむ部分です。
展張部材の結び目のように緩みを見る項目ではなく、取手自体が割れていないか、握る部分がすり減っていないかを見ます。
握ったときにぐらつきや欠けを感じたら、著しい摩耗に当たると考えてよいでしょう。
取手がしっかりしていなければ、展張や収納の作業そのものに支障が出ます。
取手は結び目と違う項目なんですね、気づきませんでした。
部位ごとに見る基準が違うので、項目を分けて確認します。
次は下部出口に移ります。
結合部の「下部出口と保護マットの結合」はどこまで見るのか

降下者が外に出る最後の部分なので、特に強固さが求められます。
保護マットは、下部出口の縁に取り付けられ、降下者が最後に通る部分を保護する役割を持ちます。
この保護マットが袋本体にしっかり縫い付けられていなければ、出口付近でめくれや破れが起きやすくなります。
縫い糸が1か所でも切れていれば、そこから裂けが広がるおそれがあるため、縫い目全体を目で追って確認します。
手で軽く引いて、結合がたわまないかも併せて見ます。
出口の近くって、降下中に一番負荷がかかりそうですね。
そのとおりです、だからこそ縫い糸切れを見逃さないことが重要です。
可動部の「外形」はどこを見ればよいのか

外形は、動く部分そのものの見た目の状態です。
救助袋の入口金具は、斜降式・垂直式のいずれも、設置時の向きに合わせて金具の一部が動く構造になっています。
この動く部分が変形していたり、表面が腐食していたりすると、次に見る機能そのものに支障が出ます。
外形の点検は、まず目で見て異常の有無を確かめる段階だと考えてください。
金具の付け根や継ぎ目まで、しっかり目を向けることが大切です。
外形と機能って、わざわざ分ける意味があるんですか。
見た目が正常でも動きが悪いことがあるからです。
次は実際に動かして確認します。
可動部の「機能」は何を確認するのか

入口金具の動き方は、器具の作りによっていくつかの種類があります。
入口金具は、袋を使う向きに合わせて回転させたり、収納時に折りたたんだり、設置場所に合わせて伸縮させたりする構造を持つものがあります。
自分が点検する救助袋がどの動き方を採用しているかをまず確認し、該当する動きが引っかかりなく円滑に動くかを手で試します。
外形に異常が無くても、サビの進行や汚れの付着で動きだけが悪くなっていることがあるため、外形と機能は別の項目として両方を確認します。
動きが悪いまま放置すると、いざ使うときに展張そのものができないおそれがあります。
結合部と可動部、合わせて5つの項目があるんですね。
はい、点検報告書の一言の裏には5つの確認が隠れています。
次回の点検ではこの区分で見てみてください。
よくある質問
まとめ
結合部と可動部、それぞれ何を見ているかよく分かりました!
次の点検では、ぜひこの5つの区分で見てみてください。
㈱防災屋でもご相談を承っております。
㈱防災屋 代表取締役/消防設備士
平成元年生まれ、三重県鈴鹿市出身。祖父が創業した消防設備業者で10年間勤務した後、独立・起業。現在は青木マーケ㈱、㈱防災屋、(一社)予防団の運営に携わる。Amazonベストセラー1位『改訂版 消防設備士0類』著者。月刊誌「電気と工事(オーム社)」でコラム連載中!
本記事の消防法令、消防用設備等の技術情報および記述内容を監修・編集しています。
詳しい経歴・保有資格を見る
- 鈴鹿工業高等専門学校 材料工学科 卒
- 静岡大学工学部物質工学科 材料科学コース 卒
- 静岡大学大学院工学研究科物質工学専攻 修了
- 消防設備士:甲種特類、甲種1~5類、乙種6・7類
- 危険物取扱者:甲種、乙種1~6類、丙種
- 防火対象物点検資格者/防災管理点検資格者/甲種防火管理者
- 第二種電気工事士/工事担任者(総合通信)/第三種電気主任技術者
- 自家用発電設備専門技術者/特種電気工事資格者/職長・安全衛生責任者
- eco検定/民泊適正管理主任者/フォークリフト運転技能講習 修了
趣味:ギター、バスケットボール(全国高専大会優勝・キャプテン)
参考・出典
- 「消防用設備等の点検要領の全部改正について」(平成14年消防予第172号)第15 避難器具 機器点検 器具本体 救助袋 結合部・可動部
- 消防法施行規則第31条の3
- 昭和50年消防庁告示第14号 別表第15 避難器具の点検の基準
※本記事は消防庁通知に基づく点検基準の一般的な解説です。実際の点検は消防設備点検資格者が行い、器具の種類・設置状況により確認方法が異なる場合があります。個別の判断は所轄消防署または点検資格者にご確認ください。





