BLOG

延べ面積はなぜ車庫や宅配ボックスの部分を除いて算定できるのか|建築基準法施行令第二条の不算入基準を解説

モダンな中層マンションの外観と駐車場入口宅配ボックスコーナーの写真

建物の容積率を計算するとき、延べ面積は各階の床面積をそのまま合計した数字とは限りません。
駐車場や蓄電池、貯水槽といった設備を置く部分は、一定の割合を限度に延べ面積から除くことが認められています。
どの部分がどこまで除かれるのかは、建築基準法施行令に号ごとに細かく定められています。
この延べ面積の不算入の仕組みと、それぞれの部分に定められた限度を解説します

うちのビルは駐車場や貯水槽があるんですが、延べ面積の計算に入るんでしょうか。

建築基準法施行令第二条に、不算入となる部分が号ごとに定められています。
まず条文の枠組みから見ていきましょう。

車庫だけじゃなくて、蓄電池や宅配ボックスまで対象なんですか。

はい、用途ごとに不算入の限度が決まっています。
条文の中身を順番に確認しましょう。

この記事の結論
  • 建築基準法施行令第二条第一項第四号は、法第五十二条第一項の延べ面積(容積率算定用)に限り、特定の建築物の部分の床面積を算入しないと定めています
  • 自動車車庫等部分(駐車場・駐輪場等)は、各階床面積合計の五分の一を限度に不算入となります(施行令第二条第三項第一号)。
  • 蓄電池設置部分(床に据え付けるものに限る)は五十分の一、自家発電設備設置部分と貯水槽設置部分は百分の一が限度です(同項第三号〜第五号)。
  • 宅配ボックス設置部分も、荷受人不在時の荷受箱に限り百分の一を限度に不算入となります(同項第六号)。
  • これらの不算入はあくまで容積率算定用の延べ面積の話であり、消防法令が使う延べ面積には影響しません

延べ面積は車庫や蓄電池宅配ボックスの部分を除いて算定できることを示す図解

自動車車庫等部分はなぜ延べ面積から除かれるのか

駐車場や駐輪場のスペースを持つ建物と奥に並ぶ別の建物のイラスト
延べ面積は建築物の各階の床面積の合計ですが、容積率の算定ではすべてが対象になるとは限りません。
駐車場や駐輪場として使う部分には、独自の不算入ルールがあります。
建築基準法施行令第二条第一項第四号イ・第三項第一号(自動車車庫等部分) 自動車車庫その他の専ら自動車又は自転車の停留又は駐車のための施設(誘導車路、操車場所及び乗降場を含む。)の用途に供する部分(略)。(第三項)自動車車庫等部分 五分の一
自動車車庫等部分は、各階の床面積の合計の五分の一を限度に延べ面積へ算入されません
対象は自動車の駐車施設だけでなく自転車の駐輪施設も含み、誘導車路や操車場所、乗降場までまとめて自動車車庫等部分として扱われます。
この不算入の割合五分の一は、次に見る他の部分と比べていちばん大きく設定されています。
限度を超えて駐車場を設けた場合、超えた部分は通常どおり延べ面積に算入されます。
次は蓄電池を設ける部分を確認しましょう。

駐輪場も含めて、車庫のスペースは五分の一まで対象外になるんですね。

はい、五分の一が限度です。
次は蓄電池を設ける部分を見ていきましょう。

蓄電池を設ける部分はどこまで延べ面積から除かれるのか

床に据え付けられた大きな蓄電池が並ぶ機械室と隣に建つ建物のイラスト
停電時の非常用電源として、建物に蓄電池を据え付けるケースが増えています。
この蓄電池を置くスペースにも、延べ面積の不算入ルールが設けられています。
建築基準法施行令第二条第一項第四号ハ・第三項第三号(蓄電池設置部分) 蓄電池(床に据え付けるものに限る。)を設ける部分(略)。(第三項)蓄電池設置部分 五十分の一
蓄電池設置部分は、各階の床面積の合計の五十分の一を限度に延べ面積へ算入されません
対象になるのは床に据え付けるものに限られており、可搬型や壁掛け型の蓄電池は条文の対象として明記されていません。
不算入の限度は五十分の一で、自動車車庫等部分の五分の一よりもかなり小さく設定されています。
非常用の蓄電設備は消防用設備等の電源にも関わるため、設置スペースの位置は設計段階から検討しておくと安心です。
次は自家発電設備を設ける部分を確認しましょう。

車庫より対象が狭いんですね。
壁掛けの蓄電池だと対象外になるということですか。

条文は床に据え付けるものに限定しています。
次は自家発電設備を設ける部分を見ていきましょう。

自家発電設備を設ける部分はなぜ不算入の対象になるのか

自家発電設備の据えられた機械室と奥に立つ建物のイラスト
非常用の自家発電設備は、消防用設備等の予備電源としても設けられる設備です。
これを設置するスペースにも、専用の不算入枠が定められています。
建築基準法施行令第二条第一項第四号ニ・第三項第四号(自家発電設備設置部分) 自家発電設備を設ける部分(略)。(第三項)自家発電設備設置部分 百分の一
自家発電設備設置部分は、各階の床面積の合計の百分の一を限度に延べ面積へ算入されません
蓄電池設置部分と異なり、条文に床に据え付けるものという限定は付いていません。
不算入の限度百分の一は、蓄電池設置部分の五十分の一よりもさらに小さい割合です。
自家発電設備は燃料の貯蔵や排気にも別の規制がかかるため、延べ面積の算定だけで設置場所を決めることはできません。
次は貯水槽を設ける部分を確認しましょう。

発電機の部屋は百分の一までなんですね。
蓄電池よりさらに狭いんですね。

限度は百分の一で、蓄電池設置部分よりさらに小さくなります。
次は貯水槽を設ける部分を見ていきましょう。

貯水槽を設ける部分はどんな基準で不算入になるのか

貯水槽の据えられた部屋と隣に積まれた法令の書物のイラスト
建物には飲料水用や消防用など、さまざまな目的で貯水槽が設けられます。
この貯水槽を置くスペースも、延べ面積の不算入対象になっています。
建築基準法施行令第二条第一項第四号ホ・第三項第五号(貯水槽設置部分) 貯水槽を設ける部分(略)。(第三項)貯水槽設置部分 百分の一
貯水槽設置部分は、各階の床面積の合計の百分の一を限度に延べ面積へ算入されません
条文は貯水槽の用途を限定していないため、飲料水用の受水槽か消防用の貯水槽かを問わず対象になります。
不算入の限度は自家発電設備設置部分と同じ百分の一です。
受水槽室や消火用水槽室を地階などにまとめて設ける建物では、この不算入枠を意識した設計がされていることがあります。
次は宅配ボックスを設ける部分を確認しましょう。

消防用の貯水槽でも飲料水用の受水槽でも、扱いは同じということですか。

条文上は用途を問いません
次は宅配ボックスを設ける部分を見ていきましょう。

宅配ボックスを設ける部分はなぜ延べ面積から除かれるのか

宅配ボックスの並ぶ建物の入口と隣に置かれた配達物のイラスト
宅配ボックスは比較的新しく不算入の対象に加わった設備です。
条文は対象となる宅配ボックスの範囲を細かく定義しています。
建築基準法施行令第二条第一項第四号ヘ・第三項第六号(宅配ボックス設置部分) 宅配ボックス(配達された物品(荷受人が不在その他の事由により受け取ることができないものに限る。)の一時保管のための荷受箱をいう。)を設ける部分(略)。(第三項)宅配ボックス設置部分 百分の一
宅配ボックス設置部分は、各階の床面積の合計の百分の一を限度に延べ面積へ算入されません
条文が対象とするのは、荷受人が不在等で受け取れない配達物を一時保管する荷受箱に限られます。
不算入の限度は貯水槽設置部分や自家発電設備設置部分と同じ百分の一です。
共同住宅の宅配ボックスコーナーが延べ面積を圧迫しにくいのは、この不算入規定によるところが大きいといえます。
次は、これらの不算入がどこまで及ぶのかを確認しましょう。

宅配ボックスまで対象になっているのは知りませんでした。

荷受人不在時の荷受箱に限られます。
次は不算入の及ぶ範囲を整理しましょう。

よくある質問

Q自動車車庫等部分の不算入にはどんな上限がありますか?
A各階の床面積の合計の五分の一を限度に、法第五十二条第一項の延べ面積に算入されません(建築基準法施行令第二条第三項第一号)。
Q蓄電池はどんな設置方法でも不算入の対象になりますか?
A床に据え付けるものに限られ、限度は各階床面積合計の五十分の一です(同項第一項第四号ハ・第三項第三号)。
Q自家発電設備や貯水槽の不算入の限度はどのくらいですか?
Aいずれも各階床面積合計の百分の一が限度です(同項第一項第四号ニ・ホ、第三項第四号・第五号)。
Q宅配ボックスはどんな設備が対象になりますか?
A荷受人が不在等で受け取れない配達物を一時保管する荷受箱に限られ、限度は百分の一です(同項第一項第四号ヘ・第三項第六号)。

まとめ

施行令第二条第一項第四号は、法第五十二条第一項の延べ面積(容積率算定用)に限り、特定の部分の床面積を算入しないと定めています
自動車車庫等部分(駐車場・駐輪場等)は、各階床面積合計の五分の一を限度に不算入です。
蓄電池設置部分(床に据え付けるものに限る)は五十分の一を限度に不算入です。
自家発電設備設置部分は百分の一を限度に不算入です。
貯水槽設置部分は用途を限定せず百分の一を限度に不算入です。
宅配ボックス設置部分(不在時の荷受箱に限る)も百分の一を限度に不算入です。
これらの不算入はあくまで容積率算定用の延べ面積の話であり、消防法令が使う延べ面積には影響しません

うちの建物の駐車場や貯水槽のスペースも、一度図面で確認してみます!

延べ面積の算定を含む確認も、㈱防災屋でもご相談を承っております。

防火管理はプロにお任せ下さい

まずはWebで無料お見積りを!

お問い合わせ

監修・編集者
青木 俊輔
青木 俊輔

㈱防災屋 代表取締役/消防設備士

平成元年生まれ、三重県鈴鹿市出身。祖父が創業した消防設備業者で10年間勤務した後、独立・起業。現在は青木マーケ㈱、㈱防災屋、(一社)予防団の運営に携わる。Amazonベストセラー1位『改訂版 消防設備士0類』著者。月刊誌「電気と工事(オーム社)」でコラム連載中!

本記事の消防法令、消防用設備等の技術情報および記述内容を監修・編集しています。

詳しい経歴・保有資格を見る
学歴
  • 鈴鹿工業高等専門学校 材料工学科 卒
  • 静岡大学工学部物質工学科 材料科学コース 卒
  • 静岡大学大学院工学研究科物質工学専攻 修了
保有資格
  • 消防設備士:甲種特類、甲種1~5類、乙種6・7類
  • 危険物取扱者:甲種、乙種1~6類、丙種
  • 防火対象物点検資格者/防災管理点検資格者/甲種防火管理者
  • 第二種電気工事士/工事担任者(総合通信)/第三種電気主任技術者
  • 自家用発電設備専門技術者/特種電気工事資格者/職長・安全衛生責任者
  • eco検定/民泊適正管理主任者/フォークリフト運転技能講習 修了

趣味:ギター、バスケットボール(全国高専大会優勝・キャプテン)

主な活動

参考・出典

  • 建築基準法第九十二条(e-Gov法令検索)
  • 建築基準法施行令第二条第一項第四号・第三項(e-Gov法令検索)

※本記事は公表されている法令に基づく一般的な解説です。個別の建物における算定方法や適用の可否は、設計内容や敷地の状況によって異なります。個別の判断は所轄の特定行政庁にご確認ください。

BLOGカテゴリ
最新の記事
防火管理者代行サービス
無料1分概算見積
モダンな中層マンションの外観と駐車場入口宅配ボックスコーナーの写真
建物の容積率を計算するとき、延べ面積は各階の床面積をそのまま合計した数字とは限りません。 駐車場や蓄電池、貯水槽といった設備を置く部分は、一定の割合を限度に延べ面積から除くことが認められています。 どの部分がどこまで除か...