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地下タンクの外面保護をウレタン樹脂で行えるか|塗覆装の厚さが2ミリメートル以上とされた事例

地下タンクの外面保護をウレタン樹脂で行う方法を解説するアイキャッチ画像

地下貯蔵タンクの外面保護について、危険物の規制に関する規則第24条は具体的な方法を定めています。
そこに書かれていない工法を使いたいとき、どこまで資料を揃えれば通るのか。
昭和57年の照会は、ウレタン樹脂とポリエステルクロスによる塗覆装について、物性試験表を添えて申し出ました。
結論は認められましたが、厚さの数値が引き上げられています

規則に書いてある工法以外でタンクの外面保護をしたいんですが、何を用意すればいいんでしょうか。

実際に通った前例があります。塗装材と覆装材それぞれの物性を試験表で示し、工法の手順と厚さまで書いて申し出ています。

そのまま認められたんですか。

そこが読みどころです。工法は認められましたが、申し出た厚さでは足りないとして数値が上乗せされました。

この記事の結論
  • 規則第24条に規定する方法に代えて、ウレタン樹脂とポリエステルクロスによる塗覆装を行う申し出がなされました
  • 申し出た工法は、タンク外面にウレタン樹脂を下塗りし、ポリエステルクロスを貼布し、更にウレタン樹脂を上塗りするものです
  • 申し出時点の塗覆装の厚さは1.6ミリメートル以上とされていました
  • 回答は、塗覆装の厚みを2ミリメートル以上とすればさしつかえないというものでした
  • 照会には塗装材と覆装材それぞれの物性試験表が添えられており、耐水性や耐油性まで示されています

規則第24条に代えて申し出られた工法

タンク外面にウレタン樹脂を下塗りしクロスを貼布し更に上塗りした三層断面のイメージ
昭和57年9月8日付けの消防危第89号は、危険物の規制に関する規則第24条に規定する方法に代えて別の方法で外面保護を行いたいという申し出を扱っています。
申し出の内容は3つに分けて記されています。
1 塗装材は、資料1に示す物性を有するウレタン樹脂を使用する
2 覆装材は、資料2に示すポリエステルクロスを使用する
3 塗覆装の方法は、タンク外面にウレタン樹脂を下塗りし、ポリエステルクロスを貼布し、更にウレタン樹脂を資料3に示すように塗覆装の厚さが1.6ミリメートル以上に上塗りする
構成は3層です。
樹脂で布を挟む三層構造です
下塗りの樹脂、その上に貼るポリエステルクロス、さらに上塗りの樹脂という順で、布を樹脂で挟み込む形になります。
ウレタン樹脂の成分は、ビニール変成ウレタン樹脂とウレタンプレポリマーと硬化剤とされています。

塗装材の物性試験で示された数値

試験機で塗覆装の試験片に荷重をかけて強度を測るイメージ
資料1として添えられた物性試験表には、試験項目、試験方法、試験結果が並んでいます。
試験方法として日本工業規格の番号が併記されている点が特徴です。
圧縮強度 JIS K6911 1800kg/c㎡
曲げ強度 JIS K6911 強度出ず(破壊せず)
引張強度 JIS A6006 73.1kg/c㎡
耐衝撃性 JIS K5400 300g—30cm 異状なし
伸び率 JIS A6006 3.0%
屈曲性 JIS A6006 異状なし
吸水率 JIS K6911 +0.07
シャルピー衝撃試験 JIS K6911 5.4
目を引くのは曲げ強度の欄です。
曲げ強度は破壊せずと記されました
数値が出ないほど粘るという意味で、埋設後にタンクがわずかに変形しても被膜が割れにくいことを示す結果といえます。
耐衝撃性についても、300グラムの重錘を30センチメートルから落として異状なしとされています。

水と塩水と油に対する試験

塗覆装の試験片を複数の液体に浸けて変化の有無を確認するイメージ
地下に埋めるものですから、水や土壌に含まれる成分に長く触れます。
また万一の漏えいでは危険物そのものに触れます。
物性試験表の後半は、その両方に応えています。
耐水性 JIS K5400 6ヶ月間 亀裂・しわ・ふくれを認めず
耐塩水性 JIS K5400 6ヶ月間 亀裂・しわ・ふくれを認めず
耐油性 ガソリン浸漬7日間 異状なし/軽油浸漬7日間 異状なし
耐酸性 10%塩酸浸漬7日間 +1.0
耐アルカリ性 10%苛性ソーダ浸漬7日間 +0.5
期間の取り方に差があります。
水と塩水は6ヶ月間で見ています
埋設環境で常時触れる水と塩水は6ヶ月間、危険物や酸アルカリは7日間の浸漬です。
接触の頻度と時間に応じて試験期間を変えている構成で、資料の作り方として参考になります。

覆装材ポリエステルクロスの物性

ポリエステルクロスの縦糸と横糸が交差する織り目を拡大したイメージ
資料2は、樹脂で挟み込む布そのものの仕様です。
布は塗膜の割れを抑える補強材にあたるため、その強さと密度が問われます。
(1) 成分 ポリエステルフイラメント糸+塩化ビニール加工
(2) 重量 170gr/㎡
(3) 密度 19×20本/inch
(4) 引張強力(JIS L—1096A) 78×80kg/3cm
(5) 伸度 34×36mm
(6) 引裂強力(JIS L—1096A—1) 19×25kg
(7) 撚糸 径0.6粍 平織
数値が縦糸と横糸の2方向で示されている点に注意が要ります。
縦横の両方向で示されています
密度は1インチあたり19本と20本、引張強力は3センチメートルあたり78キログラムと80キログラムです。
織り方は平織で、糸の径は0.6ミリメートルとされています。

回答で厚さが引き上げられた

鋼板の上の塗覆装の厚さを測る寸法線と厚さを増やす方向を示したイメージ
ここまでの資料を揃えたうえでの回答です。
答 塗覆装の厚みを2ミリメートル以上とすれば、さしつかえない
申し出た厚さは1.6ミリメートル以上でした。
申し出の厚さでは足りませんでした
工法そのものや材料は否定されておらず、変わったのは厚さの数値だけです。
物性が十分でも、被膜の厚さという別の要素で上乗せがかかった形になります。
条文にない工法を申し出るときは、認められる場合でも数値が修正されうると見込んでおく必要があるといえます。

よくある質問

Q. ウレタン樹脂の成分は何ですか?
資料3の図には、塗装材のウレタン樹脂の成分として、ビニール変成ウレタン樹脂とウレタンプレポリマーと硬化剤が示されています。この樹脂でポリエステルクロスを挟み込む三層の構成になります。
Q. 耐水性と耐油性で試験期間が違うのはなぜですか?
物性試験表では、耐水性と耐塩水性が6ヶ月間、耐油性のガソリン浸漬と軽油浸漬、耐酸性、耐アルカリ性が7日間とされています。埋設環境で常時触れる水や塩水と、万一のときに触れる危険物や薬品とで、接触の頻度と時間が異なることに応じた構成と読めます。
Q. 覆装材の数値が2つ並んでいるのはなぜですか?
織物の縦糸方向と横糸方向で値が異なるためです。密度は1インチあたり19本と20本、引張強力は3センチメートルあたり78キログラムと80キログラム、引裂強力は19キログラムと25キログラム、伸度は34ミリメートルと36ミリメートルというように、いずれも2方向で示されています。
Q. 規則に定めのない工法はどうすれば認められますか?
この事例では、政令第23条を適用して認めてさしつかえないかという形で申し出がなされ、塗装材の物性試験表、覆装材の物性、工法の手順と厚さを示した図が添えられました。結果として工法は認められ、厚さの数値のみ2ミリメートル以上に修正されています。材料の性能と施工の手順を数値で示すことが出発点になります。

まとめ

  • 規則第24条に規定する方法に代えて、ウレタン樹脂とポリエステルクロスによる塗覆装を行う申し出がなされました
  • 工法はタンク外面にウレタン樹脂を下塗りし、ポリエステルクロスを貼布し、更にウレタン樹脂を上塗りする三層構成です
  • 塗装材の物性試験では、圧縮強度1800キログラム毎平方センチメートル、引張強度73.1キログラム毎平方センチメートルなどが示されています
  • 曲げ強度は強度出ず、すなわち破壊せずと記されています
  • 耐水性と耐塩水性は6ヶ月間で亀裂、しわ、ふくれを認めず、耐油性はガソリンと軽油の7日間浸漬で異状なしとされています
  • 覆装材のポリエステルクロスは重量170グラム毎平方メートル、密度1インチあたり19本と20本、平織で糸の径は0.6ミリメートルです
  • 申し出た塗覆装の厚さは1.6ミリメートル以上でした
  • 回答は、塗覆装の厚みを2ミリメートル以上とすればさしつかえないというもので、厚さの数値のみが引き上げられました

材料はそのままで厚さだけ上乗せされたんですね。申し出の数値がそのまま通るとは限らないと。

余裕をみた数値で申し出ておくと手戻りが減ります。㈱防災屋でも資料の作り込みからご相談を承っています。

参考・出典

  • 地下貯蔵タンクの外面保護の方法について(昭和57年9月8日 消防危第89号 消防庁危険物規制課長から東京都あて回答)〔昭和58年3月9日 消防危第19号「17」〕
  • 危険物の規制に関する規則第24条/危険物の規制に関する政令第23条
  • 消防実務六法 質疑応答編

※本記事は公表されている法令および通達に基づく一般的な解説です。個別の施設についての適用は、所轄の消防機関にご確認ください。

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