トラックターミナルの荷扱場には、一般貨物にまじって危険物が流れてきます。
塗料や溶剤が運搬容器のまま持ち込まれ、仕分けられ、また積み出されていきます。
その量が指定数量以上になれば、無許可の貯蔵取扱いになってしまいます。
この記事ではトラックターミナルの危険物施設としての扱いを消防庁の質疑応答に沿って整理します。
荷物を通しとるだけやのに、危険物施設になるんか。
指定数量以上なら該当します。
この事例では東京都が無許可貯蔵取扱である旨の是正方を指導していました。
ほなどういう施設として届けたらええんや。
一般取扱所です。
区分から消火設備まで具体的な指導内容が示され、消防庁はこれを差しつかえないとしました。この記事でまとめて解説します!
- 危険物製造所等の区分は一般取扱所とし規制範囲は荷扱場及び停留所と集配車発着所並びに荷扱場と一体の事務所とする
- 取り扱う危険物は特殊引火物を除く第四類危険物とし第一石油類及び第二石油類は塗料及び塗料溶剤とする
- 危険物の取扱いは運搬容器入りのままでの荷おろし、仕分け、一時保管及び荷積みに限る
- 危険物の数量は瞬間最大停滞量をもつて算定し危険物取扱数量は指定数量の50倍以下とする
- 保有空地は政令第16条第1項第4号の屋外貯蔵所の規定を適用する
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目次
荷扱場と停留所は一般取扱所として規制される

昭和57年8月11日付け消防危第82号は、東京都からの照会に答えたものです。
背景には、都市間大量輸送の拠点として運用されていた公共トラックターミナルの実態がありました。
その会社から危険物施設を設置したいという申し出があったため、どう指導するのがよいかを尋ねたものです。
示された指導内容の一つめが施設の区分でした。
規制範囲は一般取扱所として規制する範囲は、荷扱場及び停留所・集配車発着所並びに荷扱場と一体の事務所とするです。
荷扱場だけでなく、トラックが停まる停留所や集配車発着所まで範囲に含まれています。
一体の事務所も同じ扱いです。
範囲は荷扱場だけではありません。
扱えるのは特殊引火物を除く第四類で石油類は塗料と溶剤に限られる

次に、何を扱ってよいかが絞り込まれています。
ここが施設の性格を決めている部分です。
第四類のうち特殊引火物は除外されています。
さらに、引火点の低い第一石油類と第二石油類については品目そのものが塗料及び塗料溶剤に限定されました。
ガソリンのような単体の燃料が流れてくることを想定した施設ではない、ということです。
品名まで絞られます。
取扱いは運搬容器入りのままの荷おろしと仕分けに限られる

行為の範囲も限定されています。
一般取扱所という名称からは幅広い取扱いを想像しますが、この施設ではそうではありません。
あわせて当該一般取扱所では一般貨物も取り扱うことも明記されています。
認められているのは四つの行為だけです。
荷おろし、仕分け、一時保管、荷積みで、いずれも運搬容器入りのままという条件が付きます。
容器を開けての詰め替えや小分けは入っていません。
また、その場所は荷扱場に限られており、停留所で作業することは想定されていません。
混在させないことが求められています。
置き場を分けます。
数量は瞬間最大停滞量で算定し指定数量の50倍以下とする

荷物が絶えず出入りする施設では、危険物の量をどう数えるかが問題になります。
この点についても具体的な考え方が示されました。
瞬間最大停滞量とは、その時点でターミナル内にとどまっている量が最も多くなるときの量です。
一日に通過した合計ではなく、同時に存在しうる最大量で見るという整理になります。
そのうえで上限が指定数量の50倍以下と定められました。
流通量が増えればこの枠を超えることになるため、運用上の管理指標にもなります。
保有空地は屋外貯蔵所の規定を適用し消火設備はテナントごとに置く

最後に施設の構造と設備です。
壁のない大屋根という構造をふまえた判断が並んでいます。
一般取扱所でありながら、保有空地は屋外貯蔵所の規定を借りています。
壁がなく、実態としては置いてある時間が長いという性格を反映した扱いです。
構造については、屋根は不燃材で造り、かつ、軽量な不燃材でふくものとし、一部採光のため網入ガラスを使用するとされました。
荷扱場の床はコンクリート舗装としつつ、荷さばき作業の都合から、ためますは設けないとされています。
また停留場所及び集配車発着場所はコンクリート舗装とし当該場所の外周部は白線等で明示するほか排水溝には油分離装置を設置するとされました。
消火設備は三段構えです。
一般貨物を扱うため第1種消火設備である屋外消火栓を設置し、危険物対応として荷扱場に第4種消火設備を半径30メートルの円の面積に1個以上、さらに危険物を取り扱う運輸業者ごとに第5種消火設備を1個以上とされています。
警報設備は自動火災報知設備です。
危険物取扱者についても危険物を取り扱う運輸業者ごとに1名以上置くとされました。
テナントごとに求められます。
これらの指導内容に対する回答は設問の場合、添付された資料から判断すれば、差しつかえないでした。
よくある質問
まとめ
- 危険物製造所等の区分は一般取扱所とする
- 規制範囲は荷扱場及び停留所と集配車発着所並びに荷扱場と一体の事務所とする
- 取り扱う危険物は特殊引火物を除く第四類危険物とし第一石油類及び第二石油類は塗料及び塗料溶剤とする
- 危険物の取扱いは運搬容器入りのままでの荷おろしと仕分けと一時保管及び荷積みに限る
- 一時保管は危険物を置く場所を明示し一般貨物と区別して置くものとする
- 危険物の数量は瞬間最大停滞量をもって算定し危険物取扱数量は指定数量の50倍以下とする
- 保有空地は政令第16条第1項第4号の屋外貯蔵所の規定を適用する
- ためますを設けない代替として油吸着剤又は乾燥砂を備蓄し排水溝には油分離装置を設置する
- 危険物取扱者は危険物を取り扱う運輸業者ごとに1名以上置くものとする
通過させるだけでも、置いとる時間で見られるんやな。
そのとおりです。
物流施設の危険物の数量把握や届出の要否も、所轄消防署との事前協議からお手伝いします。
参考・出典
- 消防法(昭和23年法律第186号)第10条・第11条 e-Gov法令検索
- 危険物の規制に関する政令(昭和34年政令第306号)第16条・第19条 e-Gov法令検索
- 公共トラックターミナル施設に係る危険物の規制について(昭和57年8月11日付け消防危第82号 消防庁危険物規制課長から東京都あて回答)
- 「消防実務六法 質疑応答編」(消防実務研究会編・東京法令出版)の危険物の規制に関する政令の質疑応答を参考に、独自に解説を作成
※本記事は2026年8月時点の法令解釈に基づく一般的な解説です。個別の運用については所轄消防署にご確認ください。




