マンションの開放廊下や、柱だけで支えた屋根の下の通路は、片側や四方が外に開いています。
スプリンクラー設備を付ける建物でも、国の消防法施行規則は「直接外気に開放されている廊下その他外部の気流が流通する場所」をヘッドを設けなくてよい部分に挙げています。ただ、開いた面からどこまでを外気が通る場所と見るかは、条文に書かれていません。
この記事では、吹田市消防本部の「消防用設備等設置指導等に関する質疑応答集」第3節 スプリンクラー設備の問5と問19を読み、大阪市・豊中市・堺市の基準とも比べます。
吹田市で建てる建物に開放廊下があります。
廊下の天井にもスプリンクラーヘッドを付けるのでしょうか。
吹田市の質疑応答集は、外気に面する5m未満の範囲はヘッドを免除可と答えています。
ただし、条件が一つ付いています。
条件というのは、何でしょうか。
屋内消火栓設備が義務の建物では、補助散水栓等で包含することです。
順に見ていきましょう。
- 消防法施行規則第13条第3項第6号は、直接外気に開放されている廊下その他外部の気流が流通する場所をヘッドを設けなくてよい部分に挙げています
- 吹田市の質疑応答集の答5は、その場所を直接外気に開放されている面から5m未満の部分と答えています(昭和54年11月27日付消防予228号準用)
- 答19は5m未満の範囲のヘッドを免除可としたうえで、屋内消火栓設備が義務設置なら補助散水栓等で包含することとしています
- 大阪市・豊中市は「おおむね5メートル未満」とし、5m未満の部分に補助散水栓を求める文はありません
- 堺市は5m未満に加えて、常時開放部分の高さや垂れ壁、前面の空地など4つの条件を付けています
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目次
吹田市の質疑応答集は外気が通る場所のヘッドをどう答えているのか

問5 規則13条第2項第6号に規定する「直接外気に開放されている廊下その他外部の気流が流通する場所」とは具体的にどのような部分か。
答5 直接外気に開放されている面から5m未満の部分を示す。(昭和54年11月27日付消防予228号準用)
問19 外気が流通する箇所に対するSPヘッドの設置について。
答19 昭和54年11月27日付消防予第228号の通知を準用し、外気に面する5m未満の範囲は、スプリンクラーヘッドは免除可とする。ただし、屋内消火栓設備が義務設置となっている場合は、補助散水栓等で包含すること。
| 図の例 | 開いている面 | 5mを測る向き |
|---|---|---|
| 例1 | 1面開放 | 開いた1面から内側へ5m |
| 例2-1 | 2面開放(隣り合う2面) | 開いた2面それぞれから5m |
| 例2-2 | 2面開放(向かい合う2面) | 両側の開いた面からそれぞれ5m |
| 例3 | 3面開放 | 開いた3面それぞれから5m |
| 例4 | 4面開放 | 四方の開いた面からそれぞれ5m |
開いた面が多いほど、ヘッドの要らない帯が増えるのですね。
はい、開いた面ごとに5mを測ります。
内側に残った部分は警戒区域としてヘッドで守ります。
国の規則はヘッドを設けなくてよい部分をどう決めているのか

3 令第十二条第二項第一号の総務省令で定める部分は、次の各号に掲げる部分以外の部分とする。
(略)
六 直接外気に開放されている廊下その他外部の気流が流通する場所
- 消防法施行令第12条第2項第1号で、ヘッドは総務省令で定める部分に設けます
- 消防法施行規則第13条第3項第6号で、外気に開放された廊下や外部の気流が流通する場所はその部分から外れます
- 吹田市の答5が、その場所を直接外気に開放されている面から5m未満の部分と答えています
- 吹田市の答19が、5m未満の範囲はヘッドを免除可とし、屋内消火栓設備が義務なら補助散水栓等で包含するとしています
国の規則には、5mという数字は出てこないのですね。
はい、距離の物差しは運用で決まっています。
吹田市は通知を準用して5m未満としています。
屋内消火栓が義務のときはなぜ補助散水栓等で包含するのか

4 第一項各号に掲げる防火対象物又はその部分にスプリンクラー設備、(略)を次条、(略)に定める技術上の基準に従い、又は当該技術上の基準の例により設置したときは、同項の規定にかかわらず、当該設備の有効範囲内の部分(略)について屋内消火栓設備を設置しないことができる。
- 屋内消火栓設備が義務の建物でも、スプリンクラー設備の有効範囲内は屋内消火栓設備を設置しないことができます(令第11条第4項)
- 外気に面する5m未満の範囲は、ヘッドを免除するとスプリンクラー設備の散水が届かない部分になります
- そのため吹田市は、その範囲を補助散水栓等で包含するよう求めています(答19のただし書)
ヘッドを免除しても、ホースで消せるようにしておくのですね。
はい、ヘッドを外した範囲に消火の空白を作らないという考え方です。
屋内消火栓設備が義務かどうかを最初に確かめます。
大阪市や堺市など大阪府内の基準は吹田市と何が違うのか

この場合において、規則第13条第3項第6号に規定する場所は、直接外気に開放されている面からおおむね5メートル未満の部分が該当するものとする。
開放型の廊下、通路、庇等のうち、直接外気に面するそれぞれの部分から5m未満で、かつ、常時開放されている部分の断面形状が次のaからdに該当する場合は、省令第13条第3項第6号の「その他外部の気流が流通する場所」として取り扱うことができる。
a 常時開放部分は1m以上の高さ又は天井高の1/3以上 b 常時開放部分は天井高の1/2以上の位置 c 天井面から小梁・垂れ壁等の下端まで30cm以下(可燃物がない場合を除く) d 常時開放部分の前面に1m以上の空地
| 市 | 外気が通る場所の範囲 | 付けている条件 |
|---|---|---|
| 吹田市 | 直接外気に開放されている面から5m未満 | 屋内消火栓設備が義務なら補助散水栓等で包含 |
| 大阪市 | 直接外気に開放されている面からおおむね5メートル未満 | 5m未満の部分への条件は見当たらない(5m未満に当たらない車寄せ等は特例基準6) |
| 豊中市 | 直接外気に開放されている面から概ね5メートル未満 | 大阪市と同じ(特例基準6も同じ趣旨) |
| 堺市 | 直接外気に面するそれぞれの部分から5m未満 | 常時開放部分の高さ・位置、垂れ壁30cm以下、前面の空地1m以上の4条件★ |
5mという数字は同じでも、付いている条件が市ごとに違うのですね。
はい、吹田市は補助散水栓、堺市は開口部の形に条件があります。
他市の図面をそのまま使うと食い違います。
吹田市で開放廊下のある建物は何を確かめればよいか

| 確かめる点 | 答5・答19での見方 |
|---|---|
| 外気に開放された面 | どの面が直接外気に開放されているか(1面〜4面) |
| 5mの帯 | 開いた面ごとに内側へ5mを測り、5m未満の範囲を図面に描く |
| 5mより奥の部分 | 警戒区域としてヘッドで警戒する |
| 屋内消火栓設備の義務 | 義務設置の建物かどうか |
| 補助散水栓等の包含 | 義務なら、ヘッドを免除した5m未満の範囲が補助散水栓等の有効範囲に入っているか |
図面に5mの帯を描いてみるのが早そうですね。
はい、帯を描いてから補助散水栓の15メートルを重ねると分かりやすいです。
迷ったら図面を持って相談するのが近道です。
よくある質問
まとめ
開放廊下は、5mの帯と補助散水栓をセットで見ると覚えておきます!
先に帯を描いておけば、ヘッドや散水栓を後から足す工事を避けられます。
㈱防災屋でもご相談を承っております。
㈱防災屋 代表取締役/消防設備士
平成元年生まれ、三重県鈴鹿市出身。祖父が創業した消防設備業者で10年間勤務した後、独立・起業。現在は青木マーケ㈱、㈱防災屋、(一社)予防団の運営に携わる。Amazonベストセラー1位『改訂版 消防設備士0類』著者。月刊誌「電気と工事(オーム社)」でコラム連載中!
本記事の消防法令、消防用設備等の技術情報および記述内容を監修・編集しています。
詳しい経歴・保有資格を見る
- 鈴鹿工業高等専門学校 材料工学科 卒
- 静岡大学工学部物質工学科 材料科学コース 卒
- 静岡大学大学院工学研究科物質工学専攻 修了
- 消防設備士:甲種特類、甲種1~5類、乙種6・7類
- 危険物取扱者:甲種、乙種1~6類、丙種
- 防火対象物点検資格者/防災管理点検資格者/甲種防火管理者
- 第二種電気工事士/工事担任者(総合通信)/第三種電気主任技術者
- 自家用発電設備専門技術者/特種電気工事資格者/職長・安全衛生責任者
- eco検定/民泊適正管理主任者/フォークリフト運転技能講習 修了
趣味:ギター、バスケットボール(全国高専大会優勝・キャプテン)
参考・出典
- 吹田市消防本部「消防用設備等設置指導等に関する質疑応答集」第3節 スプリンクラー設備 問5・答5、問19・答19 https://www.city.suita.osaka.jp/anzen/1017917/1017954/1044807.html
- 大阪市消防局「消防用設備等の設置に係る運用基準」第3節 閉鎖型スプリンクラーヘッドを用いるスプリンクラー設備 第9 柱書、第14 特例基準 6 https://www.city.osaka.lg.jp/shobo/page/0000350878.html
- 豊中市消防局「消防用設備等の設置に関する運用基準」第3節 閉鎖型スプリンクラーヘッドを用いるスプリンクラー設備 第9 柱書、第14 特例基準 6 https://www.city.toyonaka.osaka.jp/kurashi/bosai/toyonakafiredept/todokede/setubiunnyoukijun.html
- 堺市消防局「消防用設備等審査基準」第3章 第1節 第4 スプリンクラー設備 Ⅱ 細目 1(3)ア(ウ)、第4-5図 https://www.city.sakai.lg.jp/kurashi/bosai/shobo/shokai/reiki/kijyun/index.html
- 消防法施行規則 第13条第3項第6号、第13条の6第4項第1号(e-Gov法令検索) https://laws.e-gov.go.jp/law/336M50000008006
- 消防法施行令 第11条第4項、第12条第2項第1号(e-Gov法令検索) https://laws.e-gov.go.jp/law/336CO0000000037
※本記事は公表されている法令および吹田市・大阪市・豊中市・堺市の公開資料に基づく一般的な解説です。表は要旨を自分の言葉でまとめたものです。答19のただし書と令第11条第4項の関係、4市の対比は、資料を読んだうえでの整理であり、各市が明記しているものではありません。昭和54年11月27日付消防予第228号の原文は確認していません。「書かれていない」「見当たらない」という説明は、各市の公開資料を確認した範囲でのものです。運用基準は改正されることがあるため、最新は管轄の消防署・消防局で確認してください。個別の建物の扱いは、所轄の消防署にご確認ください。






