展示だけの部屋、一部だけ休止している設備、宿泊もできる研修所。
「主たる用途は何か」という解釈のとらえ方ひとつで、答えが変わることがあります。
区画で分けさえすれば、免除も自由にできるのか。
質疑応答が示したのは利用実態を見て主たる用途を絞り込むという考え方です。
ビルの一部をショールームにしているんですが、それだけで複合用途になりますか。
使い方によります。
ショーウインド的な利用なら含まれます。
区画で分ければ、遡及適用も免除できるんですよね。
それも含めて5つの事例を順に見ていきます。
- 貸ビルのショールームがショーウインド的な利用なら事務所部分に含まれます
- 屋内スポーツ施設の一部門が休止していても区分は変わりません
- 自動車販売会社の展示室は主たる用途とはみなされません
- 貸研修所は宿泊室が主たる用途なら(5)項イに該当します
- 区画で分けても非特定用途部分は現行基準が適用されます
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目次
貸ビルのショールームは事務所に含まれるか

そこを主たる用途とみるか、事務所の従属部分とみるかという問いです。
ショールームがショーウインドウ的な利用形態、つまり商品を並べて見せるだけの使い方であれば、独立した用途として切り出さず、事務所と同じ(15)項として扱われます。
逆に言えば、そこで実際に接客や販売行為を行うような使い方になれば、判断は変わってくる可能性があります。
自社のショールームを持っているなら、そこで商談や物品の受け渡しまで行っているかどうかを確認してください。見せるだけか、それ以上かが分かれ目です。
「見せるだけ」かどうかが境界線なんですね。
そうです。
商談や受け渡しまで行っているか確認してください。
屋内スポーツ施設の一部門が休止していても区分は変わるか

その一部門が休止していることで、区分が変わるのかという相談です。
ゴルフボール部門が休止していても、施設全体としての区分は令別表第1(2)項ロのまま変わりませんでした。休止は一時的な状態であり、施設の性格そのものを変えるものではないという考え方です。
つまり、稼働率や営業状況の変化だけを理由に区分の見直しを求めても、簡単には認められないということです。
複合スポーツ施設の一部を一時休止しているなら、区分はそのままである前提で、休止部分も含めた設備の維持を続けてください。
休止は一時的な状態だから区分は変わらないんですね。
その通りです。
休止部分も含めた設備の維持を続けてください。
自動車販売会社の展示室は主たる用途になるか

販売に伴う受け渡し行為がないという条件のもとで、答えはどちらに転ぶのか。
問いでは「主たる用途」のとらえ方によって(16)項イにも(4)項にもなり得ることが説明されていましたが、答えは展示室を主たる用途とみなさないという立場を取りました。
判断のポイントは、不特定者の出入りが極めて少なく、直接の受渡し行為もない、というショーウインド的な利用実態です。
展示スペースを持つ店舗を運営しているなら、そこで実際に商品の受け渡しをしているか、来店客の出入りがどの程度かを整理したうえで区分を確認してください。
「主たる用途」のとらえ方で結論が変わりうるという前置きがあったんですね。
そこは実態が決め手でした。
受け渡しの有無と出入りの多さを整理してください。
貸研修所は宿泊室の扱い次第で区分が変わるか

それでも宿泊室がある以上、区分はどうなるのかという問いです。
宿泊室部分を主たる用途とみなし、他の部分(会議室・食堂等)がそこに従属するとみなせるなら(5)項イ、そう言えない場合は(16)項イです。
ここで効いてくるのが、以前の記事で見た従属的な部分の3条件(管理権原・利用者・利用時間)です。宿泊者と会議室等の利用者が重なっているかがポイントになります。
合宿型の研修施設を運営しているなら、宿泊室の利用者とその他の部屋の利用者が同一かどうかを、まず確認してください。
ここでも従属的な部分の考え方が出てくるんですね。
そうです。
宿泊者と他の部屋の利用者が同一か確認してください。
区画で分ければ非特定用途部分の遡及適用は免除できるか

その場合、非特定用途の部分だけ古い基準のままでよいのかという問いです。
耐火構造で区画を施しても、非特定用途の部分に現行の基準が適用されるという結論です。令第32条を使った免除は認められませんでした。
つまり、区画さえすれば古い基準のままでよい、という単純な話ではないということです。
特定用途と非特定用途が混在する既存建物を持っているなら、区画工事をしても両方の部分に現行基準が及ぶ前提で計画を立ててください。
区画すれば免除、と思っていましたがそう単純ではないんですね。
その通りです。
両方の部分に現行基準が及ぶ前提で計画を立ててください。
㈱防災屋でもご相談を承っています。
よくある質問
まとめ
「見せるだけ」かどうかが軸になるんですね。
うちのショールームも確認してみます。
展示・休止・区画、どれも「それだけでは決まらない」のが共通点です。
実態から見る姿勢を大事にしてください。
㈱防災屋でもご相談を承っています。
㈱防災屋 代表取締役/消防設備士
平成元年生まれ、三重県鈴鹿市出身。祖父が創業した消防設備業者で10年間勤務した後、独立・起業。現在は青木マーケ㈱、㈱防災屋、(一社)予防団の運営に携わる。Amazonベストセラー1位『改訂版 消防設備士0類』著者。月刊誌「電気と工事(オーム社)」でコラム連載中!
本記事の消防法令、消防用設備等の技術情報および記述内容を監修・編集しています。
詳しい経歴・保有資格を見る
- 鈴鹿工業高等専門学校 材料工学科 卒
- 静岡大学工学部物質工学科 材料科学コース 卒
- 静岡大学大学院工学研究科物質工学専攻 修了
- 消防設備士:甲種特類、甲種1~5類、乙種6・7類
- 危険物取扱者:甲種、乙種1~6類、丙種
- 防火対象物点検資格者/防災管理点検資格者/甲種防火管理者
- 第二種電気工事士/工事担任者(総合通信)/第三種電気主任技術者
- 自家用発電設備専門技術者/特種電気工事資格者/職長・安全衛生責任者
- eco検定/民泊適正管理主任者/フォークリフト運転技能講習 修了
趣味:ギター、バスケットボール(全国高専大会優勝・キャプテン)
参考・出典
- 貸ビルの用途による防火対象物の取り扱いについて(昭和52年1月27日 消防予第12号 予防救急課長から各都道府県消防主管部長あて回答)
- 複合した消防法施行令別表第1(16)項イとして取り扱つていたスポーツセンターの取り扱いについて(同日 同号)
- 自動車販売会社が展示室に新車を展示のみしている場合の令別表の取り扱いについて(同日 同号)
- 貸研修所は消防法施行令別表第何項に該当するか(同日 同号)
- 既存特定防火対象物で非特定用途に供される部分の消防用設備等の遡及適用について(同日 同号)
- 消防法施行令別表第1
- 消防実務六法 質疑応答編
※本記事は公表されている法令および通達に基づく一般的な解説です。掲載した回答は昭和52年当時のもので、通知番号や機関の名称等は当時のものです。その後の改正により運用が変わっている場合があります。個別の事案についての適用は、所轄消防署にご確認ください。





