隣り合うA工場とB工場。設置者は別会社ですが、B工場長がA工場の実施を統括管理し、緊急停止権も持っています。
このB工場長を、A工場の防災管理者として選任できるか。
回答は認めました。
ところが自衛防災組織を1つにすることは認められません。
防災管理者を兼ねられるなら、自衛防災組織も1つにまとめられるでしょうか。
できません。
自衛防災組織は当該事業所における実働的な組織であり、二の事業所の自衛防災組織を一とすることはできないとされています。
もともとある社内の規程を、防災規程として届け出てもよいでしょうか。
法第18条及び施設省令第26条の要件を充たした社内規程の届出があつた場合は、法定の防災規程として認めることができるとされました。
- 隣接するB工場の防災管理者を、A工場に係る防災管理者として選任することはできます
- ただし二の事業所の自衛防災組織を一とすることはできません
- 法第18条及び施設省令第26条の要件を充たした社内規程は、法定の防災規程として認められます
- 異常現象の通報は必ずしも全ての関係機関に対してなされる必要はなく、防災計画であらかじめ通報先を定めます
- 一部事務組合の管内に特別防災区域がある場合、所在地の市町村長の権限とされるのは法第5条第3項及び第4項、第8条第6項及び第8項、第11条第2項並びに第38条です
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目次
隣の工場の防災管理者を兼ねられるか

互いに隣接する甲が設置するA工場と、乙が設置するB工場があります。
B工場長がA工場の事業の実施を統括管理する者を兼ねており、A工場における最高責任者としての権限と緊急停止権を含む緊急措置権を持ち、A工場内の従業員に指示命令できることが契約上および防災規程上明らかになっています。
ただし、A工場とB工場は一の特定事業所としては取り扱いません。
問2 A、B工場の自衛防災組織を一の組織とすることができるか。
答2 できない。自衛防災組織は、当該事業所における実働的な組織であり、二の事業所の自衛防災組織を一とすることはできない。
同じ照会の中で、結論が2つに分かれました。
防災管理者は兼ねられます。前の記事で見たとおり、求められているのは事業の実施を統括管理し、指示命令できる立場にあることです。契約と防災規程で明らかならB工場長でも構いません。
一方、自衛防災組織は1つにできません。理由が明快に書かれています。当該事業所における実働的な組織だからです。
統括する頭は1つでよくても、手足は事業所ごとに要る。災害はどちらか一方で起きるので、両方に人と資機材が揃っていなければなりません。
共同防災組織という別の枠を使えば協力はできます。ただし自衛防災組織そのものを共有することはできません。
人は兼ねられても、組織はまとめられないのですね。
実働の組織だからです。
組織の図を、事業所ごとに整理してください。
社内規程を防災規程にできるか

それとは別に法定の防災規程を作るのか、それとも今あるものを届け出てよいのか。
名前が社内規程であっても構いません。判断されるのは中身です。
条件は2つ。法第18条の要件と、施設省令第26条の要件を充たしていること。そして届出があること。
前の記事で見た損害補償条例の話と同じ考え方です。あちらも既存の非常勤消防団員等公務災害補償条例を一部改正して処理してよいとされました。制度は増やさず既存のものに乗せます。
実務では、既存の社内規程と省令第26条の項目を突き合わせて、足りない項目を書き足すのが早道です。ゼロから作り直すより運用が続きます。
名前ではなく、中身で判断されるのですね。
要件を満たせば足ります。
既存の規程を、省令の項目と突き合わせてください。
異常現象は全ての関係機関に通報するか

通報を受けた消防署長または市町村長は、そこから先の関係機関すべてに通報しなければならないのか。
全部に流す必要はありません。ただし、その代わりに求められていることがあります。
異常現象の種類や態様に即して、応急対策上緊急に連絡する必要のある通報先を、あらかじめ防災計画に定めておく。
つまり現場で選ぶのではなく事前に決めます。発災した瞬間にどこへ何を伝えるかを考えている余裕はありません。
この考え方は、事業所側の防災規程にもそのまま当てはまります。漏洩なのか火災なのか、規模はどうか。それぞれの場合に誰へ連絡するのかを表にしておけば、当日の判断が要らなくなります。
通報先は、先に決めておくのですね。
全部に流す必要はありません。
通報の系統を、一覧にしておきましょう。
一部事務組合の管内では誰の権限か

その管内に特別防災区域があるとき、法律の条文にある関係市町村長や市町村長等のうち、所在地の市町村長の権限と解すべきものはどれか。
ただし、これら市町村長とされるものについては、組合管理者と協議して処理すべきものであり、また法第48条の規定に基づく権限の委任は、直接には、市町村長に対するものであるが、内容に応じて組合で処理するものもあるものである。
所在地の市町村長の権限とされるのは、法第5条第3項および第4項、第8条第6項および第8項、第11条第2項、第38条の6か所です。
ただし書きが2つ続きます。
1つ目は、これらについても組合管理者と協議して処理すべきものであること。権限が市町村長にあることと、市町村長が単独で決めることは違います。
2つ目は、法第48条の権限の委任について。委任は直接には市町村長に対するものですが、内容に応じて組合で処理するものもあります。
実務で相談を持ち込む側から見ると、窓口が市か組合かは条文ごとに違うということになります。事前に確かめておかないと、たらい回しになります。
権限の所在も、条文で示されているのですね。
名指しで整理されています。
関係する市町村の窓口を、確かめておいてください。
合併して1社になった場合の扱い

特別防災区域内の第1種事業所A社と、第1種レイアウト規制対象事業所B社が合併し、新会社C社を設立しました。旧A社はC社東油槽所、旧B社はC社西油槽所として業務を開始しています。
従来レイアウト規制外だった東油槽所について、法第5条の手続はどうなるのか。
1 両事業所とも同会社であるため、レイアウト規制を受ける。
2 C社東油槽所は従来レイアウト規制を受けていないため、単なる名称のみの変更(施設に変更なし)と解し、法第5条の規制は受けない。
1 C社の東油槽所と西油槽所にそれぞれ事業を統括する者が存した場合には、それぞれ別の特定事業所として取り扱う。この場合西油槽所は、法第14条の地位の承継の手続きが必要である。
2 東油槽所と西油槽所を統括する者が1人である場合(この場合は運用通達第1、2、(1)の条件を満足することが必要である。)は、C社西油槽所(B社)にC社東油槽所(A社)を含めるレイアウトの変更があつたものとして法第7条の変更の届出が必要である。なお、同日付で、A社、B社はそれぞれC社に変更したものとし、C社は地位の承継の手続きが必要である。
会社が1つになったかどうかでは決まりませんでした。分かれ目は、それぞれの油槽所に事業を統括する者がいるかどうかです。
統括する者が2人いれば、別々の特定事業所として扱います。手続は西油槽所の地位の承継だけです。
統括する者が1人なら、西油槽所に東油槽所を含めるレイアウトの変更があったものとして、法第7条の変更の届出が必要になります。
この記事の最初の項目と、判断の軸がぴたりと重なります。事業所の輪郭は統括する者で決まります。隣接工場の防災管理者を兼ねられたのも同じ理由でした。
合併を検討するときは、登記より先に現場の統括体制をどうするかを決めておく必要があります。そこで手続の中身が変わります。
合併したときの扱いも、示されているのですね。
手続きの要否が問われました。
組織の変更は、届出の要否から確認してください。
よくある質問
まとめ
- 隣接工場の防災管理者を兼ねて選任することはできます
- ただし自衛防災組織は二の事業所で一とすることはできません
- 理由は自衛防災組織が当該事業所における実働的な組織だからです
- 社内規程は法第18条及び施設省令第26条の要件を充たせば防災規程として認められます
- 異常現象の通報先は防災計画においてあらかじめ定めるべきものです
- 一部事務組合の管内でも組合管理者と協議して処理します
- まとめられるのは判断と書面、分けておくのは実働の組織と条文上の権限です
同時に2か所で必要になるものは、分けておくのですね。
すっきりしました。
社内規程がある事業所は、まず省令の項目と突き合わせてみてください。
㈱防災屋でもご相談を承っています。
参考・出典
- 石油コンビナート等災害防止法の運用に係る資料の送付について(昭和59年12月21日 消防地第288号 消防庁地域防災課長から関係都道府県消防防災主管部長あて回答)
- 石油コンビナート等災害防止法第5条・第8条・第11条・第18条・第23条第1項・第38条・第48条
- 石油コンビナート等における特定防災施設等及び防災組織等に関する省令第26条
- 消防実務六法 質疑応答編
※本記事は公表されている法令および通達に基づく一般的な解説です。掲載した回答には昭和50年代のものが含まれ、条番号や機関の名称等は当時のものです。個別の事案についての適用は、所轄消防署または自治体にご確認ください。




