羽生市で3階建て以上などの中高層の建物を建てるときは、敷地の中にはしご車が入って活動できる場所を用意するよう求められます。
根拠は、羽生市の「羽生市開発指導要綱」第21条第7項です。
進入路は幅4メートル以上、勾配は5パーセント以下、はしご車の総重量20トンに耐える構造と、数字まで書かれています。
この記事では要綱の適用の連鎖をたどり、津市と四日市市の基準と並べて違いを整理します。
羽生市で4階建ての共同住宅を計画しています。
消防から、敷地の中にはしご車の場所を取るよう言われました。
羽生市の開発指導要綱が、中高層建築物に進入路と消防活動空地を求めています。
まずは対象になるかを確かめましょう。
消防法の設備の基準に載っている話なのですか。
根拠は市の要綱で、事前協議の中で調整します。
条文の連鎖を順にたどりましょう。
- 羽生市開発指導要綱は第3条第4号で中高層建築物の建築行為を適用範囲に入れ、第21条第7項で進入路と消防活動空地の整備を求めています
- 第21条の場面では、軒の高さが10メートルを超えるか、地階を除く階数が3以上の建築物が中高層建築物になります
- 進入路は有効幅員4メートル以上、勾配は縦横とも5パーセント以下、総重量20トンのはしご自動車に耐える構造です
- 消防活動空地は、はしご自動車がバルコニー側か廊下側で活動できる場所に置き、位置は消防本部と協議します
- 津市は階数5以上で道路から5メートルを超えて離れる建物に一辺6メートル以上・他辺12メートル以上の空地を求め、四日市市は4階以上の特定共同住宅等で着梯場所の協議を求めています
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目次
羽生市ではどんな建物にはしご車の進入路と消防活動空地が求められるのか

入口は、要綱をどの行為に使うかを決める第3条です。
(略)
(4) 中高層建築物の建築行為
ア 埼玉県中高層建築物の建築に係る指導等に関する要綱(昭和53年10月7日施行)の適用を受ける建築物
イ 軒の高さが10メートルを超え、又は地階を除く階数が3以上ある建築物(第21条の規定の適用を受けるものに限る。)
イの括弧書きのとおり、この広い定義は消防について定めた第21条を使う場面に限られます。
アの埼玉県の要綱の対象になる建築物も、中高層建築物に含まれます。
つながりを番号順に並べると、次のとおりです。
- 第3条第4号:中高層建築物の建築行為に要綱を適用する
- 第2条第6号:中高層建築物を定める。第21条の場面では、イの「軒の高さ10メートル超又は地階を除く階数3以上」も含む
- 第5条第1項:第3条第4号の行為は、開発許可申請等の前に市長と事前協議を行う
- 第21条第1項:消防に必要な施設の設置は、消防法の規定に従い主管課と協議する
- 第21条第7項:はしご自動車の進入路と消防活動空地を整備し、消防活動に十分耐える舗装組成にする
羽生市は消防用設備等の審査基準を公開していないため、この記事は例規集で公開されている要綱を素材にしています。
設備の基準だけを見ていても出てこない話なのですね。
中高層建築物の建築は事前協議の対象です。
配置図ができた段階で、早めに相談しましょう。
はしご車の進入路は幅や勾配をどう整えるのか

道路から建物へ直接入れる場合は、この号を使いません。
(1) はしご自動車の進入路の整備は、道路等の公共施設から建築物に直接進入できる場合を除き、次に定めるところにより行うこと。
| 号の中の記号 | 要綱の定め(要約) |
|---|---|
| ア | 進入路の周辺に、門・塀・電柱など、はしご自動車の運転操作の障害になるものがないこと |
| イ | 進入路の有効幅員は4m以上 |
| ウ | 隅切りは、はしご自動車の進入に支障のないようにする |
| エ | はしご自動車の総重量(20トン)に耐えられる構造 |
| オ | 地下埋設物は、補強策を講じて強度を確保する |
| カ | 勾配は縦横方向ともに5%以下 |
要綱は有効幅員と書いているので、図面では車が実際に通れる幅で確かめておくと安心です。
勾配は、縦方向だけでなく横方向も5パーセント以下です。
同じ要綱の道路の基準(第13条第6項)は縦断勾配を6パーセントとしていますが、はしご車の進入路はそれより厳しい5パーセント以下です。
進入路の下に配管などを通すときは、オの補強策が要ります。
うちの計画だと、駐車場の通路を進入路に兼ねることになりそうです。
通路の脇に門柱や塀を置かない配置にしましょう。
舗装の厚みも、20トンに耐えるもので設計します。
消防活動空地はどこにどう作るのか

決まりは、第21条第7項第2号のアからカです。
イ 位置について消防本部と協議すること。
(略)
エ 消防活動空地及び周辺の上空にはしご自動車の伸長及び旋回に支障となる工作物、電線等を設置しないこと。
地下には、補強しない限りガス管や水道管などを埋めないこととされています(ウ)。
上空に電線などの障害物が既にあるときは、関係機関と協議して改善を図ります(オ)。
空地には「消防活動用空地」の標識を設け、地面に別図第3の駐車禁止の標示をします(カ)。
駐車禁止の標示をする場所なので、駐車場の区画と重ならない配置にしておきます。
空地の広さは、どのくらい取ればよいのでしょうか。
羽生市の要綱には空地の寸法が書かれていません。
バルコニー側の配置図を持って、消防本部と協議しましょう。
津市では進入路の幅や消防活動用空地の大きさをどう決めているのか

根拠は、開発行為指導要領と、それを受けた技術的な基準です。
「別に定める基準」が「津市消防本部消防活動用空地に関する基準」(平成25年)で、進入路の幅は取付道路の幅員に応じて決まります。
| 取付道路の幅員 | 進入路の幅員 |
|---|---|
| 4.0m以上4.5m未満 | 13.0m以上 |
| 4.5m以上5.0m未満 | 12.0m以上 |
| 5.0m以上5.5m未満 | 11.0m以上 |
| 5.5m以上6.0m未満 | 10.0m以上 |
| 6.0m以上6.5m未満 | 9.0m以上 |
| 6.5m以上7.0m未満 | 8.0m以上 |
| 7.0m以上8.0m未満 | 7.0m以上 |
| 8.0m以上9.0m未満 | 6.5m以上 |
| 9.0m以上10.0m未満 | 6.0m以上 |
| 10.0m以上 | 5.5m以上 |
すみ切りを設け、切取線の長さが2メートル以上などの条件を満たすときは、表の値から1メートルを引いた値以上でよいとされています。
進入路の勾配は6パーセント以下、最小幅員は原則3.5メートル以上で、くぐりを設けるときは地盤面から4メートル以上の高さにします。
空地は原則としてバルコニー側に置き、一辺6メートル以上・他辺12メートル以上の長方形にします。
基準の別図1では、建物と平行に置くときは建物から5〜7メートル、直角に置くときは0〜5メートルの間隔が示されています。
津市は空地の寸法まで決まっているのですね。
津市の審査検査基準は、消防同意のときなどにもこの2つで指導するとしています。
津市で建てるときは、取付道路の幅員から先に確かめましょう。
羽生市と津市と四日市市を比べると何が違うのか

四日市市は、特定共同住宅等の運用を定めた節の中で着梯場所に触れています。
| 市 | 根拠 | 対象になる建物 | 進入路 | 空地 |
|---|---|---|---|---|
| 羽生市 | 羽生市開発指導要綱 第21条第7項 | 中高層建築物(第21条の場面では軒の高さ10m超又は地階を除く階数3以上を含む) | 有効幅員4m以上・勾配5%以下・総重量20トンに耐える構造 | バルコニー側又は廊下側。位置は消防本部と協議。寸法の定めはない |
| 津市 | 開発行為指導要領 第3条・消防活動用空地に関する基準 | 階数5以上で、道路との間隔が5mを超える予定建築物(2方向避難が確保される構造は除く) | 取付道路の幅員に応じ5.5〜13.0m以上・最小3.5m・勾配6%以下 | 原則バルコニー側。一辺6m以上・他辺12m以上の長方形 |
| 四日市市 | 消防同意事務審査基準 第25 3 | 4階以上の特定共同住宅等 | この項目には数字の定めがない | 着梯場所を関係者と十分協議(行政指導) |
一方で、空地の寸法を数字で示しているのは津市だけです。
勾配も、羽生市は5パーセント以下、津市は6パーセント以下と違います。
津市は、高さ45メートルを超える建築物の指導基準でも、消防隊進入口の下の地盤にこの基準による空地を設けるよう求めています。
複数の市で建物を計画するときは、前の市の寸法をそのまま使わず、その市の基準で図面を確かめます。
同じ4階建てでも、市によって求められることが違うのですね。
羽生市では勾配と舗装の強さが要になります。
配置図に進入路の幅と勾配を書き込んで、協議に臨みましょう。
よくある質問
まとめ
まず配置図に進入路の幅と勾配を書き込んで、消防本部に相談します!
空地の候補をバルコニー側に2案ほど用意すると、協議も早く進みます。
㈱防災屋でもご相談を承っております。
㈱防災屋 代表取締役/消防設備士
平成元年生まれ、三重県鈴鹿市出身。祖父が創業した消防設備業者で10年間勤務した後、独立・起業。現在は青木マーケ㈱、㈱防災屋、(一社)予防団の運営に携わる。Amazonベストセラー1位『改訂版 消防設備士0類』著者。月刊誌「電気と工事(オーム社)」でコラム連載中!
本記事の消防法令、消防用設備等の技術情報および記述内容を監修・編集しています。
詳しい経歴・保有資格を見る
- 鈴鹿工業高等専門学校 材料工学科 卒
- 静岡大学工学部物質工学科 材料科学コース 卒
- 静岡大学大学院工学研究科物質工学専攻 修了
- 消防設備士:甲種特類、甲種1~5類、乙種6・7類
- 危険物取扱者:甲種、乙種1~6類、丙種
- 防火対象物点検資格者/防災管理点検資格者/甲種防火管理者
- 第二種電気工事士/工事担任者(総合通信)/第三種電気主任技術者
- 自家用発電設備専門技術者/特種電気工事資格者/職長・安全衛生責任者
- eco検定/民泊適正管理主任者/フォークリフト運転技能講習 修了
趣味:ギター、バスケットボール(全国高専大会優勝・キャプテン)
参考・出典
- 羽生市「羽生市開発指導要綱」(平成10年告示第20号、最終改正 令和6年告示甲第62号)第2条・第3条・第5条・第13条第6項・第21条(羽生市例規集) 羽生市例規集
- 津市消防本部「津市予防事務審査検査基準」2-1 消防活動用空地の設置基準、別紙1「津市消防本部における開発行為指導要領」(平成18年消防本部訓第41号)第3条、別紙2「津市消防本部消防活動用空地に関する基準」(平成25年消防391号)、2-3 高層建築物における指導基準 14 ⑷ 津市消防本部「予防関係審査基準」のページ
- 四日市市消防本部「四日市市消防同意事務審査基準」総則・第25 3 消防活動空地等 四日市市消防本部の審査基準のページ
※本記事は各市の例規集と消防本部の公開資料に基づく一般的な解説です。運用基準・審査基準・要綱・条例は改正されることがあるため、最新の内容は管轄の消防署・消防本部で確認してください。進入路や消防活動空地の位置・大きさは個別の協議で決まるため、計画ごとに羽生市消防本部などの管轄の消防本部にご確認ください。





