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堺市で入居前のマンションの収容人員は何人で数えるのか|間取りごとの算定表を解説

堺市で入居前のマンションの収容人員は何人で数えるのかを解説する記事のアイキャッチ

マンションやアパートを新築すると、防火管理者を選ぶ必要があるかどうかを、建物の収容人員で判断します。
ところが、共同住宅の収容人員は「居住者の数」で数えるので、入居前の建物では、まだ数える人がいません。
堺市消防局の「堺市消防同意・消防用設備等審査基準」は、第2章 第1節「第7 収容人員の算定」で、入居前の共同住宅を住戸のタイプごとの人数で数える表を置いています。
この記事では、国の条文から堺市の表までを順にたどり、数えた人数で何が変わるのかを解説します。

堺市で賃貸マンションを新築しています。
入居前なのに、防火管理者がいるか人数で判断するよう言われました。

堺市の審査基準に、入居前の数え方が書かれています。
間取りごとに何人と決めた表があります。

それは国の法令に書いてある表ですか。

国の条文は「居住者の数」と書くだけです。
国と堺市を分けてたどってみましょう。

この記事の結論
  • 防火管理者が必要かどうかは収容人員で決まり、共同住宅((5)項ロ)は収容人員50人以上で必要になります(消防法施行令第1条の2第3項第1号ハ)
  • 国の消防法施行規則第1条の3は、共同住宅の収容人員を「居住者の数により算定する」とだけ定めています
  • 堺市の審査基準は、入居前の共同住宅を1R~2DKは2人、2LDK・3DKは3人、3LDK・4DKは4人、4LDK・5DKは5人で数えるとしています(★=堺市消防局が定めた指導基準)
  • 賃貸契約などで居住者数が決まっている場合や竣工後は、実態に即した人数とすることができます
  • 避難器具は階ごとに数え、メゾネットは玄関がある階で数えます。大阪市と東大阪市の公開資料には同じ表が見当たりません

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消防法第八条と消防法施行令第一条の二と消防法施行規則第一条の三から堺市の審査基準の第七へたどり入居前の共同住宅の収容人員を決める流れを示す図解

入居前のマンションの収容人員はなぜ問題になるのか

完成したばかりの薄い灰色のマンションに青いバルコニーが並ぶイラスト
まず、国の基準を確認します。
防火管理者を定める義務は、消防法第8条第1項にあります。
消防法 第八条 第一項(抜粋) 学校、病院、工場、事業場、興行場、百貨店(略)、複合用途防火対象物(略)その他多数の者が出入し、勤務し、又は居住する防火対象物で政令で定めるものの管理について権原を有する者は、政令で定める資格を有する者のうちから防火管理者を定め、
「政令で定めるもの」を決めているのが、消防法施行令第1条の2第3項です。
マンションやアパートは、消防法施行令別表第一の(5)項ロ(寄宿舎、下宿又は共同住宅)に当たります。
消防法施行令 第一条の二 第三項第一号ハ ハ 別表第一(五)項ロ、(七)項、(八)項、(九)項ロ、(十)項から(十五)項まで、(十六)項ロ及び(十七)項に掲げる防火対象物で、収容人員が五十人以上のもの
収容人員は、同じ条の第3項第1号イで「出入し、勤務し、又は居住する者の数」と定義され、算定方法は第4項で総務省令に任されています。
その総務省令が、消防法施行規則第1条の3です。
消防法施行規則 第一条の三 第一項の表(令別表第一(五)項の行) ロに掲げるもの 居住者の数により算定する。
国の条文は、共同住宅について「居住者の数」と書くだけで、床面積や住戸の数から計算する式はありません。
そのため、まだ誰も住んでいない新築の共同住宅では、条文だけでは人数が決まりません。
入居後の数え方そのものは共同住宅の収容人員の記事で解説しているので、この記事では堺市が入居前をどう扱うかに絞ります。

国の条文だけだと、入居前は人数が決められないのですね。

はい、国の条文には入居前の数え方がありません。
次は、堺市の審査基準を見ましょう。

堺市の審査基準は入居前の人数をどう決めているのか

一つの階に小さなワンルームから家族向けの広い住戸まで並ぶマンションの断面イラスト
堺市の審査基準は、「第7 収容人員の算定」の「2 政令別表第1の各項ごとの取扱い」で、(5)項ロの数え方をこう書いています。
堺市「堺市消防同意・消防用設備等審査基準」(第二十二版)第2章 第1節 第7 収容人員の算定 2(5)(5)項ロ ア 「居住者」とは、寄宿舎、共同住宅等に常時居住している者をいう。
イ 入居前の共同住宅における住戸のタイプ別の算定居住者数については、第7-2表により算定すること。★
ただし、賃貸契約等によりあらかじめ居住者数が定められている場合や竣工後は、実態に即した人数とすることができる。
イが使う第7-2表を、読みやすく並べ直すと次のとおりです。
住戸のタイプ算定する居住者数
1R・1K・1DK・1LDK・2DK2人
2LDK・3DK3人
3LDK・4DK4人
4LDK・5DK5人
1LDKと2DKは、1Rや1Kと同じ2人の欄に入っています。
表に載っているのは5DKまでで、それより大きい住戸の人数は表からは読めないので、所轄の消防署に確かめることになります。
イの末尾の★は、堺市の審査基準の凡例で次の意味です。
堺市「堺市消防同意・消防用設備等審査基準」第1章 総則 4 凡例 (3) ★ : 指導基準のうち、堺市消防局として防火安全性の向上を図ることを目的として定めたもの
つまり、入居前の人数表は、国の通知を写したもの(凡例の◆)ではなく、堺市消防局が独自に定めた指導基準です。
国の規則第1条の3は「居住者の数」としか書いていないので、その空白を市の指導基準で埋めている、と読めます。

1LDKでも2人で数えるのですね。

はい、1Rから2DKまでは同じ2人です。
次は、実際に数えてみましょう。

間取りごとに数えると何人になるのか

名札の入っていない紺色の集合郵便受けが並び横のカウンターにクリップボードとファイルが置かれたイラスト
第7-2表を使って、2つの例を数えてみます(どちらも全部が共同住宅で、店舗などは入っていないものとします)。
  • 例1 1Kが24戸の建物:24戸×2人=48人で、50人に届きません
  • 例2 1LDKが12戸・2LDKが8戸・3LDKが2戸の建物:12戸×2人+8戸×3人+2戸×4人=56人で、50人以上になります
例2は22戸しかありませんが、家族向けの住戸が混ざると人数が増え、入居前の段階で防火管理者が必要な建物として扱われることになります。
逆に、例1は戸数が多くても、入居前の算定では50人に届きません。
国の条文から堺市の表までを、番号つきでまとめます。
  1. 消防法第8条第1項が、政令で定める防火対象物の管理権原者に、防火管理者を定めさせる
  2. 消防法施行令第1条の2第3項第1号ハが、(5)項ロの共同住宅などは収容人員50人以上で対象になるとする
  3. 同じ条の第4項が、収容人員の算定方法を総務省令に任せる
  4. 消防法施行規則第1条の3の表が、(5)項ロは「居住者の数により算定する」とする
  5. 入居前はまだ居住者がいないので、堺市の審査基準 第7 2(5)イ★が、第7-2表の住戸タイプ別の人数で数えるとする
  6. 賃貸契約などで居住者数が決まっている場合や竣工後は、実態に即した人数とすることができる
1から4までは全国共通の国の基準で、5と6が堺市の審査基準の取扱いです。
入居前の人数表は、国の「居住者の数」を、まだ人がいない時期にどう当てはめるかを決めたものです。

戸数よりも、間取りの組み合わせで人数が変わるのですね。

はい、家族向けの住戸が多いほど人数は増えます。
次は、その人数で何が変わるかを見ましょう。

数えた人数でどの設備や義務が変わるのか

マンションのバルコニーの床に四角い避難ハッチがあり壁に赤いベルと表示灯が付いたイラスト
収容人員を使う基準は、防火管理者だけではありません。
堺市の審査基準は、「1 共通的取扱い」で、どの基準に使うかによって数える単位を分けています。
堺市「堺市消防同意・消防用設備等審査基準」(第二十二版)第2章 第1節 第7 収容人員の算定 1 共通的取扱い (1) (1) 収容人員の算定は、法第8条の適用については棟単位である(政令第2条が適用される場合を除く。)が、政令第24条の適用については棟単位又は階単位、政令第25条及び条例第69条の適用については階単位とする。◆①
◆①は、凡例で「消防庁の通知等を参考に定めたもの」を表す印で、この審査基準は出典として「防火対象物の収容人員の算定について」(昭和52年1月6日 消防予第3号)を挙げています。
共同住宅で関係するのは、主に次の3つです。
  • 防火管理者(消防法第8条):建物全体で50人以上なら選任が必要です
  • 非常ベル・自動式サイレン・放送設備(消防法施行令第24条第2項第2号):(5)項ロは収容人員50人以上か、地階と無窓階の収容人員が20人以上で必要になります。ただし、自動火災報知設備を基準どおりに設けていれば、その有効範囲内は不要です
  • 避難器具(消防法施行令第25条第1項第2号):(5)項は2階以上の階か地階で、その階の収容人員が30人以上なら設置の対象です(下の階に飲食店などの特定の用途があるときは10人以上)
消防法施行令 第二十五条 第一項第二号 二 別表第一(五)項に掲げる防火対象物の二階以上の階又は地階で、収容人員が三十人(下階に同表(一)項から(四)項まで、(九)項、(十二)項イ、(十三)項イ、(十四)項又は(十五)項に掲げる防火対象物が存するものにあつては、十人)以上のもの
避難器具は階ごとに数えるので、たとえば3LDKが8戸ある階は、入居前の算定で8戸×4人=32人となり、30人以上の階になります。
メゾネット住戸の数え方も、堺市の審査基準にあります。
堺市「堺市消防同意・消防用設備等審査基準」(第二十二版)第2章 第1節 第7 収容人員の算定 3 階単位の収容人員の取扱い (5) (5) 一住戸に二階層以上有する共同住宅(以下「メゾネット型共同住宅」という。)は、一住戸を一階層とみなし、当該住戸の収容人員を主たる出入口(玄関)が存する階で算定すること。((5)ロ関係)
メゾネットの人数は、上下の階に分けず、玄関のある階にまとめて数えます。
避難器具には、階段の構造などで個数を減らせる規定(消防法施行規則第26条)もあるので、30人以上の階になっても、すぐに個数が決まるわけではありません。
一方、自動火災報知設備は、(5)項ロでは延べ面積500平方メートル以上が基準(消防法施行令第21条第1項第4号)なので、収容人員では決まりません。
堺市の6階以上の階にかかる避難器具の上乗せ(堺市火災予防条例第69条)は(5)項を対象から外しているので、堺市の6階以上の避難器具の記事とは別の話になります。

避難器具は階ごとなので、大きな住戸が集まる階に注意ですね。

はい、階ごとの人数も入居前の表で数えます。
最後に、竣工後の扱いとほかの市を見ましょう。

竣工後や契約で人数が決まるときと大阪市や東大阪市との違い

引っ越しの日の明るいリビングに段ボール箱が積まれ小さなテーブルに鍵の束が置かれたイラスト
第7-2表は、あくまで入居前の共同住宅のための表です。
イのただし書は、賃貸契約などで居住者数があらかじめ決まっている場合や竣工後は、実態に即した人数とすることができるとしています。
たとえば、契約で1戸1人と決めている単身者向けの建物なら、表の2人ではなく契約の人数で数える余地があります。
ただし、書かれているのは「することができる」なので、どちらで数えるかは所轄の消防署と相談して決めることになります。
入居が進んだあとは、実際に住む人の数が収容人員です。
入居前に50人未満と算定した建物でも、家族世帯が増えて50人以上になれば、そこで防火管理者の選任が必要になります。
大阪市と東大阪市の公開資料も確かめた範囲を、表にまとめます。
項目堺市大阪市東大阪市
入居前の住戸タイプ別の人数表第7-2表で定めている(★)公開資料に見当たらない公開資料に見当たらない
収容人員の算定をまとめた節第2章 第1節 第7公開資料に見当たらない避難器具の運用基準で、令第25条第1項第5号の収容人員は階全体で数えるとしている
メゾネット住戸の数える階玄関がある階公開資料に見当たらない公開資料に見当たらない
大阪市と東大阪市は、今回の素材として集めた消防局の公開資料に、入居前の人数表が見当たりませんでした。
両市で入居前の人数をどう扱うかは、この記事の範囲では分からないので、設計の段階で所轄の消防署に確かめてください。
堺市で新築する場合は、間取り表から第7-2表で人数を出しておくと、防火管理者や避難器具の相談がしやすくなります。
収容人員の数え方の全体像は収容人員の算定方法の記事で、マンションの避難ハッチの置き方は東大阪市の避難ハッチの記事で解説しています。

竣工後は実際の人数に切り替えられるのですね。

はい、ただし入居が進んだら人数を見直すことが前提です。
図面と契約の条件がそろったら、所轄の消防署に相談しましょう。

よくある質問

Q堺市で、入居前の1LDKは何人で数えますか?
A堺市の審査基準の第7-2表では、1LDKは1R・1K・1DK・2DKと同じ2人で数えます。2LDK・3DKは3人、3LDK・4DKは4人、4LDK・5DKは5人です。
Q入居前に50人未満と算定すれば、防火管理者はずっといりませんか?
Aいいえ、竣工後は実態に即した人数とすることができるとされていて、入居後は実際に住む人の数が収容人員です。家族世帯が増えて50人以上になれば、その時点で選任が必要になります。
Q契約で1戸1人と決めていれば、表の2人より少なく数えられますか?
A堺市の審査基準のただし書は、賃貸契約等であらかじめ居住者数が定められている場合は実態に即した人数とすることができるとしています。使えるかどうかは、契約の内容を示して所轄の消防署に確かめてください。
Q大阪市や東大阪市でも同じ表を使いますか?
A大阪市と東大阪市の公開資料には、入居前の住戸タイプ別の人数表は見当たりませんでした。両市での扱いは、設計の段階で所轄の消防署に確かめてください。

まとめ

✔共同住宅((5)項ロ)は、収容人員50人以上で防火管理者が必要になります
✔国の消防法施行規則第1条の3は、共同住宅の収容人員を「居住者の数」で数えるとだけ定めています
✔堺市の審査基準は、入居前の共同住宅を第7-2表の住戸タイプ別の人数で数えるとしています(★)
✔1R~2DKは2人、2LDK・3DKは3人、3LDK・4DKは4人、4LDK・5DKは5人です
✔賃貸契約などで居住者数が決まっている場合や竣工後は、実態に即した人数とすることができます
✔避難器具は階ごとに数え、メゾネット住戸は玄関がある階で数えます
✔大阪市と東大阪市の公開資料には同じ表が見当たらないので、両市では所轄の消防署に確かめます

間取り表から、入居前の人数を数えてみます。
まずは建物全体と各階の人数を出してみます!

人数がはっきりすれば、防火管理者や避難器具の相談もスムーズに進みます。
㈱防災屋でもご相談を承っております。

防火管理はプロにお任せ下さい

まずはWebで無料お見積りを!

お問い合わせ

監修・編集者
青木 俊輔
青木 俊輔

㈱防災屋 代表取締役/消防設備士

平成元年生まれ、三重県鈴鹿市出身。祖父が創業した消防設備業者で10年間勤務した後、独立・起業。現在は青木マーケ㈱、㈱防災屋、(一社)予防団の運営に携わる。Amazonベストセラー1位『改訂版 消防設備士0類』著者。月刊誌「電気と工事(オーム社)」でコラム連載中!

本記事の消防法令、消防用設備等の技術情報および記述内容を監修・編集しています。

詳しい経歴・保有資格を見る
学歴
  • 鈴鹿工業高等専門学校 材料工学科 卒
  • 静岡大学工学部物質工学科 材料科学コース 卒
  • 静岡大学大学院工学研究科物質工学専攻 修了
保有資格
  • 消防設備士:甲種特類、甲種1~5類、乙種6・7類
  • 危険物取扱者:甲種、乙種1~6類、丙種
  • 防火対象物点検資格者/防災管理点検資格者/甲種防火管理者
  • 第二種電気工事士/工事担任者(総合通信)/第三種電気主任技術者
  • 自家用発電設備専門技術者/特種電気工事資格者/職長・安全衛生責任者
  • eco検定/民泊適正管理主任者/フォークリフト運転技能講習 修了

趣味:ギター、バスケットボール(全国高専大会優勝・キャプテン)

主な活動

参考・出典

※本記事は公表されている法令および各市の公開資料に基づく一般的な解説です。運用基準や審査基準は改正されることがあるため、最新の内容は管轄の消防署・消防局で確認してください。大阪市・東大阪市との比較は、各市が公開している資料で確かめた範囲のものです。個々の建物の収容人員や防火管理者の要否は、所轄消防署にご確認ください。

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