地下タンク貯蔵所のタンク室について、危険物の規制に関する政令第13条第14号は「壁及び底を厚さ0.3m以上のコンクリート造又はこれと同等以上の強度を有する構造」と定めています。
現場で問題になるのは後半です。何をもって同等以上とするのか。
厚さを薄くする代わりに鉄筋を入れれば足りるのか、その配筋はどの程度必要なのか。
この論点は厚さだけでは判断できません。
タンク室を鉄筋コンクリートにすれば、30センチも要らないですよね。どこまで薄くできますか。
薄くできますが、厚さと配筋間隔の組み合わせで決まります。通達に対応表があり、下限も示されています。
実際に否定された例もあるんでしょうか。
あります。しかも計算過程まで示されて否定されています。数値が具体的なので、自社の仕様を当てはめて確かめられます。
この記事の結論
- 同等以上の強度を有する構造には、鉄筋コンクリート造、鉄骨鉄筋コンクリート造、鉄骨コンクリート造、鉄材によって補強された石造および鉄材によって補強された煉瓦造等があるとされています
- 鉄筋コンクリートで造る場合、厚さと配筋間隔の組み合わせが通達に表で示されています
- その表による場合、鉄筋コンクリートの厚さは15センチメートル以上となります
- 丸鋼は大なる荷重又は土圧のかかる側の面から5センチメートルの距離の位置に配筋します
- 厚さ22センチメートルで9ミリメートル鉄筋をピッチ25センチメートルとした構造は、同等以上の強度を有するものとは解されないとされています
▼
目次
同等以上の強度を有する構造として認められるもの

昭和37年4月6日付けの自消丙予発第44号は、具体的な構造を列挙しました。
答 政令第13条第14号に規定する「同等以上の強度を有する構造」としては、鉄筋コンクリート造、鉄骨鉄筋コンクリート造、鉄骨コンクリート造、鉄材によって補強された石造及び鉄材によって補強された煉瓦造等がある。
鉄材で補強された石造や煉瓦造も入ります。
共通しているのは、コンクリートや石材だけに頼らず鉄材で引張力を受け持たせている点です。
末尾が「等」で結ばれているため、この5つに限られるわけでもありません。ただし挙げられていない構造を採るなら、強度が同等以上であることを別途示す必要があります。
配筋間隔とコンクリート厚さの関係

表は、コンクリート厚さごとに、0.9センチメートルの丸鋼を配筋するときの間隔、1.3センチメートルの丸鋼を配筋するときの間隔、両者を交互に配筋するときの間隔を並べたものです。
なおコンクリート厚さにはかぶり厚さ5センチメートルを含みます。 底の場合は厚さ15センチメートルから24センチメートルまで、壁の場合は厚さ15センチメートルから23センチメートルまでが示されています。
厚さと配筋間隔は組み合わせで決まります。
厚さが薄いほど許される配筋間隔は狭くなり、厚くなるほど広い間隔が許されるという関係です。厚さだけ、あるいは配筋だけを見て判断できるものではありません。
表による場合の施工上の注意

(1) 表に示したような配筋のときは、鉄筋コンクリートの厚さは、「同等以上の強度を有する構造」としては、15cm以上となる
(2) 図に示す短辺の配筋は、表に示すとおり、5cm以上、20cm以下の間隔で配筋する
(3) 図に示す長辺の配筋は、1.3cm径の丸鋼を30cm間隔に配筋したときの例を示した
(2) 図に示す短辺の配筋は、表に示すとおり、5cm以上、20cm以下の間隔で配筋する
(3) 図に示す長辺の配筋は、1.3cm径の丸鋼を30cm間隔に配筋したときの例を示した
表の最小値がそのまま下限になっている形です。
短辺方向は5センチメートル以上20センチメートル以下という上下の幅があり、長辺方向は1.3センチメートル径の丸鋼を30センチメートル間隔とした例が示されています。
通常の施工としては、短辺の配筋は9ミリメートル径の丸鋼と1.3センチメートル径の丸鋼を交互に配筋するとされています。
丸鋼をどの位置に配筋するか

鉄筋コンクリートは、引張力がかかる側に鉄筋を置いてはじめて働くためです。
(5) 丸鋼は、大なる荷重又は土圧(地下タンク室の外側の壁面が受ける土圧)のかかる側の面から5cmの距離の位置に配筋するものとし、壁の面に対して両側から同じ圧力がかかるときは、壁の中心附近に配筋する
地下タンク室の壁は外側から土圧を受けます。したがって外側の面から5センチメートルの位置が基本になります。
両側から同じ圧力がかかる部位では、壁の中心附近とされています。
なお、ここでいう鉄筋の間隔は丸鋼の中心相互の間隔を指します。外面間や内面間ではない点に注意が要ります。
厚さ22センチメートルで9ミリメートル鉄筋の場合

昭和40年4月19日付けの自消丙予発第76号は、具体的な仕様について計算を伴って回答しました。
問 地下貯蔵タンクのタンク室の底の構造が、9mm鉄筋をピッチ25cmで格子状に配筋した、厚さ22cmの鉄筋コンクリート構造である場合は、政令第13条第14号の規定における0.3m以上のコンクリート造と同等以上の強度を有する構造と認めてよいか。
答 設問の鉄筋コンクリートの構造は、厚さ0.3m以上のコンクリートと同等以上の強度を有するものとは解されない。
答 設問の鉄筋コンクリートの構造は、厚さ0.3m以上のコンクリートと同等以上の強度を有するものとは解されない。
設問の鉄筋コンクリートについて単位長さを100センチメートルとして計算すると抵抗モーメントは57,344キログラム・センチメートルとなり、厚さ0.3メートルのコンクリートについて同じく計算した75,000キログラム・センチメートルを下回ります。
厚さ22センチでは強度が足りませんでした。
前の項目で見た表と照らすと、厚さ22センチメートルなら0.9センチメートル丸鋼で5センチメートルから14センチメートルの間隔が求められています。ピッチ25センチメートルは、この範囲を大きく外れています。
よくある質問
Q. 鉄筋の間隔はどこからどこまでの寸法ですか?
丸鋼の中心相互の間隔とされています。鉄筋の外面どうし、あるいは内面どうしの距離ではありません。図面の寸法がどちらで記入されているかによって、表への当てはめが変わってしまうため注意が必要です。
Q. 通常の施工では何ミリの丸鋼を使いますか?
通常の施工としては、短辺の配筋は9ミリメートル径の丸鋼と1.3センチメートル径の丸鋼を交互に配筋するとされています。通達の表にも、0.9センチメートル丸鋼のみ、1.3センチメートル丸鋼のみ、両者を交互に配筋する場合の3通りが並べて示されています。
Q. 壁の両側から同じ圧力がかかる場合はどこに配筋しますか?
壁の中心附近に配筋するとされています。片側からのみ大きな荷重や土圧がかかる場合は、その面から5センチメートルの距離の位置に配筋します。地下タンク室の壁は外側から土圧を受けるため、通常は外側の面が基準になります。
Q. 屋内貯蔵所の周囲にある倉庫は保安距離の対象になりますか?
昭和37年4月6日付け自消丙予発第44号が扱っています。既設の屋内貯蔵所(指定数量10倍以上)の周囲に、住宅の用に供しない倉庫が外壁から5メートルの位置にあって延焼のおそれもあるが、該倉庫を「住宅の用に供するもの」とみなして措置してよいかという照会に対し、回答は「設問の建築物は、住居の用に供するものではない」となっています。
まとめ
- 政令第13条第14号のタンク室は、壁および底を厚さ0.3メートル以上のコンクリート造又はこれと同等以上の強度を有する構造とすることとされています
- 同等以上の強度を有する構造には、鉄筋コンクリート造、鉄骨鉄筋コンクリート造、鉄骨コンクリート造、鉄材によって補強された石造および鉄材によって補強された煉瓦造等が挙げられています
- 鉄筋コンクリートで造る場合の厚さと配筋間隔の関係は、通達に表で示されています
- その表による配筋のときは、鉄筋コンクリートの厚さは15センチメートル以上となります
- 短辺の配筋は5センチメートル以上20センチメートル以下の間隔とされ、長辺は1.3センチメートル径の丸鋼を30センチメートル間隔とした例が示されています
- 丸鋼は大なる荷重又は土圧のかかる側の面から5センチメートルの距離の位置に配筋し、両側から同じ圧力がかかるときは壁の中心附近に配筋します
- 鉄筋の間隔は丸鋼の中心相互の間隔を指します
- 厚さ22センチメートルで9ミリメートル鉄筋をピッチ25センチメートルとした構造は、同等以上の強度を有するものとは解されないとされています
否定された例が計算つきで残ってるのは助かります。うちの図面、ピッチが広い気がしてきました。
厚さと間隔を表に当てはめれば、その場で当たりが付きます。㈱防災屋でも図面の確認からご相談を承っています。
参考・出典
- 同等以上の強度を有する構造とは(昭和37年4月6日 自消丙予発第44号 予防課長から佐世保市消防長あて回答)
- 地下貯蔵タンクの「同等以上の強度を有する構造」とは(昭和40年4月19日 自消丙予発第76号 予防課長から浜松市消防長あて回答)
- 倉庫に対する保安距離について(昭和37年4月6日 自消丙予発第44号 予防課長から福岡県民生部長あて回答)
- 危険物の規制に関する政令第13条第14号
- 消防実務六法 質疑応答編
※本記事は公表されている法令および通達に基づく一般的な解説です。個別の施設についての適用は、所轄の消防機関にご確認ください。




