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鴻巣市で非常用エレベーターがあるビルに連結送水管の格納箱は要るのか|鈴鹿市・四日市市・津市と比べる

鴻巣市の高層ビルで非常用エレベーターがあれば連結送水管の格納箱を省けるかを問うアイキャッチ画像

11階建て以上のビルの連結送水管には、11階以上の放水口のそばにホースや筒先を入れた格納箱を置くことが国の政令で決まっています。
ただし国の規則は、非常用エレベーターで器具を運びやすいと消防長などが認めた建物なら、格納箱を置かなくてよいとしています。
鴻巣市・桶川市・北本市を受け持つ埼玉県央広域消防本部は、その認める建物を審査基準で具体的に定めています。
この記事では埼玉県央広域の基準をたどり、鈴鹿市・四日市市・津市と格納箱の置き方を比べます。

鴻巣市で地上12階のマンションを計画しています。
連結送水管の格納箱は、非常用エレベーターがあっても要るのですか。

埼玉県央広域では、乗降ロビーに放水口があれば格納箱は要らない扱いです。
逆に置く場合は、11階以上の全部の階に置くよう指導しています。

置くか置かないかで、ずいぶん違うのですね。

そうです。
放水口をどこに設けるかが分かれ目になります。

この記事の結論
  • 消防法施行令第29条第2項第4号ハは、11階以上の建物の11階以上の放水口に放水用器具の格納箱を附置するよう定めています
  • 規則第30条の4第2項は、非常用エレベーターで器具を運びやすいと消防長などが認めた建物なら格納箱を省けるとしています
  • 埼玉県央広域はその建物を、非常用エレベーターの乗降ロビーに放水口がある防火対象物と定めています
  • 置く場合、埼玉県央広域は11階以上の全部の階にホース2本と噴霧ノズル1本以上を入れるよう指導しています
  • 鈴鹿市は埼玉県央広域とほぼ同じ定めで、四日市市と津市は各階に置く本数をそれぞれ決めています

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国の政令と規則から埼玉県央広域の乗降ロビーの定義を経て格納箱を全階に置くまでのたどり方を示した図解

11階建て以上の連結送水管で国は格納箱をどう決めているのか

上の階の連結送水管の立管に放水口と格納箱が並んだビルの断面のイラスト
埼玉県央広域の基準を読む前に、もとになる国の政令と規則を確かめます。
e-Govの現行の消防法施行令第29条第2項第4号と、消防法施行規則第30条の4第2項・第31条第6号を読みます。
消防法施行令 第29条第2項第4号
地階を除く階数が十一以上の建築物に設置する連結送水管については、次のイからハまでに定めるところによること。
(略)
ハ 総務省令で定めるところにより、放水用器具を格納した箱をイに規定する放水口に附置すること。ただし、放水用器具の搬送が容易である建築物として総務省令で定めるものについては、この限りでない。
消防法施行規則 第30条の4第2項
令第二十九条第二項第四号ハただし書の総務省令で定めるものは、非常用エレベーターが設置されており、消火活動上必要な放水用器具を容易に搬送することができるものとして消防長又は消防署長が認める建築物とする。
消防法施行規則 第31条第6号
(略)
ロ 令第二十九条第二項第四号ハの放水用器具は、長さ二十メートルのホース四本以上及び筒先二本以上とするほか、消防庁長官の定める基準に適合するものであること。
ハ ロに規定する放水用器具を格納した箱は、一の直通階段について階数三以内ごとに、一の放水口から歩行距離五メートル以内で消防隊が有効に消火活動を行なうことができる位置に設けること。
国の基準は階数3以内ごとです。
国の規則では、格納箱は一つの直通階段について階数3以内ごとに置き、中にはホース4本以上と筒先2本以上を入れます。
ただし政令のただし書と規則第30条の4第2項により、非常用エレベーターがあって器具を運びやすいと消防長又は消防署長が認めた建物は、格納箱を省けます。
国の条文はどんな建物なら認めるかを書いていないので、そこは各消防本部の判断にゆだねられています。
まず自分の建物の地階を除く階数と、非常用エレベーターの有無を図面で確かめておくと、この先の話がすぐ当てはめられます。

消防長が認めるかどうかは、どこを見れば分かるのですか。

消防本部の審査基準に書かれていることがあります。
埼玉県央広域は、その認める建物を定義しています。

埼玉県央広域で格納箱を置かなくてよいのはどんな建物か

扉の開いた非常用エレベーターの中にホースを積んだ台車がありロビーの壁に放水口があるイラスト
埼玉県央広域の審査基準は、第4章 第20「連結送水管」の3「高層階に設ける連結送水管」で格納箱と放水用器具を定めています。
規則第30条の4第2項の消防長又は消防署長が認める建築物は、3⑸アで次のように書かれています。
埼玉県央広域消防本部「消防用設備等に関する審査基準」 第4章 第20 3⑸
放水用器具は、省令第31条第6号ロの規定にかかわらず、次によること。
ア 省令第30条の4第2項に規定する「非常用エレベーターが設置されており、消火活動上必要な放水用器具を容易に搬送することができるものとして消防長又は消防署長が認める建築物」とは、非常用エレベーター乗降ロビーに放水口が設置されている防火対象物をいう。
乗降ロビーの放水口が目印です。
埼玉県央広域は、非常用エレベーターの乗降ロビーに放水口を設けた建物を、器具を運びやすい建物として扱うと定めています。
この⑸アには▲も●も付いていないので、凡例の上では法令の規定を当てはめるための基準です。
第20-3図の非常用エレベーターが設置されている方式でも、11階と12階の放水口は双口形ですが、格納箱は描かれていません。
放水口を乗降ロビーに置くか階段室に置くかで格納箱の要否が変わるので、設計の早い段階で放水口の位置を決めておきます。

放水口を階段室に置いた場合は、格納箱が要るということですね。

基準の書きぶりからはそう読めます。
放水口の位置を決める前に予防課へ確かめましょう。

埼玉県央広域で格納箱を置くときは何階に何を入れるのか

扉の開いた格納箱に二本のホースと一本の噴霧ノズルと放水口が収まったイラスト
乗降ロビーに放水口がない建物では、格納箱を置くことになります。
埼玉県央広域は、置く階と中身を国の規則とは違う形で定めています。
埼玉県央広域消防本部「消防用設備等に関する審査基準」 第4章 第20 3⑷ウ・⑸イ・ウ
ウ 設置位置
ホース格納箱は、省令第31条第6号ロ及びハの規定にかかわらず、次によること。
(ア) 11階以上のすべての階に設けること。▲
(略)
イ ノズル
(ア) ノズルは、噴霧ノズルを1本以上設けること。▲
(略)
ウ 消防用ホース
(略)
(イ) 消防用ホースは、消防用ホースの規格省令に規定する呼称50(使用圧1.3MPa以上。ただし、加圧送水装置が設置されている防火対象物にあっては、使用圧1.6MPa以上)のもので、長さ20mのものを2本以上設けること。▲
全部の階に少しずつ置く考え方です。
国は階数3以内ごとにホース4本と筒先2本ですが、埼玉県央広域は11階以上の全部の階に格納箱を置き、ホース2本以上と噴霧ノズル1本以上を入れるとしています。
この3つの項目には▲が付いていて、凡例では行政指導の基準、つまり協力を求める内容です。
あわせて、放水口は格納箱の中に設け(▲)、格納箱は屋外消火栓箱に準じた箱にし(▲)、「ホース格納箱」の標識を付けます(●)。
地上15階建てなら11階から15階までの5つの階に格納箱が並ぶので、点検ではホースの本数を階ごとに数えます。

つまり階ごとの本数は少なくても、どの階にもすぐ使える器具があるのですね。

そう読めます。
ホースは呼称50なので、交換のときは規格も確かめましょう。

三重の鈴鹿市と四日市市と津市は格納箱をどう扱っているのか

格納箱を各階に置いたビルと一つおきの階に置いたビルと大きな格納箱を各階に置いたビルが並ぶイラスト
同じ規則第31条第6号でも、三重の3市は書きぶりが分かれます。
鈴鹿市は埼玉県央広域とほぼ同じ文で、四日市市と津市は各階に置く本数を独自に決めています。
鈴鹿市消防本部「鈴鹿市消防用設備等に関する審査基準」 第4章 第20 3⑷ウ
ホース格納箱は、省令第31条第6号ハの規定にかかわらず、次によることができる。
(ア) 11階以上のすべての階に設ける。▲
四日市市消防本部「四日市市消防同意事務審査基準」 第2章 第20 5(1)(2)
(1)放水用器具は、噴霧切替ノズル(結合金具呼称65mmグリップ付きに限る。)1本及び呼称65mm長さ20mのホース2本を収納しておくこと。
(2)前(1)の放水用器具は、各階に設けること。ただし、特殊な階層の建築物は、1階層おきに分散して設けることができる。この場合の放水用器具数は、前(1)の噴霧切替ノズル2本及びホース4本とする。
津市消防本部「津市予防事務審査検査基準」 5-21 5⑴
11階以上の各階には、長さ20mのホース(呼称50、使用圧は1.3MPa以上かつ設計送水圧力以上)4本以上、筒先(結合金具は、呼称50の差込式の受け口)2本以上を放水用器具格納箱(以下「ホース格納箱」という。)に収納して設けること。
置く階と本数が市ごとに違います。
鈴鹿市は全部の階・ホース2本・噴霧ノズル1本と埼玉県央広域と同じ中身ですが、「次によることができる」と書き、国の階数3以内ごとも選べる形です。
鈴鹿市も3⑸アで、乗降ロビーに放水口がある防火対象物を消防長が認める建築物と定めています。
四日市市は各階に呼称65のホース2本と噴霧切替ノズル1本を置き、特殊な階層の建物は1階層おきにノズル2本とホース4本にできるとしています。下線(行政指導)が付いているのはノズルの種類を指定した部分だけです。
津市は11階以上の各階にホース4本以上と筒先2本以上を求めていて、国の本数を全部の階に置く形です。

津市だと、11階以上の全部の階にホース4本ずつですか。

津市の基準はそう書いています。
格納箱の大きさも変わるので、早めに図面に入れましょう。

4つの消防本部を並べると何から確かめればよいのか

高いビルの断面図を広げた製図台の右に赤色の灯火が付いた格納箱が置かれたイラスト
ここまでの国と4つの消防本部の定めを、一つの表に並べます。
大阪市・東大阪市・堺市の置き方は、堺市の7階と9階の記事で比べています。
消防本部格納箱を置く階ホースと筒先非常用エレベーターによる省略
国(規則第31条第6号)直通階段ごとに階数3以内ごと20mのホース4本以上・筒先2本以上消防長又は消防署長が認める建築物は不要
埼玉県央広域11階以上のすべての階(▲)呼称50のホース2本以上・噴霧ノズル1本以上(▲)乗降ロビーに放水口がある防火対象物は不要
鈴鹿市11階以上のすべての階にできる(▲)全部の階に置くなら呼称50のホース2本以上・噴霧ノズル1本以上(▲)乗降ロビーに放水口がある防火対象物は不要
四日市市各階(特殊な階層は1階層おき)呼称65のホース2本・噴霧切替ノズル1本(1階層おきは4本と2本)公開基準に記述は見当たらない
津市11階以上の各階呼称50のホース4本以上・筒先2本以上公開基準に記述は見当たらない
まず放水口の位置を決めます。
埼玉県央広域と鈴鹿市では、乗降ロビーに放水口を設ければ格納箱そのものが要らない扱いになります。
四日市市と津市の公開基準には規則第30条の4第2項の扱いが見当たらないので、非常用エレベーターがあっても各階に置く前提で相談に行くのが安全です。
予防課に持っていくものは、次の3つです。
  • 地階を除く階数と、非常用エレベーターの位置がわかる平面図
  • 放水口を設ける場所(乗降ロビー・付室・階段室)がわかる図
  • 格納箱を置く階と、中に入れるホースと筒先の本数・呼称の一覧

既存のビルなら、いまの格納箱の本数が基準どおりか確かめればよいのですね。

はい。
点検のときはホースの呼称と本数を階ごとに記録しておきましょう。

よくある質問

Q非常用エレベーターがあれば、どの市でも格納箱は要りませんか?
A国の規則は消防長又は消防署長が認めた建物に限っています。埼玉県央広域と鈴鹿市は乗降ロビーに放水口がある防火対象物と定めていますが、四日市市と津市の公開基準には記述がないので、所轄で確かめてください。
Q埼玉県央広域で国の基準どおり階数3以内ごとに置いてもよいですか?
A全部の階に置く定めには▲(行政指導)が付いているので、凡例の上では協力を求める内容です。国の基準で置くつもりなら、設計の段階で予防課に相談してください。
Q格納箱の中のホースは呼称50と65のどちらですか?
A埼玉県央広域・鈴鹿市・津市は呼称50、四日市市は呼称65のホースを定めています。放水口の結合金具との組み合わせもあわせて確かめてください。
Q格納箱の標識は何と書けばよいですか?
A4つの消防本部とも「ホース格納箱」と表示します。四日市市は赤地に白文字か白地に赤文字で50cm×8cm、鈴鹿市は1字につき20㎠以上と大きさまで定めています。

まとめ

✔施行令第29条第2項第4号ハは、11階以上の放水口に格納箱を附置するよう定めています
✔国の規則では格納箱を階数3以内ごとに置き、ホース4本以上と筒先2本以上を入れます
✔非常用エレベーターがあり消防長又は消防署長が認めた建物は、格納箱を省けます
✔埼玉県央広域と鈴鹿市は、乗降ロビーに放水口がある防火対象物をその建物と定めています
✔埼玉県央広域は11階以上の全部の階にホース2本と噴霧ノズル1本以上を置くよう指導しています
✔四日市市は各階に呼称65のホース2本とノズル1本、津市は各階にホース4本と筒先2本を求めています
✔放水口の位置と非常用エレベーターの有無を図面で確かめてから、格納箱を決めます

放水口を乗降ロビーに置く案で、予防課に相談してみます!

先に確かめておけば格納箱の数を見込み違いせずに済みます。
㈱防災屋でもご相談を承っております。

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お問い合わせ

監修・編集者
青木 俊輔
青木 俊輔

㈱防災屋 代表取締役/消防設備士

平成元年生まれ、三重県鈴鹿市出身。祖父が創業した消防設備業者で10年間勤務した後、独立・起業。現在は青木マーケ㈱、㈱防災屋、(一社)予防団の運営に携わる。Amazonベストセラー1位『改訂版 消防設備士0類』著者。月刊誌「電気と工事(オーム社)」でコラム連載中!

本記事の消防法令、消防用設備等の技術情報および記述内容を監修・編集しています。

詳しい経歴・保有資格を見る
学歴
  • 鈴鹿工業高等専門学校 材料工学科 卒
  • 静岡大学工学部物質工学科 材料科学コース 卒
  • 静岡大学大学院工学研究科物質工学専攻 修了
保有資格
  • 消防設備士:甲種特類、甲種1~5類、乙種6・7類
  • 危険物取扱者:甲種、乙種1~6類、丙種
  • 防火対象物点検資格者/防災管理点検資格者/甲種防火管理者
  • 第二種電気工事士/工事担任者(総合通信)/第三種電気主任技術者
  • 自家用発電設備専門技術者/特種電気工事資格者/職長・安全衛生責任者
  • eco検定/民泊適正管理主任者/フォークリフト運転技能講習 修了

趣味:ギター、バスケットボール(全国高専大会優勝・キャプテン)

主な活動

参考・出典

  • 消防法施行令 第29条第2項第4号、消防法施行規則 第30条の4第2項・第31条第6号(e-Gov法令検索)
  • 埼玉県央広域消防本部「消防用設備等に関する審査基準」第1章 凡例、第4章 第20 1(第20-3図・第20-4図)・3⑷⑸(第20-15図) 第20 連結送水管のPDF
  • 鈴鹿市消防本部「鈴鹿市消防用設備等に関する審査基準」第1章 凡例、第4章 第20 3⑷⑸ 第4章 第20のPDF
  • 四日市市消防本部「四日市市消防同意事務審査基準」凡例、第2章 第20 5 審査基準(全ページ)のPDF
  • 津市消防本部「津市予防事務審査検査基準」5-21 連結送水管 5 5-21のPDF

※本記事は各消防本部が公開している審査基準と国の法令に基づく一般的な解説です。運用基準・条例は改正されることがあるため、最新の内容は管轄の消防署・消防本部で確認してください。各本部の資料は2026年10月時点の公開版で確認しています。個々の建物で格納箱を省けるかどうかや置く階は、所轄の消防本部にご確認ください。

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