行田市で宅地や工場用地を造成する開発行為では、消防本部から防火水槽の設置を求められることがあります。
その量と手続を決めているのが、行田市消防本部の「行田市消防水利設置指導要綱」です。
要綱は開発区域の面積などに応じて20立方メートルから段階的に容量を定め、届出から完成検査までの流れも決めています。
この記事では、国の都市計画法と消防法から要綱までの連鎖をたどり、堺市・津市・埼玉県央広域消防本部などの基準と並べて違いを整理します。
行田市で倉庫用地の造成を計画しています。
防火水槽をどれくらいの大きさで作ればよいのか分かりません。
行田市には開発行為向けの消防水利設置指導要綱があります。
開発区域の面積などで、必要な容量の区分が決まります。
消防用設備等の基準とは別の決まりなのですか。
出発点は都市計画法の開発許可の基準です。
国の条文から順にたどりましょう。
- 都市計画法第33条第1項第2号は開発行為の公共空地に消防の用に供する貯水施設を含め、施行令第25条第8号がそれを消防水利の基準に合わせるとしています
- 行田市の要綱の別表は、開発区域1,000平方メートル以上3,000平方メートル未満なら消火栓か20立方メートル以上の防火水槽、3,000平方メートル以上15,000平方メートル未満なら40立方メートル以上としています
- 15,000平方メートル以上は60立方メートルに5,000平方メートルごと20立方メートルを足し、1基の上限は60立方メートルです
- 公設の消防水利で開発区域全体を包めるときなどは、消防長が認めれば設置数を減らすか設置しないことができます
- 開発の防火水槽と建物の消防用水の兼用は、堺市が水量の加算、埼玉県央広域消防本部が加算不要と扱いが分かれます
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目次
行田市で開発行為をすると消防水利はどんな根拠で求められるのか

出発点は、都市計画法の開発許可の基準です。
その基準は、消防法第20条第1項で消防庁が勧告するとされ、「消防水利の基準」(昭和39年消防庁告示第7号)として出ています。
何立方メートルを、どの規模の開発で作るかという運用は、市町村の消防本部が要綱などで定めています。
つながりを番号順に並べると、次のとおりです。
- 都市計画法第33条第1項第2号:開発行為の公共空地に、消防の用に供する貯水施設を含める
- 都市計画法施行令第25条第8号:その貯水施設は、消防法第20条第1項の勧告に係る基準に適合させる
- 消防法第20条第1項:消防に必要な水利の基準は、消防庁が勧告する
- 消防水利の基準(昭和39年消防庁告示第7号):給水能力や建物からの距離を定める
- 行田市消防水利設置指導要綱(平成21年消防本部告示第2号):開発区域の面積ごとの容量・届出・検査を定める
なお、都市計画法第33条第1項第2号は、自己の居住用の住宅を建てる目的の開発行為を対象から外しています。
消防法の設備の基準だけを見ていても出てこない話なのですね。
要綱は、開発事業者に消防長への届出を求めています。
造成の計画が固まったら、早めに行田市消防本部に相談しましょう。
行田市の要綱では防火水槽は何立方メートル要るのか

開発区域の面積か建築物の延面積で、3つの区分に分かれます。
| 区分 | 開発区域の面積又は建築物の延面積 | 求められる消防水利 |
|---|---|---|
| 1 | 開発区域1,000㎡以上3,000㎡未満、又は延面積3,000㎡未満 | 消火栓又は貯水量20㎥以上の防火水槽 |
| 2 | 開発区域3,000㎡以上15,000㎡未満、又は延面積3,000㎡以上 | 貯水量40㎥以上の防火水槽 |
| 3 | 開発区域15,000㎡以上 | 貯水量60㎥以上の防火水槽(15,000㎡から5,000㎡増えるごとに20㎥ずつ追加) |
2 開発区域の面積が15,000㎡以上の場合において、防火水槽を2基以上設置するときは、1基当たりの貯水量の下限を40㎥とする。
たとえば開発区域が25,000平方メートルなら、60立方メートルに20立方メートルを2回足して100立方メートル以上が必要です。
1基の上限が60立方メートルなので少なくとも2基に分け、2基以上置くときは1基を40立方メートル以上にします。
国の消防水利の基準 第3条第1項は、消防水利の給水能力を「常時貯水量が40立方メートル以上」などとしていますが、要綱の一番小さい区分には20立方メートル以上の防火水槽も挙がっています。
この区分を選べる条件までは要綱に書かれていないので、計画の段階で消防本部に確かめておくと安心です。
うちの倉庫用地は8,000平方メートルなので、40立方メートル以上の区分ですね。
建物の延面積でも区分が決まります。
開発区域の面積と延面積の両方を表に当てはめて確かめましょう。
防火水槽を減らしたり省いたりできるのはどんな場合か

ここでは、国の消防水利の基準の第3条と第4条が借りられています。
第四条 消防水利は、市街地(略)又は準市街地(略)の防火対象物から一の消防水利に至る距離が、別表に掲げる数値以下となるように設けなければならない。
ただし書を使う手順は、次のとおりです。
- 近くの公設の消火栓や防火水槽が、水利基準第3条第1項の給水能力(常時貯水量40立方メートル以上など)を持つか確かめる
- 水利基準第4条の別表で距離を確かめる。近隣商業・商業・工業・工業専用地域は100メートル(年間平均風速が毎秒4メートル以上なら80メートル)、その他の用途地域と用途地域の定めのない地域は120メートル(同100メートル)
- その距離の範囲で、開発区域全体が公設の水利で包めるかを図面に描く
- 包めても、河川・鉄道線路・幹線道路などでホースを延ばしにくい部分は除いて考える
- 包めるなら、消防長が認めれば設置数を減らすか設置しないことができる
水を使うと危険が生じる事業所や、火災のおそれが著しく少ない事業所も、消防長が認めればただし書の対象になります。
まずは近くの消火栓の位置を地図で確かめてみます。
川や線路を挟む水利は、包括区域に入っていても除かれます。
ホースを延ばせる経路かどうかも見ておきましょう。
届出から完成検査までは何をするのか

防火水槽は、埋め戻す前と満水にした後の2回、検査を受けます。
イ 完成検査は、水槽を満水にした日から10日以上経過した後に水位の測定を行い、漏水の有無について検査を行うものとする。この場合において、水張りは開発事業者が行うものとする。
要綱の手順を順に並べると、次のとおりです。
- 消防水利設置届出書(様式第1号)に案内図・配置図・構造図を付けて消防長に出す(第5条)
- 防火水槽は、本体を置いて防水工事を終え、埋め戻す前に中間検査を受ける(第6条第1項第2号ア)
- 満水にした日から10日以上たってから、水位を測って漏水を見る完成検査を受ける。水張りは開発事業者が行う(同イ)
- 消火栓は工事の完成時に検査を受ける(第6条第1項第1号)。異状がなければ消防水利検査済証(様式第2号)が交付される(第7条)
- 標識を取水口から2メートル以内に立てる。設置場所の状況により2メートルを超えてもよい(第8条)
建物の基礎にある空ピットの内部を防水し、導水装置を付けて防火水槽にする方法も認められています。
堺市の設置指導基準は、着工の14日前までに届出書と、開発者が管理する場合は誓約書を出し、中間検査と完成検査を受けるとしています(第9条)。
津市の開発行為指導要領は、事前協議・中間検査・完成検査・帰属検査の各段階で消防指導を行うとしています(第4条)。
満水にしてから10日以上待つのですね。
完成検査の日程は工程表に先に入れておきましょう。
水張りの段取りも開発事業者側で決めておきます。
他の市と比べると開発の水利と消防用水との兼用はどう違うのか

まず、開発行為向けの基準を公開資料で読めた堺市・津市と並べます。
| 市 | 根拠 | 防火水槽などが求められる場面 | 容量など |
|---|---|---|---|
| 行田市 | 行田市消防水利設置指導要綱(平成21年) | 開発区域1,000㎡以上(延面積による区分もある) | 区分により20㎥以上・40㎥以上・60㎥以上(15,000㎡以上は追加あり) |
| 堺市 | 堺市開発行為等における消防水利の設置指導基準 | 開発区域の各部分から用途地域ごとの距離(140〜200m)の範囲に防火水槽が1基以上あるようにする。開発区域3,000㎡未満は除く | 1基40㎥以上。ほかの法令等で必要な水量との兼用は認めない |
| 津市 | 津市消防本部における開発行為指導要領(平成18年) | 住宅地の開発規模1,000㎡以上(自己の居住用・自己の業務用の建築物のための開発行為を除く) | 消防水利の基準に適合する水利。消火栓のみなら10万㎡以上で防火水槽を設け、10万㎡ごとに1を加える |
もう1つ違いが出るのが、大きな建物に要る消防用水との兼用です。
消防用水は消防法施行令第27条の消防用設備等で、敷地2万平方メートル以上の大規模な建築物や、高さ31メートル超で延べ面積2万5千平方メートル以上の建築物に要ります。
同じ敷地に開発の防火水槽も作るとき、1つの水槽で両方をまかなえるかの扱いが、消防本部で分かれています。
| 消防本部 | 根拠 | 兼用の扱い |
|---|---|---|
| 埼玉県央広域消防本部(鴻巣市・桶川市・北本市) | 審査基準 第4章 第17 消防用水 1 ⑶ | 消防用水の基準に適合するものに限り兼用可。水量の加算は不要 |
| 堺市消防局 | 審査基準 第19 消防用水 Ⅱ 6 | 警防部警防課と調整し、それぞれに必要な水量を加算した量以上で兼用可。標識に水量の内訳を書く |
| 鈴鹿市消防本部 | 審査基準 第4章 第17 消防用水 3 ⑸ | 予防課・消防課と協議して決める。それぞれの目的に必要な水量を常時確保し、図面などの資料を出す |
| 行田市消防本部 | 審査基準は公開されていない | 公開資料からは分からないため、消防本部に確認する |
鈴鹿市は「開発事業に伴う消防水利等に関する指導基準」の防火水槽を消防用水の代わりに使えるかを、協議で決めるとしています。
同じ水槽でも、加算が要るかどうかで必要な容量が大きく変わります。
同じ倉庫でも、市によって水槽の大きさが変わり得るのですね。
兼用するなら、水量の内訳を図面に書いて協議しましょう。
行田市では、まず消防本部に扱いを確かめましょう。
よくある質問
まとめ
まず開発区域の面積を別表に当てはめて、防火水槽の容量を出してみます!
近くの公設水利の位置と工程表を添えると、相談も早く進みます。
㈱防災屋でもご相談を承っております。
㈱防災屋 代表取締役/消防設備士
平成元年生まれ、三重県鈴鹿市出身。祖父が創業した消防設備業者で10年間勤務した後、独立・起業。現在は青木マーケ㈱、㈱防災屋、(一社)予防団の運営に携わる。Amazonベストセラー1位『改訂版 消防設備士0類』著者。月刊誌「電気と工事(オーム社)」でコラム連載中!
本記事の消防法令、消防用設備等の技術情報および記述内容を監修・編集しています。
詳しい経歴・保有資格を見る
- 鈴鹿工業高等専門学校 材料工学科 卒
- 静岡大学工学部物質工学科 材料科学コース 卒
- 静岡大学大学院工学研究科物質工学専攻 修了
- 消防設備士:甲種特類、甲種1~5類、乙種6・7類
- 危険物取扱者:甲種、乙種1~6類、丙種
- 防火対象物点検資格者/防災管理点検資格者/甲種防火管理者
- 第二種電気工事士/工事担任者(総合通信)/第三種電気主任技術者
- 自家用発電設備専門技術者/特種電気工事資格者/職長・安全衛生責任者
- eco検定/民泊適正管理主任者/フォークリフト運転技能講習 修了
趣味:ギター、バスケットボール(全国高専大会優勝・キャプテン)
参考・出典
- 行田市「行田市消防水利設置指導要綱」(平成21年消防本部告示第2号、一部改正 令和3年消防本部告示第1号)第1条・第3条〜第8条・別表(行田市例規集) https://www.city.gyoda.lg.jp/gyosei_joho/jorei_kisoku_yoko/3905.html
- 堺市消防局「堺市開発行為等における消防水利の設置指導基準」(令和7年4月1日施行)第4条・第8条・第9条 https://www.city.sakai.lg.jp/kurashi/bosai/shobo/shokai/reiki/kaihatsushido.files/syoubousuiri.pdf
- 堺市消防局「堺市消防同意・消防用設備等審査基準」第19 消防用水 Ⅱ 6 https://www.city.sakai.lg.jp/kurashi/bosai/shobo/shokai/reiki/kijyun/index.html
- 津市消防本部「津市消防本部における開発行為指導要領」(平成18年消防本部訓第41号)第3条・第4条(津市予防事務審査検査基準 2-1 別紙1) 津市消防本部「予防関係審査基準」のページ
- 埼玉県央広域消防本部「埼玉県央広域消防本部消防用設備等に関する審査基準」(令和5年4月1日適用)第4章 第17 消防用水 1 ⑶ https://www.ken-o.or.jp/notifiappli/equipment-style/page-9867/
- 鈴鹿市消防本部「鈴鹿市消防用設備等に関する審査基準」第4章 第17 消防用水 3 ⑸ https://www.city.suzuka.lg.jp/shobo/1012943/1016101/index.html
- 消防水利の基準(昭和39年消防庁告示第7号、最終改正 令和5年消防庁告示第19号)第3条・第4条・別表 https://www.fdma.go.jp/laws/kokuji/post27/
- 都市計画法第33条、都市計画法施行令第25条
- 消防法第20条、消防法施行令第27条
※本記事は公表されている法令および各市消防本部・消防局の公開資料に基づく一般的な解説です。運用基準・審査基準・要綱・条例は改正されることがあるため、最新の内容は管轄の消防署・消防本部で確認してください。開発行為に伴う消防水利の設置数の減免や兼用の可否は消防長などの判断によるため、個別の計画は行田市消防本部などの管轄の消防本部にご確認ください。





