屋外貯蔵タンクに保温材を巻きたい。断熱効果の大きいウレタンフォームを使いたい。
しかしウレタンフォームは燃える材料です。そのまま巻いてよいのでしょうか。
昭和43年の二つの回答は、被覆の方法によって条件を分けて答えています。
この記事ではタンクの保温材と防油堤の改修の扱いを消防庁の質疑応答に沿って整理します。
ウレタンフォームは燃えるものですが、タンクに巻いてよいのでしょうか。
覆えば認められています。
外部を薄鉄板等で被覆する処置をしたならばさしつかえないとされました。
鉄板ではなく、塗る工法はどうでしょうか。
そちらは条件が付きました。
引火点70度以上の危険物を貯蔵する貯蔵タンクに限つてその使用を認めるとされています。
この記事でまとめて解説します!
- 難燃性ウレタンフォームは外部を薄鉄板等で被覆する処置をすれば保温材として使用してさしつかえない
- 防火コートを塗布する工法は引火点70度以上の危険物を貯蔵する貯蔵タンクに限つて認められる
- 鉄筋に対するコンクリートのかぶり厚さは防油堤の頂部における厚さと直接関係するものではない
- 防油堤の改修は変更許可の対象とし、政令に基づく変更許可手数料を徴収する
- 階段の設置等の軽微な改修は消防法第16条の4に基づく報告を求め、その改修実態を把握するのが適当とされた
▼
目次
ウレタンフォームは薄鉄板等で被覆すれば保温材として使える

昭和43年4月23日付け消防予第127号は、東京消防庁からの照会に答えたものです。
保温材をめぐる状況の変化が、そのまま照会文に書かれています。
不燃ではなく難燃である点が問題になります。
そこで照会側は、覆ってしまうという案を出しました。
燃える材料であっても、外側を金属で包んでしまえば火にさらされません。
不燃材料そのものを使うのではなく、組み合わせで守るという考え方です。
包めば認められます。
外側を覆えば認められるのですね。
薄鉄板等での被覆が条件です。
施工の仕様を、記録に残しておいてください。
防火コートを塗る工法は引火点70度以上のタンクに限られる

その3か月後に、別の工法についての照会が出ています。
昭和43年7月23日付け消防予第174号は、三重県からの照会に答えたものです。
対象は屋外貯蔵タンク(第四類第三石油類)で、鉄板で覆うのではなく塗って仕上げる工法でした。
耐火性能についても、試験の内容が具体的に述べられています。
薄鉄板で覆う方法には付かなかった条件が、こちらには付きました。
引火点70度以上という線が引かれています。
照会の対象が第三石油類であったことと整合する条件です。
ガソリンのような引火点の低い危険物のタンクには使えません。
中身で条件が変わります。
塗る工法は、対象が限られるのですね。
引火点70度以上のタンクに限られます。
扱う油種を、先に確かめてください。
かぶり厚さと防油堤の頂部の厚さは直接関係しない

ここからは防油堤の話です。
昭和42年6月26日付け自消丙予発第43号は、栃木県からの照会に答えたものです。
昭和41年11月28日付け自消丙予発第155号通達による運用基準について、二つの疑義が寄せられました。
両側のかぶり厚さ40ミリメートルずつと鉄筋の直径9ミリメートルを足せば89ミリメートル。
それなのになぜ120ミリメートル以上なのか、という素朴な計算です。
かぶり厚さは鉄筋の強度等を確保するための数値であり、堤の厚さを決めるための数値ではありません。
目的の違う二つの数値を足し算でつなぐことはできない、という整理です。
目的が違う数値です。
かぶり厚さと堤の厚さは、直接関係しないのですね。
別の基準として見ます。
改修の設計は、根拠を分けて整理してください。
防油堤の改修は変更許可の対象となる

一つめの照会は、既存の防油堤を改修するときの手続についてです。
運用基準に適合させるための改修が全国で必要になった時期の問いでした。
届出ではなく変更許可です。
手数料も政令に基づいて徴収することになります。
届出では足りません。
照会には、危険物の規制に関する規則附則第3項により昭和42年9月30日までは従前の例によるとされていることをふまえ、この間は本運用基準に基づく改修指導を行ない、10月1日以降は、法令上の技術上の基準に適合していないときは、法第12条による改修命令を発しという段取りも述べられていました。
防油堤の改修には、許可が要るのですね。
届出では足りません。
改修の計画は、手続きの期間も見込んでください。
階段の設置等の軽微な改修は報告で足りる

回答には、なお書きが付けられています。
すべてを変更許可にすると手続が重くなりすぎるためです。
軽微なものの例として挙げられているのは堤内に出入するための階段の設置と土砂の盛上げです。
これらだけで足りる場合は、変更許可ではなく報告で扱うのが適当とされました。
根拠は消防法第16条の4に基づく報告です。
手続を分けることで、改修の実態を把握しつつ現場の負担を抑えるという運用になっています。
規模で手続が分かれます。
軽微なものは、報告で足りるのですね。
階段の設置などが例です。
どちらに当たるか迷ったら、先に相談してください。
よくある質問
まとめ
- 従来はタンクの保温材として不燃性材質のものが使用されてきた
- 難燃性ウレタンフォームは外部を薄鉄板等で被覆する処置をすれば保温材として使用してさしつかえない
- 厚さ30ミリメートルのウレタンフォームの上にアルミナおよびシリカを主成分とする防火コートを塗布する工法もある
- その工法は引火点70度以上の危険物を貯蔵する貯蔵タンクに限って使用が認められる
- 鉄筋に対するコンクリートのかぶり厚さは鉄筋の強度等を確保するため定められたものである
- したがってかぶり厚さを算術計算した数値が防油堤の頂部の厚さと必ずしも一致するものでない
- 防油堤の改修は変更許可の対象とし政令に基づく変更許可手数料を徴収する
- 階段の設置又は土砂の盛上げ等のみで足りる軽微なものは消防法第16条の4に基づく報告で足りる
鉄板で包むか、塗るか。
塗るほうは中身を選ぶのですね。
すっきりしました。
そのとおりです。
保温工事や防油堤の改修にともなう手続も、所轄消防署との事前協議からお手伝いします。
参考・出典
- 消防法(昭和23年法律第186号)第11条・第12条・第16条の4 e-Gov法令検索
- 危険物の規制に関する政令(昭和34年政令第306号)第11条 e-Gov法令検索
- 防油堤の設置等に関する運用基準について(昭和42年6月26日付け自消丙予発第43号 予防課長から栃木県総務部長あて回答)
- 屋外タンク等の保温材について(昭和43年4月23日付け消防予第127号 予防課長から東京消防庁消防総監あて回答)
- 危険物屋外タンクの保温材について(昭和43年7月23日付け消防予第174号 予防課長から三重県総務部長あて回答)
- 「消防実務六法 質疑応答編」(消防実務研究会編・東京法令出版)の危険物の規制に関する政令の質疑応答を参考に、独自に解説を作成
※本記事は2026年8月時点の法令解釈に基づく一般的な解説です。個別の運用については所轄消防署にご確認ください。
㈱防災屋 代表取締役/消防設備士
平成元年生まれ、三重県鈴鹿市出身。祖父が創業した消防設備業者で10年間勤務した後、独立・起業。現在は青木マーケ㈱、㈱防災屋、(一社)予防団の運営に携わる。Amazonベストセラー1位『改訂版 消防設備士0類』著者。月刊誌「電気と工事(オーム社)」でコラム連載中!
本記事の消防法令、消防用設備等の技術情報および記述内容を監修・編集しています。
詳しい経歴・保有資格を見る
- 鈴鹿工業高等専門学校 材料工学科 卒
- 静岡大学工学部物質工学科 材料科学コース 卒
- 静岡大学大学院工学研究科物質工学専攻 修了
- 消防設備士:甲種特類、甲種1~5類、乙種6・7類
- 危険物取扱者:甲種、乙種1~6類、丙種
- 防火対象物点検資格者/防災管理点検資格者/甲種防火管理者
- 第二種電気工事士/工事担任者(総合通信)/第三種電気主任技術者
- 自家用発電設備専門技術者/特種電気工事資格者/職長・安全衛生責任者
- eco検定/民泊適正管理主任者/フォークリフト運転技能講習 修了
趣味:ギター、バスケットボール(全国高専大会優勝・キャプテン)




