地下タンク貯蔵所は、地面の下に隠れてしまうぶん、図面の読み方ひとつで結論が変わります。
地下鉄との距離は構築物の内側と外側のどちらで測るのか。注入配管はどこまで延ばすのか。
外面保護の工法は2つ示されているが、どちらを選んでもよいのか。
とくに距離の起点で結論が変わりますので、古い質疑応答まで当たっておく価値があります。
地下鉄のトンネルが近いんです。距離は箱の手前までですか、それとも線路までですか。
手前です。図まで添えて4つの候補が示され、そのうちの1つが選ばれています。いちばん厳しい取り方になります。
注入配管を底まで延ばすのは、こぼれにくくするためですよね。
理由はもう一段先にあります。上から落とすと油が飛散して蒸気が増え、静電気の問題が出てくるからです。
この記事の結論
- タンクの外面保護は規則第24条第1号および第2号のいずれの工法でもよく、その理由は外面保護の効力が両者同等と認められるからとされています
- 注入のための配管はタンク内部を底部附近まで延長し、そこに開口部を有することが防災上有効とされています
- その理由は、上部から油を落下させると飛散により蒸気発生が増大し、静電気による着火の可能性もなしとしないためです
- タンク室を設置しない場合の地下タンクと地下鉄等との水平距離は、地下構築物の外側までを距離とするとされています
- 1日の取扱量が指定数量以上とならない場合は一般取扱所とならず、地下タンク貯蔵所としての規制にとどまります
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目次
タンクの外面保護はどちらの工法でもよいのか

条文が2つ挙げているとき、どちらか一方が原則でもう一方が例外なのか、それとも対等なのかは読み取りにくいところです。
問 規則第24条においては、同条第1号及び第2号のいずれの工法をとってもよいとされているが、いかなる理由によるものか。
答 外面保護の効力が両者同等と認められるからである。
答 外面保護の効力が両者同等と認められるからである。
条文の並び順に優劣の意味はなく、施工条件や現場の状況で選んでよいという整理になります。
選択の理由を説明する必要も、原則からの逸脱として扱われることもありません。
注入配管はどこまで延ばすべきか

なぜそこまで延ばす必要があるのか。理由が示されています。
答 タンクの上部から油を落下させる場合は、油の飛散により一時的に蒸気発生を増大し、危険物の種類によつては、静電気による着火の可能性もなしとしないからである。
底部附近まで延長するのが防災上有効です。
液面の下で吐出させれば飛散も帯電も抑えられる、という理屈です。
なお、その構造についての規制は存しないとされていますが、防災上適切な指導を加えられたいと付け加えられています。基準がないから自由という読み方はできません。
地下鉄等との水平距離はどこから測るか

地下鉄の構築物は箱状で厚みがあり、内部がダクトになっている部分もあります。
昭和40年10月21日付けの自消丙予発第164号には、4つの候補が図とともに示されました。
問 別図の例に示す場合、地下タンク外側と
(A) 地下構築物の外側/(B) 地下構築物の内側/(C) 地下構築物中A及びBの部分はダクトになつていて地下鉄に使用する部分とは鉄筋コンクリート造の壁により完全に区画されているが、この場合/(D) 同上の場合の外側
のいずれを距離と考えてよいか。
答 (A)によられたい。
(A) 地下構築物の外側/(B) 地下構築物の内側/(C) 地下構築物中A及びBの部分はダクトになつていて地下鉄に使用する部分とは鉄筋コンクリート造の壁により完全に区画されているが、この場合/(D) 同上の場合の外側
のいずれを距離と考えてよいか。
答 (A)によられたい。
地下構築物の外側までを距離とします。
4つの候補のうち、タンクにいちばん近い点を起点とする取り方です。
ダクト部分が鉄筋コンクリート造の壁で完全に区画されていても、その内側まで距離に算入することは認められませんでした。区画の有無ではなく、構築物の外郭で線を引くという判断です。
品名を異にする石油類を1つの施設で貯蔵できるか

許可の対象になるのかが照会されました。
問 品名を異にする石油類を、間仕切りにより完全に区分された室に貯蔵する地下タンク貯蔵所又は移動タンク貯蔵所は、許可して差し支えないか。
答 お見込みのとおり。
答 お見込みのとおり。
条件は「完全に区分された室」であることです。
回答の対象には移動タンク貯蔵所も含まれており、地下タンク貯蔵所に限った話ではありません。
逆にいえば、区分が不完全で液が行き来しうる構造では、この整理には乗れないことになります。
取扱量が少なければ一般取扱所にならないか

渦巻ポンプで汲み上げ、流量計を通し、ピストルノズルにより小罎に詰めて搬出するという取扱いで、1日の取扱量は指定数量以下の490リットルとされていました。
照会側は、タンクの大きさ等から判断して指定数量を超えることが容易に想像され、一般取扱所として規制したいと述べています。
答 設問の危険物施設において、1日に指定数量以上の危険物の取扱いが行なわれない場合は、一般取扱所とならず、地下タンク貯蔵所としての規制を受けるにとどまる。なお、設問の施設は、危険物の取扱いの実態から判断して、一般取扱所の基準に準じた位置、構造及び設備とするよう行政指導することが望ましい。
区分を決めるのは1日の取扱量であって、タンクの大きさや将来の見込みではないという整理です。
ただし回答はそこで終わっていません。取扱いの実態から判断して、一般取扱所の基準に準じた位置、構造及び設備とするよう行政指導することが望ましいと続けています。
法令上の区分と、実務上求められる水準は別だと示した例といえます。
よくある質問
Q. 注入配管の構造そのものに規制はありますか?
その構造についての規制は存しないとされています。ただし回答では、防災上適切な指導を加えられたいと付け加えられています。基準がないことと、どのような構造でもよいことは同じではありません。
Q. 品名を異にする石油類の貯蔵は移動タンク貯蔵所でも認められますか?
認められます。照会は地下タンク貯蔵所と移動タンク貯蔵所の両方を挙げており、回答は「お見込みのとおり」となっています。いずれの場合も、間仕切りにより完全に区分された室であることが条件です。
Q. 指定数量以上の取扱いがなければ何も求められないのですか?
一般取扱所には該当しませんが、行政指導の対象にはなります。昭和39年10月1日付け自消丙予発第110号は、危険物の取扱いの実態から判断して、一般取扱所の基準に準じた位置、構造及び設備とするよう行政指導することが望ましいとしています。
Q. アルコール貯蔵タンクに通気管は必要ですか?
昭和37年10月19日付け自消丙予発第108号が扱っています。アルコール類を貯蔵する屋内タンクについても、規則第20条第2項の無弁通気管を設けなければならないとされています。ただし、同条同項第1号及び第2号に適合した同条第1項第2号の大気弁付通気管を設置することは差し支えないと解するとされています。
まとめ
- タンクの外面保護は規則第24条第1号および第2号のいずれの工法をとってもよく、その理由は外面保護の効力が両者同等と認められるからです
- 注入のための配管は、タンク内部を底部附近まで延長しそこに開口部を有することが防災上有効とされています
- その理由は、上部から油を落下させると飛散により一時的に蒸気発生が増大し、危険物の種類によっては静電気による着火の可能性もなしとしないためです
- 注入配管の構造についての規制は存しないものの、防災上適切な指導を加えられたいとされています
- タンク室を設置しない場合の地下タンクと地下鉄等との水平距離は、地下構築物の外側までを距離とするとされています
- ダクト部分が鉄筋コンクリート造の壁で完全に区画されていても、その内側までを距離に算入することは認められていません
- 品名を異にする石油類を間仕切りにより完全に区分された室に貯蔵する地下タンク貯蔵所又は移動タンク貯蔵所は、許可して差し支えないとされています
- 1日に指定数量以上の危険物の取扱いが行われない場合は一般取扱所とならず、地下タンク貯蔵所としての規制にとどまりますが、一般取扱所の基準に準じた行政指導が望ましいとされています
区画されてても外側から測るんですね。うちの計画、内側で引いてました。
そこは早めに直したほうがいい箇所です。配置の見直しは後になるほど効きます。㈱防災屋でも計画段階からご相談を承っています。
参考・出典
- タンクの外面保護方法について(昭和37年4月6日 自消丙予発第44号 予防課長から山形県民生部長あて回答)
- 地下タンクの注入口の位置について(昭和37年4月6日 自消丙予発第44号 予防課長から山形県民生部長あて回答)
- タンク室を設置しない場合の地下タンクと地下鉄等との水平距離について(昭和40年10月21日 自消丙予発第164号 予防課長から大阪府民生部長あて回答)
- 完全に区分された室で品名を異にする石油類の貯蔵について
- 灯油の地下タンク貯蔵所について(昭和39年10月1日 自消丙予発第110号 予防課長から埼玉県総務部長あて回答)
- アルコール貯蔵タンクには通気管を設けなければならないか(昭和37年10月19日 自消丙予発第108号 予防課長から会津若松市消防長あて回答)
- 危険物の規制に関する政令第13条第1号イ・第1号ロ/危険物の規制に関する規則第24条・第20条
- 消防実務六法 質疑応答編
※本記事は公表されている法令および通達に基づく一般的な解説です。個別の施設についての適用は、所轄の消防機関にご確認ください。




