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火災時に隣のタンクへ移し替えてよいか|移送配管の可否と圧力タンクの境目

油槽基地のポンプ室に並ぶバルブの写真と火災時に隣へ移してよいの文字

油槽基地でタンクが一基燃えたとき、中身を隣のタンクへ移して被害を減らせないか。
そのための配管をあらかじめ設けておくことは認められるのでしょうか。
昭和41年の回答は配管の設置を認めたうえで、参考として重い注意を添えています。
この記事ではタンク間の移送と圧力タンクの線引きを消防庁の質疑応答に沿って整理します。

火が出たら隣のタンクへ移すのがええやろ。中身が減れば助かるやん。

配管を設けること自体は認められました。
ただし回答は参考として却つて災害を拡大する危険があると注意しています。

ほな圧力タンクかどうかはどこで分かれるんや。

数値が示されています。
水柱100ミリメートルをこえる圧力がかかるタンクは圧力タンクとしての規制を受けます。この記事でまとめて解説します!

この記事の結論
  • 屋外貯蔵タンク間に移送用の配管をすることはさしつかえない
  • ただし火災時の移し替えは却つて災害を拡大する危険があることを認識しておく必要がある
  • 指定数量未満の屋外タンクを配管でつないだ場合もいずれの場合も少量危険物を貯蔵し、又は取り扱うタンクに該当する
  • 水柱100ミリメートルをこえる圧力がかかるタンクは圧力タンクとしての規制を受ける
  • 圧力差は標準気圧の状態で水高圧の(+)側に100ミリメートル又は(-)側に100ミリメートル以下で判断する

タンク間に移送用の配管を設けることはさしつかえない

三基のタンクとポンプ室のバルブが一本の配管でつながる系統図のイラスト

昭和41年11月1日付け自消丙予発第136号は、富山県からの照会に答えたものです。
管下消防長を通じて、油槽基地の事業者から寄せられた相談が背景にあります。

照会は油槽基地のタンク群において一つのタンクが発火した場合ポンプ室のバルブの操作により品目の異なる他の貯油量の少ないタンクへ移送して被災油類の量を減少する方式の採用の可否について油槽基地業者より問合せがあつたが、この場合については、燃焼混合気の危険も予想されるのでこれの取扱いにつき御教示願いますというものです。

添付された図面では、ガソリンのタンクA、軽油と灯油のタンクB、重油のタンクCがそれぞれポンプにつながり、ポンプ室の中で一本の配管に集まる形が示されていました。
バルブを切り替えれば、どのタンクからどのタンクへも送れる構成です。

回答は屋外貯蔵タンク間に添付された図面のような配管をすることは、さしつかえないです。

設備として設けることは認められました。
配管自体は通ります

火災時の移し替えは却って災害を拡大する危険がある

燃えているタンクから隣のタンクへ送油し蒸気が立ちのぼるイラスト

回答はそこで終わりません。
本文のあとに参考として、長い注意が添えられています。

参考は火災時におけるタンク間の危険物の移し替えは、移し替えをする危険物の品名、量、流速及びそれを受け入れるタンクに貯蔵している危険物の品名、量並びに移し替えをするタンク及び受け入れるタンクの位置の関係、火災の状況、風向等を熟慮したうえでこれをしなければとしたうえで、生じうる危険を並べています。

挙げられているのは移し替えに伴う可燃性蒸気の大量放出燃焼範囲の下限の低い蒸気の生成静電気の発生です。

そのうえで種々の危険要因を惹起するおそれがあるので、危険物の移し替えにより、却つて災害を拡大する危険があることを認識しておく必要があると結んでいます。

燃えているタンクから中身を抜けば減るはずですが、受け入れる側で蒸気が発生します。
品目の異なる危険物が混ざれば、もとより燃えやすい蒸気ができることもあります。

設備があることと、火災時にそれを使うかどうかは別だという整理です。
使う判断は別です

指定数量未満のタンクを配管でつないでも少量危険物として扱われる

三基の小型タンクが一本の配管と一つの注入口でつながるイラスト

つなぐという点では、もう一つ重要な回答があります。
昭和41年6月3日付け自消丙予発第73号は、三重県からの照会に答えたものです。

照会は屋外タンクA、B、Cはそれぞれ指定数量未満であるが、(イ)(ロ)(ハ)の場合火災予防条例にうたわれている少量危険物のタンク貯蔵所とみなすことができるか。できない場合は如何に規制すればよいかと尋ねています。

示された三つの図は、いずれもA、B、Cの危険物を合算すると指定数量以上になるものでした。

(イ)は三基が配管で直列につながり注入口が一つ、(ロ)は三基が共通の配管につながり注入口が一つ、(ハ)は三基それぞれに注入口があるという構成です。
タンクの間隔はいずれも1メートルと示されています。

回答は設問のタンクは、いずれの場合も火災予防条例準則に定める少量危険物を貯蔵し、又は取り扱うタンクに該当するです。

合算すれば指定数量以上になり、配管でつながっていても、個々のタンクは少量危険物のタンクとして扱われました。
タンク単位で見ます

水柱100ミリメートルをこえる圧力がかかると圧力タンクになる

圧力計の針が赤い境界線を越えている様子のイラスト

ここからは圧力の話です。
昭和42年4月17日付け自消丙予発第26号は、岡山県からの照会に答えたものです。

危険物の規制に関する規則第20条は、圧力タンク以外のタンクに設ける通気管を無弁又は大気弁付とするよう定め、大気弁付通気管の作動圧力を水高圧力100ミリメートル以下の圧力差で作動できるものとしています。

照会は水高圧力100ミリメートル以上で作動するものについては加圧タンクとし水圧検査を実施し水圧検査手数料を徴収してよいかと尋ね、あわせて最近製品の品質保持、災害防止のため水高圧(+)200ミリメートルから(+)1,000ミリメートルで窒素シールするタンクが増大しているが、これも1同様に考えてよいかと続けています。
回答は1及び2 水柱100ミリメートルをこえる圧力がかかるタンクは、圧力タンクとしての規制を受け、その検査の技術基準は、危険物の規制に関する政令第11条第4号に定めるタンクの試験基準によるです。

窒素シールをかけるタンクも、かける圧力が水柱100ミリメートルをこえれば圧力タンクになります。
品質保持のための窒素封入であっても、扱いは変わりません。
目的は問われません

圧力差は標準気圧から上下それぞれ100ミリメートル以下で見る

標準気圧の線から上下に同じ長さの矢印が伸びる図のイラスト

三つめの問いは、100ミリメートルという数字の測り方でした。
二つの読み方がありうるため、どちらかを確かめたものです。

照会は危険物の規制に関する規則第20条第1項第2号の圧力差とは次のうちいずれにもとづけばよいかとして、(ア)標準気圧の状態で水高圧の(+)側に100ミリメートル又は(-)側に100ミリメートル以下か(イ)標準気圧の状態で水高圧力の(+)(-)の差が100ミリメートル以下かという二案を挙げています。
回答は3 (ア)お見込みのとおりです。

採られたのは(ア)、つまり標準気圧を中心に上下それぞれ100ミリメートルという読み方です。
(イ)のように上下の幅の合計で100ミリメートルと読むのではありません。

同じ100ミリメートルでも、読み方によって許容される範囲は倍違います。
上下それぞれで見ます

よくある質問

Q. タンクどうしを配管でつないでよいですか?
屋外貯蔵タンク間に移送用の配管をすることはさしつかえないとされています。ただし火災時の移し替えについては、却って災害を拡大する危険があることを認識しておく必要があると注意が添えられています。
Q. 小さいタンクを並べれば少量危険物のままですか?
それぞれ指定数量未満のタンクを配管でつなぎ、合算すると指定数量以上になる場合について、いずれの場合も火災予防条例準則に定める少量危険物を貯蔵し又は取り扱うタンクに該当すると回答されています。
Q. 窒素シールをかけるタンクは圧力タンクですか?
水柱100ミリメートルをこえる圧力がかかるタンクは圧力タンクとしての規制を受けるとされています。窒素シールの圧力が水高圧200ミリメートルから1,000ミリメートルであれば圧力タンクにあたります。
Q. タンクのポンプ室は一般取扱所になりますか?
なりません。屋外貯蔵タンクに危険物を出し入れするために使用するポンプ室は、政令の一部改正により一般取扱所としての規制をはずされ、屋外タンク貯蔵所に附随するポンプ設備として規制することとされたと回答されています。

まとめ

  • 屋外貯蔵タンク間に移送用の配管をすることはさしつかえない
  • ただし火災時の移し替えは品名や量や流速や位置関係や火災の状況や風向等を熟慮したうえで行う必要がある
  • 移し替えに伴う可燃性蒸気の大量放出や燃焼範囲の下限の低い蒸気の生成や静電気の発生のおそれがある
  • 危険物の移し替えにより却って災害を拡大する危険があることを認識しておく必要がある
  • 指定数量未満のタンクを配管でつないだ場合もいずれの場合も少量危険物のタンクに該当する
  • 水柱100ミリメートルをこえる圧力がかかるタンクは圧力タンクとしての規制を受ける
  • その検査の技術基準は政令第11条第4号に定めるタンクの試験基準による
  • 圧力差は標準気圧の状態で水高圧の(+)側に100ミリメートル又は(-)側に100ミリメートル以下と解する

設備はあってもええけど、使うかどうかは別っちゅうことか。

そのとおりです。
移送配管の計画や圧力タンクの判定も、所轄消防署との事前協議からお手伝いします。

参考・出典

  • 危険物の規制に関する政令(昭和34年政令第306号)第11条 e-Gov法令検索
  • 危険物の規制に関する規則(昭和34年総理府令第55号)第20条 e-Gov法令検索
  • 指定数量未満の屋外タンク群の取り扱いについて(昭和41年6月3日付け自消丙予発第73号 予防課長から三重県総務部長あて回答)
  • 被災タンクの石油類を他のタンクへ移送することについて(昭和41年11月1日付け自消丙予発第136号 予防課長から富山県総務部長あて回答)
  • 屋外タンクの水張、水圧検査の区分について(昭和42年4月17日付け自消丙予発第26号 予防課長から岡山県総務部長あて回答)
  • 既設一般取扱所の保有距離について(昭和40年10月27日付け自消丙予発第174号 予防課長から静岡県総務部長あて回答)
  • 「消防実務六法 質疑応答編」(消防実務研究会編・東京法令出版)の危険物の規制に関する政令の質疑応答を参考に、独自に解説を作成

※本記事は2026年8月時点の法令解釈に基づく一般的な解説です。個別の運用については所轄消防署にご確認ください。

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油槽基地のポンプ室に並ぶバルブの写真と火災時に隣へ移してよいの文字
油槽基地でタンクが一基燃えたとき、中身を隣のタンクへ移して被害を減らせないか。 そのための配管をあらかじめ設けておくことは認められるのでしょうか。 昭和41年の回答は配管の設置を認めたうえで、参考として重い注意を添えてい...