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大阪市でキュービクルの変電設備は大型消火器で足りるのか|5つの電気設備と容量の数え方

大阪市のキュービクルの変電設備は大型消火器で足りるのかを解説する記事のアイキャッチ

ビルや工場の電気室には、変圧器を収めたキュービクルや発電機が置かれています。
国の消防法施行令第13条は、こうした電気設備のある部分の床面積が200平方メートル以上になると、不活性ガス消火設備などの設置を求めています。
大阪市消防局の消防用設備等の設置に係る運用基準は、第13章で、どの設備を対象に数えるのか、床面積をどう測るのか、どんな設備なら大型消火器で代えられるのかを定めています。
この記事では、大阪市の第13章の中で特例の条件がどの項目を指しているのかを順にたどり、堺市と東大阪市の基準とも比べます。

大阪市内のビルで防火管理者をしています。
電気室を増設する計画があり、ガスの消火設備が必要だと言われました。

大阪市の運用基準には、一定の電気設備なら大型消火器で代えられる特例があります。
ただし、対象の設備と数え方は章の中の別々の場所に書かれています。

キュービクルに入った変圧器なら、大型消火器だけでよいのですか。
変圧器は2台あって、合わせると容量が大きくなります。

容量は合計ではなく、個々の電気機器ごとに見ると書かれています。
ただし自動的に認められるものではなく、消防長又は消防署長が認めたときに使える特例です。

この記事の結論
  • 国の消防法施行令第13条は、電気設備が設置されている部分の床面積が200平方メートル以上のときに、不活性ガス消火設備、ハロゲン化物消火設備又は粉末消火設備を求めています
  • 大阪市の運用基準は第13章 第1で、対象になる電気設備の範囲と床面積の出し方を定めています
  • 第13章 第3 特例基準 1は、5つの電気設備のいずれかが設置されている部分に大型消火器を設置した場合、ガス系消火設備等を設置しないことができるとしています
  • 容量の読み方は特例基準の中ではなく、第4 その他の取扱い 2に「個々の電気機器設備単位」と書かれています
  • 堺市の審査基準にも同じ5つの電気設備が挙げられていますが、キュービクル式の床面積の出し方は大阪市と違う書き方です

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大阪市の電気設備の特例を消防法施行令から床面積の出し方と特例基準へたどる流れを示す図解

大阪市の運用基準はどの電気設備を消防法施行令第13条の対象に数えるのか

変圧器と発電機と蓄電池の箱が横に並ぶイラスト
まず、国の基準と市の運用を分けて整理します。
国の基準は、消防法施行令第13条第1項の表です。
電気設備については、表の上欄と下欄に次のように書かれています。
消防法施行令第十三条第一項の表 (防火対象物又はその部分)別表第一に掲げる防火対象物の発電機、変圧器その他これらに類する電気設備が設置されている部分で、床面積が二百平方メートル以上のもの
(消火設備)不活性ガス消火設備、ハロゲン化物消火設備又は粉末消火設備
国の条文は設備の範囲を細かく書いていません。
「その他これらに類する電気設備」にどこまで含まれるのか、何キロワットから数えるのかは、この表には書かれていません。
大阪市の運用基準は、第13章 第1の1で、この表に含まれる電気設備を次のように挙げています。
  • 燃料電池発電設備、変電設備、内燃機関を原動力とする発電設備等で、全出力が20キロワット以上のもの
  • 急速充電設備で、全出力が20キロワットを超えるもの
  • 蓄電池設備(蓄電池容量が10キロワット時以下のものなどを除く)
  • これらの電路に接続するリアクトル、電圧調整器、油入開閉器、油入コンデンサー、油入遮断器、計器用変成器等(運用基準は「電気機器類」と呼んでいます)
電気機器類からは、内部に電気機器類を含まない配電盤、分電盤又は制御盤と、冷却又は絶縁のための油類を使用せず、かつ、水素ガス等の可燃性ガスを発生するおそれのないものが除かれています。
国の条文と大阪市の運用を並べると、次のようになります。
比べる点国(消防法施行令第13条第1項の表)大阪市(第13章 第1の1)
対象の設備発電機、変圧器その他これらに類する電気設備変電設備、発電設備、燃料電池発電設備、急速充電設備、蓄電池設備と、その電路に接続する電気機器類
出力の目安書かれていない変電設備や発電設備等は全出力が20キロワット以上、急速充電設備は20キロワットを超えるもの
床面積200平方メートル以上第13章 第1の2で出し方を定めている
求められる消火設備不活性ガス消火設備、ハロゲン化物消火設備又は粉末消火設備運用基準はこの3つを「ガス系消火設備等」と呼んでいる
運用基準には、電気設備が屋外に設置され、同じ電路に接続される電気機器類だけが屋内にある場合、その電気機器類は令第13条に係る規制の対象には当たらないとも書かれています。
反対に、第4 その他の取扱いには、同じ敷地の屋外に設置された電気設備(急速充電設備を除く)にも、建物に設置されているものとみなして規定を適用することが「望ましい」と書かれています。
こちらは行政指導を示す◆印が付いた項目です。
まずは、電気室にある設備の種類と全出力を、単線結線図や銘板で書き出しておきましょう。

国の条文には、何キロワットからという数字がないのですね。
うちの変電設備が対象かどうかは、市の基準で確かめるわけですか。

はい、大阪市は変電設備や発電設備等を全出力20キロワット以上と書いています。
まずは設備の種類と全出力を書き出しましょう。

電気設備のある部分の床面積200平方メートルは大阪市でどう測るのか

床に置かれた変圧器の周りを帯が囲み奥に壁が立つイラスト
次に、200平方メートルの測り方です。
電気室の床面積をそのまま使うとは限りません。
運用基準は、屋内に設置する場合の床面積を、次の2つのうち小さい方の面積としています。
大阪市「消防用設備等の設置に係る運用基準」第13章 電気設備及び火気使用設備に係る消火設備 第1の2(1) ア 不燃材料の壁、床、天井又は防火戸(随時開くことができる自動閉鎖装置付のもの又は随時閉鎖することができ、かつ、煙感知器(規則第23条第4項第1号ニに規定する部分にあっては、規則第23条第6項第1号に定める熱感知器)の作動と連動して閉鎖することができるものに限る。)で区画された部分の面積
イ 電気設備がすえ付けられた部分の、当該電気設備の水平投影面の周囲に、水平距離5メートルの線で囲まれた部分の面積(同一の室内に電気設備が2以上設置されている場合はその合計面積(電気設備が近接して存する場合で、水平距離5メートルの線で囲まれた部分が重複するときは、当該重複した部分の面積は重複加算しない。)をいう。)
区画と周囲の線の小さい方で測ります。
アは、不燃材料の壁や防火戸で区画された部屋の面積です。
イは、設備を真上から見た形の周りに、水平距離5メートルの線を引いて囲んだ面積です。
同じ室内に電気設備が2つ以上あるときは、イの面積を合計し、重なった部分は二重に数えません。
さらに、ただし書があります。
電気設備を設置する部分の床と天井が不燃材料で造られていて、設備から水平距離5メートル未満のところに不燃材料で造られた延焼防止上有効な壁などがあるときは、その壁までの部分の面積とすることができます。
屋上に設置する場合は、区画の考え方はなく、周囲5メートルの線で囲まれた部分の面積です。
測り方を整理すると、次のとおりです。
設置する場所床面積の出し方書かれている場所
屋内不燃材料の壁等で区画された部分の面積と、設備の周囲に水平距離5メートルの線で囲まれた部分の面積のうち、小さい方第1の2(1)
屋内で5メートル未満に不燃材料の壁等がある床と天井が不燃材料なら、その壁等までの部分の面積とすることができる第1の2(1)ただし書
屋上設備の周囲に水平距離5メートルの線で囲まれた部分の面積(5メートル未満に壁等があればその壁等まで)第1の2(2)
この床面積の出し方は、令第13条だけのものではありません。
運用基準は、消防法施行規則第6条第4項の「電気設備がある場所」の床面積も、同じ項目で求めるとしています。
消火器の追加を判断するときにも、同じ測り方を使うということです。
電気室の平面図に、区画の壁と、設備の周りの5メートルの線を書き込んで、どちらが小さいかを確かめてみましょう。

設備が小さくても、周りに5メートルの線を引くと広くなりますね。
部屋の壁が不燃材料なら、部屋の面積と比べてよいのですか。

はい、区画された面積と小さい方を使うと書かれています。
平面図に線を書き込んで確かめましょう。

キュービクルに収納された電気設備はなぜ大型消火器で足りるのか

閉じた鋼板製のキュービクルの横に車輪の付いた大型消火器が置かれたイラスト
床面積が200平方メートル以上になった場合でも、ガス系消火設備等を設置しないことができる場合があります。
国の基準の側で使えるのは、次の消防法施行令第32条です。
消防法施行令第三十二条 この節の規定は、消防用設備等について、消防長又は消防署長が、防火対象物の位置、構造又は設備の状況から判断して、この節の規定による消防用設備等の基準によらなくとも、火災の発生又は延焼のおそれが著しく少なく、かつ、火災等の災害による被害を最少限度に止めることができると認めるときにおいては、適用しない。
この条文は判断の枠だけを定めていて、どんな電気設備なら認められるのかは書かれていません。
大阪市の運用基準は、第13章 第3 特例基準で、この条文を使える場合を挙げています。
大阪市「消防用設備等の設置に係る運用基準」第13章 電気設備及び火気使用設備に係る消火設備 第3 特例基準 電気設備又は火気使用設備が設置されている部分のうち、次の各項に該当するものについては、令第32条又は条例第47条の規定を適用し、それぞれ当該各項に定めるところにより取り扱うものであること
1 次のいずれかに該当する電気設備が設置されている部分に、大型消火器を令第10条第2項、規則第7条第1項及び第9条の規定の例により設置した場合は、ガス系消火設備等を設置しないことができる。なお、この場合に設置した大型消火器は、令第10条第1項又は条例第38条第1項の規定により設置を要する消火器具の減免の対象にはできない(2、4及び5において同じ。)。
(1) 密封方式の電気設備(封じ切り方式又は窒素封入式の電気設備であって、内部に開閉接点を有しない構造のものに限る。)で、絶縁劣化、アーク等による発火危険のおそれが少なく、かつ、当該電気設備の容量が15,000キロボルトアンペア未満のもの
(2) 1,000キロボルトアンペア未満の容量の電気設備
(3) 密封方式のOFケーブル油槽
(4) 自家発電設備の基準(昭和48年消防庁告示第1号)、蓄電池設備の基準(昭和48年消防庁告示第2号)又はキュービクル式非常電源専用受電設備の基準(昭和50年消防庁告示第7号)に適合する構造のキュービクルに収納されている電気設備
(5) 発電機又は変圧器のうち、冷却又は絶縁のための油類を使用せず、かつ、水素ガス等の可燃性ガスを発生するおそれのないもの
対象は(1)から(5)までの5つです。
キュービクルは(4)に当たりますが、どんな箱でもよいわけではありません。
条件は、3つの消防庁告示のいずれかに適合する構造のキュービクルに収納されていることです。
大型消火器の置き方も、項目の中で国の条文を指しています。
指している条文書かれている内容
消防法施行令第10条第2項消火に適応する消火器具を設置すること、通行又は避難に支障がなく、使用に際して容易に持ち出すことができる箇所に設置すること
消防法施行規則第7条第1項大型消火器を、各部分から一の大型消火器に至る歩行距離が30メートル以下となるように設けること
消防法施行規則第9条床面からの高さが1.5メートル以下の箇所に設けること、標識を見やすい位置に設けることなど
規則第7条第1項は、もともと指定可燃物を大量に貯蔵し、又は取り扱う場所についての条文です。
運用基準は、その「規定の例により」大型消火器を設置するとしています。
もう1つ、なお書きにも注意が必要です。
この特例で置いた大型消火器は、建物に必要な消火器具の減免の対象にはできないと書かれています。
大型消火器を置いたからといって、電気室のふつうの消火器を減らせるわけではありません。
キュービクルが告示に適合する構造かどうかは、仕様書や銘板、メーカーの資料で確かめておきましょう。

キュービクルなら何でもよいわけではないのですね。
うちの設備が告示に適合しているか、すぐには分かりません。

条件は告示に適合する構造のキュービクルに収納されていることです。
まずは仕様書や銘板で確かめましょう。

1,000キロボルトアンペア未満は合計で数えるのか個々に数えるのか

同じ形の変圧器が2台並び手前に車輪の付いた大型消火器が置かれたイラスト
特例基準 1の(2)は「1,000キロボルトアンペア未満の容量の電気設備」としか書いていません。
変圧器が2台あるとき、合計で見るのか、1台ずつ見るのかは、この項目だけでは分かりません。
答えは、同じ章の第4 その他の取扱いに書かれています。
大阪市「消防用設備等の設置に係る運用基準」第13章 電気設備及び火気使用設備に係る消火設備 第4 その他の取扱い 2 第3.1.(1)及び(2)に掲げる電気設備の容量は、個々の電気機器設備単位をいうものであること。従って、例えば900キロボルトアンペアの容量の電気機器が同一の場所に2以上設置される場合であっても、第3.1のうち(2)に係るものについて適用することができる。なお、第3.1に掲げる電気設備と他の電気設備が同一の場所に設置されている場合は、当該規定を適用することはできない。
容量は個々の機器ごとに見ます。
900キロボルトアンペアの機器が2台あっても、(2)を適用することができると書かれています。
一方で、なお書きには反対向きの制限があります。
特例基準 1の電気設備と、それ以外の電気設備が同じ場所にあるときは、特例基準 1を適用することはできないという内容です。
たとえば、1,000キロボルトアンペア以上の変圧器が1台でも同じ場所にあり、それが(1)から(5)までのどれにも当たらなければ、ほかの設備が小さくても特例基準 1は使えないことになります。
その場合に読むのが、特例基準 2です。
大阪市「消防用設備等の設置に係る運用基準」第13章 電気設備及び火気使用設備に係る消火設備 第3 特例基準 2 同一の室内に電気設備が2以上設置されている場合で、1の電気設備を設置している部分の床面積が200平方メートル未満であり、かつ、当該電気設備と他の電気設備との水平距離が10メートルを超えるときは、当該電気設備を設置している部分に大型消火器を令第10条第2項、規則第7条第1項及び第9条の規定の例により設置した場合は、ガス系消火設備等を設置しないことができる。
ここに出てくる「1の電気設備を設置している部分の床面積」の測り方も、項目の中にはありません。
第4 その他の取扱い 7が、周囲に水平距離5メートルの線で囲まれた部分の面積とすると定め、壁等がある場合は第1の2(1)ただし書を指しています。
第4の7には、特例基準 2は令第13条の規定によりガス系消火設備等の設置が必要となる電気設備に対して適用できる、とも書かれています。
第13章の中で、項目がどこを指しているのかを順に並べると、次のとおりです。
  1. 消防法施行令第13条第1項の表を読み、電気設備が設置されている部分で床面積が200平方メートル以上のものが対象になることを確かめる
  2. 運用基準の第13章 第1の1を開き、自分の設備が「発電機、変圧器その他これらに類する電気設備」に含まれるかを、設備の種類と全出力で確かめる
  3. 第1の2を開き、区画された部分の面積と、周囲に水平距離5メートルの線で囲まれた部分の面積を出して、小さい方が200平方メートル以上かを確かめる
  4. 200平方メートル以上なら、第3 特例基準 1を開き、(1)から(5)までのどれかに当たる電気設備かを確かめる
  5. 第4 その他の取扱い 2を開き、容量を個々の電気機器ごとに見ることと、(1)から(5)までに当たらない電気設備が同じ場所にないことを確かめる
  6. 同じ場所にほかの電気設備があるときは、第3 特例基準 2と第4 その他の取扱い 7を開き、1の電気設備の部分が200平方メートル未満で、ほかの電気設備との水平距離が10メートルを超えるかを確かめる
  7. 大型消火器の置き方を、消防法施行令第10条第2項、消防法施行規則第7条第1項、第9条で確かめる
  8. 特例基準の柱書に戻り、「令第32条又は条例第47条の規定を適用」と書かれていること、認めるかどうかを判断するのが消防長又は消防署長であることを確かめる
大阪市には、令第13条のほかに、もう1つの設置の根拠があります。
運用基準は、大阪市火災予防条例第41条第1項の表の文言として「全出力1,000キロワット以上の燃料電池発電設備、変電設備、急速充電設備又は内燃機関を原動力とする発電設備のある場所」を引用しています。
この全出力の数え方は、容量の読み方とは別に定められています。
比べる点特例基準 1の(1)(2)の容量条例第41条第1項の表の変電設備の全出力
単位キロボルトアンペアキロワット
数え方個々の電気機器設備単位電気的に最も引き込み口に近い位置にある変圧器の定格容量(キロボルトアンペア)の和に定数(0.8)を乗じて得た値と推定する
書かれている場所第4 その他の取扱い 2第1の5
一方は個々に、もう一方は和で数える書き方です。
条例第41条の原文はこの記事では確認していないため、ここでは運用基準に引用されている範囲だけを紹介しています。
条例第41条だけに当たる設備に特例をどう当てはめるかは、所轄の消防署に確かめてください。
まずは、同じ場所にある電気設備を1台ずつ、容量と(1)から(5)までのどれに当たるかの一覧にしておきましょう。

容量は1台ずつ見るのに、同じ場所に対象外の設備があると使えないのですね。
特例基準だけを読んでいたら気づきませんでした。

はい、どちらも第4 その他の取扱いに書かれています。
設備を1台ずつ一覧にして確かめましょう。

堺市や東大阪市では電気設備の特例がどう書かれているのか

3つの庁舎の前に同じ大きさのキュービクルが1つずつ置かれたイラスト
最後に、近隣の堺市と東大阪市が公開している基準と比べます。
堺市消防局の「堺市消防同意・消防用設備等審査基準」では、同じ趣旨の項目が不活性ガス消火設備の節に置かれています。
堺市消防局「堺市消防同意・消防用設備等審査基準」第7 不活性ガス消火設備 Ⅱ 細目 8 特例適用基準 (3) 次のいずれかが設置されている部分に大型消火器を設置した場合は、不活性ガス消火設備を設置しないことができる。
ア 密封方式の電気設備(封じ切り方式又は窒素封入方式の電気設備であって、内部に開閉接点を有しない構造のものに限る。)で、絶縁劣化、アーク等による発火危険のおそれが少なく、かつ、当該電気設備の容量が15,000KVA未満のもの
イ 1,000KVA未満の容量の電気設備
ウ 密封方式のOFケーブル油槽
エ 「自家発電設備の基準(昭和48年消防庁告示第1号)」、「蓄電池設備の基準(昭和48年消防庁告示第2号)」又は「キュービクル式非常電源専用受電設備の基準(昭和50年消防庁告示第7号)」に適合する構造のキュービクルに収納されている電気設備
オ 発電機、変圧器のうち、冷却又は絶縁のための油類を使用せず、かつ、水素ガス等可燃性ガスを発生するおそれのないもの
挙げられている5つの設備は両市でほぼ同じ文面です。
違いが出るのは、床面積の出し方です。
堺市の審査基準は、床面積の節で、周囲5メートルの範囲について次のように書いています。
堺市消防局「堺市消防同意・消防用設備等審査基準」第4 床面積、階及び高さの取扱い 1(2)カ (イ) 水平投影による部分の場合(第4-6図参照)
電気設備又は鍛造場等が設置される部分の当該機器が据え付けられた部分の水平投影面の周囲に水平距離5mまでの範囲の部分(以下この項において「水平投影による部分」という。)の床面積とし、水平投影による部分は、次によること。
ただし、キュービクル式の電気設備にあっては、当該機器が据え付けられた部分とすること。
堺市では、キュービクル式の電気設備は、周囲の5メートルを足さずに、据え付けられた部分だけを床面積とする書き方です。
大阪市の第13章 第1の2には、キュービクル式を別に扱うただし書がありません。
各市の公開資料で確認できた範囲を並べると、次のとおりです。
比べる点大阪市堺市東大阪市
特例が書かれている場所第13章 第3 特例基準 1第7 不活性ガス消火設備 Ⅱ 細目 8 特例適用基準(3)公開されている6つの運用基準に含まれていないため確認できない
対象の電気設備(1)から(5)までの5つアからオまでの5つ。文面は大阪市とほぼ同じ確認できない
設置しないことができる設備ガス系消火設備等(不活性ガス消火設備、ハロゲン化物消火設備又は粉末消火設備)不活性ガス消火設備確認できない
容量の読み方個々の電気機器設備単位(第4 その他の取扱い 2)特例適用基準(3)の中には書かれていない確認できない
屋内の床面積の出し方区画された部分の面積と、周囲に水平距離5メートルの線で囲まれた部分の面積のうち小さい方不燃区画された部分の床面積、又は周囲に水平距離5メートルまでの範囲の部分の床面積。キュービクル式は据え付けられた部分確認できない
大型消火器の置き方令第10条第2項、規則第7条第1項及び第9条の規定の例による特例適用基準(3)の中には書かれていない確認できない
堺市の特例適用基準(3)の中には、900キロボルトアンペアが2台という例や、ほかの電気設備と同じ場所にある場合の扱いは書かれていません。
書かれていないことは、大阪市と同じ扱いになるという意味でも、違う扱いになるという意味でもありません。
東大阪市が公開している運用基準は、消火器具、自動火災報知設備、避難器具、誘導灯、非常コンセント設備、連結送水管の6つで、令第13条の電気設備についての基準は公開されていません。
このほか、堺市の審査基準に掲載されている堺市火災予防条例第64条は、全出力500キロワット以上の高圧変電設備のある場所などに、大型消火器を歩行距離30メートル以下となるように設けることを定めています。
これは特例で置く大型消火器とは別の、条例による設置の基準です。
複数の市に建物があるときは、同じキュービクルでも床面積の出し方から変わることがあるので、建物ごとに管轄の消防署で確かめ直してください。

つまり、同じキュービクルでも、市によって床面積の出し方が違うことがあるのですね。

はい、堺市はキュービクル式を据え付けられた部分で測ると書いています。
建物ごとに管轄の消防署で確かめるのが確実です。

よくある質問

Q大阪市でキュービクルに収納された変電設備なら、ガス系消火設備等は必ず不要になりますか?
A必ず不要になるわけではありません。条件は、消防庁告示に適合する構造のキュービクルに収納されていることと、大型消火器を設置することです。そのうえで、消防法施行令第32条により消防長又は消防署長が認めたときに、設置しないことができます。
Q900キロボルトアンペアの変圧器が2台あると、合計で1,000キロボルトアンペア以上になり特例は使えませんか?
A大阪市の運用基準は、容量を個々の電気機器設備単位で見るとしています。900キロボルトアンペアの機器が同じ場所に2以上あっても、特例基準 1の(2)を適用することができると書かれています。
Q特例で大型消火器を置けば、電気室のふつうの消火器は減らせますか?
A減らせません。大阪市の特例基準 1のなお書きに、この場合に設置した大型消火器は消火器具の減免の対象にはできないと書かれています。建物に必要な消火器具は、別に数えて設置します。
Q堺市でも同じ特例は使えますか?
A堺市の審査基準にも、同じ5つの電気設備を挙げた項目があります。ただし、置かれているのは不活性ガス消火設備の節で、床面積はキュービクル式なら据え付けられた部分で測ると書かれています。細かい扱いは管轄の消防署に確かめてください。

まとめ

✔消防法施行令第13条は、電気設備が設置されている部分の床面積が200平方メートル以上のときに、ガス系の消火設備を求めています
✔大阪市の運用基準は、第13章 第1で対象の電気設備と床面積の出し方を定めています
✔屋内の床面積は、区画された部分の面積と、周囲に水平距離5メートルの線で囲まれた部分の面積の小さい方です
✔第3 特例基準 1は、5つの電気設備のいずれかの部分に大型消火器を設置した場合の特例です
✔容量は個々の電気機器ごとに見ますが、対象外の電気設備が同じ場所にあると特例基準 1は適用できません
✔特例で置いた大型消火器は、消火器具の減免の対象にはできません
✔堺市にも同じ5つの設備の項目があり、キュービクル式の床面積の出し方は大阪市と違う書き方です

特例の条件と容量の読み方が、章の中の別々の場所にあると分かってすっきりしました。
まずは電気室の設備を1台ずつ一覧にしてみます!

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監修・編集者
青木 俊輔
青木 俊輔

㈱防災屋 代表取締役/消防設備士

平成元年生まれ、三重県鈴鹿市出身。祖父が創業した消防設備業者で10年間勤務した後、独立・起業。現在は青木マーケ㈱、㈱防災屋、(一社)予防団の運営に携わる。Amazonベストセラー1位『改訂版 消防設備士0類』著者。月刊誌「電気と工事(オーム社)」でコラム連載中!

本記事の消防法令、消防用設備等の技術情報および記述内容を監修・編集しています。

詳しい経歴・保有資格を見る
学歴
  • 鈴鹿工業高等専門学校 材料工学科 卒
  • 静岡大学工学部物質工学科 材料科学コース 卒
  • 静岡大学大学院工学研究科物質工学専攻 修了
保有資格
  • 消防設備士:甲種特類、甲種1~5類、乙種6・7類
  • 危険物取扱者:甲種、乙種1~6類、丙種
  • 防火対象物点検資格者/防災管理点検資格者/甲種防火管理者
  • 第二種電気工事士/工事担任者(総合通信)/第三種電気主任技術者
  • 自家用発電設備専門技術者/特種電気工事資格者/職長・安全衛生責任者
  • eco検定/民泊適正管理主任者/フォークリフト運転技能講習 修了

趣味:ギター、バスケットボール(全国高専大会優勝・キャプテン)

主な活動

参考・出典

  • 大阪市消防局「消防用設備等の設置に係る運用基準」第13章 電気設備及び火気使用設備に係る消火設備 第1 電気設備が設置されている部分に関する基準 1、2、3、5、第3 特例基準 1、2、第4 その他の取扱い 2、6、7 https://www.city.osaka.lg.jp/shobo/page/0000350878.html
  • 堺市消防局「堺市消防同意・消防用設備等審査基準」第7 不活性ガス消火設備 Ⅱ 細目 8 特例適用基準(3)、第4 床面積、階及び高さの取扱い 1(2)カ、堺市火災予防条例第64条の解説及び運用 https://www.city.sakai.lg.jp/kurashi/bosai/shobo/shokai/reiki/kijyun/index.html
  • 東大阪市「消防用設備等の設置に係る運用基準」(公開されている6つの運用基準) https://www.city.higashiosaka.lg.jp/0000041303.html
  • 消防法施行令第10条第2項、第13条第1項、第32条
  • 消防法施行規則第7条第1項、第9条

※本記事は公表されている法令および各市消防局の公開資料に基づく一般的な解説です。運用基準は改正されることがあるため、最新の内容は管轄の消防署・消防局で確認してください。特例を使えるかどうかの個別の判断は、所轄消防署にご確認ください。

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