移動タンク貯蔵所には、他の施設にはない論点があります。車両であることです。
底弁を止める装置はどこに付けてよいのか。その操作把手はどの高さに置くのか。
そもそも普通のトラックにタンクを載せただけで、移動タンク貯蔵所と認められるのか。
どれも古い質疑応答に答えがあり、数値と位置まで示されています。
非常閉鎖装置は底弁そのものに付けないといけませんか。配管の途中では認められませんか。
同様の効果があれば配管の途中でも認められています。ポンプがある場合は、どこに置くかまで書かれています。
普通のトラックにタンクを固定した形はどうでしょうか。積卸しできる構造なんですが。
容量の上限と固定方法が具体的に示されています。逆に、認められなかった選択肢も同じ回答の中に並んでいます。
この記事の結論
- 底弁を閉鎖することと同様の効果を有する非常閉鎖装置を配管の途中に設けたものは、底弁の非常閉鎖装置と認められます
- ポンプを有するものは、ポンプとタンクとを連絡する配管の途中に設けます
- 非常閉鎖装置の把手等は、側板をおろしたときに地上から容易に操作できる位置が望ましいとされています
- 側板より高い位置に設ける場合は、トラック側面等に足を掛けうるものを取り付ける必要があります
- 容量4,000リットル以下のタンクを受台、脚、ステー等で強固に取り付け、Uボルト等でシャーシーフレームに固定した場合は移動タンク貯蔵所と認められます
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目次
非常閉鎖装置は配管の途中でもよいか

装置は底弁そのものに付けるのが原則の形ですが、構造上そこに収まらないことがあります。
問 移動タンク貯蔵所のタンクの底弁を閉鎖することと同様の効果を有する非常閉鎖装置を配管の途中(ポンプを有するものにあつては、ポンプとタンクとを連絡する配管の途中)に設けたものは、危険物の規制に関する政令第23条の規定により、底弁の非常閉鎖装置と認めうるか。
答 お見込みのとおり。
答 お見込みのとおり。
ポンプとタンクの間に設けます。
ポンプがある場合、装置をポンプより先に置いてしまうと、ポンプ手前で漏れたときに止められません。
だからタンクとポンプを結ぶ区間に置く、という指定になっています。ポンプの有無で置き場所が変わる点に注意が要ります。
把手等はどの位置に設けるのが望ましいか

トラックの荷台の上に積載し、車両に固定した移動貯蔵タンクについて、適当な位置が問われました。
答 次の(1)又は(2)の位置を適当とするが、(1)の位置が望ましい。
(1) トラックの側板をおろさなければ、移動貯蔵タンクの下部にとりつけられた配管の弁の操作ができない構造の場合は、その側板をおろしたときに、地上から容易に操作できる位置
(1) トラックの側板をおろさなければ、移動貯蔵タンクの下部にとりつけられた配管の弁の操作ができない構造の場合は、その側板をおろしたときに、地上から容易に操作できる位置
地上から操作できる位置が第一です。
緊急時に操作する装置ですから、よじ登らずに手が届くことが望ましいという考え方です。
側板をおろす動作が前提になっている構造でも、おろした後に地上から届けばよいとされています。
側板より高い位置に設ける場合の措置

(2) トラックの側板より高く、かつ、側板に近い位置 この場合、トラック側面等に足を掛けうるものをとりつけ、操作を容易になしうるよう措置されていること
位置としては側板より高く、かつ側板に近いこと。そのうえで足を掛けうるものを取り付けること。
足を掛けうるものが必要になります。
高い位置に置くこと自体は認められますが、そのままでは緊急時に操作しにくいため、届く手立てをセットで求めています。
「側板に近い位置」という条件も、車体の外側から手が届く範囲に収める趣旨と読めます。
普通トラックにタンクを固定したものは認められるか

道路運送車両の保安基準はタンクを荷台に固定する旨を定めながら、積卸し可能なことも認めています。
その形が政令第15条の基準との関係でどうなるかが問われました。
答1 (1)及び(2) 容量4,000ℓ以下のタンクに、受台、脚、ステー等を溶接し又はボルト締めによつて強固に取り付け、これらの受台、脚、ステー等をUボルト等でシヤーシーフレームに強固に固定した場合、移動タンク貯蔵所と認められるものと解する。
まずタンクに受台、脚、ステー等を溶接またはボルト締めで取り付ける。次にその受台等をUボルト等でシャーシーフレームに固定する。
容量4,000リットル以下が条件です。
なお照会の(2)は、そのトラックを臨時に使用する場合に短期間に限って認められるかというものでしたが、(1)と同じ扱いとされています。
つまり臨時か常用かではなく、固定の構造で判断されることになります。
運搬容器や仮取扱いでは認められない

移動タンク貯蔵所として認められないなら、他の枠組みで扱えないかという発想です。
問(3) 屋外又は屋内タンクを、政令第28条による運搬容器として認めることができるか。
答 認められない。
問(4) 消防法第10条但書の仮取扱いに、運搬も含めて認められるか。
答 含まれない。
答 認められない。
問(4) 消防法第10条但書の仮取扱いに、運搬も含めて認められるか。
答 含まれない。
迂回する道は塞がれています。
屋外タンクや屋内タンクは、据え付けて使うことを前提に基準が組まれており、そのまま運搬容器に読み替えることはできません。
また消防法第10条ただし書の仮取扱いは、あくまで取扱いについての規定であり、運搬は含まれないという整理です。
照会の(5)「その他これを認めることができれば、その方法を御教示願いたい」に対しては、前記(1)から(4)までによって承知されたいとされ、別の方法は示されませんでした。
よくある質問
Q. ポンプがない場合はどこに非常閉鎖装置を設けますか?
配管の途中とされています。括弧書きの「ポンプを有するものにあつては、ポンプとタンクとを連絡する配管の途中」という限定は、ポンプがある場合の置き場所を定めたものです。ポンプがなければ配管の途中であれば足ります。
Q. 把手を側板より高い位置に設けてもよいですか?
認められますが条件が付きます。側板より高く、かつ側板に近い位置とし、トラック側面等に足を掛けうるものをとりつけ、操作を容易になしうるよう措置されていることが必要です。なお回答は、側板をおろしたときに地上から容易に操作できる位置のほうが望ましいとしています。
Q. 臨時に使うトラックなら短期間だけ認められますか?
臨時かどうかで扱いは変わりません。照会の(1)常用と(2)臨時使用は同じ答えでまとめられており、容量4,000リットル以下のタンクを受台、脚、ステー等で強固に取り付け、Uボルト等でシャーシーフレームに固定した場合に移動タンク貯蔵所と認められるとされています。
Q. 屋外タンクを運搬容器として使えませんか?
認められません。屋外又は屋内タンクを政令第28条による運搬容器として認めることができるかという照会に対し、回答は「認められない」と短く示されています。あわせて、消防法第10条ただし書の仮取扱いに運搬は含まれないとされています。
まとめ
- 底弁を閉鎖することと同様の効果を有する非常閉鎖装置を配管の途中に設けたものは、政令第23条の規定により底弁の非常閉鎖装置と認められます
- ポンプを有するものは、ポンプとタンクとを連絡する配管の途中に設けます
- 非常閉鎖装置の把手等の位置は2つの選択肢が示され、地上から容易に操作できる位置が望ましいとされています
- 側板をおろさなければ弁を操作できない構造の場合は、側板をおろしたときに地上から容易に操作できる位置とします
- 側板より高く側板に近い位置とする場合は、トラック側面等に足を掛けうるものをとりつけ、操作を容易になしうるよう措置します
- 容量4,000リットル以下のタンクに受台、脚、ステー等を溶接又はボルト締めで強固に取り付け、Uボルト等でシャーシーフレームに固定した場合は移動タンク貯蔵所と認められます
- 臨時に使用する場合も、常用の場合と同じ基準で判断されます
- 屋外又は屋内タンクを運搬容器として認めることはできず、消防法第10条ただし書の仮取扱いに運搬は含まれません
臨時かどうかは関係なく、固定の構造で見るんですね。そこを勘違いしてました。
使用の頻度ではなく現物の作りで判断されます。図面の段階で固定方法を詰めておくのが確実です。㈱防災屋でもご相談を承っています。
参考・出典
- 配管の途中に設けられた非常閉鎖装置について
- 底弁の非常閉鎖装置の把手等の位置について
- 積載式移動タンク貯蔵所について(昭和37年4月6日 自消丙予発第44号 予防課長から福岡県民生部長あて回答)
- 危険物の規制に関する政令第15条・第23条・第28条/消防法第10条/道路運送車両の保安基準第52条第7号(現在は第3項第3号)
- 消防実務六法 質疑応答編
※本記事は公表されている法令および通達に基づく一般的な解説です。個別の施設についての適用は、所轄の消防機関にご確認ください。




