国宝や重要文化財に指定された建物のまわりで、いつも禁煙の標識を見かけたことはありませんか。
実はこの禁煙区域、劇場や地下街とは違うしくみで指定されています。
消防法にも似た制限がありますが、こちらは期間限定という点で大きく異なります。
文化財というかけがえのない財産を守るために、消防の現場でどんな判断が働いているのかを解説します
うちは古い神社の隣に建物があるんですが、あの神社の周りっていつも喫煙禁止なんですよね。
それは消防長が指定した禁煙区域かもしれません。
普通の禁煙区域と何か違うんですか。
実は文化財だけの特別な指定なんです。
順番に見ていきましょう。
- 重要文化財等である建造物の内部と周囲は、消防長(消防署長)が指定すれば常時禁煙にできます。
- 対象は国宝や重要文化財だけでなく、市区町村が条例で指定する「重要な文化財」も含まれます。
- 消防法第23条による制限は市町村長が期間を限って行うもので、常時指定とは仕組みが異なります。
- 文化財として指定された場所には、喫煙所を設ける例外が認められていません。
- 建物内で伝統的な行事や宗教的な行事を行う場合は、指定にあたって配慮されることになっています。
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目次
重要文化財の建物はなぜ喫煙等の禁止に追加されたのか

だからこそ、火災予防条例の準則は平成の改正で新しい発想を取り入れました。
これまでの準則が禁煙区域に指定できたのは、劇場・百貨店・地下街など、火災が起きれば大勢の命に関わる場所でした。
そこに今回、人の命とは別のものさしで重要文化財が加わりました。
建物そのものが失われれば取り返しがつかない、という財産保護の視点です。
だから対象の選び方や指定の考え方も、他の場所とは少し違います。
人の命を守る場所とは、そもそも理由が違ったんですね。
その通りです。
だから対象の決め方も独特なんです。
どの文化財のどの範囲が指定の対象になるのか

敷地の広がりまで含めて考える必要があります。
国宝や重要文化財そのものはもちろん、市区町村が条例で独自に指定した「重要な文化財」も含まれます。
しかも指定の範囲は建物の内部だけでなく、周囲の敷地も一体として指定できます。
一方で、そこで行われる祭礼や法要などの伝統的な行事を妨げないよう、指定の仕方には配慮が求められています。
一般の住宅として使われている建物であれば、生活そのものを邪魔しないことも条件です。
建物の中だけじゃなくて、境内全体が対象になることもあるんですね。
はい。
だからこそ祭礼への配慮まで通知に書かれているんです。
通知は消防機関にどんな運用を求めているのか

標識の設置まで含めて一つの制度になっています。
消防長(消防署長)が場所を指定したら、見やすい位置に標識の設置が義務づけられます。
標識には喫煙・裸火の使用・危険物品の持ち込みを禁止する旨をはっきり示す必要があります。
これは劇場や百貨店の指定と共通するしくみですが、次に説明する文化財特有の部分だけは違います。
そこが実務でいちばん見落とされやすいところです。
標識さえ立てれば、どこかに喫煙所を作ってもいいんですか。
そこが文化財だけの特別な点なんです。
次で説明しますね。
実務で見落としやすいのはどこか

権限を持つ人も、期間の考え方もまったく違います。
条例の指定は消防長(消防署長)が行い、期限を区切らない常時の禁煙区域になります。
一方で消防法第23条の制限は市町村長が主体で、期間を限った時限的な措置にとどまります。
さらに条例で指定された文化財の区域は、喫煙所を設ける対応の対象からも外れています。
つまり常時指定を受けた文化財では、喫煙所を作るという選択肢自体がありません。
常時の指定と期間限定の制限、どっちがかかっているか調べる方法はありますか。
所轄の消防署に確認するのがいちばん確実です。
最後にその手順をまとめます。
明日からなにを確認すればよいか

まずは所轄消防署への問い合わせから始めます。
自分の建物や周辺が消防長の指定を受けているかどうかは、所轄消防署への問い合わせで分かります。
指定を受けていれば、標識のとおり喫煙・裸火・危険物品の持ち込みを全面的に控える運用が必要です。
祭礼や法要などで一時的に火気を使う計画がある場合は、その旨も併せて相談しておくと安心です。
指定を受けていない場所でも、行事の規模によっては消防法第23条に基づく別の相談が必要になることがあります。
まずは所轄の消防署に聞いてみればいいんですね。
それが一番の近道です。
行事の予定があるなら、早めに相談しておくと安心ですよ。
よくある質問
まとめ
常時の指定と期間限定の制限、混同せずに済みそうです。
迷ったら所轄消防署に確認するのが一番です。
㈱防災屋でもご相談を承っております。
㈱防災屋 代表取締役/消防設備士
平成元年生まれ、三重県鈴鹿市出身。祖父が創業した消防設備業者で10年間勤務した後、独立・起業。現在は青木マーケ㈱、㈱防災屋、(一社)予防団の運営に携わる。Amazonベストセラー1位『改訂版 消防設備士0類』著者。月刊誌「電気と工事(オーム社)」でコラム連載中!
本記事の消防法令、消防用設備等の技術情報および記述内容を監修・編集しています。
詳しい経歴・保有資格を見る
- 鈴鹿工業高等専門学校 材料工学科 卒
- 静岡大学工学部物質工学科 材料科学コース 卒
- 静岡大学大学院工学研究科物質工学専攻 修了
- 消防設備士:甲種特類、甲種1~5類、乙種6・7類
- 危険物取扱者:甲種、乙種1~6類、丙種
- 防火対象物点検資格者/防災管理点検資格者/甲種防火管理者
- 第二種電気工事士/工事担任者(総合通信)/第三種電気主任技術者
- 自家用発電設備専門技術者/特種電気工事資格者/職長・安全衛生責任者
- eco検定/民泊適正管理主任者/フォークリフト運転技能講習 修了
趣味:ギター、バスケットボール(全国高専大会優勝・キャプテン)
参考・出典
- 改正火災予防条例準則の運用について(平成3年10月8日付け消防予第206号消防庁予防課長通知、その後平成13年3月消防予第103号・消防危第53号、令和5年2月第126号で改正)
- 消防法(昭和23年法律第186号)第23条
- 文化財保護法(昭和25年法律第214号)第182条第2項
- 東京都火災予防条例第23条第1項第4号
※本記事は公表されている法令および消防庁の通知に基づく一般的な解説です。条例や運用は市町村ごとに異なる場合があります。個別の判断は所轄消防署にご確認ください。





