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避雷設備は隣の施設のもので足りるか|保護範囲と管理権原による線引き

曇天の工場屋根に立つ避雷針と屋外タンクの写真と避雷設備は隣ので足りるの文字

指定数量の倍数が10以上の製造所には避雷設備が必要です。
ただし政令には、周囲の状況によつて安全上支障がない場合はこの限りでないというただし書があります。
では隣の施設に立っている避雷針の保護範囲に入っていれば、それで足りるのでしょうか。
この記事では避雷設備の保護範囲がどこまで認められるかを消防庁の質疑応答に沿って整理します。

隣の建屋の避雷針が守ってくれているなら、うちには要らないのでしょうか。

そこは相手によります。
回答は場合を四つに分け、そのうち一つだけを認められないとしています。

分かれ目は敷地でしょうか。

敷地ではなく管理権原です。
権原が別でも契約を結んでいれば認められます。
この記事でまとめて解説します!

この記事の結論
  • 同一の敷地内で同一の管理権原下にある他の施設の避雷設備の保護範囲に含まれる場合はさしつかえない
  • 敷地を異にしても同一の管理権原下にあればさしつかえない
  • 敷地及び管理権原を異にする場合は認められない
  • 管理権原が異なっても使用承諾書等の一定の契約を締結している場合はさしつかえない
  • 危険物施設ではなく煙突等の他の施設の避雷設備であっても同様に取り扱われてさしつかえない

避雷設備は安全上支障がない場合には設けなくてよい

工場の屋上の避雷針に落雷し保護範囲の円錐が広がるイラスト

昭和56年10月1日付け消防危第126号は、滋賀県からの照会に答えたものです。
出発点は危険物の規制に関する政令第9条第19号のただし書にあります。

照会は危険物施設の避雷設備の設置については、「危険物の規制に関する政令」第9条第19号の但し書において、「周囲の状況によつて安全上支障がない場合においては、この限りでない。」とされているが、「安全上支障がない場合」として、下記の事項を認めてもさしつかえないかと尋ねています。

照会が挙げたのは、いずれも他の施設に付随する避雷設備の保護範囲に含まれる場合です。
ここでいう避雷設備は危険物の規制に関する規則第13条の2に規定する基準を満足するものとされています。

自分の施設に避雷針を立てていなくても、隣が立てた避雷針の傘の中に入っていればよいのではないか、という発想です。
傘を借りられるかの話です

支障がなければ、設けなくてよい場合があるのですね。

保護範囲に入っていることが前提です。
まず自分の施設が範囲に入るか確かめてください。

同一敷地内で同一の管理権原下にある場合はさしつかえない

同じ敷地の隣の建屋の避雷針の保護範囲に覆われた建物と緑のチェックマークのイラスト

照会の一つめは、いちばん素直な場合です。
同じ敷地の中で、同じ管理権原のもとにある施設どうしという状況にあたります。

照会の1(1)は同一の敷地内において、同一の管理権原下にある他の政令危険物施設に付随する避雷設備の保護範囲に含まれる場合です。
回答はさしつかえないです。

図では、高い施設Aの頂部から斜めに引かれた線が保護範囲を示し、低い施設Bがその内側に収まっています。
同じ敷地で同じ管理者であれば、避雷設備を共用しても問題ないという整理です。
共用は認められます

同じ敷地で同じ管理者なら、共用できるのですね。

差しつかえありません。
設備の維持管理の担当を、決めておきましょう。

敷地が異なっても管理権原が同一ならさしつかえない

道路をはさんだ隣の建屋の避雷針の保護範囲に覆われた建物と緑のチェックマークのイラスト

二つめは、敷地が分かれている場合です。
図では二つの施設の間に公道が通っています。

照会の1(2)は敷地を異にするが、同一の管理権原下にある他の政令危険物施設に付随する避雷設備の保護範囲に含まれる場合です。
回答はさしつかえないです。

敷地が分かれていても、間に公道があっても、結論は変わりませんでした。
保護範囲に入っているという事実が満たされていれば足りるということです。

ここまでで、敷地の境界は判断を分けていないことがわかります。
敷地は分かれ目ではありません

敷地が分かれていても、変わらないのですね。

敷地の境界では判断されません。
保護の範囲を、図面で確かめてください。

管理権原が異なる場合は契約を締結していれば認められる

道路をはさんだ建物の間に契約書が置かれ緑のチェックマークが添えられたイラスト

三つめと四つめが、この回答の中心です。
どちらも相手の管理権原が自分とは別という場合ですが、結論が分かれました。

照会の1(3)は敷地及び管理権原を異にする他の政令危険物施設に付随する避雷設備の保護範囲に含まれる場合です。
照会の1(4)は(3)の場合で使用承諾書等、一定の契約を締結している場合です。
回答は(1)(2)(4)については、さしつかえない。(3)については、認められないでした。

契約があるかどうかだけで結論が変わっています。
他人の設備をあてにするなら、その状態が続く保証が要るということです。

さらに回答には、その契約の中身についての注意が付けられています。

回答はなお、(4)の場合は、一定の契約書を締結し、当該契約書等において避雷設備の基準の維持並びに点検等確実に励行できるよう明確にしておく必要があるので、念のため申し添えると続きます。

求められているのは、使ってよいという承諾だけではありません。
避雷設備の基準の維持点検等の励行を契約書で明確にしておくことまでが必要とされています。
維持と点検まで書きます

管理権原が別なら、契約が要るのですね。

状態が続く保証が必要です。
契約の内容と期間を、書面で残してください。

煙突等の危険物施設以外の避雷設備でも同様に扱われる

煙突の頂部の避雷針の保護範囲がタンクを覆い緑のチェックマークが添えられたイラスト

最後の問いは、保護してくれる相手が危険物施設でない場合です。
工場の敷地には、危険物施設よりも高い構造物があることが少なくありません。

照会の2は1において、危険物施設ではなく他の施設(たとえば煙突等)の場合についてはどうかというものです。
回答は1と同様取り扱われてさしつかえないです。

相手が危険物施設であるかどうかは問われていません。
煙突であっても、規則第13条の2の基準を満たす避雷設備が付いていて、その保護範囲に入っていればよいということです。

ただし1と同様ですから、管理権原が異なる場合には契約が必要になります。
その契約に維持と点検を書き込む条件も、同じように付いてきます。
相手は問われません

相手が煙突でもよいのですね。

基準を満たしていれば同様です。
相手の設備の仕様も、確認しておきましょう。

よくある質問

Q. 隣の建物の避雷針の保護範囲に入っていれば自分の施設に避雷設備は不要ですか?
管理権原が同一であればさしつかえないとされています。同一の敷地内の場合も、敷地を異にする場合も、同一の管理権原下にある他の政令危険物施設に付随する避雷設備の保護範囲に含まれるのであれば認められます。
Q. よその会社の避雷設備に頼ることはできますか?
契約がなければ認められません。敷地及び管理権原を異にする場合について回答は認められないとしていますが、使用承諾書等の一定の契約を締結している場合はさしつかえないとされています。
Q. 契約書にはどのようなことを書いておく必要がありますか?
避雷設備の基準の維持並びに点検等確実に励行できるよう明確にしておく必要があると回答されています。使用の承諾だけでは足りません。
Q. 煙突の避雷針でも認められますか?
認められます。危険物施設ではなく他の施設たとえば煙突等の場合についてはどうかという問いに対し、回答は1と同様取り扱われてさしつかえないとしています。

まとめ

  • 政令第9条第19号ただし書は周囲の状況によつて安全上支障がない場合においてはこの限りでないと定めている
  • ここでいう避雷設備は危険物の規制に関する規則第13条の2に規定する基準を満足するものである
  • 同一の敷地内で同一の管理権原下にある他の政令危険物施設の避雷設備の保護範囲に含まれる場合はさしつかえない
  • 敷地を異にしても同一の管理権原下にあればさしつかえない
  • 敷地及び管理権原を異にする他の政令危険物施設の避雷設備の保護範囲に含まれる場合は認められない
  • ただし使用承諾書等の一定の契約を締結している場合はさしつかえない
  • その契約書等では避雷設備の基準の維持並びに点検等確実に励行できるよう明確にしておく必要がある
  • 危険物施設ではなく煙突等の他の施設の場合も同様に取り扱われてさしつかえない

他人の設備をあてにするなら、約束を交わしておくということですね。
すっきりしました。

そのとおりです。
避雷設備の要否の判断や契約の整理も、所轄消防署との事前協議からお手伝いします。

参考・出典

  • 消防法(昭和23年法律第186号)第10条 e-Gov法令検索
  • 危険物の規制に関する政令(昭和34年政令第306号)第9条 e-Gov法令検索
  • 危険物の規制に関する規則(昭和34年総理府令第55号)第13条の2 e-Gov法令検索
  • 避雷設備の設置について(昭和56年10月1日付け消防危第126号 消防庁危険物規制課長から滋賀県あて回答)
  • 「消防実務六法 質疑応答編」(消防実務研究会編・東京法令出版)の危険物の規制に関する政令の質疑応答を参考に、独自に解説を作成

※本記事は2026年8月時点の法令解釈に基づく一般的な解説です。個別の運用については所轄消防署にご確認ください。

監修・編集者
青木 俊輔
青木 俊輔

㈱防災屋 代表取締役/消防設備士

平成元年生まれ、三重県鈴鹿市出身。祖父が創業した消防設備業者で10年間勤務した後、独立・起業。現在は青木マーケ㈱、㈱防災屋、(一社)予防団の運営に携わる。Amazonベストセラー1位『改訂版 消防設備士0類』著者。月刊誌「電気と工事(オーム社)」でコラム連載中!

本記事の消防法令、消防用設備等の技術情報および記述内容を監修・編集しています。

詳しい経歴・保有資格を見る
学歴
  • 鈴鹿工業高等専門学校 材料工学科 卒
  • 静岡大学工学部物質工学科 材料科学コース 卒
  • 静岡大学大学院工学研究科物質工学専攻 修了
保有資格
  • 消防設備士:甲種特類、甲種1~5類、乙種6・7類
  • 危険物取扱者:甲種、乙種1~6類、丙種
  • 防火対象物点検資格者/防災管理点検資格者/甲種防火管理者
  • 第二種電気工事士/工事担任者(総合通信)/第三種電気主任技術者
  • 自家用発電設備専門技術者/特種電気工事資格者/職長・安全衛生責任者
  • eco検定/民泊適正管理主任者/フォークリフト運転技能講習 修了

趣味:ギター、バスケットボール(全国高専大会優勝・キャプテン)

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