BLOG

地下タンク室の乾燥砂に人工軽量砂を使えるか|比重と溶出試験で示された前例

地下タンク室の乾燥砂に人工軽量砂を使えるかを解説するアイキャッチ画像

危険物の規制に関する政令第13条第2号は、地下タンク室に用いる砂を「乾燥砂」と定めています。
条文はそれだけで、産地も種類も書かれていません。
では川砂でなければならないのか、人工的に作った軽い砂を使ってもよいのか。
この問いには試験成績で答えた前例があります

タンク室の埋め戻しに人工軽量砂を使いたいのですが、条文には乾燥砂としかありません。

認められた前例が2件あります。
どちらも試験成績を添えて照会し、さしつかえないと回答されています。
何を測って出したかが参考になります。

どのような試験まで求められたのでしょうか。

比重や吸水といった物性に加えて、化学分析、溶出試験、そして危険物そのものに漬ける浸漬試験まで示されています。

この記事の結論
  • 人工軽量砂を政令第13条第2号の乾燥砂とみなすことについて、2件の照会でいずれも「さしつかえない」と回答されています
  • 照会された人工軽量砂は、良質の膨脹性頁岩を砂利から砂までの各サイズに粉砕し、高温で焼成して冷却したものです
  • 比重および吸水は細骨材と粗骨材に分けて示され、化学分析では無水硫酸、塩化物、有機不純物のいずれもなしとされています
  • 後年の照会では絶乾比重や吸水率、実績率、破砕値、粗粒率といった物性値が数値で示されています
  • 溶出試験と、エチルアルコール、シンナー、ガソリンによる浸漬試験の結果もあわせて示されています

人工軽量砂とはどのように作られるものか

頁岩を粉砕して高温で焼成し人工的に砂にする工程のイメージ
昭和44年1月6日付けの消防予第1号は、政令第13条第2号でタンク室に乾燥砂を用いることとされているところ、人工軽量砂を乾燥砂とみなして支障ないかという照会を扱っています。
別添資料には製法が記されています。
設問の人工軽量砂は、良質の膨脹性頁岩を、砂利から砂までの各サイズに粉砕して、高温で焼成し、これを冷却して人工的に砂にしたものである
原料は天然の頁岩で、それを粉砕し焼成して軽量化したものです。
天然の岩石を焼いて作った砂です
化学的に合成した材料ではなく、粒度を人工的に整えた砂だという位置づけになります。この製法の説明が、判断の出発点として資料の冒頭に置かれています。

天然の岩石を焼いて作った砂なのですね。

製法まで示されていました。
使う材料の資料を、取り寄せてください。

比重および吸水はどの程度か

細骨材と粗骨材の粒径を並べて比較したイメージ
資料は性状として、まず比重および吸水を細骨材と粗骨材に分けて示しています。
細骨材 粒径5mm以下/単位容積重量1.00ton/m³/見掛比重1.62/吸水10%
粗骨材 粒径5〜20mm/単位容積重量0.75ton/m³/見掛比重1.25/吸水8%
粒径が大きい粗骨材のほうが単位容積重量も見掛比重も小さくなっています。
粒径ごとに分けて示されています
吸水は細骨材で10パーセント、粗骨材で8パーセントです。軽量であることの裏返しとして吸水が大きい点が数値で表れています。
埋め戻し材として使う以上、この吸水の性質は押さえておく必要があります。

粒径ごとに分けて示されているのですね。

数値で並べられています。
納入する材料の規格を、確かめておきましょう。

化学分析と化学的有害物の有無

試料の化学分析と成分割合を示したイメージ
資料は続けて化学分析の結果を並べています。
SiO₂ 66.7%/Al₂O₃ 16〜18%/Fe₂O₃ 4.6〜5.6%/CaO 2.0〜4.0%/MgO 1.6〜2.8%/Na₂O 1.5〜1.7%/K₂O 1.6〜2.8%/Igloss 0.2〜0.3%
さらに化学的有害物についても項目を立てて示されています。
化学的有害物 無水硫酸 なし/塩化物 なし/有機不純物 なし
有害物はいずれもなしとされました
成分割合を並べるだけでなく、埋設環境で問題になりうる無水硫酸、塩化物、有機不純物の3項目を名指しで「なし」と示している点が要点です。
タンクの外面や周囲の構造物に対する影響を懸念する審査に、正面から答える構成になっています。

有害物がないことも、名指しで示されているのですね。

埋設の環境で問題になる項目です。
分析の結果を、資料に添えてください。

後年の照会で示された物性値

容器に詰めた砂の単位容積重量を秤で量るイメージ
昭和61年11月20日付けの消防危第109号は、同じ論点をより詳細な数値で扱っています。
測定方法として日本工業規格の番号が併記されている点が特徴です。
絶乾比重1.44/表乾比重1.64/吸水率13.90%(いずれもJIS A1134)
単位容積重量 絶乾状態0.932kg/ℓ/実績率64.7%(JIS A1104)/モルタル中の実績率55.7%(JIS A5002)
破砕値52.1%(粒径1.2mm〜0.6mmの絶乾試料を60φ×90容器で30t荷重かけ、−0.3mmの発生率を測定)/粗粒率2.88
測定方法まで規格番号で示されています
数値だけを並べるのではなく、どの規格のどの方法で測ったかを添える形です。
破砕値については試験条件が括弧書きで具体的に記されており、再現できる形で提示されています。
粒度分布は日本工業規格A1102により測定され、市販骨材との粒度比較も図で示されています。

測定の方法まで規格番号で示されているのですね。

どう測ったかも問われます。
試験の依頼書に、方法まで書いておきましょう。

溶出試験と浸漬試験の結果

砂を3種類の液体に浸して異常の有無を確認する試験のイメージ
同じ照会では、物性に加えて溶出試験と浸漬試験の結果が示されています。
溶出試験 pH 7.6/有機不純物 標準色液の色よりも薄い/SO₃ 0.62mg/g/Cl⁻ 0.06/有機物等(強熱減量) 0.05
浸漬試験 エチルアルコール 異常なし/シンナー 異常なし/ガソリン 異常なし
答 さしつかえない
注目したいのは浸漬試験の3つの液体です。
エチルアルコール、シンナー、ガソリンという、実際にタンクに入りうる危険物そのもので試しています。
危険物そのものに漬けて確かめています
万一タンクから漏えいしたとき、埋め戻し材が変質しないかを確認する趣旨と読めます。
条文に書かれていない材料を使いたい場面で、何をどこまで示せば通るのかを教えてくれる前例です。

実際の危険物に漬けて確かめているのですね。

漏えいしたときを想定しています。
条文にない材料は、この水準で資料をそろえてください。

よくある質問

Q. 地下貯蔵タンクの量を自動的に覚知する装置として液面計は認められますか?
昭和43年7月30日付け消防予第178号が扱っています。石油地下タンク全密閉自動液面計について、タンク内部に設けられたフロートの動きを量目標示機にチエンで連絡し、タンク内部の危険物の量を自動的に示すことのできる機構のものであるとして照会されました。回答は、政令第13条第8号の2に規定する設備のうち「危険物の量を自動的に覚知することができる装置」に該当するものと認めてさしつかえないとなっています。
Q. 共同溝や洞道は政令にいう地下トンネルに該当しますか?
昭和43年10月25日付け消防予第239号が扱っています。主要道路下に設けられる電力ケーブル、電電ケーブル、ガス管、下水管等を共同形式または単独で収納する地下工作物について、回答は「設問の地下工作物は、政令第13条第1号イに定める地下トンネルに該当する」となっています。これらの地下工作物は共同溝、関連洞道、単独洞道と称されるものです。
Q. 化学的有害物として確認された項目は何ですか?
昭和44年1月6日付け消防予第1号の別添資料では、無水硫酸、塩化物、有機不純物の3項目がいずれも「なし」と示されています。昭和61年11月20日付け消防危第109号の溶出試験では、有機不純物が標準色液の色よりも薄いこと、SO₃が0.62ミリグラム毎グラム、塩化物イオンが0.06、有機物等が0.05という結果が示されています。
Q. 粒度はどのように示されていますか?
昭和61年11月20日付け消防危第109号では、粒度分布が日本工業規格A1102により測定され、ふるい目ごとの通過量が百分率で示されています。あわせて市販骨材との粒度比較が図で示されており、川砂や市販人工軽量骨材、日本工業規格A5002の範囲と重ねて比較できる形になっています。

まとめ

  • 政令第13条第2号は地下タンク室に乾燥砂を用いることとしていますが、砂の種類までは定めていません
  • 人工軽量砂を乾燥砂とみなしてよいかという照会は2件あり、いずれも「さしつかえない」と回答されています
  • 照会された人工軽量砂は、良質の膨脹性頁岩を粉砕し高温で焼成して冷却したものです
  • 比重および吸水は、細骨材が粒径5ミリメートル以下で吸水10パーセント、粗骨材が粒径5から20ミリメートルで吸水8パーセントと示されています
  • 化学分析ではSiO₂が66.7パーセントなどの成分割合が並び、化学的有害物として無水硫酸、塩化物、有機不純物のいずれもなしとされています
  • 後年の照会では絶乾比重1.44、吸水率13.90パーセント、実績率64.7パーセント、破砕値52.1パーセント、粗粒率2.88といった値が測定方法とともに示されています
  • 溶出試験ではpHが7.6、浸漬試験ではエチルアルコール、シンナー、ガソリンのいずれも異常なしとされています
  • 条文に書かれていない材料を使う場面では、物性、化学分析、溶出、浸漬まで揃えて示した前例が参考になります

ガソリンに漬ける試験まで出しているのですね。
すっきりしました。

条文にない材料を使うときの資料の作り方として、そのまま手本になります。
㈱防災屋でも資料の組み立てからご相談を承っています。

参考・出典

  • 地下タンク貯蔵所における人工軽量砂の使用について(昭和44年1月6日 消防予第1号 予防課長から埼玉県総務部長あて回答)
  • 地下タンク室に充填する人工軽量砂の取扱いについて(昭和61年11月20日 消防危第109号 危険物規制課長から東京都あて回答)〔昭和62年3月3日 消防危第17号「6」〕
  • 地下貯蔵タンクの危険物の量を自動的に覚知する装置について(昭和43年7月30日 消防予第178号 予防課長から福岡県民生部長あて回答)
  • 地下貯蔵タンクと共同溝の関係について(昭和43年10月25日 消防予第239号 予防課長から東京消防庁消防総監あて回答)
  • 危険物の規制に関する政令第13条第2号・第13条第1号イ・第13条第8号の2
  • 消防実務六法 質疑応答編

※本記事は公表されている法令および通達に基づく一般的な解説です。個別の施設についての適用は、所轄の消防機関にご確認ください。

監修・編集者
青木 俊輔
青木 俊輔

㈱防災屋 代表取締役/消防設備士

平成元年生まれ、三重県鈴鹿市出身。祖父が創業した消防設備業者で10年間勤務した後、独立・起業。現在は青木マーケ㈱、㈱防災屋、(一社)予防団の運営に携わる。Amazonベストセラー1位『改訂版 消防設備士0類』著者。月刊誌「電気と工事(オーム社)」でコラム連載中!

本記事の消防法令、消防用設備等の技術情報および記述内容を監修・編集しています。

詳しい経歴・保有資格を見る
学歴
  • 鈴鹿工業高等専門学校 材料工学科 卒
  • 静岡大学工学部物質工学科 材料科学コース 卒
  • 静岡大学大学院工学研究科物質工学専攻 修了
保有資格
  • 消防設備士:甲種特類、甲種1~5類、乙種6・7類
  • 危険物取扱者:甲種、乙種1~6類、丙種
  • 防火対象物点検資格者/防災管理点検資格者/甲種防火管理者
  • 第二種電気工事士/工事担任者(総合通信)/第三種電気主任技術者
  • 自家用発電設備専門技術者/特種電気工事資格者/職長・安全衛生責任者
  • eco検定/民泊適正管理主任者/フォークリフト運転技能講習 修了

趣味:ギター、バスケットボール(全国高専大会優勝・キャプテン)

主な活動
BLOGカテゴリ
最新の記事
防火管理者代行サービス
無料1分概算見積
地下タンク室の乾燥砂に人工軽量砂を使えるかを解説するアイキャッチ画像
危険物の規制に関する政令第13条第2号は、地下タンク室に用いる砂を「乾燥砂」と定めています。 条文はそれだけで、産地も種類も書かれていません。 では川砂でなければならないのか、人工的に作った軽い砂を使ってもよいのか。 こ...
リクルート 採用情報はこちら →
採用ページ 一緒に働く仲間を募集中 → フランチャイズ (株)防災屋と一緒に開業する → 協力業者 協力業者さん募集中 →