非常電源として設置される自家発電設備では、始動できるかだけでなく、常用運転から非常用運転へ移り、復電後に常用運転へ戻る一連の動きを確認します。
消防庁の点検要領は、この切替性能を総合点検の確認項目として示しています。
停電を模した試験は、設備と施設運用への影響を事前に調整して実施します。
点検で押さえる順番は、停電時の切替時間、復電時の復帰、蓄電池設備を介在させる場合の自動切替です。
発電機が始動すれば、切替の点検もできたことになりますか。
いいえ。
運転の切替と復帰までを確認することが大切です。
停電させる試験は、施設の都合だけで決めてよいですか。
影響を確認したうえで、点検要領と設備仕様に沿って計画します。
- 自家発電設備の切替性能は総合点検の確認項目です。
- 常用運転から非常用運転への切替時間は40秒以内であることを確認します。
- 復電時は非常用運転から常用運転へ確実に切り替わることを確認します。
- 蓄電池設備を介在させる構成では、電圧確立後の自動切替も確認します。
- 試験方法と停止・復帰の条件は、現場の仕様と運用に合わせて事前に調整します。
始動だけで終わらせず、切替から復帰までを記録で追えるようにします。
▼

目次
自家発電設備の切替性能は何を確認するのか

非常電源として設置される自家発電設備は、非常時に消防用設備等へ電力を供給するための設備です。消防庁の「消防用設備等の点検要領」第24では、総合点検の項目として切替性能を掲げています。
ここでいう切替性能は、原動機の始動だけを単独でみる項目ではありません。常用運転から非常用運転へ移ること、復電後に常用運転へ戻ること、そして構成によっては蓄電池設備から自家発電設備へ引き継がれることを、所定の操作で確認するものです。
点検票の「切替性能」は、設備が非常時に電力を受け渡す一連の動作を確認する欄です。
点検票では、始動試験と切替性能を分けて見ればよいのですね。
はい。
始動・切替・復帰を混同せずに確認します。
停電から非常用運転への切替は何秒以内か

点検要領では、「試験スイッチ」等で停電と同じ状態を発生させ、常用運転から非常用運転に切り替わるまでの時間を測定します。判定は、常用運転から非常用運転への切替時間が40秒以内であることです。
始動時間の項目でも、停電確認、電圧確立、切替信号送出までの自動始動動作がタイムスケジュールとシーケンスどおりに完了することを確認します。切替性能では、その後の常用運転から非常用運転への移行に着目します。
40秒という数値だけを記録せず、どの操作で停電状態を作り、どの時点までを測ったかも確認します。
発電機が回り始めた時点で、40秒を測り終えるのですか。
切替性能では、非常用運転への切替完了までを確認します。
復電後の常用運転への復帰は何を確認するのか

復電側の確認は、「試験スイッチ」等で復電と同じ状態を発生させ、非常用運転から常用運転へ切り替わることを確かめる方法です。判定は、非常用運転から常用運転への切替が確実に行えることです。
この確認では、非常用運転から常用運転へ移るという結果だけでなく、設備が定められた手順で運転待機へ戻ることが重要です。自動停止の確認では、シーケンス、切替動作、機関停止および運転待機への動作が正常であることも示されています。
復電後にどの状態へ戻る設計かは設備ごとに異なるため、取扱説明書と現場のタイムスケジュールを照合します。
復電後は、発電機が止まれば確認は終わりですか。
いいえ。
常用運転への復帰と待機状態まで確認します。
蓄電池設備を経由する場合はどこで切り替わるのか

自家発電設備の電圧確立までの間に蓄電池設備から電力を供給する構成では、別に蓄電池切替性能を確認します。点検要領の対象は、自家発電設備から電力を供給するまでの間に蓄電池設備から供給するものです。
確認する結果は、自家発電設備の電圧確立後に、電力供給が蓄電池設備から自家発電設備へ自動的に切り替わることです。この構成がない設備では、この項目をそのまま当てはめません。
蓄電池切替性能は「ある設備だけ」の確認項目なので、現場の電源構成を先に確認します。
蓄電池が設置されていれば、必ずこの試験をするのですか。
発電までの間に供給する構成かを確認します。
点検前にどの記録と関係者を確認すればよいのか

非常電源として設置される自家発電設備は、自家用電気工作物としての適用を受けるため、消防庁の点検要領では、施設に選任された電気主任技術者と防火管理者の立会いのもとで点検することが望ましいとしています。
試験で停電と同じ状態や復電と同じ状態を作る前に、点検業者、施設運用側および電気保安の担当者で、停止範囲、切替順序、復帰後の状態を共有します。前回の時間・点検票・取扱説明書を見比べると、通常と異なる変化に気付きやすくなります。
防火管理者は、自ら操作するのではなく、点検の影響範囲と記録の残り方を事前に確認しましょう。
点検前に、前回の記録を見ておくとよいのですね。
はい。
試験条件と前回記録をそろえて確認します。
よくある質問
まとめ
✔ 自家発電設備の切替性能は総合点検の項目です。
✔ 停電時は非常用運転へ切り替わる状態を確認します。
✔ 切替時間は40秒以内を確認します。
✔ 復電後は常用運転への復帰を確認します。
✔ 蓄電池を介在させる構成では自動切替を確認します。
✔ 点検票と前回記録を照合します。
✔ 電気主任技術者と防火管理者を含めて計画します。
次回点検では、切替から復帰までの記録を確認します!
㈱防災屋でもご相談を承っております。
㈱防災屋 代表取締役/消防設備士
平成元年生まれ、三重県鈴鹿市出身。祖父が創業した消防設備業者で10年間勤務した後、独立・起業。現在は青木マーケ㈱、㈱防災屋、(一社)予防団の運営に携わる。Amazonベストセラー1位『改訂版 消防設備士0類』著者。月刊誌「電気と工事(オーム社)」でコラム連載中!
本記事の消防法令、消防用設備等の技術情報および記述内容を監修・編集しています。
詳しい経歴・保有資格を見る
- 鈴鹿工業高等専門学校 材料工学科 卒
- 静岡大学工学部物質工学科 材料科学コース 卒
- 静岡大学大学院工学研究科物質工学専攻 修了
- 消防設備士:甲種特類、甲種1~5類、乙種6・7類
- 危険物取扱者:甲種、乙種1~6類、丙種
- 防火対象物点検資格者/防災管理点検資格者/甲種防火管理者
- 第二種電気工事士/工事担任者(総合通信)/第三種電気主任技術者
- 自家用発電設備専門技術者/特種電気工事資格者/職長・安全衛生責任者
- eco検定/民泊適正管理主任者/フォークリフト運転技能講習 修了
趣味:ギター、バスケットボール(全国高専大会優勝・キャプテン)
監修:㈱防災屋
参考・出典
※本記事は公表されている消防庁資料に基づく一般的な解説です。個別の点検方法は設備の仕様、保安規程および所轄の運用に応じて確認してください。






