平成5年に新しい計量法が施行され、タンクローリー(移動タンク貯蔵所)に取り付けられた燃料油メーターにも、定期的な検定が義務付けられました。
ところが実際に検定を受けようとすると、検定作業そのものが危険物の取扱いに当たるという、思いがけない論点が出てきます。
消防庁はこれを受けて、検定作業で扱う危険物の量に応じた手続きと、現場で講じるべき安全対策を通知で示しました。
今回は、その手続きの分かれ方と、見落としやすい数量の数え方について解説します。
タンクローリーの燃料油メーターの検定で、業者さんから消防署への相談が必要と言われたんですけど、何の話ですか。
平成5年の新計量法で燃料油メーターにも定期検定が義務付けられ、その検定作業自体が危険物の取扱いにあたるんですよ。
え、ただ機械の検査をするだけなのに、消防法までかかわってくるんですか。
はい、検定のために危険物を移し替える作業があるので、扱う量に応じた手続きが通知で示されているんです。
- 消防危第64号で、移動タンク貯蔵所等に取り付けられた燃料油メーターの検定作業等に対する消防法上の取扱いが示されました。
- 対象は大型車載燃料油メーターと定置燃料油メーターの検定作業、及び検定のための事前作業です。
- 扱う危険物の量によって、条例の届出・仮取扱いの承認・一般取扱所の許可のいずれかが必要になります。
- 同じ場所で複数台を検定する場合、危険物の取扱数量は車両ごとに合算して数えます。
- 検定を行う場所には柵・掲示板・接地・消火器等の安全対策を講じます。
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目次
タンクローリーの燃料油メーターはなぜ消防法の手続きが必要になったのか

この状況を変えたのが、平成5年に施行された新しい計量法です。
改正後は5年に1度の検定が必要になり、検定印証には有効期間の満了年月まで記すことになりました。
旧計量法のもとで検定済みの表示しかない燃料油メーターは、平成10年10月31日までに新計量法の検定を受け直す必要がありました。
検定そのものは計量法の制度ですが、その作業の現場では危険物である燃料油を実際に移し替えるため、消防法側の整理も必要になったのです。
これが、消防庁が今回の通知を出した理由です。
計量法の検定と消防法の手続きが、同じ作業でつながってるとは思いませんでした。
検定のために危険物を動かすからこそ、消防法の論点が出てくるんです、次で対象を確認しましょう。
どのメーターとどの作業が対象になるのか

自分の施設がどちらに当たるのかを、まず確認しておきましょう。
ひとつは大型車載燃料油メーターで、タンクローリーなど移動タンク貯蔵所の車両に直接取り付けられています。
もうひとつは定置燃料油メーターで、据え置き型の設備として使われるものです。
検定の方法も、注油ノズルから危険物を基準タンクへ注入して比較する基準タンク方式と、メーターの出口を基準メーターユニットにつないで循環させる基準メーター方式の2通りが示されています。
どちらの方式でも、検定のための事前作業を含めて「検定作業等」として同じ手続きの対象になります。
うちはタンクローリーに付いているメーターだけなんですけど、それでも対象になりますか。
はい、大型車載燃料油メーターはまさに今回の通知の対象ですので、検定前に消防署へ相談しておきましょう。
検定作業で扱う危険物の量はどの手続きで分かれるのか

検定作業等で扱う危険物の量によって、必要な手続きが段階的に変わります。
指定数量の5分の1未満であれば、特別な手続きは要りません。
指定数量の5分の1以上で指定数量未満になると、火災予防条例に基づく届出が必要です。
指定数量以上を一時的に扱う検定作業等は、消防法第10条第1項ただし書の仮取扱いの承認が必要になり、同じ場所で恒常的に行う場合は一般取扱所の許可が必要です。
検定作業等を始める前に、まず扱う量がどの段階に当たるかを確認することが欠かせません。
検定だけなのに、許可まで要ることもあるんですね。
はい、恒常的に行う場合は一般取扱所の許可が必要なので、頻度もあわせて確認しておきたいですね。
複数台を同時に検定するときの数量はどう数えるのか

ここで数量の数え方を誤ると、必要な手続きの段階を見誤ってしまいます。
たとえば1台あたりの取扱量が指定数量の5分の1未満でも、同じ場所で同じ日に検定作業等を行う車両が複数あれば、各車両の取扱数量を合算した数字で手続きの段階を判断します。
車両1台当たりの取扱数量そのものも、循環する装置に対する算定方法に準じて計算することとされており、単純にメーターを通過した量だけで見るわけではありません。
「少ないから大丈夫」と車両ごとに安心していると、合計では届出や承認が必要な段階に達していることがあります。
同じ場所で複数台をまとめて検定する予定があるときは、事前に合計の取扱量を計算しておきましょう。
車両ごとなら余裕があるから大丈夫だと思ってました。
同じ場所でまとめて検定するなら合算になるので、台数が多い日は要注意ですよ。
検定作業の前に現場は何を確認すればよいのか

通知は、仮取扱いの承認を受ける場合と条例の届出で行う場合、それぞれに求める対策を示しています。
仮取扱いの承認を受ける場合は、周囲に十分な空地を確保したうえで柵等を設けて立入りを制限し、車両と基準タンク等を接地します。
検定に使うホースには静電気を除去する装置を付け、「検定作業中」「火気厳禁」に加えて危険物の類・品名・最大数量を示す掲示板を設置し、漏えい時の流出防止措置と第5種の消火器も用意します。
火災予防条例に基づく届出で行う場合は、柵等の設置と接地の2点が最低限の対策として求められています。
いずれの場合も、検定作業等を計画した時点で早めに所轄の消防機関に相談しておくと、当日の手続き漏れを防げます。
検定の日程が決まったら、まず消防署に連絡すればいいんですね。
そのとおりです、台数と量を伝えて相談すれば、必要な手続きと対策を一緒に確認できますよ。
よくある質問
まとめ
次に検定の予定が入ったら、量を計算してから消防署に相談してみます!
ぜひそうしてください、手続きの確認も含めて㈱防災屋でもご相談を承っております。
㈱防災屋 代表取締役/消防設備士
平成元年生まれ、三重県鈴鹿市出身。祖父が創業した消防設備業者で10年間勤務した後、独立・起業。現在は青木マーケ㈱、㈱防災屋、(一社)予防団の運営に携わる。Amazonベストセラー1位『改訂版 消防設備士0類』著者。月刊誌「電気と工事(オーム社)」でコラム連載中!
本記事の消防法令、消防用設備等の技術情報および記述内容を監修・編集しています。
詳しい経歴・保有資格を見る
- 鈴鹿工業高等専門学校 材料工学科 卒
- 静岡大学工学部物質工学科 材料科学コース 卒
- 静岡大学大学院工学研究科物質工学専攻 修了
- 消防設備士:甲種特類、甲種1~5類、乙種6・7類
- 危険物取扱者:甲種、乙種1~6類、丙種
- 防火対象物点検資格者/防災管理点検資格者/甲種防火管理者
- 第二種電気工事士/工事担任者(総合通信)/第三種電気主任技術者
- 自家用発電設備専門技術者/特種電気工事資格者/職長・安全衛生責任者
- eco検定/民泊適正管理主任者/フォークリフト運転技能講習 修了
趣味:ギター、バスケットボール(全国高専大会優勝・キャプテン)
参考・出典
- 消防庁「消防危第64号」通知(平成8年5月15日)
- 消防法第10条第1項
※本記事は公表されている法令および消防庁の通知に基づく一般的な解説です。条例や運用は市町村ごとに異なる場合があります。個別の判断は所轄消防署にご確認ください。





