濃度98パーセントの濃硝酸を屋外タンクに貯蔵する。
鋼板では持たないため、タンクも弁も配管もパッキンも材質を選び直すことになります。
昭和40年の回答は、その組み合わせを一つずつ確認し、政令第23条を適用して認めました。
この記事では第六類危険物のタンクの構造を消防庁の質疑応答に沿って整理します。
濃硝酸やったら鋼も持たんやろ。何で造ったらええんや。
組み合わせで解いています。
タンクと配管はアルミニウム、弁はステンレス、パッキンはテフロン。回答は設問どおり認めて差し支えないとしました。
ほな液面計はどないする。ガラスはあかんのちゃうんか。
ここでは逆になります。
省略はできないとしたうえで耐圧性のガラス管ゲージによる方法が適当であるとされました。この記事でまとめて解説します!
- アルミニウム製で鏡板胴板とも板厚12ミリメートルのタンクは政令第23条の規定を適用し、設問どおり認めて差し支えない
- 弁はステンレス製、配管はアルミニウム製、パッキンはテフロン製という組み合わせも認められた
- 政令第11条第8号の通気管の規定は第四類の危険物を収納するタンクについてのみ適用され、第六類の危険物については適用されない
- 液面の自動覚知装置の設置を省略することはできない
- その方法としては耐圧性のガラス管ゲージによる方法が適当である
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目次
アルミニウム製で板厚12ミリメートルのタンクが認められた

昭和40年4月8日付け自消丙予発第66号は、神奈川県からの照会に答えたものです。
県内の工場で、第六類の濃硝酸を貯蔵する屋外タンク貯蔵所を設置する計画についてのものでした。
一つめが、政令第11条第4号すなわちタンクの材質と板厚についてです。
回答は1及び4 危険物の規制に関する政令第23条の規定を適用し、設問どおり認めて差し支えないです。
基準は厚さ3.2ミリメートル以上の鋼板ですが、材質を変えるかわりに12ミリメートルという厚さで応じています。
前に取り上げた硝酸タンクの事例では板厚9ミリメートルでした。
厚みで補う考え方です。
弁はステンレス配管はアルミニウムパッキンはテフロン

四つめと五つめは、タンクに付く部品の材質です。
それぞれ別の材質が選ばれている点が、この照会の特徴になっています。
配管については配管はアルミニウム製のものを使用し、危険物のもれを防止するためタンク頂部に取りつけ、結合はフランジ結合とし、パッキンはテフロン製のものを用いるとしています。
回答は弁について1及び4としてまとめて認め、配管については5 設問の配管を使用することは差し支えないとしました。
タンクと配管はアルミニウム、弁はステンレス、パッキンはテフロン。
接液する部分ごとに、耐えられる材質が選び分けられています。
あわせて危険物のもれを防止するためタンク頂部に取りつけという工夫も示されています。
配管をタンクの下ではなく上に付ければ、配管が壊れても中身が流れ出しません。
頂部に付けます。
通気管の規定は第六類の危険物には適用されない

二つめは通気管についてです。
照会には、かなり具体的な運用が書かれています。
無弁通気管に弁を付けるという、名前と矛盾するような構造です。
圧送のときだけ閉じ、そのかわりに安全弁を別に設けるという設計になっています。
そもそも通気管の規定が第四類の危険物を収納するタンクについてのみ適用される、という点が示されました。
第六類には適用されないので、特例を持ち出すまでもありません。
そのうえで、設けること自体はさしつかえないとされています。
類によって変わります。
液面の自動覚知装置は省略できず耐圧性のガラス管ゲージが適当とされた

三つめが、この回答でもっとも実務に効く部分です。
照会は危険物の量を自動的に覚知する装置を設けるべきであるが、これを省略しても良いか、もし省略できないとすれば最も適当と思われる方法はいかなる方法であるかと尋ねました。
ここでガラス管ゲージが適当とされている点に注意が要ります。
ガソリン等の油量自動覚知装置については、連通管式のガラスは好ましくないという回答が別にあります。
濃硝酸は金属を侵すため、金属製の浮子や連通管が使いにくいという事情があります。
危険物の種類が変われば、適当な方法も変わるということです。
中身次第で変わります。
タンク相互間の空地の特例は周囲全部の空地には使えない

もう一つ、空地の特例についての回答も見ておきます。
昭和39年5月18日付け自消丙予発第41号は、富山県からの照会に答えたものです。
高岡市伏木地区で石油基地建設のために日本海沿岸を埋め立て、石油会社8社に割り当てることになった、という状況が背景にあります。
特例が働くのはタンク相互間だけです。
周囲全部の空地を一括して緩めるという使い方はできません。
照会の二つめでは、8社が同業種の企業で、すべて第四種の石油類を貯蔵する場合でも各社の敷地内で規定どおりの空地が要るのかが問われ、回答は2 前段お見込みのとおりでした。
会社が違えば、それぞれの敷地で空地を確保することになります。
相互間だけの特例です。
よくある質問
まとめ
- 濃度98パーセントの濃硝酸を貯蔵する容量10立方メートルの円筒横置型タンクについての照会である
- アルミニウム製で鏡板胴板とも板厚12ミリメートルのタンクは政令第23条を適用して認められた
- 弁はステンレス製で日本工業規格のSUS32に適合するものが用いられた
- 配管はアルミニウム製とし危険物のもれを防止するためタンク頂部に取りつけるものとされた
- 結合はフランジ結合としパッキンはテフロン製のものが用いられた
- 政令第11条第8号の通気管の規定は第四類の危険物を収納するタンクについてのみ適用される
- 液面の自動覚知装置の設置を省略することはできず耐圧性のガラス管ゲージによる方法が適当とされた
- 規則第15条の空地の特例は貯蔵タンク相互間の空地の幅についての規定であり周囲全部には適用されない
ガラスがあかん場合とええ場合があるんやな。中身次第か。
そのとおりです。
材質の組み合わせや特例申請の資料づくりも、所轄消防署との事前協議からお手伝いします。
参考・出典
- 消防法(昭和23年法律第186号)別表第一 e-Gov法令検索
- 危険物の規制に関する政令(昭和34年政令第306号)第11条・第23条 e-Gov法令検索
- 危険物の規制に関する規則(昭和34年総理府令第55号)第15条 e-Gov法令検索
- 屋外貯蔵タンク相互間の空地の保有について(昭和39年5月18日付け自消丙予発第41号 予防課長から富山県総務部長あて回答)
- 危険物第六類濃硝酸の屋外タンク貯蔵所設置について(昭和40年4月8日付け自消丙予発第66号 予防課長から神奈川県企画調査部長あて回答)
- 「消防実務六法 質疑応答編」(消防実務研究会編・東京法令出版)の危険物の規制に関する政令の質疑応答を参考に、独自に解説を作成
※本記事は2026年8月時点の法令解釈に基づく一般的な解説です。個別の運用については所轄消防署にご確認ください。




