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BCPで地震後に転倒したLPガス容器をすぐ起こしてよいのか|漏えいと二次火災を防ぐ初動を解説

固定されたLPガス容器を点検する施設担当者の現場写真を使ったアイキャッチ

大きな地震の後、建物の裏手でLPガス容器が斜めに傾いていたら、倒れ切る前に起こした方がよいのでしょうか。
通路を確保しようとして容器へ近づくと、揺り返しで転倒したり、引っ張られた高圧ホースや調整器からガスが漏れたりするおそれがあります。
経済産業省の自然災害対策資料も、容器の転倒や移動により周辺の供給管へ荷重がかかり、損傷と漏えいにつながる事例を示しています。
傾いた容器は施設担当者だけですぐ起こしません
火気と人を遠ざけ、安全な場所からLPガス販売事業者へ連絡し、漏えいや火災の危険があれば119番通報します。

ボンベが傾いていたら、先に起こしたらええんちゃうの?

近づかず退避が先です。

においがせえへんかったら触っても大丈夫ですか?

見た目やにおいだけで決めず、専門者へ引き継ぎます

この記事の結論
  • 傾いたLPガス容器をすぐ起こしません
  • 火気と人を遠ざけ安全な場所へ退避します
  • 容器とホースへ近づかず周辺を立入禁止にします
  • LPガス販売事業者へ場所と異常を連絡します
  • 漏えいや火災の危険があれば119番通報します

地震で傾いたLPガス容器へ近づかず退避して連絡する一場面のアイソメ図

地震後に転倒したLPガス容器をすぐ起こしてよいのか

地震で傾いたLPガス容器から離れる施設担当者のアイソメ図
結論からいうと、施設担当者だけで傾いた容器を起こしたり、鎖を掛け直したりしません。
まず人命を優先し、揺れが続く間は屋外設備の確認へ向かわず、安全な場所へ退避します。
経済産業省のLPガス自然災害対策資料は、容器が鎖から外れたり固定部ごと壁から離れたりすると、容器周辺の供給管へ荷重がかかり、損傷して漏えいに至る事例が多いと説明しています。
容器を動かす前にガス供給設備全体の安全確認が必要です
容器が斜めになっていても、高圧ホース、調整器、容器弁、配管がどのような力を受けたかは外観だけで分かりません。
不用意に起こすと、残っていた接続が外れたり、損傷部が広がったりする可能性があります。
ガス臭、漏えい音、損傷、火災が疑われる場合は、電気スイッチ、換気扇、車両の始動など着火源になり得る操作をしません
人を風上側など安全な場所へ誘導し、建物の出入口や駐車場からも離します。
安全な位置からLPガス販売事業者へ連絡し、危険が差し迫る場合は119番へ状況を伝えます
専門者が容器、接続部、供給管、周辺の安全を確認するまで、立入規制を続けます

容器だけ見ても判断できへんのですね。

接続部まで専門者が確認します。

どの容器と周辺設備を対象に確認するのか

二重の鎖で固定したLPガス容器と接続設備を確認するアイソメ図
対象は容器本体だけではありません。
設置台、固定具、鎖やベルト、調整器、高圧ホース、配管、メーターまで、供給経路を一つの設備として確認します。
経済産業省資料は、LPガス容器を地震動等で容易に転倒しないよう水平な設置台に置き、専用固定具と鎖やベルト等で固定する対策を示しています。高圧ガス関係法令の運用解釈にも、充填量20キログラム以上の容器を鉄鎖やロープ等で固定し、地震時の転倒を防ぐ考え方があります。
容器から建物へ入る配管まで一枚の配置図にします
  • 使用中と予備のLPガス容器
  • 水平な容器設置台と周囲の地盤
  • 鎖、ベルト、固定金具、壁側のアンカー
  • 容器弁、調整器、高圧ホース、継手
  • 建物へ入る供給管とガスメーター
  • 容器置場の屋根、囲い、落下物の危険
  • 避難口、駐車場所、消防隊の進入経路
鎖が容器へ掛かっていても、壁側の金具が腐食していたり、地震で下地ごと抜けたりすれば固定の役目を果たしません。
容器が立っていても、地盤沈下や設置台の傾きで高圧ホースへ力が掛かっている場合があります。
平常時の点検では、容器の数、容量、接続状態、予備容器の位置を設備台帳と現物で照合します。
容器置場の上に看板、室外機部材、外壁材などがあり、地震で落下するおそれがないかも見ます。
販売事業者の緊急連絡先は容器置場だけに掲示せず、停電や立入禁止時でも使えるよう防災センターと紙のBCPにも保管します。
容器置場が避難口や消防隊の進入経路に近い場合は、異常時の迂回経路と規制範囲を事前に決めます

鎖が掛かっていたら十分ですか?

固定金具と設置台も一緒に確認します。

発見から退避と連絡まで何を決めるのか

傾いたLPガス容器を区画して安全な場所から連絡するアイソメ図
BCPには、第一発見者が容器へ近づかず、誰をどこへ退避させ、誰へ何を連絡するかを書きます。
消防計画の通報・避難と、BCPの供給停止・代替手段・営業再開判断を一つの流れにします。
消防庁の地震防災資料は、まず身の安全を確保し、ガスを再び使う前に機器の破損や周囲の可燃物を確認する考え方を示しています。ガス臭があるときは火気や電気スイッチに触れないことも、経済産業省の安全案内で明示されています。
発見者に容器弁の操作や復旧を任せない手順にします
  1. 強い揺れの間は屋外の容器置場へ向かわない
  2. 安全確保後に離れた位置から異常の有無を見る
  3. 人と火気を遠ざけ周辺への立入りを止める
  4. LPガス販売事業者の緊急窓口へ連絡する
  5. 漏えい、火災、容器流出の危険があれば119番通報する
  6. 容器数、場所、損傷、周辺設備を分かる範囲で伝える
  7. 専門者の確認後に供給再開と営業再開を判断する
第一発見者が容器へ戻って弁の位置や残量を確認する必要はありません。
平常時の設備台帳や納品記録から、分かる範囲の容器数と容量を伝えます。
連絡時は、容器が倒れた、斜めになった、鎖が外れた、ホースが張っている、ガス臭があるなど、見えた事実を短く伝えます。
ガス臭や音がなくても、安全確認のために危険区域へ近づかず、離れた位置から得られる情報に限ります。
消防隊や販売事業者を迎える担当者は、安全な場所で建物図、容器台帳、鍵、避難状況を簡潔に引き継ぎます。
給食、厨房、給湯、空調などLPガスを使う業務は停止し、代替手段と利用者への案内を始めます。
収束後は発見時刻、退避範囲、連絡内容、専門者の指示、供給停止時間を復旧記録へ残します

容器の本数を数えに戻らんでもええんですね。

設備台帳の情報を使います。

見た目で漏れていないと何を見落とすのか

傾いたLPガス容器と張った高圧ホースに触れないことを示すアイソメ図
LPガス容器が破裂していなくても、安全とは限りません。
容器の重さで高圧ホースや調整器へ力が掛かり、接続部が損傷している可能性があります。
経済産業省の資料は、容器の動揺・転倒・流出防止を、容器本体だけでなく高圧ホース等の損傷とガス漏えいを防ぐ対策として位置付けています。転倒していない容器でも、鎖やベルトの緩み、固定金具の離脱、設置台の変形を確認する必要があります。
においがしないことを安全確認の代わりにしません
  • 容器だけを起こして高圧ホースを引っ張る
  • 外れた鎖を掛け直すため容器の間へ入る
  • ガス臭がないので電灯や換気扇を操作する
  • 見た目が無傷なのでガスメーターを復帰する
  • 余震前に通路を空けようと容器を移動する
  • 販売事業者へ連絡せず厨房機器を再点火する
  • 異常のあった容器置場を記録せず営業を再開する
LPガスは空気より重く、低い場所やくぼみに滞留するおそれがあります。
排水溝や地下入口の近くで異常がある場合は、周囲へ人を近づけず、離れた場所から状況を伝えます
容器弁を閉めればよいと思っても、操作のために傾いた容器へ近づくこと自体が危険になる場合があります。
事前に販売事業者と、施設側が行う操作の範囲、緊急連絡の条件、立入禁止の範囲を決めておきます。
ガスメーターの復帰操作は、ガス臭や機器の破損がないことを確認して行う手順です。
地震で容器や配管へ異常があった場合は自己判断で復帰せず、販売事業者の確認を優先します。
供給再開後も、厨房機器や給湯器の点火、燃焼、給排気に異常がないかを確認し、再開責任者が承認します。

立っている容器も見てもらうんですね。

設置台と配管まで連続して確認します。

明日からLPガス容器の地震対応をどう確認するのか

固定されたLPガス容器と配置図を使って地震対応を訓練するアイソメ図
最初に、容器置場、固定方法、供給経路、緊急連絡先を現場で突き合わせます。
次に、発見、退避、連絡、情報提供、供給再開判断を一枚の現場票にまとめます。
消防法第8条に基づく消防計画には、火災予防、通報、初期消火、避難など防火管理上必要な事項を定めます。BCPでは、LPガス供給停止時の厨房、給湯、空調等の代替、利用者対応、復旧順位、営業再開条件を具体化し、消防計画の初動と整合させます。
容器へ近づかず連絡できるところまで訓練します
  1. 容器の数、容量、使用先を設備台帳へまとめる
  2. 設置台、鎖、ベルト、固定金具を販売事業者と確認する
  3. 調整器、高圧ホース、供給管の位置を配置図へ記す
  4. 地震後に人を近づけない範囲と迂回経路を決める
  5. 販売事業者と119番へ伝える項目を現場票にする
  6. LPガス停止中の厨房や給湯の代替手段を決める
  7. 専門者の安全確認後に再開を承認する責任者を決める
点検では鎖の本数だけでなく、緩み、掛け方、金具、壁下地、設置台の水平を見ます。
ハザードマップも確認し、浸水や土砂で容器が流出する可能性がある場所は、販売事業者へ対策を相談します。
訓練では「容器が斜めになり、ガス臭の有無は不明」という想定カードを置き、近づかず退避できるかを試します。
警備員、清掃員、テナント従業員が第一発見者になる場合も、同じ退避と連絡のルールを使います。
厨房や給湯が止まったときの代替食、休止サービス、利用者案内、復旧優先順位もBCPへ書きます。
販売事業者の点検が終わる前にガスメーターを復帰したり機器へ再点火したりせず、供給再開の確認を記録します。
訓練で迷った点は販売事業者、建物管理者、所轄消防署へ相談し、回答を消防計画とBCPの両方へ反映します。

触らず連絡する訓練から始めます。

ええですね。
連絡先と設備台帳を外から使えるようにします。

よくある質問

Q傾いたLPガス容器を施設担当者が起こしてもよいですか?
Aすぐに起こしません。容器を動かすと損傷したホースや接続部から漏えいする可能性があるため、退避して販売事業者へ連絡します。
Qガス臭がなければガスメーターを復帰してよいですか?
A容器、ホース、配管に異常があった場合は自己判断で復帰しません。販売事業者の安全確認を受けてから再開します。
Q119番とLPガス販売事業者のどちらへ連絡しますか?
A販売事業者の緊急窓口へ連絡します。漏えい、火災、負傷者、容器流出など差し迫った危険がある場合は、安全な場所から119番通報も行います。
Q消防計画とBCPにはどう分けて書きますか?
A消防計画には通報と避難を、BCPにはガス供給停止時の代替、利用者対応、復旧順位、再開条件を整理し、担当者と連絡先を相互に整合させます。

まとめ

傾いたLPガス容器を施設担当者だけで起こしません。
火気と人を遠ざけ安全な場所へ退避します
容器だけでなく鎖、設置台、ホース、配管を確認します。
販売事業者へ容器数と見えた異常を伝えます。
漏えいや火災の危険があれば119番通報します。
専門者の確認前に供給と営業を再開しません
消防計画とBCPを一つの地震訓練でつなぎます。

まずは容器置場と連絡先を確認します!

触らず退避して連絡する初動を訓練しましょう。
㈱防災屋でもご相談を承っております。

防火管理はプロにお任せ下さい

まずはWebで無料お見積りを!

お問い合わせ

監修・編集者
青木 俊輔
青木 俊輔

㈱防災屋 代表取締役/消防設備士

平成元年生まれ、三重県鈴鹿市出身。祖父が創業した消防設備業者で10年間勤務した後、独立・起業。現在は青木マーケ㈱、㈱防災屋、(一社)予防団の運営に携わる。Amazonベストセラー1位『改訂版 消防設備士0類』著者。月刊誌「電気と工事(オーム社)」でコラム連載中!

本記事の消防法令、消防用設備等の技術情報および記述内容を監修・編集しています。

詳しい経歴・保有資格を見る
学歴
  • 鈴鹿工業高等専門学校 材料工学科 卒
  • 静岡大学工学部物質工学科 材料科学コース 卒
  • 静岡大学大学院工学研究科物質工学専攻 修了
保有資格
  • 消防設備士:甲種特類、甲種1~5類、乙種6・7類
  • 危険物取扱者:甲種、乙種1~6類、丙種
  • 防火対象物点検資格者/防災管理点検資格者/甲種防火管理者
  • 第二種電気工事士/工事担任者(総合通信)/第三種電気主任技術者
  • 自家用発電設備専門技術者/特種電気工事資格者/職長・安全衛生責任者
  • eco検定/民泊適正管理主任者/フォークリフト運転技能講習 修了

趣味:ギター、バスケットボール(全国高専大会優勝・キャプテン)

主な活動

参考・出典

※本記事は公表されている法令および行政機関等の資料に基づく一般的な解説です。LPガス容器の安全な対応は、容器、接続設備、設置場所、漏えい、火災、地震被害、販売事業者との契約内容等によって異なります。実際の容器の移動、弁操作、点検、修理、ガスメーターの復帰、供給再開は、LPガス販売事業者、建物管理者、所轄消防署へ事前にご相談ください。ガス臭、漏えい音、火災、負傷者、容器流出などの危険がある場合は人命を優先し、火気や電気スイッチに触れず、安全な場所から119番通報してください。

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