非常電源専用受電設備の総合点検には、機器点検には出てこない項目があります。
高圧又は特別高圧の設備に限って、開閉器及び遮断器とヒューズ類と接地を、もう一度確かめるのです。
保護継電器等も、総合点検では機器点検とは違う方法で確認します。
この記事では、消防庁の点検要領が定める総合点検の中身を、接地抵抗の区分ごとの基準値まで含めて確認します。
総合点検は、機器点検と同じことをもう一度やるだけですか。
いいえ。
高圧又は特別高圧の設備だけ、確認する項目自体が増えますよ。
接地抵抗の基準値も、設備によって違うんですか。
はい。
接地工事の種別ごとに数値が決まっています。
- 機器点検の継電器(低圧のものに限る)は端子の緩みなどを目視で確認しますが、総合点検の保護継電器等は継電器用試験器を用いて作動状況そのものを確認します
- 総合点検の開閉器及び遮断器・ヒューズ類・接地の3項目は、高圧又は特別高圧の非常電源専用受電設備だけに追加され、低圧専用の設備にはこの項目がありません
- 接地抵抗の基準値は、A種10Ω以下・B種計算値・C種10Ω以下・D種100Ω以下と接地工事の種別ごとに異なります
- 高圧又は特別高圧の開閉器及び遮断器は手動又は継電器の作動等により、ヒューズ類は目視により確認します
- 総合点検の接地は接地抵抗測定器で数値そのものを測定しますが、機器点検の接地(低圧のものに限る)は目視だけで数値は測りません
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目次
機器点検の継電器と総合点検の保護継電器等はなぜ確認の仕方が違うのか

同じ継電器なのに、確認の仕方がまったく違います。 消防用設備等の点検要領の全部改正について(平成14年消防予第172号)第23 非常電源(非常電源専用受電設備) 機器点検 高圧受電盤及び配分電盤 継電器(低圧のものに限る。) ア 端子の緩み、脱落、接点の焼損、ほこりの付着等がないこと。イ 設定値が適正であり、機能が正常であること。 総合点検 保護継電器等 点検方法 継電器用試験器を用いて確認する。判定方法 作動状況が適正であること。 機器点検の継電器は低圧のものに限り、端子の緩みや接点の焼損、ほこりの付着といった外観を目視で確かめる項目です。
一方、総合点検の保護継電器等は、継電器用試験器という専用の機器を使って、実際に模擬的な異常を与え、作動状況そのものを確認します。
外観に異常がなくても、いざというときに正しく作動するとは限りません。
だから総合点検では、見た目ではなく動きを確かめるのです。
継電器って、見た目が無事なら大丈夫じゃないんですか。
いいえ。
総合点検では試験器で実際に動かして確かめますよ。
総合点検ではなぜ高圧又は特別高圧の設備だけ項目が増えるのか

この限定には理由があります。 消防用設備等の点検の基準及び消防用設備等点検結果報告書に添付する点検票の様式を定める件(昭和50年消防庁告示第14号)別表第23 非常電源(非常電源専用受電設備)の点検の基準 2 総合点検 (4) 高圧又は特別高圧の非常電源専用受電設備 ア 開閉器及び遮断器 イ ヒューズ類 ウ 接地 機器点検のほうを見ると、開閉器及び遮断器・ヒューズ類・接地の3項目は、いずれも「低圧のものに限る」という条件付きで並んでいます。
つまり、高圧又は特別高圧の同じ機器は、そもそも機器点検では確認の対象になっていません。
その空白を埋めるのが、総合点検の(4)という項目です。
低圧専用の非常電源専用受電設備には、この(4)の項目そのものがありません。
うちは低圧だけなんですが、それでも関係ある話ですか。
低圧だけなら、この(4)の項目自体がありません。
高圧又は特別高圧の開閉器及び遮断器とヒューズ類は何で確かめるのか

変形や端子の緩みがないことに加え、開閉位置と開閉機能が正常であること、容量が負荷に対して適正であることまで見る項目です。
一方のヒューズ類は、目視だけで足ります。損傷や溶断がないか、所定の容量のものが使われているかを確かめます。
同じ(4)の中でも、実際に動かして確かめる項目と、見るだけで足りる項目が分かれています。
開閉器は実際に動かすのに、ヒューズは見るだけでいいんですか。
はい。
溶断や損傷の有無は目視で十分なんです。
接地抵抗はなぜ接地工事の種別ごとに基準値が違うのか

この表は、接地工事の種別によって基準値がまったく違います。 消防用設備等の点検要領の全部改正について(平成14年消防予第172号)第23 非常電源(非常電源専用受電設備) 総合点検 接地抵抗 第23-2表 高圧用又は特別高圧用の機械器具の鉄台及び金属製外箱 A種 10Ω以下。高圧又は特別高圧の電路と低圧電路とを結合する変圧器の低圧側の中性点 B種 計算値。高圧計器用変成器の2次側一端子 D種 100Ω以下。低圧用機械器具の鉄台及び金属製外箱のうち300Vを超えるもの C種 10Ω以下。(注2)低圧電路において、当該電路に地絡を生じた場合に0.5秒以内に自動的に電路を遮断する装置を設けるときは、500Ω以下。 A種は高圧又は特別高圧用の機械器具の鉄台や金属製外箱に使い、10Ω以下という、いちばん厳しい基準値です。
高圧又は特別高圧の電路と低圧電路を結ぶ変圧器の低圧側中性点に使うB種は、固定値ではなく1線地絡電流から計算して求めます。
低圧用の機械器具は、300Vを超えるものがC種で10Ω以下、300V以下のものはD種で100Ω以下です。ただし、電路に地絡が生じたとき0.5秒以内に自動遮断する装置があれば、D種・C種とも500Ω以下まで緩和されます。
高圧側に近い機器ほど、感電や事故の被害が大きくなるため、基準値も厳しくなるという考え方です。
A種が10Ω以下で、D種が100Ω以下というのは、覚えにくいです。
高圧側ほど厳しいと覚えておけば大丈夫です。
総合点検の接地は機器点検の接地とどう違うのか

これに対して総合点検の接地(高圧又は特別高圧)は、接地抵抗測定器を使って、実際の抵抗値そのものを測定します。
つまり、高圧又は特別高圧の接地線がきちんと機能しているかどうかの数値は、総合点検のときにしか測られません。
外観に異常がなくても、数値で見てはじめて分かることがあるという点は、保護継電器等と同じ考え方です。
低圧の接地は、数値まで測らなくていいんですか。
機器点検では目視だけで足ります。
役割がきちんと分かれているんです。
よくある質問
まとめ
機器点検と総合点検で、こんなに役割が分かれているとは知りませんでした。
接地抵抗の区分も確認してみます!
点検要領の表と突き合わせると確かです。
㈱防災屋でもご相談を承っております。
㈱防災屋 代表取締役/消防設備士
平成元年生まれ、三重県鈴鹿市出身。祖父が創業した消防設備業者で10年間勤務した後、独立・起業。現在は青木マーケ㈱、㈱防災屋、(一社)予防団の運営に携わる。Amazonベストセラー1位『改訂版 消防設備士0類』著者。月刊誌「電気と工事(オーム社)」でコラム連載中!
本記事の消防法令、消防用設備等の技術情報および記述内容を監修・編集しています。
詳しい経歴・保有資格を見る
- 鈴鹿工業高等専門学校 材料工学科 卒
- 静岡大学工学部物質工学科 材料科学コース 卒
- 静岡大学大学院工学研究科物質工学専攻 修了
- 消防設備士:甲種特類、甲種1~5類、乙種6・7類
- 危険物取扱者:甲種、乙種1~6類、丙種
- 防火対象物点検資格者/防災管理点検資格者/甲種防火管理者
- 第二種電気工事士/工事担任者(総合通信)/第三種電気主任技術者
- 自家用発電設備専門技術者/特種電気工事資格者/職長・安全衛生責任者
- eco検定/民泊適正管理主任者/フォークリフト運転技能講習 修了
趣味:ギター、バスケットボール(全国高専大会優勝・キャプテン)
参考・出典
- 消防法施行規則第31条の6
- 消防用設備等の点検の基準及び消防用設備等点検結果報告書に添付する点検票の様式を定める件(昭和50年消防庁告示第14号)別表第23 非常電源(非常電源専用受電設備)
- 消防用設備等の点検要領(消防庁通知)第23 非常電源(非常電源専用受電設備)
※本記事は公表されている法令および通知に基づく一般的な解説です。点検要領は改正されることがあります。個別の判断は、消防設備士や所轄消防署にご確認ください。





