スプリンクラー設備は、ヘッドの数や配置のほかにも、廊下の扱い、制御弁の場所、送水口の配管、配管の一部に使う部材など、細かな決まりが数多くあります。
こうした細部について、消防庁は昭和50年に、各都道府県の消防主管部長からの質疑へ回答を示しました。
当時の条番号や数値は改正で変わっていますが、答えの考え方は今の規則にも通じています。5つの質疑を現行の条文と照らして読みます。
スプリンクラー設備って、細かい決まりがたくさんありますよね。
はい。
昭和50年の質疑応答5問を、順に見ていきます。
昔の通知が、今も役に立つんでしょうか。
考え方は役に立ちます。
現行の条文で確かめながら読みます。
- 中廊下の一部が壁で囲まれていても、廊下の長さが幅の8倍以下、または12メートル以下なら、外気に開放された廊下とみなしてさしつかえないとされました
- 制御弁の設置場所は、容易に操作でき、適正な状態にあることが容易に確認できる場所とするよう指導するとされました
- 送水口の配管の口径は、接続する主管と同径以上とし、呼びでおおよそ100以上のものとされました
- ヘッドの個数の算出は、階ごとではなく防火対象物単位で考え、設置個数が表の個数に満たなければ設置個数となります
- ヘッドの直結部分に使うフレキシブル管は、湿式の配管に限るなど4つの条件を満たせば、認めてさしつかえないとされました
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目次
共同住宅の廊下が一部壁で囲まれていても外気に開放された廊下として扱えるか

11階以上の中廊下式の共同住宅で、廊下の一部が壁に囲まれている場合に、この扱いができるかが問われました。
なお、設問の場合、L≦8W又はLが12m以下の場合に限り、外気に開放される廊下とみなしてさしつかえない。
現行の規則第13条第3項第6号は、スプリンクラーヘッドを設けなくてよい部分の一つに、直接外気に開放されている廊下その他外部の気流が流通する場所を掲げています。壁で囲まれた区間がある廊下は、そのままでは「直接外気に開放されている」とは言えません。
回答は、令第32条を適用して、風が抜けない区間の長さが幅に対して短いときに限り、開放された廊下とみなすと整理しました。令第32条は、消防長または消防署長が、火災の発生や延焼のおそれが著しく少なく、被害を最少限度に止められると認めるときの特例です。
長さの限界は、有効幅員の8倍以下、または12メートル以下でした。自分の建物の廊下がこれに当たるかは、図面で寸法を測り、消防機関に相談してください。
壁で囲まれた区間が短いときだけなんですね。
そうです。
長さと幅の関係が判断の分かれ目です。
スプリンクラー設備の制御弁はどこに設ければよいか

当時の規則の条文は、設置場所に触れていませんでした。そこで、どこに設けるべきかが問われました。
現行の規則第14条第1項第3号は、制御弁を、床面からの高さが0.8メートル以上1.5メートル以下の箇所に設けると定めています。閉鎖型ヘッドの設備では階ごと、開放型ヘッドの設備では放水区域ごとに設けます。
さらに、制御弁にはみだりに閉止できない措置を講じるとともに、その直近の見やすい箇所にスプリンクラー設備の制御弁である旨を表示した標識を設けることも定めています。
当時の回答が示した「操作しやすく、適正な状態が確認できる」という考え方は、今の条文では高さと閉止防止措置と標識に具体化されています。点検のときは、高さと標識と閉止防止の措置を順に見ます。
高さまで条文に書いてあるんですね。
はい。
昔の考え方が、数値になっています。
スプリンクラー設備の送水口の配管は主管と同じ太さにするのか

送水口につなぐ配管の口径が、接続する主管より細くてもよいかが問われました。
なお、口径は大きさの呼びがおおよそ100以上のものとされたい。
現行の規則第14条第1項第6号は、送水口を、専用とすること、結合金具を差込式またはねじ式の呼称65のものとすること、地盤面からの高さを0.5メートル以上1メートル以下とすること、標識を設けることなどと定めています。配管については、加圧送水装置から流水検知装置などまでの配管に、専用の配管をもつて接続すると定めています。
一方で、口径の数値そのものは、規則の条文には書かれていません。同径以上で、呼びがおおよそ100以上という答えは、この回答で示された運用の目安です。設計や改修のときは、管轄の消防機関の指導を確かめてください。
送水口の配管は細くしてはいけないんですね。
回答ではそう示されました。
専用の配管であることも忘れずに。
スプリンクラーヘッドの個数は階ごとに数えるのか建物ごとに数えるのか

建物が高層で、一部の階にしかヘッドが要らないとき、個数をどう数えるかが問われました。
なお、例えば、11階建の事務所建物で、10階以下にヘッドの設置義務がなく、11階に設置している個数が表の個数に満たない場合は、かっこ書の規定により、当該設置個数となる。
現行の規則第13条の6第1項第1号は、標準型ヘッドを用いる場合の個数を、防火対象物の区分ごとの表で定めています。地階を除く階数が10以下の防火対象物は10個、11以上の防火対象物は15個です(高感度型ヘッドなどは個数が変わります)。
設置個数がこの個数以上であればこの個数、設置個数が満たないときは、その設置個数に1.6立方メートルを乗じます。水量は、これに1.6立方メートルを乗じて算出します。10個なら16立方メートル、15個なら24立方メートルです。
昭和50年の通知の数値は、当時の表の数値です。考え方は今の規則にも引き継がれていますが、数字は最新の条文で確かめてください。
建物全体の階数で決まるんですね。
はい。
少ないときは、実際の設置個数で数えます。
スプリンクラー設備の配管にフレキシブル管を使ってよいか

その調整に曲がる管(フレキシブル管)を使ってよいかが、大阪府から問われました。
現行の規則第14条第1項第10号は、配管を規則第12条第1項第6号の規定に準じて設けると定めています。同号ニは、配管に日本産業規格に適合する管、またはこれらと同等以上の強度、耐食性及び耐熱性を有する金属製の管を使うと定めています。
回答は、このフレキシブル管を「同等以上」と認めるにあたって、次の4つの条件を付けました。
- 配管の種類:閉鎖型ヘッドを使用する湿式の配管に限る。
- 使う部分:ヘッドに直結する部分にだけ使い、他の配管部分には使わない。
- 使用圧力:当時の単位で25キログラム毎平方センチメートル以下(約2.5メガパスカル)。
- 曲げ方:内側の半径を100ミリメートル以上とし、ねじれ等が生じないよう施工する。
曲がる管は、ヘッドの直結部分だけなんですね。
そうです。
他の配管には使わないのが条件です。
よくある質問
まとめ
スプリンクラー設備の細かい決まりが、条文とつながりました。
うちの設備も確かめてみます!
昔の回答も、今の条文の意味を理解するために読めます。
㈱防災屋でもご相談を承っております。
㈱防災屋 代表取締役/消防設備士
平成元年生まれ、三重県鈴鹿市出身。祖父が創業した消防設備業者で10年間勤務した後、独立・起業。現在は青木マーケ㈱、㈱防災屋、(一社)予防団の運営に携わる。Amazonベストセラー1位『改訂版 消防設備士0類』著者。月刊誌「電気と工事(オーム社)」でコラム連載中!
本記事の消防法令、消防用設備等の技術情報および記述内容を監修・編集しています。
詳しい経歴・保有資格を見る
- 鈴鹿工業高等専門学校 材料工学科 卒
- 静岡大学工学部物質工学科 材料科学コース 卒
- 静岡大学大学院工学研究科物質工学専攻 修了
- 消防設備士:甲種特類、甲種1~5類、乙種6・7類
- 危険物取扱者:甲種、乙種1~6類、丙種
- 防火対象物点検資格者/防災管理点検資格者/甲種防火管理者
- 第二種電気工事士/工事担任者(総合通信)/第三種電気主任技術者
- 自家用発電設備専門技術者/特種電気工事資格者/職長・安全衛生責任者
- eco検定/民泊適正管理主任者/フォークリフト運転技能講習 修了
趣味:ギター、バスケットボール(全国高専大会優勝・キャプテン)
参考・出典
- 消防法施行令第12条・第32条
- 消防法施行規則第12条・第13条・第13条の6・第14条
- スプリンクラー設備に関する質疑応答(昭和50年6月16日 消防安第65号 消防庁安全救急課長から各都道府県消防主管部長あて回答)
- スプリンクラー設備における配管の一部にフレキシブル管を使用することの可否について(昭和50年9月30日 消防安第124号 消防庁安全救急課長から大阪府生活環境部長あて回答)
- 消防実務六法 質疑応答編
※本記事は公表されている法令および通達に基づく一般的な解説です。掲載した回答はそれぞれの発出当時のもので、条番号や機関の名称、単位等は当時のものです。その後の改正により運用が変わっている場合があります。個別の事案についての適用は、所轄消防署にご確認ください。





