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大阪市で金庫室や車寄せにスプリンクラーヘッドはいらないのか|堺市との違いも解説

大阪市で金庫室や車寄せにスプリンクラーヘッドはいらないのかを解説する記事のアイキャッチ

スプリンクラー設備を付ける建物でも、ヘッドを設けなくてよい部分があります。
国の消防法施行規則がその部分を決めていますが、大阪市消防局の運用基準はさらに部分を足しています。
金庫室・小さな物入・駐車場へのスロープ・車寄せなどです。
この記事では、国の規則から大阪市の特例基準までのつながりを順にたどり、堺市の審査基準とも比べます。

大阪市でテナントビルの改修を考えています。
金庫室にもスプリンクラーヘッドがいるのか気になっています。

大阪市の運用基準には金庫室の特例が書かれています。
ただし区画の条件があります。

条件を満たせば、ヘッドを付けなくてよいのですか。

はい、消防長や消防署長が認めればその扱いになります。
国の決まりから順に見ていきましょう。

この記事の結論
  • ヘッドを設けなくてよい部分は、国の消防法施行規則第13条第3項が決めています
  • 大阪市の運用基準は令第32条又は大阪市火災予防条例第47条を適用する特例基準として、省略できる部分を足しています
  • 耐火構造の壁・床と特定防火設備で区画した金庫室等、床面積1平方メートル未満の物入・押入・SK室はヘッドを設置しないことができます
  • 駐車場へのスロープと車寄せは、耐火構造・不燃仕上げ・屋内消火栓設備等の有効範囲などの条件つきです
  • 堺市はSKにはヘッドを設置するとしており、小さな収納の扱いが大阪市と違います

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消防法施行規則第十三条第三項から令第三十二条と条例第四十七条を経て大阪市の運用基準第十四の特例基準で金庫室や物入やスロープや車寄せのヘッドを省略できることを示す図解

大阪市はスプリンクラーヘッドを省略できる部分をどう足しているのか

前の壁を外した四階建てのビルの各階の天井に赤いスプリンクラー配管とヘッドが通り、便所や階段には配管がない様子を示したイラスト
スプリンクラー設備を設置する建物でも、建物の全部にヘッドを付けるわけではありません。
国の消防法施行規則第13条第3項が、ヘッドを設けなくてよい部分を並べています。
消防法施行規則 第十三条第三項(抜粋) 令第十二条第二項第一号の総務省令で定める部分は、次の各号に掲げる部分以外の部分とする。
三 エレベーターの機械室、機械換気設備の機械室その他これらに類する室
五 エレベーターの昇降路、リネンシュート、パイプダクトその他これらに類する部分
六 直接外気に開放されている廊下その他外部の気流が流通する場所
このほか、階段・浴室・便所、通信機器室、電気設備のある場所、手術室なども国の規則に入っています。
国の規則の読み方は、手術室のヘッドを扱った記事や昇降路とパイプダクトの記事で解説しています。 大阪市消防局の「消防用設備等の設置に係る運用基準」は、閉鎖型スプリンクラーヘッドを用いるスプリンクラー設備の節の最後に特例基準を置いています。
書き出しは次のとおりです。
大阪市「消防用設備等の設置に係る運用基準」第1章 第3節 閉鎖型スプリンクラーヘッドを用いるスプリンクラー設備 第14 特例基準 柱書 閉鎖型スプリンクラーヘッドを用いるスプリンクラー設備を設置しなければならない防火対象物又はその部分のうち、次のいずれかに該当するものについては、令第32条又は条例第47条の規定を適用し、それぞれ当該各項に定めるところによる。
ここで引かれている令第32条は、国の基準によらなくてよい場合を定めた条文です。
消防法施行令 第三十二条 この節の規定は、消防用設備等について、消防長又は消防署長が、防火対象物の位置、構造又は設備の状況から判断して、この節の規定による消防用設備等の基準によらなくとも、火災の発生又は延焼のおそれが著しく少なく、かつ、火災等の災害による被害を最少限度に止めることができると認めるときにおいては、適用しない。
大阪市火災予防条例も、市が上乗せしたスプリンクラー設備について、ヘッドの部分を国の規則の例によるとしています。
そのうえで、条例第47条に同じ形の特例があります。
大阪市火災予防条例 第40条第3項 前項に規定するもののほか、第1項の規定により設けるスプリンクラー設備は、令第12条第2項第3号から第8号まで及び第3項並びに規則第13条第2項及び第3項、第13条の2第4項、第13条の6、第14条並びに第15条の規定の例により設置し、及び維持しなければならない。
大阪市火災予防条例 第47条 この章の規定は、消防用設備等について、消防長が、防火対象物の位置、構造又は設備の状況から判断して、この章の規定による消防用設備等の基準によらなくとも、火災の発生又は延焼のおそれが著しく少なく、かつ、火災等の災害による被害を最小限に止めることができると認めるときは、適用しない。
つながりを番号順に並べると、次のとおりです。
  1. 国の規則第13条第3項が、ヘッドを設けなくてよい部分を決めています。
  2. 大阪市火災予防条例で上乗せされるスプリンクラー設備も、条例第40条第3項で規則第13条第3項の例によるとされています。
  3. 大阪市の運用基準 第14 特例基準が、令第32条又は条例第47条を適用して、金庫室や物入などの部分を足しています。
  4. 令第32条・条例第47条は「消防長(又は消防署長)が認めるとき」の規定なので、最終的な判断は所轄の消防署が行います。
大阪市の運用基準の凡例では、無印の項目は法令基準(法令解釈を含む)とされています。
特例基準の項目には行政指導を示す◆が付いていませんが、中身は個々の建物ごとの適用の判断です。
「書いてあるから自動的に省略できる」のではなく、設計の段階で所轄の消防署と協議して使うものと考えてください。

国の規則に足す形で、大阪市が部分を増やしているのですね。

はい、令第32条の特例として足しています。
次は金庫室と物入を見ていきます。

金庫室や小さな物入やSK室にヘッドはいらないのか

厚いコンクリートの壁と丸い鋼製の扉の金庫室の横に、引き戸の小さな物入と、深い流しのある小さな掃除用具室が並んでいる様子を示したイラスト
大阪市の特例基準の2と3は、金庫室と小さな収納の扱いです。
大阪市「消防用設備等の設置に係る運用基準」第1章 第3節 閉鎖型スプリンクラーヘッドを用いるスプリンクラー設備 第14 特例基準 2 耐火構造の壁及び床又は特定防火設備である防火戸(建基令第112条第1項に規定する特定防火設備である防火戸をいう。以下同じ。)若しくはこれと同等以上のもので区画された金庫室等については、ヘッドを設置しないことができる。
大阪市「消防用設備等の設置に係る運用基準」第1章 第3節 閉鎖型スプリンクラーヘッドを用いるスプリンクラー設備 第14 特例基準 3 物入、押入又はSK室のうち、床面積が1平方メートル未満の部分については、ヘッドを設置しないことができる。
SK室は、掃除用の流し(スロップシンク)を置いた小部屋のことです。
国の規則にも小さな収納の規定はありますが、対象の用途と面積が限られています。
消防法施行規則 第十三条第三項第九号の二 令別表第一(六)項イ(1)及び(2)並びにロに掲げる防火対象物並びに同表(十六)項イ、(十六の二)項及び(十六の三)項に掲げる防火対象物のうち同表(六)項イ(1)若しくは(2)又はロの用途に供される部分(当該防火対象物又はその部分の基準面積が千平方メートル未満のものに限る。)の廊下(第六号に掲げるものを除く。)、収納設備(その床面積が二平方メートル未満であるものに限る。)、脱衣所その他これらに類する場所
国の規則は、病院や老人福祉施設などの基準面積1,000平方メートル未満の施設について、2平方メートル未満の収納設備を外しています。
大阪市の特例の3は、条文の上では用途を限らず、1平方メートル未満の物入・押入・SK室を対象にしています。 堺市消防局の審査基準は、小さな収納の扱いが違います。
まず、便所や浴室に付随した部分を国の規則の「浴室、便所その他これらに類する場所」として扱う項目で、SKについて次のように書いています。
堺市「堺市消防同意・消防用設備等審査基準」(第二十二版) 第3章 第1節 第4 スプリンクラー設備 Ⅱ 細目 1(3) ヘッドの設置の省略等 ア(ア) 次の場所は、省令第13 条第3 項第1 号に規定する「浴室、便所その他これらに類する場所」として取扱うことができる。★
a 便所又は浴室に付随した小規模な洗面所(可燃物が存する場合を除く。)
なお、SK(掃除用流し)については、掃除用具やトイレットペーパー等の可燃物が存置されるおそれがあるため、ヘッドを設置すること。
堺市は、金庫室と家具などの収納庫について、次の条件を置いています。
堺市「堺市消防同意・消防用設備等審査基準」(第二十二版) 第3章 第1節 第4 スプリンクラー設備 Ⅱ 細目 1(3) ヘッドの設置の省略等 イ(ア) 金庫室で、当該室内の可燃物品がキャビネット等に格納されており、かつ、金庫室の開口部に特定防火設備又はこれと同等以上のものを設けてある場合
堺市「堺市消防同意・消防用設備等審査基準」(第二十二版) 第3章 第1節 第4 スプリンクラー設備 Ⅱ 細目 1(3) ヘッドの設置の省略等 エ 収納庫(家具、ショーケース、吊り戸棚等をいい、クローゼット等の建物の躯体を利用した収納設備を除く。以下この章において同じ。)は、次の(ア)~(ウ)の条件に全て適合するものは、ヘッドの設置を省略することができる。
(ア) 人が出入りできないこと。
(イ) 照明器具、換気扇等の設備が設けられていないこと。
(ウ) 収納庫の扉等の前面側に設けるヘッドで有効に警戒されていること。
部分大阪市堺市
金庫室耐火構造の壁・床又は特定防火設備等で区画可燃物品がキャビネット等に格納され、開口部に特定防火設備等
物入・押入床面積1平方メートル未満なら設置しないことができる面積で省略する記述は見当たらない
SK室床面積1平方メートル未満なら設置しないことができるヘッドを設置する(★)
家具・吊り戸棚などの収納庫該当する記述は見当たらない人が出入りできない・照明等がない・前面のヘッドで警戒されていれば省略できる
堺市の「見当たらない」は、ヘッドの設置の省略等の項を確かめた範囲です。
小さな収納の扱いを番号順に整理すると、次のとおりです。
  1. まず国の規則第13条第3項の部分(便所・機械室など)に当たるかを見ます。病院や老人福祉施設などの小規模な施設なら、2平方メートル未満の収納設備も対象です。
  2. 大阪市なら、物入・押入・SK室の床面積が1平方メートル未満かを図面で確かめます。
  3. 金庫室は、耐火構造の壁・床と特定防火設備で区画されているかを確かめます。
  4. 堺市の建物ではSKにはヘッドを設置する前提で計画し、家具の収納庫は3つの条件を確かめます。

同じSK室でも、大阪市と堺市で扱いが違うのですね。

はい、可燃物を置くかどうかの見方の差です。
市ごとに基準を確かめてください。

駐車場へのスロープや車寄せにヘッドはいらないのか

道路から地下駐車場へ下りるコンクリートのスロープの奥に防火シャッターがあり、隣の建物の出入口に車寄せの屋根がかかっている様子を示したイラスト
地下駐車場へのスロープは、駐車場の一部として扱うとヘッドが必要になります。
大阪市の特例基準の5は、スロープについて4つの条件を置いています。
大阪市「消防用設備等の設置に係る運用基準」第1章 第3節 閉鎖型スプリンクラーヘッドを用いるスプリンクラー設備 第14 特例基準 5 駐車場にいたる傾斜路(スロープ)で、次に該当するものについては、ヘッドを設置しないことができる。
(1) 壁、床及び天井を耐火構造とし、かつ、壁及び天井(天井のない場合にあっては屋根)の仕上げを不燃材料としたものであること
(2) 駐車の用に供する部分とは、随時閉鎖することができ、かつ、感知器の作動と連動して閉鎖する防火戸により区画されていること
(3) 煙の充満するおそれが少ないものであること
(4) 屋内消火栓設備又は補助散水栓の有効範囲内であること
車寄せは、国の規則の第6号「直接外気に開放されている廊下その他外部の気流が流通する場所」と関わります。
大阪市の運用基準は、ヘッドの設置方法の節で、この第6号の範囲を次のように決めています。
大阪市「消防用設備等の設置に係る運用基準」第1章 第3節 閉鎖型スプリンクラーヘッドを用いるスプリンクラー設備 第9 ヘッドの設置方法 柱書(後段) この場合において、規則第13条第3項第6号に規定する場所は、直接外気に開放されている面からおおむね5メートル未満の部分が該当するものとする。
大阪市「消防用設備等の設置に係る運用基準」第1章 第3節 閉鎖型スプリンクラーヘッドを用いるスプリンクラー設備 第14 特例基準 6 直接外気に開放されている車寄せ等の部分(規則第13条第3項第6号に該当する部分を除く。)で、次に該当するものについては、ヘッドを設置しないことができる。
(1) 通行・運搬の用途のみに供されるものであること
(2) 特定主要構造部が耐火構造であり、かつ、壁及び天井(天井のない場合にあっては、屋根)の仕上げを不燃材料としたものであること
(3) 屋内消火栓設備又は補助散水栓の有効範囲内であること
つまり車寄せは、外気に開放された面からおおむね5メートル未満の部分なら、国の規則の第6号で最初からヘッドが要りません。
それより奥の部分は、特例基準の6の3つの条件を満たせばヘッドを設置しないことができる、という二段の作りです。 堺市の審査基準は、開放型の廊下や庇について、5メートル未満に加えて断面の形を条件にしています。
堺市「堺市消防同意・消防用設備等審査基準」(第二十二版) 第3章 第1節 第4 スプリンクラー設備 Ⅱ 細目 1(3) ヘッドの設置の省略等 ア(ウ) 開放型の廊下、通路、庇等のうち、直接外気に面するそれぞれの部分から5m 未満で、かつ、常時開放されている部分の断面形状が次のaからdに該当する場合は、省令第13 条第3 項第6 号に規定する「その他外部の気流が流通する場所」として、取扱うことができる。★
a 常時開放されている部分は、1m 以上の高さ又は床面から天井(天井がない場合は屋根)までの高さ(以下「天井高」という。)の1/3以上であること。
b 常時開放されている部分は、天井高の1/2以上の位置に存していること。
c 開放型の廊下、通路等の天井面から小梁、垂れ壁等の下端までは、30cm 以下であること。ただし、当該廊下、通路等に可燃物がない場合はこの限りでない。
d 常時開放されている部分の前面に1m 以上の空地を有すること。
堺市のヘッドの設置の省略等の項には、スロープや車寄せを名指しした特例は見当たりません。
スロープと車寄せの読み方を、番号順に並べると次のとおりです。
  1. 車寄せは、まず外気に開放された面からおおむね5メートル未満の部分を分けます。そこは国の規則の第6号でヘッドが要りません。
  2. 5メートル以上奥の部分は、通行・運搬だけに使い、耐火構造で不燃仕上げかを確かめます。
  3. スロープは、駐車部分との間に感知器と連動して閉まる防火戸があるかを確かめます。
  4. どちらも屋内消火栓設備か補助散水栓の有効範囲内であることが条件なので、ホースが届く範囲を図面で示して協議します。

車寄せの奥まで屋根が深いと、条件を確かめる部分が増えるのですね。

はい、5メートルの線が分かれ目です。
図面に線を引いて相談すると話が早いです。

高天井の隣やダクトの上や厨房はどう扱うのか

天井の高い吹抜けの壁に大きな放水型のノズルがあり、隣の天井の低い通路の天井下に幅の広い金属のダクトが通っている様子を示したイラスト
天井の高い吹抜けやアトリウムには、放水型ヘッド等という別の種類のヘッドを使います。
大阪市の特例基準の7は、その隣の部分の扱いです。
大阪市「消防用設備等の設置に係る運用基準」第1章 第3節 閉鎖型スプリンクラーヘッドを用いるスプリンクラー設備 第14 特例基準 7 第5節の放水型ヘッド等を用いるスプリンクラー設備が設置された高天井の部分に隣接する部分で、当該部分の床面が当該放水型ヘッド等により有効に包含される場合は、ヘッドを設置しないことができる。
堺市の審査基準にも、同じ趣旨の項目があります(◆=消防庁の通知等を参考にした指導)。
堺市「堺市消防同意・消防用設備等審査基準」(第二十二版) 第3章 第1節 第4 スプリンクラー設備 Ⅱ 細目 5 放水型ヘッド等を用いるスプリンクラー設備 (2) 高天井部分の放水型ヘッド等の設置省略◆ イ 高天井部分以外の部分の床面が、隣接する高天井部分に設置された放水型ヘッド等により有効に警戒されている場合には、閉鎖型ヘッドを設けないことができる。この場合において、高天井部分以外の部分に係る感知障害のないように特に留意すること。
次はダクトです。国の規則は、幅の広いダクトの下にもヘッドを求めています。
消防法施行規則 第十三条の二第四項第一号ロ 給排気用ダクト、棚等(以下「ダクト等」という。)でその幅又は奥行が一・二メートルを超えるものがある場合には、当該ダクト等の下面にもスプリンクラーヘッドを設けること。
大阪市「消防用設備等の設置に係る運用基準」第1章 第3節 閉鎖型スプリンクラーヘッドを用いるスプリンクラー設備 第14 特例基準 10 規則第13条の2第4項第1号ロの規定により、その下面にヘッドを設けなければならないとされるダクト等のうち、次に適合するものについてはその上部にヘッドを設けないことができる。
(1) ダクト等を取り付ける床又は壁が不燃材料で造られていること
(2) ダクト等(ダクトにあっては被覆材料を含む。)が不燃材料で造られ、かつ、その上部に可燃物が存置されていないこと
大阪市は、下にヘッドを付ける幅の広いダクトについて、不燃材料なら上のヘッドを外せるとしています。
堺市は反対に、幅1.2メートル以下のダクトでも、障害になるおそれがあれば下にもヘッドを付けるとしています。
堺市「堺市消防同意・消防用設備等審査基準」(第二十二版) 第3章 第1節 第4 スプリンクラー設備 Ⅱ 細目 2 閉鎖型スプリンクラーヘッドを用いるスプリンクラー設備 (3) 閉鎖型ヘッドの配置 ク(ア) 給排気用ダクト、棚、ケーブルラック等(以下「ダクト等」という。)が設けられている場合には、省令第13条の2 第4項第1号ロの規定によるほか、幅又は奥行が1.2m 以下のダクト等であっても、感熱及び散水の障害となるおそれがある場合は下面にもヘッドを設けること。★
厨房のレンジやフライヤーの上は、大阪市独自の告示とつながります。
大阪市「消防用設備等の設置に係る運用基準」第1章 第3節 閉鎖型スプリンクラーヘッドを用いるスプリンクラー設備 第14 特例基準 12 「火炎伝走防止用消火装置の構造、材質、性能及び設置の基準」(昭和59年大阪市(消)告示第44号)により、厨房設備に付属する排気ダクト及びフードに火炎伝走防止用消火装置が設置され、かつ、レンジ及びフライヤー等厨房設備を包含するように消火装置が設置されている場合にあっては、当該装置の有効範囲内について、ヘッドを設置しないことができる。
火炎伝走防止装置そのものの扱いは、焼肉店の排気ダクトの記事で解説しています。
高天井・ダクト・厨房の読み方を並べると、次のとおりです。
  1. 高天井の隣の部分は、放水型ヘッド等の放水範囲に床が入るかを確かめます。堺市はあわせて感知の障害がないかを見ます。
  2. 幅や奥行が1.2メートルを超えるダクトは、国の規則で下にもヘッドが要ります。
  3. 大阪市では、床・壁とダクトが不燃材料で、上に可燃物がなければ、ダクトの上のヘッドを外せます。
  4. 厨房は、大阪市の告示第44号の消火装置がレンジやフライヤーを包んでいれば、その有効範囲のヘッドを外せます。

ダクトの扱いは、大阪市と堺市で向きが逆なのですね。

はい、大阪市は外す話、堺市は足す話です。
ダクトの寸法と材質を図面に書いておきましょう。

堺市や東大阪市の基準と比べて何が同じで何が違うのか

赤いスプリンクラー配管が見える二つの小さなビルが、それぞれ別の台の上に並んで立っている様子を示したイラスト
堺市の審査基準は、項目の末尾の印で中身の性格を分けています。
堺市「堺市消防同意・消防用設備等審査基準」(第二十二版) 第1章 総則 4 凡例 (1) 無印 : 法令基準及びその解釈
(2) ◆ : 指導基準のうち、消防庁の通知等を参考に定めたもの
(3) ★ : 指導基準のうち、堺市消防局として防火安全性の向上を図ることを目的として定めたもの
堺市の金庫室や冷凍室の省略は、政令第32条又は条例第72条を適用する項目で、印は付いていません。
一方、SKにヘッドを設置する扱いやダクトの下のヘッドは★の堺市独自の指導です。
同じ総則は、指導は関係者に義務を課すものではなく、任意の協力によって実現されるものとも書いています。 3市を並べると、次のとおりです。
大阪市は閉鎖型スプリンクラーヘッドを用いるスプリンクラー設備の節、堺市はスプリンクラー設備の審査基準を確かめた範囲です。
部分大阪市堺市東大阪市
金庫室区画すれば設置しないことができる可燃物の格納と開口部の特定防火設備が条件公開の運用基準にスプリンクラー設備の基準なし
1平方メートル未満の物入・押入設置しないことができる記述は見当たらない同上
SK室1平方メートル未満なら設置しないことができるヘッドを設置する(★)同上
冷蔵室・冷凍室区画と収容物などの条件で設置しないことができる不燃材料・自動温度調節・警報で省略できる同上
駐車場へのスロープ4つの条件で設置しないことができる記述は見当たらない同上
外気に開放された廊下・車寄せ5メートル未満は国の第6号、奥は3つの条件5メートル未満に断面形状の条件(★)同上
高天井の隣放水型ヘッド等で包含されれば設置しない同じ(感知障害に留意)同上
幅の広いダクト不燃なら上のヘッドを設けない1.2メートル以下でも下面に設ける(★)同上
スケートリンク・プール記述は見当たらないリンクの滑走部分や可燃物のないプールは省略できる同上
冷蔵室・冷凍室の大阪市の条件は、冷凍倉庫の消防用設備等の記事で詳しく解説しています。
東大阪市は、公開されている運用基準が消火器具・自動火災報知設備・避難器具・誘導灯・連結送水管・非常コンセント設備の6つで、スプリンクラー設備の基準は公開されていません。
東大阪市で同じ相談をするときは、所轄の消防署に直接確かめてください。

大阪市と堺市で、同じ部分でも答えが変わることがあるのですね。

はい、建物のある市の基準で考えるのが基本です。
設計の早い段階で消防署と協議しましょう。

よくある質問

Q大阪市の特例基準に当てはまれば、届出なしでヘッドを省略できますか?
A特例基準は令第32条又は条例第47条を適用する項目で、消防長や消防署長が認めることが前提です。設計の段階で所轄の消防署と協議し、消防用設備等の設置の届出の図面にも反映してください。
Q大阪市で床面積1.2平方メートルの押入にはヘッドが要りますか?
A大阪市の特例基準の3は1平方メートル未満が対象なので、そのままでは当たりません。国の規則のほかの号に当たるかも含めて、所轄の消防署に確かめてください。
Q車寄せの屋根が深い場合、全部にヘッドが要りますか?
A大阪市では、外気に開放された面からおおむね5メートル未満は国の規則の第6号に当たります。奥の部分も、通行・運搬だけに使い耐火構造で不燃仕上げなど3つの条件を満たせば、設置しないことができます。
Q堺市の建物でSK室が小さい場合もヘッドが要りますか?
A堺市の審査基準は、SKには掃除用具などの可燃物が置かれるおそれがあるとしてヘッドを設置するとしています(★の指導)。計画の段階で消防署に確かめてください。

まとめ

✔ヘッドを設けなくてよい部分は、国の消防法施行規則第13条第3項が決めています
✔大阪市の運用基準は、令第32条又は条例第47条を適用する特例基準で部分を足しています
✔区画した金庫室等と、1平方メートル未満の物入・押入・SK室はヘッドを設置しないことができます
✔スロープは4つ、車寄せの奥は3つの条件で設置しないことができます
✔堺市はSKにヘッドを設置する扱いで、ダクトの下のヘッドも大阪市より厳しい書き方です
✔高天井の隣を放水型ヘッド等で守る扱いは、大阪市と堺市で同じです
✔運用基準・審査基準は改正されることがあるので、設計の前に管轄の消防署・消防局で確かめましょう

金庫室とスロープの区画を設計者と確かめます。
SK室の面積も1平方メートル未満か測ってみます!

協議の前に整理しておけば、設計のやり直しを防げます。
㈱防災屋でもご相談を承っております。

防火管理はプロにお任せ下さい

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お問い合わせ

監修・編集者
青木 俊輔
青木 俊輔

㈱防災屋 代表取締役/消防設備士

平成元年生まれ、三重県鈴鹿市出身。祖父が創業した消防設備業者で10年間勤務した後、独立・起業。現在は青木マーケ㈱、㈱防災屋、(一社)予防団の運営に携わる。Amazonベストセラー1位『改訂版 消防設備士0類』著者。月刊誌「電気と工事(オーム社)」でコラム連載中!

本記事の消防法令、消防用設備等の技術情報および記述内容を監修・編集しています。

詳しい経歴・保有資格を見る
学歴
  • 鈴鹿工業高等専門学校 材料工学科 卒
  • 静岡大学工学部物質工学科 材料科学コース 卒
  • 静岡大学大学院工学研究科物質工学専攻 修了
保有資格
  • 消防設備士:甲種特類、甲種1~5類、乙種6・7類
  • 危険物取扱者:甲種、乙種1~6類、丙種
  • 防火対象物点検資格者/防災管理点検資格者/甲種防火管理者
  • 第二種電気工事士/工事担任者(総合通信)/第三種電気主任技術者
  • 自家用発電設備専門技術者/特種電気工事資格者/職長・安全衛生責任者
  • eco検定/民泊適正管理主任者/フォークリフト運転技能講習 修了

趣味:ギター、バスケットボール(全国高専大会優勝・キャプテン)

主な活動

参考・出典

  • 大阪市消防局「消防用設備等の設置に係る運用基準」第1章 第3節 閉鎖型スプリンクラーヘッドを用いるスプリンクラー設備(第9 ヘッドの設置方法 柱書、第14 特例基準 柱書・2・3・5・6・7・10・12) https://www.city.osaka.lg.jp/shobo/page/0000350878.html
  • 大阪市火災予防条例 第40条第3項・第47条(大阪市例規データベース)
  • 堺市消防局「堺市消防同意・消防用設備等審査基準」(第二十二版)第1章 総則(2 運用上の留意事項・4 凡例)、第3章 第1節 第4 スプリンクラー設備 Ⅱ 細目 1(3)ア・イ・エ、2(3)ク(ア)、5(2)イ https://www.city.sakai.lg.jp/kurashi/bosai/shobo/shokai/reiki/kijyun/index.html
  • 東大阪市 消防用設備等の運用基準(公開資料) https://www.city.higashiosaka.lg.jp/0000041303.html
  • 消防法施行令 第12条第2項第1号・第32条
  • 消防法施行規則 第13条第3項・第13条の2第4項第1号ロ

※本記事は公表されている法令および各市の公開資料に基づく一般的な解説です。運用基準・審査基準は改正されることがあるため、最新の内容は管轄の消防署・消防局で確認してください。個々の建物でヘッドを省略できるかの判断は、所轄の消防署にご確認ください。

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