蓄電池設備の設置工事が完了すると、試験結果報告書を作成して消防長や消防署長へ届け出ます。
この報告書には、蓄電池や充電装置の仕様欄と、接地抵抗や絶縁抵抗の実測値を書き込む欄が並んでいます。
基準を満たしているかどうかの合否だけでなく、現場で実際にどんな数値が出たのかまで記録される書類です。
今回は蓄電池設備の試験結果報告書に実際にどんな数値が書き込まれるのか、基準とどう違うのかを解説します。
蓄電池設備の試験結果報告書って、合格か不合格かだけが書いてあるんですか?
いえ、実際に測った数値そのものまで書き込むんですよ。
実測値まであるなら、基準の数値とはずいぶん違うこともありそうですね。
はい、基準をどれだけ上回っているかが分かる作りになっています。
- 蓄電池設備の試験結果報告書は別記様式第27で作成する
- 蓄電池と充電装置の仕様欄には容量・種別・出力電圧・セル数、充電方法・入力電圧・出力電圧・出力電流を記入する
- 接地抵抗はD種100オーム以下、絶縁抵抗は3メガオーム以上が基準
- 記載例の実測値は接地抵抗2オーム・絶縁抵抗100メガオームで基準を大きく上回っている
- 使用区分欄と測定機器欄には共用設備名や計器の型式・校正有効期限まで書き込む
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目次
蓄電池設備の試験結果報告書にはどんな数値が記載されるのか

どんな様式に何を書くかは、設備ごとに消防庁長官が定めています。
様式の名前は別記様式第27で、蓄電池・充電装置・逆変換装置・直交変換装置の仕様を書く欄と、外観・機能・作動それぞれの試験結果を書く欄で構成されています。
記載例では、消防用設備等の別の欄に屋内消火栓設備、使用区分の欄には「消防用設備等のみに使用」が選ばれており、屋内消火栓設備の非常電源として作成された報告書という設定になっています。
つまりこの1枚は、蓄電池設備という機器そのものだけでなく、どの消防用設備等を支えているかまで示す書類だということです。
うちの蓄電池も、どの設備を支えているかまで報告書に書かれているんですね。
はい、支えている設備の名称まで欄が分かれているんです。
蓄電池と充電装置の仕様欄にはどんな数値が入るのか

どちらも銘板や仕様どおりの数値を、決まった項目に沿って書き込む欄です。
記載例では、蓄電池の欄に種別は鉛蓄電池・容量300アンペア時・出力電圧DC108ボルト・セル数54セルという仕様が並びます。
充電装置の欄には充電方法は浮動充電・出力電圧117.7ボルト・出力電流20アンペアという数値が記入されています。
蓄電池そのものの電圧(DC108ボルト)と、充電装置が実際に送り出す出力電圧(117.7ボルト)が違う数値として別の欄に書かれている点は、見落としやすいポイントです。
蓄電池の電圧と充電装置の電圧って、同じ数値だと思っていました。
いえ、別の欄の別の数値として記入されているんです。
接地抵抗と絶縁抵抗の実測値は基準とどれだけ差があるのか

どちらも合格ラインが決まっていて、記載例の実測値と見比べると差がよく分かります。
記載例の実測値は接地抵抗2オーム・絶縁抵抗100メガオームで、どちらも基準を大きく上回っています。
接地抵抗は基準の100オームに対して2オームなので五十分の一ほど、絶縁抵抗は基準の3メガオームに対して100メガオームなので三十倍以上の余裕を持って記録されている計算です。
基準は「これを下回ってはいけない・これを上回ってはいけない」という合否のラインで、実測値はそこから実際にどれだけ離れているかを示す数値だということです。
基準ぎりぎりの数値で合格することもあるんですか?
あり得ますが、記載例のような余裕のある数値が目安になります。
使用区分欄・消防用設備等の別欄には何を書くのか

一台の蓄電池設備が複数の設備を支えることもあるため、この欄で対象を絞り込みます。
使用区分欄は「消防用設備等のみに使用」か「その他と共用」のいずれかを○印で囲む仕組みです。
記載例では消防用設備等の別に屋内消火栓設備、使用区分は消防用設備等のみに使用が選ばれています。
自動火災報知設備の非常ベルなど、他の消防用設備等ともあわせて一台の蓄電池設備で支える場合は、その他と共用を選び、()内に共用している設備名を書き添えることになります。
つまり、一台で複数の設備をまかなっているかどうかが一目で分かるんですね。
はい、○印一つでそこまで分かる作りです。
測定機器欄はなぜ書く必要があるのか

数値だけでなく、その数値をどの計器で測ったかまで残す仕組みです。
記載例では、試験実施者が有している資格として第一種電気工事士と蓄電池設備整備資格者の登録番号が、測定機器として接地抵抗計と絶縁抵抗計それぞれの型式・校正有効期限・製造者が記入されています。
校正の有効期限が切れた計器で測った数値では、いくら基準を満たしていても裏付けになりません。
この欄は、実測値そのものだけでなく「その数値が信頼できる計器で測られたものか」まで消防検査で照合するための欄だということです。
計器そのものの型式まで書くとは思っていませんでした。
はい、校正有効期限まで確かめられる作りです。
よくある質問
まとめ
基準と実測値の見分け方がよく分かりました。
試験結果報告書の作成までお手伝いできます。
㈱防災屋でもご相談を承っております。
㈱防災屋 代表取締役/消防設備士
平成元年生まれ、三重県鈴鹿市出身。祖父が創業した消防設備業者で10年間勤務した後、独立・起業。現在は青木マーケ㈱、㈱防災屋、(一社)予防団の運営に携わる。Amazonベストセラー1位『改訂版 消防設備士0類』著者。月刊誌「電気と工事(オーム社)」でコラム連載中!
本記事の消防法令、消防用設備等の技術情報および記述内容を監修・編集しています。
詳しい経歴・保有資格を見る
- 鈴鹿工業高等専門学校 材料工学科 卒
- 静岡大学工学部物質工学科 材料科学コース 卒
- 静岡大学大学院工学研究科物質工学専攻 修了
- 消防設備士:甲種特類、甲種1~5類、乙種6・7類
- 危険物取扱者:甲種、乙種1~6類、丙種
- 防火対象物点検資格者/防災管理点検資格者/甲種防火管理者
- 第二種電気工事士/工事担任者(総合通信)/第三種電気主任技術者
- 自家用発電設備専門技術者/特種電気工事資格者/職長・安全衛生責任者
- eco検定/民泊適正管理主任者/フォークリフト運転技能講習 修了
趣味:ギター、バスケットボール(全国高専大会優勝・キャプテン)
参考・出典
- 消防法施行規則第31条の3(消防用設備等又は特殊消防用設備等の届出及び検査)
- 消防用設備等試験結果報告書の様式を定める件(平成元年12月1日消防庁告示第4号、最終改正 令和2年4月1日消防庁告示第2号)別記様式第27
- 蓄電池設備の基準(昭和48年消防庁告示第2号)
- 消防庁「消防用設備等の試験基準」(平成14年9月30日消防予第282号)第27 非常電源(蓄電池設備)
※本記事は公表されている法令および消防庁等の資料に基づく一般的な解説です。条例や運用は市町村ごとに異なる場合があります。個別の判断は所轄消防署にご確認ください。





