河川や海を、消防のための水利として数えられるかは、平常時に水が見えているかだけでは決まりません。
渇水期や干潮時にも消防ポンプ自動車が部署でき、必要な量を取り続けられるかを確かめる必要があります。
消防水利の基準は、河川・溝等や海・湖を例示し、取水量・継続時間・取水場所の条件を定めています。
この記事では、自然水利を候補にするときの確認順序を、実務で迷いやすい低水位の場面から整理します。
川のそばに建物があれば、水利として数えられると思っていました。
見た目では決めません。
水位が下がる日でも取水と部署ができるかを確認します。
海なら満潮時、川なら増水時だけ見ても足りないのですね。
そのとおりです。
まず最も使いにくい条件を想定して、消防機関と確認しましょう。
- 河川・溝等や海・湖も、消防水利の例に含まれます。
- 常時貯水量40㎥以上又は取水可能水量毎分1㎥以上で、連続40分以上の給水能力が必要です。
- 渇水期・干潮時は、最低水位で取水できるかを実地で確認します。
- 落差4.5m以下、水深0.5m以上、消防ポンプ自動車が容易に部署できることも確認します。
- 現地の可否は、所管消防機関と事前にすり合わせることが重要です。
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目次
河川や海はなぜ消防水利として扱えるのか

消防水利の基準は、消防に必要な水利を定めるための国の基準です。例示には消火栓や防火水そうだけでなく、河川、溝等、海、湖も並びます。
ただし、河川や海が近くにあることだけで直ちに有効な消防水利になるわけではありません。消防水利は常時使用できるよう管理され、消防ポンプ自動車が現場に部署して吸水できる状態であることが前提です。
水がある場所なら、設備の種類に関係なく候補になるのですね。
候補にはなります。
次は必要な水量と現場条件を一緒に見ます。
渇水期や干潮時にはどこまで取水できればよいのか

自然水利で特に見落としやすいのは、水位が最も低い時です。雨の後や満潮時に水面が十分でも、渇水や干潮で吸管の先が届かず、水深も確保できなければ実際の消火活動には使えません。
消防水利の基準は、取水部分の水深を0.5m以上、地盤面からの落差を4.5m以下としています。国の基準は「何月・何時の水位で測るか」まで一律には定めていませんが、消防庁の防災活動資料でも、河川・海等の自然水利は干潮時・渇水期の水位をあらかじめ把握する考え方が示されています。
したがって、計画時には通常水位の写真だけで終わらせず、潮位表、河川管理者の水位情報、現地の低水位時の状況を所管消防機関と確認するのが安全です。
一度測った水位だけで、大丈夫と判断しないことが大切ですね。
はい。
低水位時に使えることまで、記録で確認できるようにします。
取水量と40分の給水能力はどう確認するのか

消防水利の基準では、常時貯水量が40㎥以上、又は取水可能水量が毎分1㎥以上であり、かつ連続40分以上の給水能力を求めています。
河川や海は固定の水槽のように容量だけを数えるものではありません。取水可能水量を前提に、取水中に水位低下や流れの影響で吸水が続けられなくならないかを確認します。計算や実測の前提を省略して「川幅があるから足りる」と判断するのは危険です。
実測方法、消防ポンプ自動車の仕様、他の水利との組み合わせは地域の消防体制によって異なります。必要な能力の判断は、消防機関に取水場所の図面・水位資料を示して相談してください。
毎分の量と、続けられる時間を別々に見るのですね。
その両方が必要です。
取水中の条件変化も含めて確認しましょう。
取水場所は水位だけでなく何を満たすのか

水面まで近くても、消防ポンプ自動車が安全に止められなければ取水は始められません。基準は、消防ポンプ自動車が容易に部署できることを求めています。
あわせて、吸管投入孔が設けられる場合は一辺又は直径0.6m以上が必要です。法面の崩れ、柵や植栽、狭い進入路、違法駐車が想定される場所は、平常時に水が取れても災害時の水利として機能しないおそれがあります。
河川管理施設や港湾施設に触れる計画では、占用・安全管理の条件も別途確認します。消防水利として使えることと、誰でも自由に進入・工事できることは同じではありません。
水量だけでなく、消防車が近づけるかも同じくらい大事ですね。
そのとおりです。
進入から部署、吸水までを現地で通して確認します。
明日から自然水利をどう点検すればよいのか

自然水利は、設けたときだけでなく常時使えるように管理しなければなりません。護岸の改修、土砂の堆積、植栽の成長、柵の追加、進入路の駐車状況などで、以前は使えた取水場所が使いにくくなることがあります。
まずは次の順で確認します。①所管消防機関に候補地と用途を相談する、②低水位時の水深・落差・取水可能水量を確認する、③消防ポンプ自動車の進入・転回・部署を現地で確認する、④点検頻度と管理者を決めて記録を残す、という流れです。
自然水利は地域の地形や消防力に強く左右されます。基準値だけを満たすかではなく、実際の消火活動に支障がないかを消防機関と確認してください。
候補地の写真と低水位の情報をそろえて、相談してみます。
その準備が確実です。
利用条件と維持管理を記録に残しましょう。
よくある質問
まとめ
自然水利の候補地を、実際の低水位から確認します。
現地確認や書類の整理は、㈱防災屋でもご相談を承っております。
㈱防災屋 代表取締役/消防設備士
平成元年生まれ、三重県鈴鹿市出身。祖父が創業した消防設備業者で10年間勤務した後、独立・起業。現在は青木マーケ㈱、㈱防災屋、(一社)予防団の運営に携わる。Amazonベストセラー1位『改訂版 消防設備士0類』著者。月刊誌「電気と工事(オーム社)」でコラム連載中!
本記事の消防法令、消防用設備等の技術情報および記述内容を監修・編集しています。
詳しい経歴・保有資格を見る
- 鈴鹿工業高等専門学校 材料工学科 卒
- 静岡大学工学部物質工学科 材料科学コース 卒
- 静岡大学大学院工学研究科物質工学専攻 修了
- 消防設備士:甲種特類、甲種1~5類、乙種6・7類
- 危険物取扱者:甲種、乙種1~6類、丙種
- 防火対象物点検資格者/防災管理点検資格者/甲種防火管理者
- 第二種電気工事士/工事担任者(総合通信)/第三種電気主任技術者
- 自家用発電設備専門技術者/特種電気工事資格者/職長・安全衛生責任者
- eco検定/民泊適正管理主任者/フォークリフト運転技能講習 修了
趣味:ギター、バスケットボール(全国高専大会優勝・キャプテン)
参考・出典
※自然水利の指定・利用条件は、河川・港湾の管理条件や所管消防機関の運用により異なります。計画・整備・届出の前に、必ず所管消防機関へ確認してください。





