地下トンネルとの水平距離が足りない敷地でも、深さ方向に余裕があることがあります。
真上にあたる位置でも、垂直距離が十分なら地下タンクを置けるのか。
置けるとして、タンク室は要るのか要らないのか。
この論点は3つの組み合わせで整理されています。
敷地の真下にケーブルのとう道が通っています。水平距離では10メートル以内ですが、深さは26メートルほどあります。
まさに同じ形の照会があります。垂直距離とタンク室の有無を組み合わせた3つの場合について、それぞれ可否が示されました。
すでにタンクがあって、あとからとう道が掘られた場合はどうなりますか。
その場合の救済も示されています。ただし条件が3つあり、貯蔵している危険物の性状まで問われます。
この記事の結論
- 公道地盤面下に設置されるケーブル用とう道は、政令第13条第1号イに規定する地下トンネルに該当します
- 地下貯蔵タンクが地下トンネルから垂直距離で10メートルを超え、タンク室としない場合はさしつかえないとされています
- 垂直距離で10メートル以内の場合にタンク室としたときは、認められないとされています
- 垂直距離で10メートルを超える場合にタンク室としたときは、認められます
- とう道が設置される時点で既に設置されていたタンクについては、3つの条件を満たす場合に限り政令第23条を適用してさしつかえないとされています
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目次
ケーブル用とう道は地下トンネルに該当するか

照会に添えられた標準構造の図には、寸法が具体的に記されています。
とう道標準構造 内径2,050mm、内側の有効高さ2,950mm、中央の通路幅1,000mm。両側にケーブル支持金物を配し、通信ケーブルを収める。外周は鋼製セグメントとコンクリート打300mm
人が立って歩ける構造です。
中央に1メートルの通路があり、有効高さは3メートル近くあります。
「人が立ち入る可能性のあるずい道」という運用基準に、寸法の面から明確に当てはまる形です。
垂直距離が10メートルを超えタンク室としない場合

図には、地下タンクが地表から2メートルから3メートルの位置にあり、とう道までが約26メートルという例が示されています。 照会は3つの場合を挙げました。
(1) 地下貯蔵タンクが地下トンネルから垂直距離で10mを超える場合で、タンク室としない場合
答1 設問1の(1)についてはさしつかえない。
答1 設問1の(1)についてはさしつかえない。
政令第13条第1号イは水平距離を定めていますが、真下にあたる位置については垂直距離で十分な離隔がとれていれば足りるという整理になります。
このとき政令第23条を適用して、タンク室に設置しないことができます。
垂直距離が10メートル以内でタンク室とした場合

(2) 地下貯蔵タンクが地下トンネルから垂直距離で、10m以内の場合で、タンク室とした場合
答2 設問1の(2)については認められない。
答2 設問1の(2)については認められない。
タンク室では距離不足を補えません。
なお3つ目の場合、すなわち垂直距離で10メートルを超える場合にタンク室としたときは認められています。
つまり可否を決めているのは垂直距離であって、タンク室の有無ではないということになります。
既設のタンクに令第23条を適用できる3条件

回答は、この順序の場合について救済を示しました。
なお、ケーブル用とう道が設置される時点で既に設置されている地下貯蔵タンクについて、次の条件を満たす場合に限り政令第13条第1号に定めるタンク室の設置に関し政令第23条を適用してさしつかえない。
(1) 地下貯蔵タンクとケーブル用とう道との垂直距離が10メートル以上であること
(2) ケーブル用とう道は地下水面より10メートル以上深い位置に設置されること
(3) 地下貯蔵タンクに貯蔵されている危険物は比重が1.0未満、かつ、非水溶性であること
(1) 地下貯蔵タンクとケーブル用とう道との垂直距離が10メートル以上であること
(2) ケーブル用とう道は地下水面より10メートル以上深い位置に設置されること
(3) 地下貯蔵タンクに貯蔵されている危険物は比重が1.0未満、かつ、非水溶性であること
比重と水溶性まで条件になっています。
比重1.0未満で非水溶性という条件は、万一漏えいしても危険物が水に浮き、地下水に溶け込まないことを意味します。
とう道が地下水面より10メートル以上深いという条件と組み合わせると、漏えいした危険物がとう道まで届きにくいという構図が見えてきます。
公共性の有無は判断に含まれるか

管下の病院に設置している地下タンク貯蔵所の直近に、地下トンネルと考えられる地下点検ピットが存在するという事案です。
照会側は、人の出入する可能性のあるずい道はすべて地下トンネルに該当するという解釈に加えて、その地下トンネルの公共性の有無、すなわち公共被害の発生のおそれについても検討する必要があるのかと尋ねました。
答 危険物の規制に関する政令第13条第1号イに規定する「地下トンネル」に該当するか否かの判断には、公共性の有無は含まないものと解する。
病院内の付属施設であれば公共性がないと考えてよいか、という2つ目の問いも併せて否定された形です。
判断はあくまで、人が立ち入る可能性のあるずい道かどうかという構造の性質で行うことになります。
所有者が誰か、公衆が使うかどうかは考慮しない、というはっきりした線引きです。
よくある質問
Q. 垂直距離が10メートルを超える場合にタンク室とすることはできますか?
できます。照会の3つ目の場合、すなわち地下貯蔵タンクが地下トンネルから垂直距離で10メートルを超える場合でタンク室とした場合について、回答は認められるとしています。可否を決めているのは垂直距離であり、タンク室の有無ではありません。
Q. 病院内の地下点検ピットも地下トンネルになりますか?
公共性の有無は判断に含まれないとされていますので、病院内の付属施設であることを理由に除外することはできません。判断は人が立ち入る可能性のあるずい道かどうかで行います。昭和57年3月30日付け消防危第40号がこの点を明示しています。
Q. ケーブル用とう道の大きさはどの程度ですか?
照会に添えられた標準構造図では、内径2,050ミリメートル、内側の有効高さ2,950ミリメートル、中央の通路幅1,000ミリメートルと示されています。両側にケーブル支持金物を配して通信ケーブルを収める構造で、外周は鋼製セグメントとコンクリート打です。図には作業員が立っている姿が描かれています。
Q. 既設タンクの救済で貯蔵物に条件があるのはなぜですか?
条件は比重が1.0未満かつ非水溶性であることです。比重1.0未満なら水に浮き、非水溶性なら地下水に溶け込みません。あわせてケーブル用とう道が地下水面より10メートル以上深い位置に設置されることも条件とされており、万一の漏えい時に危険物がとう道まで到達しにくい構図が組まれています。
まとめ
- 公道地盤面下に設置されるケーブル用とう道は、政令第13条第1号イに規定する地下トンネルに該当します
- とう道の標準構造は内径2,050ミリメートル、有効高さ2,950ミリメートル、通路幅1,000ミリメートルで、人が立って歩ける大きさです
- 地下貯蔵タンクが地下トンネルから垂直距離で10メートルを超え、タンク室としない場合はさしつかえないとされています
- 垂直距離で10メートル以内の場合にタンク室としたときは認められません
- 垂直距離で10メートルを超える場合にタンク室としたときは認められます
- 可否を決めているのは垂直距離であり、タンク室の有無ではありません
- とう道が設置される時点で既に設置されていたタンクは、垂直距離10メートル以上、とう道が地下水面より10メートル以上深いこと、貯蔵物が比重1.0未満かつ非水溶性であることの3条件を満たす場合に限り、政令第23条を適用してさしつかえないとされています
- 地下トンネルに該当するか否かの判断に、公共性の有無は含まれません
タンク室で補えないというのが意外でした。距離が先なんですね。
まず垂直距離を測ってから設計に入るのが確実です。㈱防災屋でも埋設物の調査からご相談を承っています。
参考・出典
- ケーブル用とう道の地下トンネル該当の当否及び地下トンネル直上部への地下貯蔵タンクの設置について(昭和56年10月30日 消防危第143号 消防庁危険物規制課長から愛知県あて回答)〔昭和57年3月23日 消防危第37号「3」〕
- 危険物規制事務上の疑義について(昭和57年3月30日 消防危第40号 消防庁危険物規制課長から滋賀県あて回答)〔昭和58年3月9日 消防危第19号「6」〕
- 危険物の規制に関する政令第13条第1号イ・第23条
- 消防実務六法 質疑応答編
※本記事は公表されている法令および通達に基づく一般的な解説です。個別の施設についての適用は、所轄の消防機関にご確認ください。




