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特定建築物定期調査の居室はどこを見るのか|採光の開口部から換気設備の設置基準まで5つの視点で解説

居室の採光と換気の開口部を確認する女性調査員

㈱防災屋が特定建築物定期調査でひときわ見落としを指摘するのが、居室の採光と換気に関する項目です。
建築基準法第28条は、住宅や学校、病院などの居室に、採光及び換気のための開口部か、それに代わる設備を設けるよう義務づけています。
新築時には基準を満たしていても、間仕切りの変更や大型什器の配置によって、開口部がふさがれたまま放置されている建物は珍しくありません。
本記事では、居室の採光及び換気に関する4つの調査項目を、建築基準法施行令の条文に沿って解説します

うちのテナントさん、書庫を窓際にびっしり並べてるんですよね。
あれって定期調査で指摘されるものでしょうか。

はい、採光や換気のための開口部が家具でふさがれていると、要是正の対象になります。
建築基準法第28条が居室に開口部を義務づけているためです。

窓の面積さえあれば、後は何もしなくていいと思っていました。
換気の方はどう扱われるんですか。

採光と換気は別々に基準があり、それぞれ開口部の面積や換気設備の有無を確認します。
今回はその4つの調査項目を順番に見ていきましょう。

この記事の結論
  • 採光のための開口部は、居室の種類ごとに定められた割合(5分の1〜10分の1)を満たしているかで判定する
  • 家具や書庫で窓をふさぐと、採光の要是正対象になる
  • 換気のための開口部は床面積の20分の1以上が目安である
  • 割合を満たせない場合は施行令第20条の2に適合する換気設備で補うことができる
  • 調理室や浴室などの火気使用室は、一定規模以下の例外を除き換気設備が必須である

居室の採光及び換気に関する定期調査の4つの確認ステップを示す図解

採光のための開口部はどれだけの面積が必要か

居室の窓の採光に有効な開口部の面積を鋼製巻尺で確認する調査員
住宅や学校、病院などの居室には、採光のための開口部が義務づけられています。
調査では、居室の種類ごとに定められた割合を、実際の開口部の面積が満たしているかを確認します。
問1 居室の採光のための開口部の面積が確保されているかは、どのように確認するか。
答1 設計図書により確認するか、鋼製巻尺等で実測する。建築基準法第28条第1項又は施行令第19条の規定に適合しない場合は要是正となる。
居室の種類によって、必要な採光面積の割合が変わります。
学校の教室や保育所の保育室は床面積の5分の1以上、住宅の居住室や病院の病室は7分の1以上、それ以外の学校の教室等は10分の1以上の有効採光面積が必要です。
この割合は施行令第19条第3項の表で居室の種類ごとに定められており、令和5年4月の改正で住宅の居住室に緩和規定が追加されました。
増築や用途変更で居室の使い方が変わると、必要割合そのものが動くこともあるため、設計図書との突合せが欠かせません。
明日からは増改築や用途変更の履歴がある居室を優先して、開口部の実測値を確認することをおすすめします。

うちは10年前に増築したんですが、そのときの採光基準を調べればいいんですよね。
今の基準とは違うかもしれません。

増築時点の基準で判断して構いません。
ただしその後に用途変更していれば話は別ですので、あわせて確認しましょう。

採光を妨げる物品の放置はなぜ問題になるか

書庫や什器で窓がふさがれ採光が妨げられている状態を確認する調査員
開口部の面積が図面どおりでも、実際にその前を物でふさいでしまえば採光は確保できません。
定期調査では、窓の外観だけでなく、室内側からふさがれていないかも目視で確認します。
問2 窓の前に書庫や大型の什器が置かれ、外から光が入りにくくなっている場合はどう扱われるか。
答2 採光の妨げとなる物品が放置されていれば要是正となる。大型の固定家具や、窓に掲げた広告で開口部がふさがれている状態が典型例である。
物を置いただけでも、採光の要是正対象になり得ます。
大型の書庫やパーティションで窓をふさいだり、窓ガラスに広告シートを貼って採光を妨げたりしている状態が典型的な指摘例です。
この判定基準に個別の条項番号は付いていませんが、大元にある建築基準法第28条第1項の採光義務を実際に満たしているかという視点で確認されます。
レイアウト変更の際、什器を窓際に寄せてしまうケースは事務所や店舗のテナントで特に多く見られます。
明日からは、模様替えやレイアウト変更のたびに、窓際に物を置いていないかをテナント側にも確認してもらうとよいでしょう。

テナントの模様替えのたびに確認するのは正直大変です。
チェックリストみたいなものはありますか。

窓の前に棚や広告を置かないという一文を、模様替え時の確認事項に加えるだけでも効果があります。
㈱防災屋の点検時にも一緒に確認いたします。

換気のための開口部はどう確保するか

居室の換気のための開口部の面積を確認する調査員
居室には採光とは別に、換気のための開口部も義務づけられています。
床面積に対する割合は採光より緩やかですが、確保されていなければ要是正です。
問3 換気のための開口部の面積は、どの程度確保されている必要があるか。
答3 床面積の20分の1以上の有効な開口部が必要である。これを満たさない場合は、施行令第20条の2に適合する換気設備を設けなければならない。
換気の開口部は、床面積の20分の1以上が目安です。
建築基準法第28条第2項が定める割合で、採光の割合(5分の1〜10分の1)より緩やかですが、窓が家具でふさがれれば同じように要是正になります。
この割合を満たせない場合は、施行令第20条の2が定める技術的基準に従った換気設備を設ければ、開口部の不足を補うことができます。
採光の開口部と換気の開口部は同じ窓でまとめて満たせることが多く、調査でも同じ窓を両方の項目でチェックします。
明日からは、採光の指摘箇所を直すときに、換気の割合も一緒に満たせているかをあわせて確認しましょう。

採光と換気、結局は同じ窓を見ればいいんですか。

多くの場合は同じ窓で両方を満たせますが、割合の基準が違うので個別に計算が必要です。
迷ったときはご相談ください。

無窓の居室や劇場等はどんな換気設備が必要か

無窓の居室に設置された機械換気設備を確認する調査員
開口部だけで換気を満たせない居室には、換気設備の設置が義務づけられます。
設備の種類は、居室の用途によって決まっています。
問4 開口部の面積が床面積の20分の1に満たない無窓の居室や、劇場・集会場等の居室には、どんな換気設備が必要か。
答4 無窓の居室には自然換気設備・機械換気設備・中央管理方式の空気調和設備のいずれかを、劇場や集会場等の居室には機械換気設備又は中央管理方式の空気調和設備を設けなければならない。
設備の種類は、居室の用途で振り分けられています。
開口部が床面積の20分の1に満たない無窓の居室には、自然換気設備・機械換気設備・中央管理方式の空気調和設備のいずれかが必要です。
劇場、映画館、演芸場、観覧場、公会堂、集会場の居室は人が密集するため、自然換気設備は認められず機械換気設備又は中央管理方式の空気調和設備に限られます。
自然換気設備を選ぶ場合は、施行令第129条の2の5が定める給気口・排気筒の位置や有効断面積の基準も満たす必要があります。
明日からは、設計図書で換気設備の種別を確認し、現地の設備が図面どおりに機能しているかをあわせて見ておきましょう。

うちの会議室、窓はあるけど小さいので不安です。
無窓の居室に当たるんでしょうか。

開口部の面積が床面積の20分の1に届いているかがポイントです。
実測して割合を確認しましょう。

調理室や浴室はなぜ換気設備が欠かせないか

調理室の換気設備の稼働状況を確認する調査員
かまどやこんろなど火を使う設備がある部屋は、排ガスがこもらないよう換気設備が原則必須です。
ただし、規模の小さい住宅の調理室などには例外もあります。
問5 調理室や浴室など火を使用する設備がある部屋には、必ず換気設備を設けなければならないか。
答5 原則として換気設備が必要である。ただし密閉式燃焼器具のみを使用する部屋や、床面積100平方メートル以内の住宅の調理室で発熱量12キロワット以下かつ換気上有効な開口部があるものなど、施行令第20条の3が定める要件を満たせば設置を要しない。
火を使う部屋は、換気設備が原則必須です。
建築基準法第28条第3項が、劇場等の居室や調理室・浴室など火を使用する設備・器具を設けた室に換気設備の設置を義務づけています。
例外は施行令第20条の3が列挙しており、直接屋外から給排気する密閉式燃焼器具だけの部屋や、床面積100平方メートル以内の住宅の調理室で発熱量12キロワット以下かつ床面積の10分の1以上の開口部があるものなどに限られます。
レンジフードの排気が経年で目詰まりし、実質的に機能していないケースも調査でよく見つかります。
明日からは、換気設備の有無だけでなく、実際に排気が機能しているかまで確認することをおすすめします。

うちの給湯室、小さいコンロが1台あるだけなんですが、それでも換気設備は要りますか。

発熱量や部屋の広さ次第では例外に当たる場合もあります。
詳しい条件は現地で一緒に確認しましょう。

よくある質問

Q採光や換気の基準を満たしていない場合、すぐに改修しなければならないか。
A定期調査では要是正の判定が付きますが、改修の緊急性は建物の状態次第です。是正の期限は特定行政庁が個別に判断するため、報告書を受け取ったら早めに所轄の窓口へ相談することをおすすめします。
Q窓のリフォームで開口部を小さくすると、採光や換気の基準に影響するか。
A影響します。開口部の面積を変えるリフォームは、採光・換気それぞれの必要割合を再計算する必要があるため、事前に設計者や調査資格者へ相談してから進めるのが安全です。
Q換気設備を後から追加すれば、開口部の面積不足は解消されるか。
A施行令第20条の2に適合する換気設備を設ければ、開口部不足を補うことができます。設備の技術的基準を満たしているかがポイントになるため、設置業者に基準への適合を確認してもらいましょう。
Q採光や換気の項目は、任意調査ではなく必ず確認される項目か。
Aはい。居室の採光及び換気は第2編の法定調査項目に含まれており、特定建築物定期調査では毎回必ず確認されます。

まとめ

居室の採光のための開口部は、居室の種類ごとに定められた割合(5分の1〜10分の1)を満たしているかを確認する
家具や書庫で窓をふさぐと、採光の要是正対象になる
換気のための開口部は床面積の20分の1以上が目安である
割合を満たせない場合は施行令第20条の2に適合する換気設備で補うことができる
無窓の居室には自然換気設備・機械換気設備・中央管理方式の空気調和設備のいずれかが必要
劇場や集会場等の居室は機械換気設備又は中央管理方式の空気調和設備に限られる
調理室や浴室などの火気使用室は、一定規模以下の例外を除き換気設備が必須である

採光と換気、どちらも窓ひとつで判断できるわけじゃないんですね。
次の点検までにテナントにも周知しておきます!

採光と換気の見直しは、次回の調査までに整えておくと安心です
㈱防災屋でもご相談を承っております。

防火管理はプロにお任せ下さい

まずはWebで無料お見積りを!

お問い合わせ

監修・編集者
青木 俊輔
青木 俊輔

㈱防災屋 代表取締役/消防設備士

平成元年生まれ、三重県鈴鹿市出身。祖父が創業した消防設備業者で10年間勤務した後、独立・起業。現在は青木マーケ㈱、㈱防災屋、(一社)予防団の運営に携わる。Amazonベストセラー1位『改訂版 消防設備士0類』著者。月刊誌「電気と工事(オーム社)」でコラム連載中!

本記事の消防法令、消防用設備等の技術情報および記述内容を監修・編集しています。

詳しい経歴・保有資格を見る
学歴
  • 鈴鹿工業高等専門学校 材料工学科 卒
  • 静岡大学工学部物質工学科 材料科学コース 卒
  • 静岡大学大学院工学研究科物質工学専攻 修了
保有資格
  • 消防設備士:甲種特類、甲種1~5類、乙種6・7類
  • 危険物取扱者:甲種、乙種1~6類、丙種
  • 防火対象物点検資格者/防災管理点検資格者/甲種防火管理者
  • 第二種電気工事士/工事担任者(総合通信)/第三種電気主任技術者
  • 自家用発電設備専門技術者/特種電気工事資格者/職長・安全衛生責任者
  • eco検定/民泊適正管理主任者/フォークリフト運転技能講習 修了

趣味:ギター、バスケットボール(全国高専大会優勝・キャプテン)

主な活動

参考・出典

  • 建築基準法第28条第1項・第2項・第3項(居室の採光及び換気)
  • 建築基準法施行令第19条(居室の採光)・第20条(有効面積の算定方法)
  • 建築基準法施行令第20条の2(換気設備の技術的基準)・第20条の3(火を使用する室に設けなければならない換気設備等)
  • 建築基準法施行令第129条の2の5(換気設備)

※本記事は公表されている法令に基づく一般的な解説です。調査の判定は建物ごとの現況によって異なります。個別の判断は特定行政庁又は建築物調査員にご確認ください。

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