危険物の規制に関する政令第13条第1号イは、タンク室を設置しない地下タンクについて、地下鉄、地下トンネル又は地下街との水平距離を定めています。
このうち地下トンネルという言葉が曲者です。
道路の下には共同溝も、地下横断歩道も、太い下水管も、ケーブル用のマンホールも埋まっています。
どこまでが地下トンネルなのか。判断の軸は4件の質疑応答で示されています。
敷地の前の道路の下に、下水の管とケーブルのマンホールがあります。
どちらも地下トンネルの扱いになるのでしょうか。
結論が分かれます。
下水管は該当し、ケーブル用マンホールは該当しないと回答されています。
分かれ目がはっきり示されているので、そこを押さえてください。
分かれ目は大きさでしょうか。
寸法そのものではなく、人が立ち入る可能性のあるずい道かどうかです。
運用として明記されています。
- 共同溝、関連洞道、単独洞道と称される地下工作物は、政令第13条第1号イに定める地下トンネルに該当します
- 主要道路交差点下に構築されている地下横断歩道も、地下トンネルと解してさしつかえないとされています
- 公道地盤面下に設置される公共下水専用管も、地下トンネルに該当するとされています
- 判断の軸は、人が立ち入る可能性のあるずい道かどうかです
- ケーブル用マンホールは、ケーブルの結線や点検のため2名から3名の者が出入りするものであっても該当しないとされています
▼
目次
共同溝や洞道は地下トンネルに該当するか

これらの地下工作物は共同溝、関連洞道、単独洞道と称されるものです。
共同溝も洞道も該当します。
照会に添えられた断面図では、単独洞道で道路幅員8.100メートル、共同溝で地表からの土被りが2メートル以上といった規模が示されています。
いずれも人が中を通れる大きさの構造物です。
ケーブルや管を収める工作物も、該当するのですね。
工作物の性格で判断されます。
道路の下の埋設物を、管理者に確認してください。
地下横断歩道は地下トンネルに該当するか

人が通行するための施設であり、ケーブルや管を収める工作物とは性格が異なります。
答 さしつかえない。
人が常時通行する施設であることを考えれば、むしろ最も典型的な地下トンネルといえます。
共同溝のような設備収納用の工作物と、歩行者用の通路の両方が同じ枠に入る点が、この規定の広さを示しています。
人が通る施設は、当然に該当するのですね。
典型的な例です。
周辺の地下構造物を、図面で把握しておきましょう。
公共下水専用管は地下トンネルに該当するか

照会には管の仕様が具体的に記されています。
2 公共下水専用管の外径は3,346mm、内径は2,600mmであり、管内部には公共下水道の他、工業団地用下水道が組み込まれている。管内の下水道の最高使用容積は、断面積の公共下水道は80%、工業団地用下水道は50%である
3 当該公共下水専用管は維持管理のため、月に1回程度、管の内部に作業員が立ち入り、点検、清掃作業を実施するが火気を使用することはない
後段 人が立ち入る可能性のあるずい道は、危険物の規制に関する政令第13条第1号イに規定する地下トンネルに該当するものとして運用されたい。
内径2,600ミリメートルという大きさに加え、月に1回程度は作業員が中に入るという実態が示されています。
そして後段で、個別の判断にとどまらない一般的な運用の基準が示されました。
下水を流す管でも、該当する場合があるのですね。
寸法が示されていました。
管の内径を、管理者に問い合わせてください。
判断の軸は人が立ち入る可能性のあるずい道か

用途でも所有者でも構造種別でもなく、人が立ち入る可能性があるかどうかで線を引くという整理です。 人が立ち入る可能性が分かれ目です。
この軸に当てはめると、これまでの3件はいずれも説明がつきます。
共同溝や洞道は保守のために人が入ります。地下横断歩道は歩行者が常時通ります。公共下水専用管は月に1回程度作業員が立ち入ります。
逆に、人が入れない構造のものはこの枠から外れることになります。次の項目がその例です。
用途でも所有者でもなく、立ち入りの可能性で見るのですね。
そこが軸になります。
該当性は、この観点で整理してください。
ケーブル用マンホールは該当するか

直線形八号マンホールと呼ばれるもので、各ケーブルの結線、補修、改修およびケーブル内のガス点検等のため2名から3名の者が出入りするとされています。
答 該当しない。
それでも結論は分かれました。
マンホールは該当しないとされました。
下水専用管が内径2,600ミリメートルの管路として道路の下を長く延びているのに対し、ケーブル用マンホールは点として設けられる室です。
運用基準にいう「ずい道」、すなわち通り抜けられる坑道であるかどうかが違いだと読めます。
人の出入りの有無だけで判断すると誤るので、注意が要る対比です。
人が出入りしても、該当しない場合があるのですね。
ずい道かどうかで分かれます。
形状まで含めて確認してください。
よくある質問
まとめ
- 政令第13条第1号イの地下トンネルに何が当たるかは、4件の質疑応答で具体的に示されています
- 共同溝、関連洞道、単独洞道と称される地下工作物は該当します
- 主要道路交差点下に構築されている地下横断歩道も、地下トンネルと解してさしつかえないとされています
- 公道地盤面下に設置される公共下水専用管も該当します
- その回答の後段で、人が立ち入る可能性のあるずい道は地下トンネルに該当するものとして運用されたいという一般的な基準が示されました
- ケーブル用マンホールは、2名から3名の者が出入りするものであっても該当しないとされています
- 人の出入りがあるかどうかだけでなく、ずい道すなわち通り抜けられる坑道の形をしているかどうかが分かれ目になります
- 火気を使用するかどうかは、該当性の判断を左右していません
ずい道かどうかで見るのですね。
すっきりしました。
道路下の埋設物は事前に管理者へ照会しておくのが確実です。
㈱防災屋でも配置の検討からご相談を承っています。
参考・出典
- 地下貯蔵タンクと共同溝の関係について(昭和43年10月25日 消防予第239号 予防課長から東京消防庁消防総監あて回答)
- 地下横断歩道の地下トンネル該当の当否について(昭和51年11月16日 消防危第95号 危険物規制課長から香川県あて回答)
- 公共下水専用管の地下トンネル該当の当否について(昭和52年3月25日 消防危第47号 危険物規制課長から埼玉県あて回答)
- ケーブル用マンホールの地下トンネル該当の当否について(昭和54年8月3日 消防危第84号 消防庁危険物規制課長から静岡県あて回答)
- 危険物の規制に関する政令第13条第1号イ/危険物の規制に関する規則第23条
- 消防実務六法 質疑応答編
※本記事は公表されている法令および通達に基づく一般的な解説です。個別の施設についての適用は、所轄の消防機関にご確認ください。
㈱防災屋 代表取締役/消防設備士
平成元年生まれ、三重県鈴鹿市出身。祖父が創業した消防設備業者で10年間勤務した後、独立・起業。現在は青木マーケ㈱、㈱防災屋、(一社)予防団の運営に携わる。Amazonベストセラー1位『改訂版 消防設備士0類』著者。月刊誌「電気と工事(オーム社)」でコラム連載中!
本記事の消防法令、消防用設備等の技術情報および記述内容を監修・編集しています。
詳しい経歴・保有資格を見る
- 鈴鹿工業高等専門学校 材料工学科 卒
- 静岡大学工学部物質工学科 材料科学コース 卒
- 静岡大学大学院工学研究科物質工学専攻 修了
- 消防設備士:甲種特類、甲種1~5類、乙種6・7類
- 危険物取扱者:甲種、乙種1~6類、丙種
- 防火対象物点検資格者/防災管理点検資格者/甲種防火管理者
- 第二種電気工事士/工事担任者(総合通信)/第三種電気主任技術者
- 自家用発電設備専門技術者/特種電気工事資格者/職長・安全衛生責任者
- eco検定/民泊適正管理主任者/フォークリフト運転技能講習 修了
趣味:ギター、バスケットボール(全国高専大会優勝・キャプテン)




