地下タンク貯蔵所は地面の下に納まるので、その上を別の用途に使いたいという要望が必ず出ます。
駐車場にしたい、作業場にしたい、あるいは店舗の客席にしたい。
一方で配管のほうも、地中直埋めをやめてトレンチに収めたいという相談が出てきます。
どちらも古い質疑応答に答えがあり、数値まで示されています。
ビルの地下にタンクを入れて、その真上を飲食店の座敷にしたいという話が来ています。点検口は畳を切り込み式にする案です。
まったく同じ申請が照会されています。工夫を並べたうえで、結論ははっきり否定されました。理由もあわせて示されています。
配管をトレンチに入れる話はどうでしょうか。地震で折れるのが心配で。
そちらは条件付きで認められています。油種の限定から離隔の寸法まで並んでいるので、そのまま設計の与件になります。
この記事の結論
- 地下タンク貯蔵所の直上部に飲食店の木造畳敷き客室を設ける計画は、認めるべきでないとされています
- 地下タンク貯蔵所の設置場所は、点検管理が容易に行えるよう直上部に必要な空間が確保できる場所とさせられたいとされています
- 屋外の油配管をトレンチ内に収納することは、5つの条件を満たすことを前提に認められています
- トレンチがタンクのふたに食い込む場合、トレンチの底とタンクの頂部までの間は60センチメートル以上の間隔をとります
- ふたは縦横とも水平投影面上、それぞれタンクの外面から30センチメートル以上ずつ大きくとることとされています
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目次
地下タンクの直上部に客室を設けられるか

照会側は、次のような構造でその設置を認めてよいかと尋ねました。
(1) 注油口及び通気管は屋外とし、法令に適合するものとする
(2) 計量は、遠隔方式とする
(3) 検知管ボックス及びマンホール上部の畳は切り込み式とし、開けることにより点検のできる構造とする
(4) 地下貯蔵タンクは、政令第13条第1号中、いずれの方法により設置してもさしつかえない
答1 認めるべきでない。
(2) 計量は、遠隔方式とする
(3) 検知管ボックス及びマンホール上部の畳は切り込み式とし、開けることにより点検のできる構造とする
(4) 地下貯蔵タンクは、政令第13条第1号中、いずれの方法により設置してもさしつかえない
答1 認めるべきでない。
工夫を並べても認められませんでした。
個々の工夫が足りないという話ではなく、直上部を客室にすること自体が退けられた形です。
設置場所はどのように選ぶべきか

答2 地下タンク貯蔵所の設置場所は、当該施設の点検管理が容易に行えるよう、地下タンク貯蔵所の直上部に必要な空間が確保できる場所とさせられたい。
直上部に必要な空間が要ります。
客室が否定されたのは、畳や造作が点検の障害になるからだと読めます。
逆にいえば、上部を何かに使う計画を立てるときは、点検のための空間を先に確保できるかどうかで可否を見積もれることになります。
屋外の油配管をトレンチ内に収納する条件

従来は地下タンクから建物までの屋外の配管を、点検部分を除き地中直埋めの構造としていました。
地震および地盤沈下時に折損のおそれがあること、障害箇所の発見が困難であることが理由に挙げられています。
(1) 配管中を移送する油は、第二石油類または第三石油類である
(2) トレンチの本体およびふたは、鉄筋コンクリート造とし、上部にかかる荷重にたえうるものとする
(3) トレンチの底部には、ピットを1個設け、ためますとする
(4) トレンチ内の配管の接合は、施工上フランジ接合とする必要のある場合を除き溶接とする
(5) トレンチ内配管に設ける可撓管、フランジおよびためますの上部には点検口を設け、そのふたは、手掛け付き鉄筋コンクリートブロックまたは鉄製とする
(2) トレンチの本体およびふたは、鉄筋コンクリート造とし、上部にかかる荷重にたえうるものとする
(3) トレンチの底部には、ピットを1個設け、ためますとする
(4) トレンチ内の配管の接合は、施工上フランジ接合とする必要のある場合を除き溶接とする
(5) トレンチ内配管に設ける可撓管、フランジおよびためますの上部には点検口を設け、そのふたは、手掛け付き鉄筋コンクリートブロックまたは鉄製とする
第二石油類または第三石油類に限られます。
最初の条件で油種が絞られている点は見落とせません。ガソリンのような引火点の低い危険物は対象外です。
残る4つは、トレンチそのものの構造、たまった液を受けるためます、接合方法、点検口という順に並んでいます。
トレンチがタンクのふたに食い込む場合の構造

(1) 地下タンクふたにかかる荷重が直接地下貯蔵タンクにかからないよう、当該ふたは、鉄筋コンクリート造の支柱をもって支えるものとする。この場合、その支柱の支点は、地下貯蔵タンクを設置する際の土台にあたる床盤上とする
(2) トレンチの地下タンクふたに食い込む部分の地下タンクふたの上面(トレンチの底にあたる部分)とタンクの頂部までの間は60cm以上の間隔をとるものとする
(3) 地下タンクふたに食い込む部分のトレンチの底および周壁(プロテクタに接する部分の壁を除く。)は、厚さ30cm以上の鉄筋コンクリート造とする
(2) トレンチの地下タンクふたに食い込む部分の地下タンクふたの上面(トレンチの底にあたる部分)とタンクの頂部までの間は60cm以上の間隔をとるものとする
(3) 地下タンクふたに食い込む部分のトレンチの底および周壁(プロテクタに接する部分の壁を除く。)は、厚さ30cm以上の鉄筋コンクリート造とする
タンク頂部まで60センチ以上あけます。
支柱の条件も具体的で、支点はタンクを設置する際の土台にあたる床盤上とされています。
ふたにかかる荷重をタンクに直接載せないという考え方が、支柱の位置にまで落とし込まれています。
ふたの大きさと配管の集中

(1) ふたは、縦、横とも水平投影面上、それぞれ当該タンクの外面から30cm以上ずつ大きくとればよろしいか
(2) 各種配管のタンクに接続する部分は、平面図に示すとおり、プロテクタ内に集中させてよろしいか
答 1、2及び3いずれもさしつかえない。
(2) 各種配管のタンクに接続する部分は、平面図に示すとおり、プロテクタ内に集中させてよろしいか
答 1、2及び3いずれもさしつかえない。
外面から30センチ以上ずつ大きくとります。
ここでいう30センチメートルは水平投影面上の寸法です。斜めに測った距離ではありません。
配管の接続部分をプロテクタ内に集中させてよいという点も、点検のしやすさに直結する整理といえます。
よくある質問
Q. トレンチに収納できる油の種類に制限はありますか?
あります。昭和45年2月17日付け消防予第37号の条件の1つ目に、配管中を移送する油は第二石油類または第三石油類であることが挙げられています。この条件が満たされない場合、他の4条件を満たしてもこの整理には乗れません。
Q. トレンチの底部にためますは必要ですか?
必要とされています。トレンチの底部にはピットを1個設け、ためますとすることが条件に挙げられています。あわせて、可撓管、フランジおよびためますの上部には点検口を設け、そのふたは手掛け付き鉄筋コンクリートブロックまたは鉄製とすることとされています。
Q. ふたの荷重がタンクにかからないようにするにはどうしますか?
ふたを鉄筋コンクリート造の支柱をもって支えることとされています。その支柱の支点は、地下貯蔵タンクを設置する際の土台にあたる床盤上とすることまで示されています。荷重をタンク本体ではなく床盤で受ける考え方です。
Q. 直上部を駐車場や倉庫にすることはできますか?
昭和49年5月16日付け消防予第72号の照会では、認められないとする場合の上部の規制として上部駐車場、上部作業場又は倉庫、上部ボイラ一室等について具体的に示されたいと尋ねられています。これに対する回答は、設置場所を点検管理が容易に行えるよう直上部に必要な空間が確保できる場所とさせられたいという形で示されています。用途を個別に列挙するのではなく、点検の空間を確保できるかどうかで判断する枠組みです。
まとめ
- 地下タンク貯蔵所をビル地下室の直下に装置し、その上部に飲食店の木造畳敷き客室を設ける計画は認めるべきでないとされています
- 点検口を畳の切り込み式にするなどの工夫を示しても、結論は変わりませんでした
- 設置場所は、点検管理が容易に行えるよう直上部に必要な空間が確保できる場所とさせられたいとされています
- 屋外の油配管をトレンチ内に収納することは、5つの条件を満たすことを前提に認められています
- 移送する油は第二石油類または第三石油類に限られ、トレンチの本体およびふたは鉄筋コンクリート造とします
- トレンチの底部にはピットを1個設けてためますとし、配管の接合は原則として溶接とします
- トレンチがタンクのふたに食い込む場合、トレンチの底とタンクの頂部までの間は60センチメートル以上の間隔をとり、その部分の底および周壁は厚さ30センチメートル以上の鉄筋コンクリート造とします
- ふたは縦横とも水平投影面上、それぞれタンクの外面から30センチメートル以上ずつ大きくとることとされています
用途を1つずつ潰すんじゃなくて、点検の空間で判断するという枠なんですね。説明しやすいです。
計画の初期にそこを押さえておけば手戻りがありません。㈱防災屋でも配置の検討からご相談を承っています。
参考・出典
- 地下貯蔵タンク直上部の利用について(昭和49年5月16日 消防予第72号 予防課長から千葉県あて回答)
- 油配管の収納方法ならびに地下タンク貯蔵所の構造について(昭和45年2月17日 消防予第37号 予防課長から日本電信電話公社局長あて回答)
- 危険物の規制に関する政令第13条第1号・第13条第1号ハ
- 消防実務六法 質疑応答編
※本記事は公表されている法令および通達に基づく一般的な解説です。個別の施設についての適用は、所轄の消防機関にご確認ください。




