木材加工品や合成樹脂類などの指定可燃物は、一定の量を超えて置くと市町村の火災予防条例の規制を受けます。
ところが、事務所のソファや倉庫の壁に入れた断熱材まで、置いてある量に数えるのかは国の政令に書かれていません。
樹脂の製品が「難燃性」かどうかで数えるかどうかが変わるのに、その見分け方も政令には書かれていません。
津市消防本部の指導運用指針は、ふだん使う家具や保温保冷の断熱材など6つの場合を指定可燃物の貯蔵や取扱いに当たらないとし、合成樹脂類の難燃性を酸素指数26で見分けると定めています。
津市の倉庫でプラスチックの容器や段ボールの在庫が増えてきました。
事務所のソファや冷蔵室の断熱材まで量に入れるのか迷っています。
津市なら、消防本部の指導運用指針に数えないものの一覧があります。
品名に当たらない物の見分け方も書かれています。
樹脂の製品が難燃性かどうかは、どうやって決めるんですか。
合成樹脂類は酸素指数という試験の数値で見分けます。
鴻巣市などを受け持つ埼玉県央広域の基準とも比べていきましょう。
- 指定可燃物は危険物の規制に関する政令の別表第四で品名と数量が決まり、合成樹脂類は不燃性又は難燃性でない固体の製品などを指す
- 津市は事務所やホテルで日常的に使うソファ・ベッド・机や、倉庫の保温保冷の断熱材を指定可燃物の貯蔵や取扱いに当たらないとしている
- 水中の木材加工品・百貨店のショーウインドウの陳列品・工事中の断熱材や舗装材・中身を入れて運ぶパレットも当たらない
- 合成樹脂類は酸素指数26以上なら難燃性があるとして合成樹脂類に当たらない
- 埼玉県央広域も家具と断熱材を外すが、販売を目的とした展示は貯蔵や取扱いに含めると書いている
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目次
指定可燃物は国の政令でどう決まっているのか

消防法第9条の4は、指定可燃物の貯蔵と取扱いの基準を市町村の条例に任せ、何が指定可燃物かは政令で定めるとしています。
法第九条の四の物品で政令で定めるものは、別表第四の品名欄に掲げる物品で、同表の数量欄に定める数量以上のものとする。
同 別表第四 備考(抜粋)
九 合成樹脂類とは、不燃性又は難燃性でない固体の合成樹脂製品、合成樹脂半製品、原料合成樹脂及び合成樹脂くず(不燃性又は難燃性でないゴム製品、ゴム半製品、原料ゴム及びゴムくずを含む。)をいい、合成樹脂の繊維、布、紙及び糸並びにこれらのぼろ及びくずを除く。
別表第四は、合成樹脂類なら3,000キログラム(発泡させたものは20立方メートル)、木材加工品及び木くずなら10立方メートル、綿花類なら200キログラムといった数量を品名ごとに決めています。
綿花類・ぼろ及び紙くず・糸類・合成樹脂類は、いずれも「不燃性又は難燃性でない」ものに限ると備考に書かれています。
消防法施行令第13条では、指定可燃物をこの数量の1,000倍以上置く建物に水噴霧消火設備などが必要になります。
ただ、事務所の家具や建物に組み込んだ断熱材を置いてある量に入れるのか、難燃性をどう確かめるのかは政令に書かれていません。
倉庫の在庫を品名ごとに書き出し、家具や建材を数えるかどうかは所在地の消防本部の基準で確かめます。
難燃性かどうかの決め方は、政令には書いていないのですね。
そうです、そこを津市の指導運用指針が補っています。
次は数えない場合の一覧を見ます。
津市では何を指定可燃物の貯蔵や取扱いに数えないのか

「第12 指定可燃物の周囲の状況又は特殊な設備等に関する事項等」の1に、数えない場合が並んでいます。
次に掲げる場所又は類似した形態による場合は、指定可燃物の貯蔵及び取扱いに該当しないものとする。
(1)水中に貯蔵している木材加工品
(2)事務所、ホテル、学校等で日常的に使用されているソファ、ベッド、椅子、机等の木材加工品及び合成樹脂類
(3)倉庫等の保温保冷の断熱材として使用する合成樹脂類
(4)百貨店等のショーウインドゥで陳列、展示されているもの
(5)建築現場、道路工事現場で施工されている断熱材、道路の舗装材等
(6)搬送用として使用(搬送品が収納されているものに限る。)されているビールケース、パレット等の合成樹脂類
事務所・ホテル・学校で日常的に使用しているソファ・ベッド・椅子・机は、木製でも樹脂製でも量に入れません。
倉庫の保温保冷のための断熱材や、建築現場で施工されている断熱材・道路の舗装材も同じ扱いです。
ビールケースやパレットは、品物を入れて運んでいるときに限られ、空のまま積み上げた空きパレットはこの6つに入っていません。
「類似した形態」も含むとされているので、迷う物は形態を写真に撮って消防署に見てもらいます。
在庫表から家具・建材・搬送中の容器を分け、残った物だけで品名ごとの量を出しておきます。
空のパレットを積んでおくと、数える側に入るのですね。
そうです、外れるのは搬送品が収納されているものに限られます。
次は難燃性の見分け方を見ます。
合成樹脂類が難燃性かどうかは何で見分けるのか

津市の指針は、「第11 指定可燃物の品名に関する事項」で、その見分け方を試験の名前で示しています。
4 綿花類、ぼろ及び紙くず、糸類は、「45度傾斜バスケット法燃焼試験」による所定の試験結果により不燃性又は難燃性が確認された場合は、それぞれの品名に該当しないものとする。
5 合成樹脂類は、「酸素指数法による高分子材料の燃焼試験法(JIS K7201)」による酸素指数26以上のものは、不燃性又は難燃性を有するものとし、合成樹脂類に該当しないものとする。
酸素指数は、日本産業規格のJIS K7201の試験で、材料が燃え続けるのに必要な最低の酸素の濃度を表す数値です。
津市の指針は、酸素指数が26以上の合成樹脂を難燃性があるものとし、合成樹脂類の品名から外しています。
綿花類・ぼろ及び紙くず・糸類は、45度傾斜バスケット法燃焼試験で不燃性か難燃性が確かめられれば、それぞれの品名に当たりません。
どの樹脂が26以上かの一覧は津市の指針にはなく、樹脂の名前だけでは決めていません。
難燃グレードの製品を扱うなら、メーカーの試験成績書で酸素指数を確かめ、届出の前に消防署に見せておきます。
同じポリエチレンでも、難燃化した製品なら数えない場合があるのですね。
はい、根拠になるのは試験の数値です。
次は品名がまぎらわしい物を見ます。
羊毛や丸太のように品名がまぎらわしい物はどう扱うのか

羊毛・廃材・丸太・パーム椰子殻と、複数の素材でできた製品の扱いです。
1 鉄〆された羊毛(圧縮した原毛の入った麻袋を針金で締め、圧縮した状態のまま流通しているものをいう。)は、綿花類に該当しないものとする。
2 水で浸漬された廃材及びおがくずで軽く圧して水分の付着するものは、木くずに該当しないものとする。
3 丸太(電柱及び建築用足場に使用するものは除く。)は、木材加工品に該当しないものとする。
6 PKS(パーム椰子殻)は再生資源燃料として取り扱う。
7 指定可燃物の異なる品名等で造られている製品等は、次により取り扱うものとする。(1)指定可燃物の異なる品名で造られている製品等は、当該品名に係る「数量」の単位(キログラム又は立方メートルをいう。)の重量又は容積百分率により、製品等の50パーセント以上を占める方の指定可燃物の品名に該当すること。(2)(略)
針金で締めて圧縮したまま流通する鉄〆の羊毛は綿花類に当たらず、水を含んだ廃材やおがくずは木くずに当たりません。
丸太は木材加工品に当たりませんが、電柱や建築用足場に使う丸太は除かれているので、木材加工品として数えます。
バイオマス燃料に使うパーム椰子殻は、再生資源燃料として扱うとされています。
2つの品名でできた製品は、重さか容積で50パーセント以上を占める側の品名で数え、品名に当たらない物との組み合わせなら品名側が50パーセント以上のときに数えます。
素材が混ざった製品は、仕様書で重さか容積の割合を確かめてから品名を決めておきます。
同じ丸太でも、足場用なら数えるのですね。
そうです、用途で扱いが変わる物もあります。
最後に埼玉県央広域と比べます。
埼玉県央広域の基準とはどこが違うのか

「第10 水噴霧消火設備等の設置に係る取扱い」の7で、施行令第13条の合成樹脂類の判定として書かれています。
⑴ (略)この場合の「不燃性又は難燃性」の判断は、試験の再現性等を考慮してJIS K7201に定める酸素指数法により判断することとし、当該試験法に基づく酸素指数26以上のもの及び固体でないものを不燃性又は難燃性を有するものとして取り扱うこと。
⑵ 「貯蔵し、又は取り扱うもの」とは、(略)一定場所に集積することなく日常的に使用される事務所のソフアー、椅子等、ホテルのベツド類、倉庫の保温保冷のため断熱材として使用しているもの等は該当しないものであること。なお、販売を目的として展示しているものは、貯蔵又は取り扱いに含まれるものであること。
| 項目 | 津市 | 埼玉県央広域 |
|---|---|---|
| 定めた場所 | 少量危険物及び指定可燃物の指導運用指針(条例の運用) | 審査基準 第10 水噴霧消火設備等(施行令第13条の判定) |
| 対象の品名 | 木材加工品・合成樹脂類など | 合成樹脂類 |
| 日常使う家具 | ソファ・ベッド・椅子・机は数えない | ソファー・椅子・ホテルのベッドは数えない |
| 保温保冷の断熱材 | 数えない | 数えない |
| 売り物の展示 | 百貨店等のショーウインドウの陳列は数えない | 販売を目的とした展示は数える |
| 難燃性の見分け方 | 酸素指数26以上(綿花類等は45度傾斜バスケット法) | 酸素指数26以上と固体でないもの(樹脂名の参考表あり) |
| その他 | 水中の木材・工事中の断熱材や舗装材・搬送中の容器 | 記載なし |
埼玉県央広域は、販売を目的として展示している物は貯蔵又は取り扱いに含めると明記しています。
津市が外しているのは百貨店等のショーウインドウの陳列・展示で、売場の商品全体を外す書き方ではありません。
埼玉県央広域は、ポリエチレン・ポリプロピレン・ポリスチレン・ポリウレタンなどを酸素指数26未満、ポリ塩化ビニル・ポリカーボネート・フェノール樹脂などを26以上の参考に挙げ、難燃化で26以上になる場合があるとも書いています。
この⑴⑵には、行政指導を示す▲も法令と指導を示す●も付いていません。
鈴鹿市・四日市市の審査基準と、大阪市・東大阪市の基準には同じ一覧は見当たらず、堺市は数量の算定を別の「少量危険物等の審査基準」に任せていて、今回はその本文を確かめられていません。
売るために並べた商品は、埼玉県央広域では数える側なのですね。
はい、展示の目的で扱いが変わります。
売場や倉庫のある市の基準で確かめておきましょう。
よくある質問
まとめ
まずは在庫表から家具と断熱材を分けてみます!
樹脂製品は酸素指数も控えておきましょう。
㈱防災屋でもご相談を承っております。
㈱防災屋 代表取締役/消防設備士
平成元年生まれ、三重県鈴鹿市出身。祖父が創業した消防設備業者で10年間勤務した後、独立・起業。現在は青木マーケ㈱、㈱防災屋、(一社)予防団の運営に携わる。Amazonベストセラー1位『改訂版 消防設備士0類』著者。月刊誌「電気と工事(オーム社)」でコラム連載中!
本記事の消防法令、消防用設備等の技術情報および記述内容を監修・編集しています。
詳しい経歴・保有資格を見る
- 鈴鹿工業高等専門学校 材料工学科 卒
- 静岡大学工学部物質工学科 材料科学コース 卒
- 静岡大学大学院工学研究科物質工学専攻 修了
- 消防設備士:甲種特類、甲種1~5類、乙種6・7類
- 危険物取扱者:甲種、乙種1~6類、丙種
- 防火対象物点検資格者/防災管理点検資格者/甲種防火管理者
- 第二種電気工事士/工事担任者(総合通信)/第三種電気主任技術者
- 自家用発電設備専門技術者/特種電気工事資格者/職長・安全衛生責任者
- eco検定/民泊適正管理主任者/フォークリフト運転技能講習 修了
趣味:ギター、バスケットボール(全国高専大会優勝・キャプテン)
参考・出典
- 消防法 第9条の4(e-Gov法令検索)
- 消防法施行令 第13条(e-Gov法令検索)
- 危険物の規制に関する政令 第1条の12・別表第四(e-Gov法令検索)
- 少量危険物及び指定可燃物の規制に関する指導運用指針 第11・第12(津市消防本部・令和5年11月改訂版)
- 埼玉県央広域消防本部消防用設備等に関する審査基準 第10 水噴霧消火設備等の設置に係る取扱い(埼玉県央広域消防本部)
※本記事は公表されている法令および各消防本部の審査基準・指導運用指針に基づく一般的な解説です。運用基準・条例は改正されることがあるため、最新の内容は管轄の消防署・消防本部でご確認ください。個別の判断は管轄の消防署にご相談ください。





