地下タンク貯蔵所の工事は、現場でコンクリートを打って固まるのを待つのが従来のやり方でした。
これを工場で作ったコンクリートパーツの組立てに置き換えられないか。
また、点検用マンホールが付いていない既設のタンクに、あとからマンホールを取り付けられないか。
どちらも認められていますが、付された条件に読みどころがあります。
基礎を工場製のコンクリートパーツで組み立てたいんです。現場打ちより工期が短くなるので。
認められています。ただし回答には「なお書き」が続いていて、施工で配慮すべき点が4つ挙げられています。そこが実質的な条件です。
既設タンクに点検用マンホールを後付けする話も出ています。水圧検査をやり直すことになりますか。
埋設したままで不燃性ガスによる気密試験に代えられる場合があります。政令第23条を適用するという整理です。
この記事の結論
- コンクリートパーツ組立て方法により地下タンク貯蔵所を設置することは、さしつかえないとされています
- ただし基礎コンクリート据え付け時の水平度など4つの点について、十分配慮するよう指導されたいとされています
- 基礎パーツには水平調整ネジが組み込まれており、4箇所のネジで据付けの水平を出します
- 地下貯蔵タンク等に設ける通気管ヘッドについて、申し出の構造および材質は政令第20条第3項の技術上の基準に適合すると認められています
- 既設タンクへの点検用マンホールの取付けでは、埋設した状態での不燃性ガスによる気密試験を水圧試験に代替する試験と認めうるとされています
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目次
コンクリートパーツ組立て方法による設置は認められるか

工場であらかじめ製作したコンクリートのパーツを現場に運び、組み立てて基礎とタンク室を構成する工法です。
答 設問のコンクリートパーツ組立て方法により地下タンク貯蔵所を設置することは、さしつかえない。
現場打ちのコンクリートでなければならないという制約は置かれていません。
ただし回答はここで終わらず、なお書きが続きます。そこに実質的な条件があります。
現場工事の工程はどう進むか

① 現場では穴を掘り、地盤を固めグリ石を敷き、捨てコンを打つ。捨てコンは2度打ちし、その上に基礎コンクリートパーツをクレーンで吊りおろし正しい位置に据付ける
② 基礎コンクリートパーツに組み込まれている「水平調整ネジ」を微調整して据付けの水平を出す。調整ネジを左右にまわせば自動でこの部分が上下がる。4ヶ所の調整ネジで微調整する
② 基礎コンクリートパーツに組み込まれている「水平調整ネジ」を微調整して据付けの水平を出す。調整ネジを左右にまわせば自動でこの部分が上下がる。4ヶ所の調整ネジで微調整する
水平は4箇所のネジで出します。
現場打ちなら型枠と打設で水平を作りますが、パーツ工法では据え付けてからネジで調整します。
捨てコンを2度打ちするという記述も、下地の精度を確保するための手順として読めます。
支柱と上部フタの取り付け

③ 支柱4本を立てて、アンカーボルトで固定する
④ 上部フタ用コンクリートパーツを上からかぶせ、支柱に差し込み、取付けナットで締付ける
⑤ コンクリートパーツのすき間にはモルタルをつめ、検知管やプロテクターを所定の位置に取付け、配管セットを接続する
⑥ 配管延長工事を行ない、配管防蝕を施し、その他必要な機器類を取付けて、全ての工程を終える
④ 上部フタ用コンクリートパーツを上からかぶせ、支柱に差し込み、取付けナットで締付ける
⑤ コンクリートパーツのすき間にはモルタルをつめ、検知管やプロテクターを所定の位置に取付け、配管セットを接続する
⑥ 配管延長工事を行ない、配管防蝕を施し、その他必要な機器類を取付けて、全ての工程を終える
フタの荷重は支柱が受けます。
タンクの上に直接載せるのではなく、4本の支柱に差し込んでナットで締める形になっています。
パーツどうしのすき間はモルタルで充填し、その後に検知管やプロテクターを取り付けます。
施工で十分配慮すべき4つの点

なお、基礎コンクリート据え付け時の水平度、捨てコンクリートと基礎コンクリートとの密着性、接合用ボルト等の防蝕措置、パーツとパーツとの接合状況等その施工について十分配慮するよう指導されたい。
接合部と防食に注意が向いています。
いずれも現場打ちでは生じない、パーツ工法に固有の弱点です。
なお同じ地下タンク関係では、昭和60年5月30日付けの消防危第68号が通気管ヘッドについて、申し出の構造および材質を政令第20条第3項に規定する技術上の基準に適合するものと認めてさしつかえないとしています。
既設タンクへの点検用マンホールの後付け

目的は、地下タンクおよび地下埋設配管の内部点検を容易にすることです。
問1 地下タンク本体と新設する点検用マンホールネックとの接合については、ボルト締めとしてよいか。なお、気密性は十分確保させることとする。
答1 さしつかえない。
答1 さしつかえない。
答2 タンクを埋設した状態において、不燃性ガスの封入による気密試験を行うことによつて令第13条第6号に定める水圧試験に代え得るものと判断できる場合は、同規定について令第23条を適用し、当該試験を水圧試験に代替する試験と認め、令第8条の2に定める水圧試験の基準としてさしつかえない。
既設のタンクを掘り出して水圧試験をやり直すのは現実的ではありません。
そこで窒素等の不燃性ガスを封入する気密試験を、水圧試験に代替する試験と認める道が示されました。
ただし「代え得るものと判断できる場合は」という条件が置かれており、無条件の置き換えではない点に注意が要ります。
よくある質問
Q. コンクリートパーツ工法で特に注意すべき点は何ですか?
回答のなお書きに4点が挙げられています。基礎コンクリート据え付け時の水平度、捨てコンクリートと基礎コンクリートとの密着性、接合用ボルト等の防食措置、パーツとパーツとの接合状況です。いずれも工場製のパーツを現場で組み立てる工法に固有の論点で、現場打ちでは生じない箇所です。
Q. 基礎の水平はどのように出しますか?
基礎コンクリートパーツに組み込まれている水平調整ネジを微調整して出します。調整ネジを左右にまわせば自動でその部分が上下し、4箇所の調整ネジで微調整するとされています。据え付けの前段では、地盤を固めグリ石を敷いたうえで捨てコンを2度打ちします。
Q. 点検用マンホールネックの接合は溶接でなければなりませんか?
ボルト締めでさしつかえないとされています。ただし照会では、気密性は十分確保させることとするという前提が付されています。昭和62年10月7日付け消防危第97号の答1がこの点を扱っています。
Q. 不燃性ガスによる気密試験は必ず水圧試験の代わりになりますか?
無条件ではありません。回答は「水圧試験に代え得るものと判断できる場合は」という条件を置いたうえで、令第23条を適用し当該試験を水圧試験に代替する試験と認め、令第8条の2に定める水圧試験の基準としてさしつかえないとしています。判断が必要な運用です。
まとめ
- コンクリートパーツ組立て方法により地下タンク貯蔵所を設置することは、さしつかえないとされています
- ただし基礎コンクリート据え付け時の水平度、捨てコンクリートとの密着性、接合用ボルト等の防食措置、パーツどうしの接合状況について十分配慮するよう指導されたいとされています
- 現場工事は、穴を掘りグリ石を敷いて捨てコンを2度打ちし、基礎パーツをクレーンで据え付けるところから始まります
- 据付けの水平は、基礎パーツに組み込まれた4箇所の水平調整ネジで出します
- 支柱4本をアンカーボルトで固定し、上部フタ用パーツをかぶせて取付けナットで締め付けます
- 地下貯蔵タンク等に設ける通気管ヘッドについては、申し出の構造および材質が政令第20条第3項の技術上の基準に適合すると認められた例があります
- 既設の地下タンクへの点検用マンホールネックの接合は、気密性を十分確保することを前提にボルト締めでさしつかえないとされています
- 取付け後の水圧検査は、埋設した状態での不燃性ガスによる気密試験を、令第23条を適用して水圧試験に代替する試験と認めうるとされています
なお書きのほうが実質的な条件なんですね。読み飛ばすところでした。
回答が「さしつかえない」で終わっていても、なお書きは必ず読んでください。㈱防災屋でも施工計画の確認からご相談を承っています。
参考・出典
- 地下タンク貯蔵所の設置に係る工事方法について(昭和58年3月14日 消防危第29号 消防庁危険物規制課長から岐阜県あて回答)〔昭和58年12月20日 消防危第138号「19」〕
- 通気管ヘッドについて(昭和60年5月30日 消防危第68号 危険物規制課長から福岡県あて回答)〔昭和61年3月10日 消防危第23号「7」〕
- 既設地下タンクの点検用マンホールの取付けに伴う構造及び検査実施方法について(昭和62年10月7日 消防危第97号 消防庁危険物規制課長から東京都あて回答)〔昭和63年3月11日 消防危第39号「3」〕
- 危険物の規制に関する政令第20条第3項・第13条第6号・第8条の2・第23条/消防法第11条の2
- 消防実務六法 質疑応答編
※本記事は公表されている法令および通達に基づく一般的な解説です。個別の施設についての適用は、所轄の消防機関にご確認ください。




