部屋をアコーディオンカーテンで仕切って使うと、スプリンクラーのヘッドの数え方が変わる市があります。
国の施行規則にはカーテンという語がありませんが、鴻巣市を所管する埼玉県央広域消防本部は「間仕切りごとにヘッドを設けること」と書いています。
メッシュ付きカーテンの例外は市ごとに条件が違い、自動火災報知設備と放送設備でも扱いが分かれます。
三つの設備について、国の条文から各消防本部の基準へ順にたどります。
会議室をアコーディオンカーテンで仕切ると、スプリンクラーはどうなるのでしょうか。
国の規則には書かれていない話です。
消防本部の基準で決まります。
鴻巣市の基準だけ見れば足りるのでしょうか。
スプリンクラーだけでなく、感知器とスピーカーの扱いも見ましょう。
六つの消防本部を並べて確かめます。
- 国の施行規則には、可動のカーテンで仕切った部分のヘッドの数え方は書かれておらず、カーテンやアコーディオンの語も出てこない
- 鴻巣市を所管する埼玉県央広域消防本部は、アコーディオンカーテン等が設けられている場合に間仕切りごとにヘッドを設けることと書いている
- メッシュ付きカーテンの例外は、県央と四日市市がベッド周り、鈴鹿市と堺市と大阪市が寸法などで書いていて、条件が市ごとに違う
- 自動火災報知設備では、四日市市がカーテンで間仕切りした部分を別の感知区域とし、堺市は例外をスプリンクラーの項から借りている
- 放送設備では、県央・津市・大阪市・堺市がアコーディオンカーテンを除くと書き、鈴鹿市だけは除外の語がない
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目次
国の規則はカーテンで仕切った部分のヘッドをどう決めているのか

この条文が「ここで区切る」と書いているものを、順に見ます。
閉鎖型スプリンクラーヘッドのうち標準型ヘッドは、次に定めるところによること。
イ スプリンクラーヘッドは、当該ヘッドの取付け面から〇・四メートル以上突き出したはり等によつて区画された部分ごとに設けること。
ロ 給排気用ダクト、棚等でその幅又は奥行が一・二メートルを超えるものがある場合には、当該ダクト等の下面にもスプリンクラーヘッドを設けること。
ホ スプリンクラーヘッドのデフレクターから下方〇・四五メートル以内で、かつ、水平方向〇・三メートル以内には、何も設けられ、又は置かれていないこと。
e-Govの現行の施行規則の全文を検索しても、アコーディオンとカーテンの語は一つも出てきません。
「間仕切」の語が出てくるのは、排煙設備の条文だけです。
| 区切るもの | 国の条文 | 書かれている内容 |
|---|---|---|
| はり等 | 規則第13条の2第4項第1号イ | 取付け面から0.4メートル以上突き出したはり等で区画された部分ごとに設ける |
| 給排気用ダクト・棚等 | 同号ロ | 幅又は奥行が1.2メートルを超えるものは下面にも設ける |
| ヘッドの周り | 同号ホ | 下方0.45メートル以内・水平0.3メートル以内には何も置かない |
| 可動のカーテン・アコーディオンカーテン | (書かれていない) | ― |
この記事では、次の順に基準の連鎖をたどります。
- 規則第13条の2第4項第1号:はり・ダクト・棚・ヘッドの周りの細目(国)
- 各消防本部の基準:間仕切り用のアコーディオンカーテン等は、間仕切りごとにヘッドを設ける(県央・鈴鹿市・四日市市・堺市)
- 例外:天井吊り用のメッシュ付きカーテン等(条件は市ごとに違う)
- 堺市の自動火災報知設備:間仕切り用カーテンごとの感知器の例外を、手順3の例外から借りる
- 放送設備:規則第25条の2第2項第3号ロ(イ)の「障子、ふすま等遮音性能の著しく低いもの」にアコーディオンカーテンが入るか
アコーディオンカーテンのことは、国の規則に書かれていないのですか。
はい、施行規則にはカーテンの語が出てきません。
各消防本部の基準で確かめましょう。
鴻巣市を所管する埼玉県央広域消防本部は間仕切りごとにヘッドを求めるのか

その審査基準は、閉鎖型ヘッドの設置の項で、アコーディオンカーテンの扱いを書いています。
間仕切り用のアコーディオンカーテン等が設けられている場合は、間仕切りごとにヘッドを設けること。(第3-17図参照)
ただし、病院、福祉施設等のベッド周りの天井吊り用メッシュ付きカーテンにあっては、この限りでない。
同じ⑺のアは、はり・たれ壁がある場合のヘッドの設置を、第3-16図と第3-4表の例によると書いています。
イには行政指導を表す▲の印が付いておらず、基準の上では法令基準の側に置かれています。
国の条文にない語がなぜ法令基準の側に置かれているのかは、基準に書かれていません。 図の読み方も確かめておきます。
第3-17図は、アコーディオンカーテン等の左右の天井にそれぞれヘッドを描き、「間仕切りごとにヘッドを設ける。」と注記しています。
天井吊り用メッシュ付きカーテンのほうは、その向こう側に別のヘッドが描かれていません。
| 区切るもの | 県央の書き方 | 位置 |
|---|---|---|
| はり・たれ壁 | 第3-16図と第3-4表の例による。散水が妨げられる部分が他のヘッドで有効に警戒される場合は除く | 第3 8 ⑺ア |
| アコーディオンカーテン等 | 間仕切りごとにヘッドを設ける。ベッド周りの天井吊り用メッシュ付きカーテンは除く | 同 ⑺イ |
| 給排気用ダクト・棚等 | 規則どおり1.2メートル超は下面にも設けるほか、1.2メートル以下も下面に散水できるようヘッドを天井等に設ける▲ | 同 ⑼ア |
間仕切りで分けた部屋の両側に、ヘッドが要るということですね。
県央の基準ではそう書かれています。
メッシュ付きカーテンだけが例外です。
メッシュ付きカーテンの例外は市ごとにどう違うのか

鈴鹿市・四日市市・堺市・大阪市の基準で、例外の条件を並べて見ます。
間仕切り用のアコーディオンカーテン等を設ける場合は、第3-17図のとおり、間仕切りごとにスプリンクラーヘッドを設ける。ただし、天井吊り用メッシュ付きカーテン等の設置により、当該スプリンクラーヘッドの取付け面からカーテンの上部までの水平距離が0.45mを超える場合又は当該カーテン等の取付け状態が著しくスプリンクラーヘッドの散水を妨げるものではないと認める場合は、この限りでない。
間仕切り用のアコーディオンカーテン等が設けられている場合は、間仕切りごとにヘッドを設けること。ただし、病院、福祉施設等のベッド周りの天井吊り用メッシュ付きカーテンで、有効に散水できるものにあっては、この限りでない。
間仕切り用のアコーディオンカーテン等が設けられている場合は、間仕切りごとにヘッドを設けること。ただし、間仕切り用カーテンで次のa又はbに適合するものであり、かつ、散水が妨げられないものについてはこの限りでない。★
a 天井面から0.5m以上離して設けるカーテン
b ヘッドのデフレクターから下方0.5m以上が網目状であり、当該網目部分の単位面積あたりの開口率が70%以上であるカーテン
パーティション等の簡易間仕切の上部は、ヘッドとの間に垂直距離60センチメートル以上の間隔を持たせること。ただし、散水障害を受けるおそれのある部分に別個にヘッドを設置する場合は、この限りでない。◆
| 消防本部 | 間仕切りごとのヘッド | 例外になるカーテン | 印 | 位置 |
|---|---|---|---|---|
| 埼玉県央広域 | 設ける | 病院、福祉施設等のベッド周りの天井吊り用メッシュ付きカーテン | 無印 | 第3 8 ⑺イ |
| 鈴鹿市 | 設ける | 天井吊り用メッシュ付きカーテン等で、取付け面からカーテンの上部までの水平距離が0.45mを超える場合、又は散水を著しく妨げないと認める場合 | 無印 | 第4章 第3 7 ⑹イ |
| 四日市市 | 設ける | 病院、福祉施設等のベッド周りの天井吊り用メッシュ付きカーテンで、有効に散水できるもの | 下線(行政指導) | 第3 8 (2)ウ |
| 堺市 | 設ける | a天井面から0.5m以上離すカーテン、又はb下方0.5m以上が網目状で開口率70%以上のカーテン(散水が妨げられないもの) | 末尾に★(市独自) | 第4 Ⅱ 2 (4)カ(ウ) |
| 大阪市 | アコーディオンカーテンの語はなし | パーティション等の簡易間仕切の上部とヘッドの間に垂直距離60センチメートル以上、又は別個にヘッドを設置 | ◆(市独自の行政指導) | 第9 1 (2) |
| 津市 | 間仕切りやカーテンの語が見当たらない | ― | ― | 5-3 |
県央と四日市市はベッド周りに限り、四日市市はさらに「有効に散水できるもの」という条件を付けています。
堺市は、(ウ)の末尾に市独自の★が付いています。
大阪市の60センチメートルは、アコーディオンカーテンではなくパーティション等の簡易間仕切りの上部の話で、◆が付いています。
鈴鹿市の文面は「水平距離が0.45mを超える場合」と書いていますが、第3-17図には0.45mの寸法が描かれておらず、測り方は原本と消防本部で確かめる必要があります。 だから、天井吊りのメッシュ付きカーテンを選ぶときは、自分の市の例外条件(用途か、離す寸法か、網目の割合か)に合う製品かを、購入の前に消防本部へ確かめましょう。
メッシュ付きカーテンなら、どの市でもヘッドを増やさなくてよいのですか。
いいえ、条件が市ごとに違います。
寸法と用途を、図面で確かめましょう。
自動火災報知設備もカーテンで区切ると感知器が増えるのか

カーテンで区切った部分を別に数える基準は、今回調べた範囲では堺市と四日市市に見つかりました。
感知器は、感知区域(それぞれ壁又は取付け面から〇・四メートル(差動式分布型感知器又は煙感知器を設ける場合にあっては〇・六メートル)以上突出したはり等によって区画された部分をいう。以下同じ。)ごとに、感知器の種別及び取付け面の高さに応じて次の表で定める床面積につき一個以上の個数を、火災を有効に感知するように設けること。
アコーディオンカーテン等で間仕切りされた部分は、それぞれ別感知区域とすること。ただし、布製カーテン等で軽微なもので間仕切りされたものは、この限りではない。
間仕切り用カーテンを設ける場合は、当該カーテンで間仕切られた部分ごとに感知器を設けること。ただし、第4 スプリンクラー設備 Ⅱ.2.(4).カ.(ウ)の規定に適合するものにあっては、この限りでない。
布製カーテン等の軽微なものは除かれ、この項は下線の付いた行政指導の部分です。
堺市は、間仕切り用カーテンで間仕切られた部分ごとに感知器を設けることを、印のない書き方で定めています。
そのうえで、例外をスプリンクラーの項から借りています。 堺市の連鎖を、番号つきでたどります。
- 規則第23条第4項第3号ロ:感知区域は、0.4メートル(差動式分布型感知器と煙感知器は0.6メートル)以上突き出したはり等で区画された部分(国)
- 堺市 第12 Ⅱ 2 (2)ク:間仕切り用カーテンで間仕切られた部分ごとに感知器を設ける
- ただし書:第4 スプリンクラー設備 Ⅱ 2 (4)カ(ウ)の規定に適合するものは除く
- (ウ)の例外:a天井面から0.5m以上離して設けるカーテン、又はb下方0.5m以上が網目状で開口率70%以上のカーテンで、散水が妨げられないもの(★)
埼玉県央広域・鈴鹿市・津市・大阪市の自動火災報知設備の項には、カーテンで区切る決まりは見当たりませんでした。
| 消防本部 | カーテンで間仕切られた部分 | 例外 | 印 | 位置 |
|---|---|---|---|---|
| 四日市市 | それぞれ別感知区域とする | 布製カーテン等で軽微なもの | 下線(行政指導) | 第10 2 (11)ウ |
| 堺市 | 部分ごとに感知器を設ける | スプリンクラーの項の(ウ)に適合するもの | 無印 | 第12 Ⅱ 2 (2)ク |
| 埼玉県央広域・鈴鹿市・津市・大阪市 | 見当たらない | ― | ― | ― |
感知器の数も、堺市ではスプリンクラーと同じ条件で決まるのですね。
そのとおりです。
カーテンを離す寸法が、両方に効きます。
放送設備ではアコーディオンカーテンで別の放送区域になるのか

その放送区域の区切りにアコーディオンカーテンが入るかどうかを、各消防本部が書いています。
スピーカーは、階段又は傾斜路以外の場所に設置する場合、百平方メートルを超える放送区域(防火対象物の二以上の階にわたらず、かつ、床、壁又は戸(障子、ふすま等遮音性能の著しく低いものを除く。)で区画された部分をいう。以下同じ。)に設置するものにあつてはL級のものを設けること。(以下、五十平方メートルを超え百平方メートル以下はL級又はM級、五十平方メートル以下はL級、M級又はS級)
| 消防本部 | 「障子、ふすま等遮音性の著しく低いもの」の書き方 | 印 | 位置 |
|---|---|---|---|
| 埼玉県央広域 | 障子、ふすまのほか、カーテン(アコーディオンカーテンを除く。)、つい立て、すだれ、格子戸等 | 無印 | 第14 ⑾ア(イ) |
| 津市 | 障子、ふすまのほか、カーテン(アコーディオンカーテンを除く。)、つい立て、すだれ、格子戸等 | 無印 | 5-15 1 ⑵ア(イ) |
| 大阪市 | 障子、ふすまのほか、カーテン(アコーディオンカーテンを除く。)、つい立て、すだれ、格子戸等 | 無印 | 第6節 第3 2(10) |
| 堺市 | 障子、ふすまの他、カーテン、つい立て、すだれ、格子戸等(◆)。ただし、アコーディオンカーテンは含まない(★) | ◆と★ | 第16 Ⅱ 1 (2)ア(イ) |
| 鈴鹿市 | 障子、ふすまのほか、カーテン、つい立て、すだれ、格子戸等(アコーディオンカーテンを除くとは書かれていない) | 無印 | 第4章 第14 ⑾ア(イ) |
| 四日市市 | 放送区域の運用は22号通知第3(1)による。アコーディオンカーテンの語は書かれていない | ― | 第14 2 (2)ア(ア) |
堺市も同じ内容で、そのただし書だけが市独自の★です。
「遮音性の著しく低いもの」の例から除かれているため、カーテンとは別に、壁や戸に近いものとして放送区域を区切ると読めます。
この読み方で別の放送区域になる場合の面積の数え方は、別の記事で堺市と大阪市について書いています。 鈴鹿市の文面は、「カーテン」とだけ書き、アコーディオンカーテンを除くとは書いていません。
アコーディオンカーテンが含まれるのかは、この文面だけでは決まらず、消防本部に確かめる必要があります。 だから、アコーディオンカーテンで広い部屋を分けて使う場合は、分けた部分ごとの面積でスピーカーの種類が変わることを、図面の段階で確かめましょう。
鈴鹿市では、アコーディオンカーテンはどちらの扱いになるのですか。
文面からは決まりません。
鈴鹿市の消防本部に確かめましょう。
よくある質問
まとめ
カーテンを選ぶ前に、消防本部へ条件を確かめます!
図面に分けた部分ごとの設備を書き込んで、早めに相談しましょう。
㈱防災屋でもご相談を承っております。
㈱防災屋 代表取締役/消防設備士
平成元年生まれ、三重県鈴鹿市出身。祖父が創業した消防設備業者で10年間勤務した後、独立・起業。現在は青木マーケ㈱、㈱防災屋、(一社)予防団の運営に携わる。Amazonベストセラー1位『改訂版 消防設備士0類』著者。月刊誌「電気と工事(オーム社)」でコラム連載中!
本記事の消防法令、消防用設備等の技術情報および記述内容を監修・編集しています。
詳しい経歴・保有資格を見る
- 鈴鹿工業高等専門学校 材料工学科 卒
- 静岡大学工学部物質工学科 材料科学コース 卒
- 静岡大学大学院工学研究科物質工学専攻 修了
- 消防設備士:甲種特類、甲種1~5類、乙種6・7類
- 危険物取扱者:甲種、乙種1~6類、丙種
- 防火対象物点検資格者/防災管理点検資格者/甲種防火管理者
- 第二種電気工事士/工事担任者(総合通信)/第三種電気主任技術者
- 自家用発電設備専門技術者/特種電気工事資格者/職長・安全衛生責任者
- eco検定/民泊適正管理主任者/フォークリフト運転技能講習 修了
趣味:ギター、バスケットボール(全国高専大会優勝・キャプテン)
参考・出典
- 消防法施行規則 第13条の2・第23条・第25条の2(e-Gov法令検索・現行条文)
- 埼玉県央広域消防本部 消防用設備等に関する審査基準 第3 スプリンクラー設備(閉鎖型ヘッドを用いるスプリンクラー設備)・第14 非常警報設備
- 鈴鹿市消防本部 消防用設備等に関する審査基準 第4章 第3 スプリンクラー設備(閉鎖型ヘッドを用いるスプリンクラー設備)・第14 非常警報設備
- 四日市市消防本部 消防用設備等の審査基準 第3 スプリンクラー設備・第10 自動火災報知設備・第14 非常警報設備
- 津市消防本部 消防用設備等の審査基準 5-15 非常警報設備
- 大阪市消防局 消防用設備等の設置に係る運用基準 第3節 閉鎖型スプリンクラーヘッドを用いるスプリンクラー設備・非常警報設備(放送設備)
- 堺市消防局 消防用設備等審査基準 第4 スプリンクラー設備・第12 自動火災報知設備・第16 非常警報設備
※本記事は、条文と各消防本部が公表している審査基準の文面に基づく一般的な解説です。基準が国の条文にない語をなぜ法令基準の側に置いているのか、鈴鹿市の0.45mの測り方、堺市が感知器の例外にスプリンクラーの条件を使う理由は確認できていません。津市のスプリンクラーと自動火災報知設備、東大阪市の三つの設備については、該当する項が手元の資料になく取り上げていません。「見当たらない」「書かれていない」としたものは、今回調べた範囲の結果です。運用基準・条例は改正されることがあるため、最新は管轄の消防署・消防本部で確認してください。個別の判断は所轄消防署にご確認ください。






