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自衛防災組織の防災要員はどこまで離れてよいか|兼任が認められる業種と代行者の範囲

自衛防災組織の防災要員はどこまで離れてよいかを解説するアイキャッチ画像

石油コンビナートの特定事業所には、自衛防災組織を置かなければなりません。
そこに配置する防災要員は、災害が発生した場合に直ちに防災活動を行うことができる者でなければならないとされています。
では、直ちにとはどれくらいで、どこまで離れていてよいのか。
条文には書かれていない線引きが、質疑応答で具体的に示されています

防災要員は、防災資機材等の常置場所からどれくらいの範囲にいればよいのでしょうか。

警防戦術上からも1キロメートル程度が限度であると考えられる、とされました。距離で答えが出ています。

防災管理者や副防災管理者が不在のとき、他の人が代行してもよいのですか。

代行が想定されているのは臨時的な事故のときだけです。日常的に不在になる場合まで代行でまかなうことは適当でないとされています。

この記事の結論
  • 防災要員が所在する場所の範囲は、防災資機材等の常置場所から1キロメートル程度が限度であると考えられるとされました
  • 兼任が認められるのは、日常の業務を特別な作業を経ることなく中止することが可能な業種に限られます
  • 法に定める基準以外に備え付けた防災資機材等について、政令に定める人数を置くべき法的義務はありません
  • ただし3点セットに必要な防災要員を分割して運用することのないよう指導する必要があるとされています
  • 代行者は臨時的な事故のための代行であり、日常的に不在となる場合まで他の者が代行することは適当でないとされました

防災要員はどこまで離れてよいか

防災資機材等の常置場所を中心とした防災要員の所在範囲を示したイメージ
石油コンビナート等災害防止法は、特定事業者に自衛防災組織を置くことを求めています。
そこに配置される防災要員のうち、指揮者と機関員以外は日常業務との兼任も認められています。兼任である以上、ふだんは自分の持ち場にいることになります。
問題は、その持ち場が防災資機材等の常置場所からどれだけ離れていてよいかです。
問 指揮者、機関員以外の防災要員で、当該要員の一部が兼務である場合に、防災上直ちに行動が取れる範囲として防災資機材等の常置場所から1キロメートル位の範囲を予定しているが認められるか。
答 警防戦術上からも1キロメートル程度が限度であると考えられる
1キロメートルが限度です
照会側が示した目安をそのまま認めるのではなく、警防戦術上からも1キロメートル程度が限度という言い方で答えています
つまりこの数字は、事業者の都合で決めた運用の目安ではなく、消火活動を組み立てる側から見ても妥当な上限だという位置づけです。
逆に言えば、これを超える配置は認められにくいことになります。広い敷地を持つ事業所では、常置場所の数そのものを見直す必要が出てきます。

兼任が認められる業種の条件

日常業務を中止してただちに防災活動へ移る動きを段階で示したイメージ
政令第7条第4項は、防災要員は災害が発生した場合に直ちに防災活動を行うことができる者をもつて充てなければならないとしています。
運用通達により指揮者と機関員以外は兼任も認められていますが、その場合の直ちにがどの程度の時間経過をいうのかという問いです。
問 運用通達第3により、指揮者、機関員以外は日常業務との兼任も認められているが、この場合、政令第7条第4項の「直ちに」とはどの程度の時間経過をいうものであるか
答 時間で一律に定めることは困難であるが、兼任の場合は、設備等の緊急措置に掛る要員等以外の者で日常の業務を特別な作業を経ることなく中止することが可能な業種に限るものとする
時間ではなく業種で切ります
何分以内という答えを期待した問いに対し、回答は時間で一律に定めることは困難であるとしました。そのうえで別の物差しを出しています。
基準は2つです。1つは、設備等の緊急措置に掛る要員ではないこと。緊急時にプラント側の措置を担う人は、そちらを離れられないからです。
もう1つが、日常の業務を特別な作業を経ることなく中止することが可能な業種であること。装置を止めるのに手順が要る仕事に就いている人は、直ちに動けないという判断になります。
時間ではなく、抜けられる仕事かどうかで線を引いたわけです。

基準以外に備えた資機材にも要員が要るか

法基準の車両には防災要員を置き基準以外に備えた車両には義務がないことを示したイメージ
政令第7条は、特定事業者が防災資機材等を備え付けなければならないものとされる場合には、これらの防災資機材等各一台又は各一隻についてそれぞれ防災要員を置かなければならないとしています。
では、法の基準を満たしたうえで、さらに自主的に車両を増やした場合はどうなるのか。
問 3点セットを有する事業所(法基準を満たしている)において、法基準以外に粉末消火薬剤を積載(薬剤量2,000キログラム)した普通ポンプ自動車を配置した。この場合防災要員は必要か、必要であれば何人とすべきか。又、指揮者は必要か。
答 特定事業所において、法に定める基準以外に備え付けた防災資機材等については、政令第7条に定める人数を置くべき法的義務はない
なお、当該車両について、法に基づき備え付けられている3点セットに必要な防災要員を分割して運用することのないよう指導する必要がある
義務はないが注意があります
自主的に増やした設備にまで法定の人員配置を求めることはしない、というのが前半です。増強したことで義務が増えるなら、誰も増強しなくなります。
問題は後半です。義務がないからといって、法定の3点セットに張り付いている防災要員を新しい車両へ回してしまえば、本来の体制が薄くなります。
増やした設備を動かすなら、その要員は別に確保する。分割して使い回さないこと。ここが指導のポイントとして明示されています。

防災管理者が不在のとき誰が代行するか

防災管理者の不在時に代行者が席を引き継ぐ場面のイメージ
昭和59年12月21日付けの消防地第288号により、第1種事業所においては防災管理者又は副防災管理者のいずれかが休日や夜間であつても常駐するものとされています。
ところが常駐となると、副防災管理者を多数選任しなければならないことになります。そこで代行でまかなえないかという相談でした。
問 休日、夜間においては、防災規程により防災管理者又は副防災管理者が当該事業所に駆け付けるまでの間、他の者が代行することで認められないか御教示願いたい。
答 代行者は、防災管理者、副防災管理者が旅行、疾病、一時の外出等臨時的な事故のため不在になる場合の代行でありもつとも重要な発災初期に防災管理者、副防災管理者が不在で代行者が代行することは適当でない
常態の穴埋めには使えません
代行という仕組みは用意されていますが、それは旅行や疾病、一時の外出といった臨時的な事故を想定したものです。
休日や夜間は毎週やってくる、あらかじめ分かっている時間帯です。そこを代行で埋めるという設計は、代行の趣旨から外れます。
発災初期がもつとも重要であるという理由も添えられています。人が集まっていない時間帯こそ、判断できる立場の人がその場にいる必要があるという考え方です。
結論として、副防災管理者を必要な人数だけ選任するほかありません。

離れた事業所の所長を防災管理者にできるか

直線距離2キロメートル離れた2つの事業所を1人の管理者が兼ねる構成のイメージ
同じ回答には、防災管理者の選任についての問いも含まれています。
1つの会社が近接した2つの事業所を持ち、片方の所長がもう片方の防災管理者を兼ねられるかという場面です。
問 次のような形態を有するA事業所西基地(油槽所)につき、A事業所長を防災管理者に選任できるか
なお、A事業所長はA事業所東基地におり防災管理者として選任されている
1 西基地と東基地は、直線距離2キロメートル、走行距離10キロメートルに位置する
2 社内の組織図は次のとおりである。
3 西基地の勤務者は、全員が直のローテーションに組入れられており組長(係長級)が地位としてはトップになる。
答 認められない
離れていれば兼ねられません
理由は書かれていませんが、直線距離2キロメートル、走行距離10キロメートルという数字が問いに明記されています。
前の項目で見た代行の考え方と重ねると、筋道は読み取れます。防災管理者に求められているのは発災初期にその場で判断することであり、10キロメートル走らなければ着けない立場の人ではその役割を果たせません。
1つめの項目の防災要員が1キロメートル程度を限度とされたことと合わせて、この法律が距離にこだわっていることが分かります。
なお西基地では組長が地位としてトップであるという事情も示されており、現地に責任者を置く形が想定されているとみられます。

よくある質問

Q1キロメートルという数字はどこから出たのですか?
A照会側が1キロメートル位の範囲を予定していると示し、回答が警防戦術上からも1キロメートル程度が限度であると考えられると答えたものです。事業者側の運用の目安が、消火活動を組み立てる側から見ても妥当な上限として追認された形になっています。
Q兼任できる業種かどうかはどう判断しますか?
A回答が挙げているのは2つです。設備等の緊急措置に掛る要員等以外の者であること、そして日常の業務を特別な作業を経ることなく中止することが可能な業種であることです。装置を止めるのに手順が要る仕事は、後者に当てはまらないと読めます。
Q車両を自主的に増やすと人員も増やす必要がありますか?
A法に定める基準以外に備え付けた防災資機材等については、政令第7条に定める人数を置くべき法的義務はないとされています。ただし、法に基づき備え付けられている3点セットに必要な防災要員を分割して運用することのないよう指導する必要があるとも書かれています。
Q休日や夜間はどうすればよいのですか?
A昭和59年12月21日付けの消防地第288号により、第1種事業所においては防災管理者又は副防災管理者のいずれかが休日、夜間であつても常駐するものとされています。代行は臨時的な事故のためのものなので、休日や夜間を代行でまかなう設計は認められていません。必要な人数の副防災管理者を選任することになります。

まとめ

  • 防災要員が所在する場所の範囲は、防災資機材等の常置場所から1キロメートル程度が限度であると考えられるとされました
  • 兼任が認められるのは、設備等の緊急措置に掛る要員等以外の者で、日常の業務を特別な作業を経ることなく中止することが可能な業種に限られます
  • 直ちにという言葉について、時間で一律に定めることは困難であるとされ、業種による線引きが示されました
  • 法に定める基準以外に備え付けた防災資機材等について、政令第7条に定める人数を置くべき法的義務はありません
  • ただし3点セットに必要な防災要員を分割して運用することのないよう指導する必要があるとされています
  • 代行者は臨時的な事故のための代行であり、発災初期に防災管理者等が不在で代行することは適当でないとされました
  • 直線距離2キロメートル、走行距離10キロメートル離れた事業所の所長を防災管理者に選任することは認められないとされています
  • この法律は、要員も管理者も現場との距離で判断しているという読み方ができます

時間ではなく距離と業種で決めているんですね。

体制の設計は人数だけでなく配置の問題です。㈱防災屋でも防災規程や体制づくりのご相談を承っています。

参考・出典

  • 石油コンビナート等災害防止法に関する質疑応答(自衛(共同)防災組織関係・防災管理者関係)
  • 石油コンビナート等災害防止法施行令第7条第4項
  • 石油コンビナート等特別防災区域における自衛防災組織等の運用について(運用通達)
  • 昭和59年12月21日 消防地第288号
  • 消防実務六法 質疑応答編

※本記事は公表されている法令および通達に基づく一般的な解説です。個別の事業所についての適用は、所轄の消防機関にご確認ください。

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