平成22年、風俗営業等の規制及び業務の適正化等に関する法律施行令の一部が改正され、いわゆる「出会い系喫茶営業」が新たに風営法上の規制対象に加わりました。
これにより出会い系喫茶は、消防法施行令別表第一(2)項ハに掲げる防火対象物として取り扱われることになりました。
消防庁はこの政令改正を受け、各都道府県を通じて市町村等への周知を求める通知を発出しています。
出会い系喫茶がなぜ特定防火対象物になったのか、そしてどんな営業がこの区分に当たるのかを確かめます。
うちのテナントに最近「出会い系喫茶」という看板の店が入ったんですが、普通の飲食店と同じ扱いでいいんでしょうか。
実は、出会い系喫茶は平成23年から消防法上の扱いが変わっているんです。
順番に確認しましょう。
扱いが変わったなんて、知りませんでした。
風俗営業の規制対象に加わったことがきっかけです。
まずはその経緯から見ていきます。
- 平成22年の風営法施行令改正(政令第168号)により、いわゆる「出会い系喫茶営業」が新たに風俗営業法上の店舗型性風俗特殊営業として規制対象に加わりました。
- 出会い系喫茶は消防法施行令別表第一(2)項ハ「性風俗関連特殊営業を営む店舗」として、特定防火対象物に区分されます。
- この改正の運用は平成23年1月1日から始まり、経過措置は設けられていません。
- 公安委員会への届出の有無にかかわらず、営業の実態が要件に当てはまれば(2)項ハとして扱われます。
- ソープランドやラブホテルなど、すでに他の項に区分されている業態は(2)項ハの対象から除かれます。
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目次
出会い系喫茶はなぜ消防法上の扱いが変わったのか

何がきっかけで、消防法上の扱いまで変わったのかを確認します。
平成22年政令第168号により、風営法施行令に「店舗を設けて、専ら面識のない異性との一時の性的好奇心を満たすための交際を仲介する営業」という定義が新たに書き加えられ、これが風営法第2条第6項第6号の対象に当てはまるとされました。
この結果、出会い系喫茶は風俗営業法上の店舗型性風俗特殊営業となり、消防法施行令別表第一(2)項ハに掲げる「性風俗関連特殊営業を営む店舗」として扱われることになったのです。
(2)項ハに区分された防火対象物は、収容人員にかかわらず特定防火対象物として、より厳しい消防用設備等の基準が適用されます。
テナントの中にこうした営業形態の店舗がないか、まず実態を把握することが出発点になります。
法律が変わっただけで、消防法まで影響するんですね。
はい、風営法の規制対象になったことが引き金です。
次は具体的にどんな営業が対象かを見ていきます。
どんな営業がこの区分に当たるのか

対象になる営業形態を具体的に確認します。
面識のない異性との一時的な交際を望む客に対し、個室で面会の機会を提供したり、面会の申込みを取り次いだりする店舗型の営業が、法令上の定義です。
一方で、すでにソープランド((9)項イ)、ストリップ劇場((1)項イ)、ラブホテル・モーテル((5)項イ)、アダルトショップ((4)項)、テレフォンクラブ・個室ビデオ((2)項ニ)として令別表第一の各項に分類されている業態は、(2)項ハの対象から除かれます。
同じ「性風俗」という言葉がついていても、営業の中身によって区分が変わる点に注意が必要です。
看板の名称だけで判断せず、実際のサービス内容を確認することが欠かせません。
うちのテナントは「性感マッサージ」の看板ですが、これも対象になりますか。
はい、個室で接触する役務を提供する業態も(2)項ハの対象です。
続いて通知が示す運用の中身を見ていきます。
通知は何を求めているのか

運用開始の時期や、対象外となる業態の整理もあわせて示しています。
改正部分の適用は平成23年1月1日からで、施行日前から営業していた既存の出会い系喫茶であっても、猶予期間を置かずに(2)項ハとしての基準が適用されます。
また同じ改正で、風営法第2条第6項に規定する性風俗関連特殊営業を営む店舗であっても、(1)項イ・(2)項ニ・(4)項・(5)項イ・(9)項イとして扱われる防火対象物については、従前どおりそちらの用途区分が優先されることも明確にされました。
つまり(2)項ハは、ほかのどの項にも当てはまらない性風俗関連特殊営業の「受け皿」のような位置づけです。
運用開始日と、対象外になる業態の両方を押さえておく必要があります。
経過措置がないなら、気づいた時点ですぐ対応しないといけないんですね。
そのとおりです。施行日からすぐ適用される点に注意してください。
次は実務で見落としやすい点を確認します。
実務で見落としやすいのはどこか

順番に確認します。
「出会い系喫茶」「性感マッサージ」といった名称は法令上の正式な用語ではなく、世間一般の俗称にすぎません。看板の文言だけで判断せず、実際の営業形態やサービスの内容まで確認する必要があります。
また、性風俗関連特殊営業を営む場合は営業所の所在地を管轄する公安委員会への届出が必要ですが、(2)項ハに該当するための要件はあくまでも営業の実態であり、届出をしていないからといって対象から外れるわけではありません。
逆に届出済みであっても、営業の中身がソープランドやラブホテルなど既に他の項に分類される業態であれば、(2)項ハではなくそちらの区分が適用されます。
名称・届出の有無と、実際の営業実態の3つを切り分けて確認することが実務のポイントです。
届出をしていない店は対象外だと思っていました。
いいえ、届出の有無は要件ではありません。
最後に明日からの確認手順を整理します。
明日からなにを確認すればよいのか

順番に進めれば迷いません。 確認は3つの手順に整理できます。
まず、建物のテナントに性風俗に関する営業を行っている店舗がないか、看板の名称だけでなく実際の営業内容を確認します。
該当しそうな店舗があれば、ソープランド・ラブホテル・アダルトショップ・テレフォンクラブ・個室ビデオなど、既に他の項に分類される業態でないかをあわせて確認し、(2)項ハに当たるかどうかを判断します。
(2)項ハに該当する場合は特定防火対象物としての用途区分になるため、用途変更の届出や、消防用設備等が現行の基準を満たしているかを所轄消防署に相談します。
判定に迷う場合は、名称だけで自己判断せず、所轄消防署の立入検査や相談窓口を早めに活用するのが確実です。
まずはテナントの実態を確認するところから始めればいいんですね。
はい、判定に迷ったら所轄消防署への相談もお忘れなく。
よくある質問もあわせてご覧ください。
よくある質問
まとめ
出会い系喫茶の区分がよく分かりました!
テナントの用途判定もまとめてご相談いただけます。
㈱防災屋でもご相談を承っております。
㈱防災屋 代表取締役/消防設備士
平成元年生まれ、三重県鈴鹿市出身。祖父が創業した消防設備業者で10年間勤務した後、独立・起業。現在は青木マーケ㈱、㈱防災屋、(一社)予防団の運営に携わる。Amazonベストセラー1位『改訂版 消防設備士0類』著者。月刊誌「電気と工事(オーム社)」でコラム連載中!
本記事の消防法令、消防用設備等の技術情報および記述内容を監修・編集しています。
詳しい経歴・保有資格を見る
- 鈴鹿工業高等専門学校 材料工学科 卒
- 静岡大学工学部物質工学科 材料科学コース 卒
- 静岡大学大学院工学研究科物質工学専攻 修了
- 消防設備士:甲種特類、甲種1~5類、乙種6・7類
- 危険物取扱者:甲種、乙種1~6類、丙種
- 防火対象物点検資格者/防災管理点検資格者/甲種防火管理者
- 第二種電気工事士/工事担任者(総合通信)/第三種電気主任技術者
- 自家用発電設備専門技術者/特種電気工事資格者/職長・安全衛生責任者
- eco検定/民泊適正管理主任者/フォークリフト運転技能講習 修了
趣味:ギター、バスケットボール(全国高専大会優勝・キャプテン)
参考・出典
- 「令別表第一の改正に伴う消防法令の運用について」の一部改正について(平成22年9月16日 消防予第423号)
- 令別表第一の改正に伴う消防法令の運用について(平成15年2月21日 消防予第55号、平成22年9月16日消防予第423号改正)
- 消防法施行令別表第一(2)項ハ
- 風俗営業等の規制及び業務の適正化等に関する法律第2条第6項・風俗営業等の規制及び業務の適正化等に関する法律施行令第5条
※本記事は公表されている法令および消防庁の通知に基づく一般的な解説です。条例や運用は市町村ごとに異なる場合があります。個別の判断は所轄消防署にご確認ください。





