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給湯器の煙突は厨房ダクトに直結してよいのか|油脂火災を防ぐ評定品と接続方法の基準を解説

給湯器の煙突が厨房ダクトに直結された商業厨房の写真

火災予防条例(例)では、厨房設備に附属する排気ダクトを、他の用途のダクトや煙突と接続してはならないとされています。
厨房ダクトには油を含んだ蒸気が通っているため、ここに給湯器やボイラーの煙突をつなぐと、油脂が機器の内部に垂れてダクト火災の原因になるからです。
ところが既存の建物では別に煙突を設けるのが難しく、実際に給湯設備の煙突が厨房ダクトに接続されている例が見られました。
消防庁はこれを受けて、専用の評定を受けた機器に限り直結を認める特例を通知で示しました。今回は、その対象と接続の条件について解説します。

うちの給湯器、煙突が厨房の換気ダクトにつながっているみたいなんですけど、これって大丈夫なんですか。

実は厨房ダクトは、原則として他の設備のダクトや煙突とは接続してはいけないんですよ。

え、うちの建物、別に煙突を設けるスペースがなくてこうなったみたいなんですが。

条件を満たした専用の評定品なら、特例で直結が認められているんです、詳しく見ていきましょう。

この記事の結論
  • 消防予第149号で、厨房ダクトへ給湯設備の煙突を直結させる場合の条件が示されました。
  • 対象はガス機器防火性能評定委員会の評定を受けた厨房ダクト直結半密閉式給湯湯沸設備等だけです。
  • 評定を受けていない給湯器の煙突は、厨房ダクトに接続できません。
  • 接続には油脂の流入を防ぐ仕切りと、気密なフランジ接続が必要です。
  • 既存設備で評定品でない接続が見つかったら、屋外への直接排気への変更等が指導の対象になります。

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厨房ダクトへの給湯器煙突の直結条件をまとめた図解

厨房ダクトはなぜ他の設備と共用できないのか

厨房の換気ダクトと別棟の給湯設備の煙突を示すイラスト
調理で発生する油を含んだ蒸気は、厨房専用の排気ダクトを通って屋外へ流れていきます。
このダクトに別の設備の煙突をつなぐと、何が起きるのでしょうか。
火災予防条例(例)第3条の4第1項第1号ホ 排気ダクトは、直接屋外に通ずるものとし、他の用途のダクト等と接続しないこと。
厨房設備に附属する排気ダクト(以下「厨房ダクト」という。)に給湯湯沸設備等の煙突を接続すれば、厨房ダクトからこれらの機器内に油脂等が滴下することによりダクト火災になる場合がある。(火災予防条例準則の運用について 平成7年6月30日 消防予第149号)
厨房ダクトは、原則として他の設備と共用できません。
厨房ダクトの中には調理で生じる油を含んだ蒸気が流れており、ここに給湯器やボイラーの煙突をつなぐと、油脂がその機器の内部へ垂れ落ちてしまいます。
これがダクト火災の原因になるため、火災予防条例(例)は厨房ダクトを直接屋外に通ずるものとし、他の用途のダクト等と接続しないことを基準としています。
一方で既存の建物では、別に煙突を設けるスペースが取れず、実際には給湯設備の煙突が厨房ダクトに接続されている例が見つかることがありました。
そこで消防庁は平成7年、一定の条件を満たす機器に限って直結を認める特例を通知で示しました。

てっきり同じ建物のダクトなら、まとめてしまってもいいものだと思っていました。

いえ、油脂が垂れ込む危険があるので原則は別々です、どんな設備なら例外になるのか見てみましょう。

どんな給湯設備なら厨房ダクトに直結できるのか

評定表示が付いた給湯設備のイラスト
特例が認められるのは、どんな給湯設備でもよいわけではありません。
対象になる機器の種類と、見分け方を確認しましょう。
準則別表第3及び第4に掲げる気体燃料を使用する半密閉式給湯湯沸設備、半密閉式ボイラー及び半密閉式簡易湯沸設備(以下「半密閉式給湯湯沸設備等」という。)のうち、ガス機器防火性能評定委員会(事務局:財団法人日本ガス機器検査協会)において、新しい設置形態の燃焼機器として厨房ダクトに直結することについて評定がなされたものであること。(火災予防条例準則の運用について 平成7年6月30日 消防予第149号)
対象はガスを使う半密閉式の給湯設備で、しかも評定を受けたものだけです。
半密閉式給湯湯沸設備・半密閉式ボイラー・半密閉式簡易湯沸設備のうち、気体燃料(ガス)を使用するものが対象になります。
ただし対象の種類に当てはまるだけでは足りません。ガス機器防火性能評定委員会(事務局:日本ガス機器検査協会)で、厨房ダクトに直結する新しい設置形態として個別に評定を受けた機種に限られます。
評定を受けた機器には「ダクトに直結して使用することを条件として評定したものである」旨の表示が付けられ、現場ではこの表示の有無で見分けます。
評定表示のない一般的な給湯器の煙突を厨房ダクトにつなぐことは、今も認められていません。

うちの給湯器、そういう表示が付いているか見たことがなかったです。

評定委員会の表示があるかどうかが分かれ目なので、まず本体を確認してみてください。

直結を認める条件は何を求めているのか

仕切板とフランジ接続を示すイラスト
評定を受けた機器であっても、設置の仕方まで条件が決まっています。
大きく分けると、油脂の流入を防ぐ措置と、接続そのものの施工基準の2つです。
油脂を含む蒸気を発生させるおそれのある厨房設備と同一室内に厨房ダクト直結半密閉式給湯湯沸設備等を設ける場合は、油脂等を含む蒸気が厨房ダクト直結半密閉式給湯湯沸設備等内に流入しないような措置を講ずること。厨房ダクト直結半密閉式給湯湯沸設備等の煙突を、油脂の発生するおそれのある厨房設備に附属する厨房ダクトに接続する場合は、厨房ダクトから当該煙突を通じて厨房ダクト直結半密閉式給湯湯沸設備等に油脂等が滴下しないよう有効な措置を講ずること。(火災予防条例準則の運用について 平成7年6月30日 消防予第149号)
油脂を遮る措置と、気密な接続の両方がそろって初めて認められます。
油を使う厨房設備と同じ部屋に評定品を置く場合は、仕切板などを設けて油脂を含んだ蒸気が給湯設備側へ流れ込まないようにします。
煙突を厨房ダクトへつなぐ接続部分も、フランジ接続等で隙間のないよう気密に施工し、ダクトへの突き出しをおよそ15〜20ミリメートルにそろえることとされています。
側面に接続する場合はダクトの中心より高い位置に下がり勾配を付けずに取り付け、底面に接続する場合はダクトの底がたわまないよう注意します。
これらを満たして初めて、準則第17条の3の基準の特例として扱われます。

仕切板の大きさにも決まりがあるんですか。

はい、仕切板の幅は給湯設備本体の幅以上にする、という目安が示されていますよ。

実務で見落としやすいのはどこか

評定表示のない給湯設備の煙突が厨房ダクトに接続されたイラスト
特例の存在が分かっても、現場ではうっかり見落としがちな点があります。
既存の設備を点検するときに、特に注意したい点を確認しましょう。
条例施行の際、既に設置されている厨房設備に附属する排気ダクト及び天蓋において、準則第3条の4第1項第2号ホの規定に適合しないものは、なお従前の例によることとされているところであるが、既存対象物で半密閉式給湯湯沸設備等の煙突を直接屋外に排気せず厨房ダクトに接続している場合においても、関係者の理解を得て直接屋外に排気するか又は前第2による措置を講じるよう指導すること。(火災予防条例準則の運用について 平成7年6月30日 消防予第149号)
評定表示のない接続は、見つけ次第いずれかの是正が必要です。
既存の建物で、評定を受けていない普通の給湯器の煙突が厨房ダクトに直接つながっているケースが実務で見つかることがあります。
こうした設備は、直接屋外へ排気する構造に改めるか、評定品と同じ油脂流入防止・気密接続の措置を講じるよう指導の対象になります。
評定品を使っていても油断はできません。煙突の内部に油脂がたまったまま放置すれば、ダクト火災のリスクは残ります。
加えて煙突の構造は建築基準法施行令第20条の4の規定にも適合している必要があり、消防設備としての基準だけで完結しない点も見落としやすいところです。

評定品に交換すれば、もう何もしなくていいんですよね。

いえ、煙突内部の清掃など維持管理は別に必要ですよ、次でまとめて確認しましょう。

明日から何を確認すればよいのか

チェックリストと評定表示を確認するイラスト
最後に、実際の建物で確認しておきたい手順を整理します。
特別な工事をする前に、まず今の状態を把握することから始めましょう。
厨房ダクト直結半密閉式給湯湯沸設備等の煙突内の油脂等の清掃を行い、火災予防上支障がないよう適正に維持管理すること。(火災予防条例準則の運用について 平成7年6月30日 消防予第149号)
まず自分の建物の給湯設備とダクトの接続を目で確かめることから始めます。
給湯器・ボイラー・簡易湯沸設備の煙突が厨房ダクトに接続されていないか、まず現地で確認します。
接続されていた場合は、機器本体にガス機器防火性能評定委員会の表示があるかを確認してください。
表示がなければ、所轄消防署に相談のうえ、直接屋外へ排気する構造への変更か、評定品への交換を検討します。
評定品であっても、煙突内部の清掃を点検計画に組み込み、定期的に維持管理を行うことが欠かせません。

まずは給湯器の煙突がどこにつながっているか、見てみることからですね。

はい、接続の有無と表示さえ確認できれば、次に何をすべきかが見えてきますよ。

よくある質問

Q厨房ダクトに給湯器の煙突をつなぐとなぜ危険なのですか?
A厨房ダクトには調理で生じる油を含んだ蒸気が通っており、これに給湯器等の煙突を接続すると油脂が機器内に滴下し、ダクト火災の原因になるためです。
Qどんな給湯設備でも厨房ダクトに直結できますか?
Aできません。ガス機器防火性能評定委員会の評定を受けた専用機種(厨房ダクト直結半密閉式給湯湯沸設備等)に限られます。
Q評定を受けた機器かどうかはどこで確認できますか?
A機器本体に付けられる「ダクトに直結して使用することを条件として評定したものである」旨の評定表示で確認できます。
Q古い建物で評定を受けていない給湯器の煙突が厨房ダクトに接続されていたらどうすればよいですか?
A所轄消防署に相談のうえ、直接屋外へ排気する構造に改めるか、評定品の給湯設備に交換するなどの措置が必要です。

まとめ

✔厨房ダクトは原則、他の設備のダクトや煙突と共用できません。
✔油脂が機器内に滴下すると、ダクト火災の原因になります。
✔例外として認められるのは、ガス機器防火性能評定委員会の評定を受けた専用機種だけです。
✔対象は気体燃料を使う半密閉式給湯湯沸設備・ボイラー・簡易湯沸設備です。
✔接続には油脂の流入防止措置と、フランジ接続による気密な施工が必須です。
✔評定品でない接続が見つかった場合は、屋外への直接排気への変更等が指導の対象になります。
✔評定品であっても、煙突内部の定期清掃など維持管理を怠ればダクト火災のリスクは残ります。

さっそく給湯器の煙突のつながり先を確認してみます!

良い心がけですね、評定品への交換や点検のご相談は㈱防災屋でもご相談を承っております。

防火管理はプロにお任せ下さい

まずはWebで無料お見積りを!

お問い合わせ

監修・編集者
青木 俊輔
青木 俊輔

㈱防災屋 代表取締役/消防設備士

平成元年生まれ、三重県鈴鹿市出身。祖父が創業した消防設備業者で10年間勤務した後、独立・起業。現在は青木マーケ㈱、㈱防災屋、(一社)予防団の運営に携わる。Amazonベストセラー1位『改訂版 消防設備士0類』著者。月刊誌「電気と工事(オーム社)」でコラム連載中!

本記事の消防法令、消防用設備等の技術情報および記述内容を監修・編集しています。

詳しい経歴・保有資格を見る
学歴
  • 鈴鹿工業高等専門学校 材料工学科 卒
  • 静岡大学工学部物質工学科 材料科学コース 卒
  • 静岡大学大学院工学研究科物質工学専攻 修了
保有資格
  • 消防設備士:甲種特類、甲種1~5類、乙種6・7類
  • 危険物取扱者:甲種、乙種1~6類、丙種
  • 防火対象物点検資格者/防災管理点検資格者/甲種防火管理者
  • 第二種電気工事士/工事担任者(総合通信)/第三種電気主任技術者
  • 自家用発電設備専門技術者/特種電気工事資格者/職長・安全衛生責任者
  • eco検定/民泊適正管理主任者/フォークリフト運転技能講習 修了

趣味:ギター、バスケットボール(全国高専大会優勝・キャプテン)

主な活動

参考・出典

  • 消防庁「消防予第149号」通知(平成7年6月30日)「火災予防条例準則の運用について」
  • 火災予防条例(例)第3条の4第1項第1号ホ・第17条の3

※本記事は公表されている法令および消防庁の通知に基づく一般的な解説です。条例や運用は市町村ごとに異なる場合があります。個別の判断は所轄消防署にご確認ください。

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