防火シャッターは、火災時に自動で閉まるだけの一枚の板ではありません。
スラットが連なったカーテン部を、巻取りシャフトが巻き上げ、ローラチェーンが開閉機の力を伝えています。
さらにリミットスイッチが止まる位置を覚え、連動遮断スイッチが点検中の誤作動を防いでいます。
5つの部品それぞれの役割を知っておくと、点検や修理の説明を正しく理解できます。
防火シャッターって、ボタン一つで閉まるだけの単純な仕組みだと思っていました。
実は中に5つの部品が組み合わさって動いています。
スラットの形、巻取りシャフト、ローラチェーン、リミットスイッチ、連動遮断スイッチです。
名前を聞いてもピンと来ないですね。
今日はその5つを、順番に一つずつ確認していきましょう。
- スラットにはインターロッキング形とオーバーラッピング形の2種類があり、遮煙性能の有無で使い分けられます。
- 巻取りシャフトはカーテン部の荷重に耐える強度を持ち、円滑に巻き取る構造です。
- ローラチェーンは開閉機の回転力を巻取りシャフトへ伝達する部品です。
- リミットスイッチはシャッターカーテンの上限・下限の停止位置を設定します。
- 連動遮断スイッチは点検時に感知器の作動による起動を一時的に止めるためのスイッチです。
▼

目次
スラットはなぜ2つの形に分かれているのか

形の違いひとつで、火だけでなく煙まで止められるかどうかが変わります。
インターロッキング形は、スラット同士をかぎ状にかみ合わせる構造です。
オーバーラッピング形は、スラットの端を重ね合わせて隙間をより小さくする構造です。
点検では見た目が似ていても、設置されているシャッターがどちらの形かで遮煙性能の有無が変わる点を確認しておく必要があります。
迷ったときは、竪穴区画や異種用途区画に設置されているかどうかを手がかりにすると判断しやすくなります。
うちのシャッターがどっちの形か、見ただけじゃわからないです。
図面や検査報告書に記載がありますので、まずはそちらを確認しましょう。
巻取りシャフトはなぜ太く頑丈に作られているのか

細すぎたり歪んだりすると、開閉そのものがスムーズにいかなくなります。
シャッターカーテンは鋼材でできているため、閉じている面積が大きいほど巻取りシャフトにかかる重さも増えます。
軸がわずかにたわむだけでも、開閉のたびに引っかかりや異音が生じやすくなります。
点検では、回転時のブレや異音の有無を確認することが、故障の早期発見につながります。
定期検査の対象にはこの巻取りシャフト自体も含まれており、劣化や損傷があれば早めの手当てが必要です。
巻取りシャフトが歪んでいたら、シャッター全体を止めないといけないんですね。
そのとおりです、放置すると閉鎖不良につながるおそれがあります。
ローラチェーンは何の力を伝えているのか

その力を橋渡ししているのがローラチェーンです。
ローラチェーンが伸びたり摩耗したりすると、力の伝わり方にムラが出て、開閉の速度が不安定になります。
潤滑油が切れたまま使い続けると摩耗が早まり、切断のおそれも出てきます。
点検では、たるみの有無や錆・摩耗の状態を確認することが重要です。
異音がする、動きがぎこちないといった変化は、ローラチェーンの劣化サインであることが少なくありません。
最近、閉まるときにガタガタ音がする気がします。
ローラチェーンの摩耗が原因のことがありますので、早めの点検をおすすめします。
リミットスイッチはなぜ上限と下限を覚えているのか

その止まる位置を管理しているのがリミットスイッチです。
上限がずれると、開けたときにシャッターカーテンが収まりきらないことがあります。
下限がずれると、閉じたときに床とのすき間が生じ、遮煙性能が発揮できなくなるおそれがあります。
点検では、実際に開閉させて停止位置が図面どおりかを確認します。
モーターや歯車を交換した後は、リミットスイッチの再設定を忘れずに行う必要があります。
床とシャッターの間にすき間があるのは、そのせいだったんですね。
はい、リミットスイッチの調整で直せることが多いです。
連動遮断スイッチはなぜ点検のときだけ使うのか

そこで使うのが連動遮断スイッチです。
感知器の試験や配線の作業中に不用意にシャッターが作動すると、作業員が挟まれる事故につながりかねません。
だからこそ、連動遮断スイッチは点検専用の操作であり、平常時に入れたままにしてはいけません。
点検が終わったら、必ずスイッチを元の状態へ戻し、火災時に正常に作動するかを確認します。
戻し忘れは、実際の火災で自動閉鎖が働かない重大な原因になります。
点検が終わったあと、スイッチを戻し忘れたら大変なことになりますね。
その確認も含めて、㈱防災屋の点検では必ずチェックリストで照合しています。
よくある質問
まとめ
スラットやシャフトの意味がわかると、点検の説明も理解しやすくなりました!
これで5つの部品の役割が全部つながりました。
細かい部品まで理解して点検に立ち会っていただけると、私たちも説明がしやすくなります。
㈱防災屋でもご相談を承っております。
㈱防災屋 代表取締役/消防設備士
平成元年生まれ、三重県鈴鹿市出身。祖父が創業した消防設備業者で10年間勤務した後、独立・起業。現在は青木マーケ㈱、㈱防災屋、(一社)予防団の運営に携わる。Amazonベストセラー1位『改訂版 消防設備士0類』著者。月刊誌「電気と工事(オーム社)」でコラム連載中!
本記事の消防法令、消防用設備等の技術情報および記述内容を監修・編集しています。
詳しい経歴・保有資格を見る
- 鈴鹿工業高等専門学校 材料工学科 卒
- 静岡大学工学部物質工学科 材料科学コース 卒
- 静岡大学大学院工学研究科物質工学専攻 修了
- 消防設備士:甲種特類、甲種1~5類、乙種6・7類
- 危険物取扱者:甲種、乙種1~6類、丙種
- 防火対象物点検資格者/防災管理点検資格者/甲種防火管理者
- 第二種電気工事士/工事担任者(総合通信)/第三種電気主任技術者
- 自家用発電設備専門技術者/特種電気工事資格者/職長・安全衛生責任者
- eco検定/民泊適正管理主任者/フォークリフト運転技能講習 修了
趣味:ギター、バスケットボール(全国高専大会優勝・キャプテン)
参考・出典
- 建築基準法(昭和25年法律第201号)第12条第3項
- 建築基準法施行令(昭和25年政令第338号)第112条第19項
- 昭和48年建設省告示第2563号(防火設備の構造方法を定める件)
※本記事は執筆時点の法令・告示に基づき一般的な情報を解説したものであり、個別の建築物における判断を保証するものではありません。実際の点検・改修にあたっては、必ず専門の点検資格者にご確認・ご相談ください。





