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地震のあと自衛消防組織はどの震度から動くのか|対応行動フローの分かれ方と一時待機の判断を解説

地震のあと自衛消防組織はどの震度から動くのかと題したアイキャッチ画像

地震のあとに自衛消防組織をいつ動かすか決めてありますか。
大きく揺れたら全員で避難する、とだけ書いてある消防計画をよく見かけます。
ところが消防庁のガイドラインは、被害の程度によって対応行動のフローが変わってくると述べています。
この記事では震度で分かれる動き方と一時待機の判断を整理します

うちの計画は地震が起きたら避難誘導、としか書いていません。
それでは足りないのでしょうか。

小さな揺れでも全館避難させることになってしまいます。
揺れの大きさで枝分かれさせておくのが実務的です。

枝分かれというのは何を基準に分けるのでしょうか。

震度と、建物の機能が止まったかどうかです。
ガイドラインはこの2つで入口を分けています。

この記事の結論
  • 消防計画には想定した被害とその被害に対する対策を組にして書きます
  • ガイドラインの対応行動フローは入口が3つに分かれています
  • 震度が上がるほど確かめる範囲は職場内から建物全体へ広がります
  • 避難の要否を判断して一時待機を選ぶ道も用意されています
  • 停電などで建物の機能が止まったときは震度が低くても同じ枝に入ります

地震のあとの動き方が身の安全から点検の範囲と避難の要否を経て待機か避難かへ進む流れを並べた図解

地震のあとの動き方を震度で分けるのはなぜか

建物の右に矢印が伸びその先に高さの違う三本の柱が並んで立っているイラスト
はじめに、消防計画がそもそも何を書く場所なのかを確かめます。
防災管理に係る消防計画の記載事項は、消防法施行規則第51条の8第1項に並んでいます。
消防法施行規則第51条の8第1項第2号イ 地震発生時における建築物その他の工作物及び建築物その他の工作物に存する者等の被害の想定並びに当該想定される被害に対する対策に関すること
想定と対策は一組で求められています
被害を想定するところで止めてしまうと、この号の後半にある対策が空白のまま残ります。
そして想定した被害の大きさが違えば、そのあとに取る対策も当然変わります。
小さな揺れで職場を見回すのと、建物の機能が止まった状態で在館者を動かすのとでは、やることも人手も別物です。
だから対策の側は、ひと通りではなく揺れの程度で分けて書いておく必要があります。

想定は書いたのですが対策は一種類しかありませんでした。

よくある形です。
想定を一段ずつ下げて、そのたびに何をするかを足していくと埋まります。

どの震度でどこまで確かめるのか

左に書類を置いた机があり中央に設備箱を載せた建物があり右に建物の群れが並んでいるイラスト
つぎに、対策を分ける具体的な線がどこに引かれているのかを見ます。
消防庁のガイドラインは、地震発生時の対応行動をひとつのフロー図にして示しています。
総務省消防庁「大規模地震等に対応した消防計画作成ガイドライン」(平成31年)別冊2 図D 地震発生時の対応行動フロー
地震の発生 → 自身の安全確保 → 身の回りの人命救助
震度4以下 → 職場内の点検
震度5弱、5強 → 建物・付帯設備や職場内の点検
震度6弱以上、または建物機能の停止(停電など) → 被害状況の確認
入口は3つに分かれています
どの枝でも先に来るのは自身の安全確保と身の回りの人命救助で、ここまでは共通です。
分かれるのはそのあとで、震度が上がるほど確かめる範囲が広がっていきます。
震度4以下なら職場の中だけ、震度5弱と5強なら建物と付帯設備まで、震度6弱以上なら被害状況そのものの確認に進みます。
自分の消防計画に、この3段に当たる書き分けがあるかどうかを見てください。

点検する範囲が段になっているのですね。

そのとおりです。
誰がどこを見るかまで決めておくと、当日に迷わなくなります。

全館避難と一時待機はどこで分かれるのか

左に机で座っている人がおり中央にひし形の板が立ち右に出入口へ歩いていく人が並んでいるイラスト
つづいて、いちばん重い枝がそのあとどう進むのかを追います。
被害状況の確認から先には、判断のひし形がひとつ置かれています。
総務省消防庁「大規模地震等に対応した消防計画作成ガイドライン」(平成31年)別冊2 図D
被害状況の確認 → 避難が必要か
いいえ → 一時待機 → 情報収集 → 日常業務へ移行
はい → 全館避難・避難誘導 → 一時避難場所 → 広域避難場所 → 帰宅または残留(帰宅困難者)
避難しないという選び方が用意されています
確認の結果として避難が必要でなければ、いったん一時待機に入り、情報収集をしてから日常業務へ戻る道が示されています。
必要であれば全館避難と避難誘導に進み、一時避難場所を経て広域避難場所まで下がります。
どちらの道でも最後は帰宅または残留にたどり着くので、帰宅困難者への備えは避難の有無にかかわらず必要になります。
消防計画には、この分岐を誰が判断するのかと、判断に使う材料を書いておいてください。

つまり待機も立派な選択肢というわけですね。

屋外に落下物があれば外のほうが危ないこともあります。
待機のあいだ何を集めるかまで決めておくと動けます。

実務で見落としやすいのはどこか

左に目盛りの付いた柱だけが立つ区画があり右に目盛りの付いた柱と暗い画面の盤が並ぶ区画があるイラスト
ここからは、フローを写すだけでは抜けてしまうところを見ます。
いちばん重い枝の入口には、震度以外の条件がもうひとつ書かれています。
総務省消防庁「大規模地震等に対応した消防計画作成ガイドライン」(平成31年)別冊2 図D
枝の名前 震度6弱以上、または建物機能の停止(停電など)
<緊急対応> 救出・救護/二次災害防止/エレベーター閉じ込め対応/居室閉じ込め対応/避難設備・消防設備の損壊対応/応急復旧(漏水対応、障害物除去など)/館内放送/活動資機材確保 など
震度が低くても重い枝に入ることがあります
枝の名前は震度6弱以上だけではなく、建物機能の停止も並べて書かれています。
停電が例に挙がっているとおり、揺れが小さくても建物が動かなくなれば被害状況の確認から始めることになります。
もうひとつ見落としやすいのが緊急対応で、8項目が並んだうえに末尾へ「など」が付いています。
これは点検や確認の途中でいつでも割り込んでくるものなので、担当を先に決めておかないと誰も動けません。

震度だけを見て分けるつもりでいました。

停電や設備の停止も同じ扱いになります。
建物の機能が落ちた時点で重いほうへ寄せる、と書いておけば足ります。

明日からなにを確かめればよいのか

左に開いた書類を置いた机があり中央で人が右を指し示し右に四角の並んだ掲示板が立っているイラスト
最後に、書き分けたあとに何をするのかを確かめます。
消防計画は作って届け出れば終わりというものではありません。
消防法施行令第48条第2項 防災管理者は、前項の消防計画に基づいて、当該防災管理対象物について避難の訓練の実施その他防災管理上必要な業務を行わなければならない
消防計画に基づいて動くところまでが業務です
書き分けた枝は、訓練で通してみないと使えるかどうかが分かりません。
明日からの手順は三つです。
まず、いまの消防計画に震度による書き分けがあるかを開いて確かめてください。
つぎに、停電など建物の機能が止まったときも重い枝へ寄せると一行足してください。
そのうえで、避難の要否を誰が判断するのかを決めて、次の訓練でその判断まで含めて通してみてください。

次の訓練は判断のところから始めてみます。

そこがいちばん詰まる場所です。
判断の材料をそろえておくと、当日は読み上げるだけで済みます。

よくある質問

Q震度で分けることは消防法令に書かれているのですか?
A消防法施行規則第51条の8第1項第2号イが求めているのは、被害の想定と想定される被害に対する対策を消防計画に定めることまでです。震度で分けるという分け方そのものは条文にはなく、消防庁のガイドラインが対応行動フローのとして示しているものになります。
Q震度の情報はどこで確かめればよいのですか?
Aガイドラインの図Dは震度で枝を分けていますが、確かめる手段までは示していません。テレビやラジオが使えない場面もあるため、どの手段で震度を知るのかと、それが得られないときにどう判断するのかを代わりの決め方として書いておくと止まりません。
Q一時待機を選んだあとはずっと待つのですか?
A図Dでは一時待機のつぎに情報収集が置かれ、そこから日常業務へ移行する道と帰宅または残留へ進む道が示されています。待つこと自体が目的ではないので、何が分かれば次へ進むのかという条件を消防計画に書いておく形になります。
Q地震のあとに火が出た場合はこのフローから外れるのですか?
A図Dは火災の覚知から初期消火までの部分を火災発生のケースと同じものとして枠で囲んで示しています。消火そのものは防火管理に係る消防計画の側で定めるものなので、防災管理の計画からはつながりが分かるように書いておくと迷いません。

まとめ

消防計画には被害の想定とその被害に対する対策を組にして書きます
ガイドラインの対応行動フローは入口が3つあります
震度が上がるほど確かめる範囲は職場内から建物全体へ広がります
避難の要否を判断して一時待機を選ぶ道もあります
停電などで建物の機能が止まったときも重い枝へ寄せて考えます
緊急対応はどの枝の途中でも割り込むので担当を決めます
書き分けた枝は避難の訓練で通してはじめて使えるようになります

一本道で書いていた地震の章を枝分かれに直してみます。
まずは停電の一行から足します。

そこから始めるのが近道です。
地震を想定した消防計画の見直しでお困りでしたら㈱防災屋でもご相談を承っております。

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監修・編集者
青木 俊輔
青木 俊輔

㈱防災屋 代表取締役/消防設備士

平成元年生まれ、三重県鈴鹿市出身。祖父が創業した消防設備業者で10年間勤務した後、独立・起業。現在は青木マーケ㈱、㈱防災屋、(一社)予防団の運営に携わる。Amazonベストセラー1位『改訂版 消防設備士0類』著者。月刊誌「電気と工事(オーム社)」でコラム連載中!

本記事の消防法令、消防用設備等の技術情報および記述内容を監修・編集しています。

詳しい経歴・保有資格を見る
学歴
  • 鈴鹿工業高等専門学校 材料工学科 卒
  • 静岡大学工学部物質工学科 材料科学コース 卒
  • 静岡大学大学院工学研究科物質工学専攻 修了
保有資格
  • 消防設備士:甲種特類、甲種1~5類、乙種6・7類
  • 危険物取扱者:甲種、乙種1~6類、丙種
  • 防火対象物点検資格者/防災管理点検資格者/甲種防火管理者
  • 第二種電気工事士/工事担任者(総合通信)/第三種電気主任技術者
  • 自家用発電設備専門技術者/特種電気工事資格者/職長・安全衛生責任者
  • eco検定/民泊適正管理主任者/フォークリフト運転技能講習 修了
主な活動

趣味:ギター、バスケットボール(全国高専大会優勝・キャプテン)

参考・出典

  • 消防法(昭和23年法律第186号)第36条
  • 消防法施行令(昭和36年政令第37号)第45条・第46条・第48条
  • 消防法施行規則(昭和36年自治省令第6号)第51条の8
  • 総務省消防庁「大規模地震等に対応した消防計画作成ガイドライン」(平成31年)別冊2
  • e-Gov法令検索

※本記事は公表されている法令および消防庁等の資料に基づく一般的な解説です。条例や運用は市町村ごとに異なる場合があります。個別の判断は所轄消防署にご確認ください。

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